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蕎麦 ふるかわ

若い頃は自分の腕に天狗になっていたね、しかし、
ある日「これは蕎麦ではない」と言われて愕然…

30歳までは遊ぼうと思っていたので、若い頃はまぁ、好きな事をして生きていましたわ(笑)。そんな自分を見かねたのか、ある日知人が「新宿の食堂でうどんをやってみんか」と誘ってくれたんです。そこで教えてもらったのが、讃岐麺。


友人の一言がなければ、本当の蕎麦に出会えなかった

友人の一言がなければ、本当の蕎麦に出会えなかった

最初は難しかったものの、段々とコツを掴んでいくに従い、明らかに麺が美味くなっていくのが分かる。面白くなり、腕を磨いていく内にどんどん欲が出て来て、腕のいい讃岐麺職人がいると聞けば、出向いて味を確かめ、勝手にライバルにしていたんです。
そして自分の中で「よし、こいつにはもう勝った」と納得できたら「じゃあ今度はあいつ」と、まるで昔の道場破りのような意気込みで、腕に磨きをかける日々でした。実際、自分の打った讃岐麺は評判が良く、このころはまさに天狗でしたね。自分の腕には絶対の自信を持っていたわけです。
そのうち、蕎麦も打ち始めたんだけど、どうも客の反応がおかしい。出汁を変えたり、いろいろ試してみたけど、うどんとは比較にならないほど、客の反応がイマイチだったんです。そんなある日、友人が耳元で「これは蕎麦と違いますよ」と囁いたんです。耳を疑ったね。「え、じゃどれが蕎麦なんや!」って聞いたら「蕎麦粉が違う。僕が田舎から本物の蕎麦粉を送らすけん」て。後日長野から蕎麦粉を送ってくれたんです。
衝撃でしたね。「これが蕎麦か!」って、天狗の鼻は見事に根元からボッキリ折れてしまいました。それからは夢中で蕎麦の世界にのめり込み、しばらくは蕎麦一本に打ち込む日々でした…これがこの世界にどっぷりつかってしまったきっかけです。

うどんの本場・讃岐で
蕎麦一本で勝負できる店に挑む

うどんの本場・讃岐で蕎麦一本で勝負できる店に挑む

最初の店は香川県で始めました。蕎麦打ちの腕も磨き、味には自信がありましたが、何しろそこはうどんの本場・讃岐ですからね。果たして蕎麦屋を名乗って受け入れられるのか不安もあって、始めはやっぱりうどん屋としてスタートすることに。やがて少しずつ蕎麦も提供する形にしたんです。いつかは讃岐で、蕎麦一本で勝負できる店にするんだという闘志をひそかに燃やしながらね。
そんなある日、お客さんが「蕎麦の冷凍麺も美味しいね」と話しているのを聞いて、「あ、讃岐でも蕎麦の需要があるんだな」「よし、蕎麦で行ける。蕎麦一本で勝負しても大丈夫だ」と確信しました。こうして”香川で一番の蕎麦屋”をめざした、挑戦が始まったわけです。

うどんの本場・讃岐で蕎麦一本で勝負できる店に挑む

うどんに慣れ親しんだ香川県の人々に、蕎麦の魅力を分かってもらう自信があったのかと聞かれれば、正直ありましたよ。全国の蕎麦粉を吟味し、納得できるものを仕入れていましたし、手打ちの腕にも自信がありました。この蕎麦なら讃岐の人たちの舌だって魅了できると確信していましたね。
そういう意味では”手打ち”蕎麦一本で勝負しようと思えば、できないこともなかったのです。ところが、自分は自己流のためか、蕎麦を打つとすごく疲れてしまうんです。疲れると仕事が雑になり、納得できる蕎麦を提供できない。そんなジレンマに襲われるようになってしまったのです。

製麺機を買ったのではなく、社長の人間味を買った
それで裏切られたら、見る目がなかったと諦めればいい

製麺機を買ったのではなく、社長の人間味を買ったそれで裏切られたら、見る目がなかったと諦めればいい

それに自分は、手打ち蕎麦一本よりも、蕎麦懐石のような料理もやりたいという思いが強かったんです。手打ち蕎麦と料理を一人でやるのは、なかなか難しいので、それなら大和の製麺機を使おうと考えるようになりました。蕎麦粉は無理して押さえると粒子がつぶれる。そうなると湯の通りが悪くなって味が落ちるわけです。手の場合、ぐっと押さえても逃げてくれるので粒子がつぶれることがないんですが、機械では粒子をつぶさずに力を逃がすのは簡単な事ではなかったのです。それを可能にしたのが大和の製麺機だったんです。蕎麦粉や食材もそうなんですが、自分で使うものは自分の目でひとつひとつ確かめるのがモットー。いろいろな製麺機を自分で確かめて、納得できた製麺機のひとつが、大和の製麺機でした。

最終的に大和に決めたのは、社長の人柄
社長の人間性に惚れてしまった

正直、他にも良い製麺機はありましたが、最終的に大和に決めたのは、実は社長の人柄だったんですよ。社長とじっくり話す機会をもらって、とことん意見をぶつけ合っていく内、社長の人間性に惚れてしまったわけです。製麺機を買ったというより、人間性を含めた社長を買ったということかな。もしも、それで裏切られるようなことがあったら、自分に見る目がなかったと諦めればいい。そう感じさせる誠実さや情熱を、社長は持っていたということです。

おばあちゃんの味を原点に、自分が食べたいものを提供する
だから気持ちよく作れる

おばあちゃんの味を原点に、自分が食べたいものを提供するだから気持ちよく作れる

自分はもう歳なので、これからはあまり無理せず、好きな蕎麦と料理の世界を楽しんでいきたいと思っています。蕎麦はうどん以上に体に負担がかかりますからね、機械の力も借りながら、器や山菜などにこだわった「粋」な店を極めていきたいですね。蕎麦はやっぱり、「粋」を味わう文化だと思うんですよ。
実は自分の原点はおばあちゃんの味なんです。素朴な中にも、愛情がいっぱい染み込んだ、噛めば噛むほど、深い味わいが楽しめるような。そこには、本当の愛情があると思うんです。季節のものを、素朴な器で、美味しく食べてほしい、そんな飾りっ気のないおばあちゃんの手料理の中にこそ、自分は「粋」を感じるんです。
今は、自分が食べたいものを考えて献立を決めるようにしています。自分が食べたいものを作るのは楽しいんです。だから、毎日飽きることなく、気持ちよく厨房に立つことができる。料理人が気持ちよく作った料理ほど美味しいものはないんです。おばあちゃんの料理が美味しいのは、おばあちゃん自身が気持ちよく作っているからに違いないと思うのです。

会社名 【屋号】蕎麦 ふるかわ
所在地 蕎麦 ふるかわ【Goolge Map】
〒761-8024 香川県高松市鬼無町藤井431-6
麺種
「香川で一番の蕎麦屋」を目指し、うどんに慣れ親しんだ香川県の人はもちろん、様々な人を魅了する蕎麦を提供している。

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