昨日からの人手不足の続きで、昨日は、本社でのうどん学校、ラーメン学校の経営講義でした。
以前から指摘している通り、日本の労働市場は生産年齢人口のデータによれば、既に19年前の1995年がピークで、この19年間に約12%減少しているのです。
従って、実質的に12%の労働人口が減少していることになりますが、質の低下を合せて考えてみると、恐らく20%程度減少していることが想定されます。
これを補う形での女性の労働市場への参入がありますので、実際はこの数字より少し改善されていると思います。
しかし、約20年間にこれだけの労働人口が減少したのですから、当然、さまざまな現場では、人手不足は当然起きています。
更に、母数の多い団塊の世代以上が労働市場から消え去りつつある現在、実際にはもっと大きい影響が起きている可能性があります。
従って、日本で住んでいる以上、これからもこの問題を避けて通ることは出来ないので、人手が出来るだけ要らないビジネス、人手が少なくて済むビジネスへの転換と、人手を集めやすいビジネスへの転換も必要になってきます。
昨日もカフェの事例を触れましたが、うどん店とカフェの場合の大きい違いは、うどん店の場合は、お客さまが昼の一刻に集中するので、昼間の一刻は戦争のような状態ですが、その後、お客さまが一斉にいなくなり、集めた人手が余ってしまうことです。
だから、うどん店の場合は、昼の一刻のために、多くの人手を確保しなければいけないので、効率が良くないのです。
一方、カフェの場合は、お客様が長居して、回転が悪い分、一刻に集中しないので、一度に多くの人手が要らないのです。
そして、当社の亀城庵の数字よりも、売上の高い日と低い日を比較すると、高い日は一組当たりの人数の多い家族客とか、女性客の多い日で、反対に売上の低い日は、一組当たりの人数の少ない、男性のサラリーマンで、一人客の多い日でした。
当然、サラリーマンの多い日は、昼の一刻に集中し、早い提供を要求されます。
ところが、時間にゆとりのある、家族客とか、女性客の場合は、サラリーマンほど、早い食事の提供を要求されないのです。
上記のように、働き盛りのサラリーマンの数はこの19年間で、確実に12%は減少し、多くの店同士でお客さまの奪い合いになっています。
反対に、この19年間で大幅に増えているのは、シニアと女性客です。
ところが、殆どの飲食店はこのことに気づかず、今まで通りにサラリーマンをターゲットにしている店が多いのです。
従って、働く人手の点でも、シニアと女性客確保の方が、よほど現状に即していると言えるのです。
従って、これからのビジネスにおいては、お客さまも働く人たちも、シニアと女性の本格的な活用が欠かせないのです。
現在のシニアは、私も含めて非常に元気で、まだまだ働き盛りの人たちが多いのです。
従って、シニアと女性でビジネスを回していける仕組みが出来れば、これからの時代に強いビジネスの構築が出来るのです。
こうして、ある程度、人手不足も解消し、ビジネスの方向性が見えてくれば、次の段階は、飛躍の段階です。
最近、深く思考していて感じるのは、現在大きく成功しているビジネスのほとんどは、時代背景に合っていて、新しい市場を作り上げたビジネスばかりです。
例えば、セブン・イレブンのようなコンビニエンスは、スーパー・マーケットの台頭によって消えつつあった酒屋、米屋、八百屋、魚屋等の生業店が生まれ変わったものなのです。
昔から、酒屋は酒だけしか売っておらず、米屋は米だけ、八百屋は野菜、果物だけ、魚屋は魚だけと、それぞれが単一ビジネスであったのです。
ところが、コンビニエンスはそれらのビジネスを小さい店舗にすべて融合してしまったのです。
要するに、過去に栄えた米屋、八百屋、魚屋、牛乳屋、雑貨屋、文房具屋、書店、新聞屋、銀行等さまざまな機能が、複雑に融合した店舗なのです。
但し、米屋、八百屋、魚屋等で扱っていた米、野菜類、魚類は弁当にと、形を変えています。
この様に、時代の背景に合ったようにわれわれのビジネスも変化していかなければいけないことがよく分かります。
時代の大きなトレンドに合わせて、変化したビジネスだけが生き残ることが出来るのです。
更に、家庭の固定電話が携帯電話に変化したように、時代は複雑化の方向に、進んでいるのです。
従って、われわれの麺ビジネスもお客さまのニーズに合わせて、複雑な方向に大きく舵を切らなければいけない時代に来ています。
これをコンビニエンスは大きい成功事例として、われわれに正しい方向を示してくれているのです。
安藤忠雄(あんどう・ただお)は、独学からスタートし、苦労して成功した方ですが、同時に建築業界で長く成功している事例です。
従って、長く成功するためのエッセンスが至るところにちりばめられています。
27.持続が大事
持続が大事だということは建築写真家の二川幸夫さんも言っています。
「ポッと出て5年もつ奴はいる。10年もたてば建築家らしくなる。でも、30年もたたなければ、自分は建築家と認めない」と。
30年トップクラスで活躍できる人というのは、本当に少ないですね。
28.常識を疑い、新たなルールをつくる
いまは常識というものが次々と崩れています。
常識を疑い、自ら新たなルールをつくる。
現代を生き抜くには、そんな気構えが必要でしょう。
29.あいつにしかできないと思わせることがポイント
海外の施主から直接依頼を受けることもたくさんあります。
「あいつにしかできない」。
そう相手に思わせることができているのがポイントなんでしょうね。
アルマーニのスーツを購入する人だって、「このシルエットはやはりアルマーニならでは」と思うから買い求めるわけでしょう。
30.大切なのは出身校より目の前の白いキャンバスに自分の絵を描くこと
一流大学だろうが、専門学校出だろうが、中卒だろうが、いまの時代、誰も人生を保証されていません。
一人一人が、目の前の白いキャンバスに自分で絵を描かなければなりません。
にもかかわらず、依然として一流大学に幻想を抱いている人がたくさんいます。
一流大学を卒業すれば安泰な人生が送れるという時代ではなくなったのにね。
31.ひとつのことにこだわり、挑戦し続ける
私はコンクリートにこだわり続けてきました。
ひとつの素材を突き詰めていくことで、自分の想像力の限界に挑戦し続けられるからです。
32.楽ではない環境で自分を鍛える
外国人と仕事すると、日本人のレベルの高さを実感します。
まず向こうは工程の管理がきちんとしていない。
工程管理がずさんだと、建物の品質にも影響が出ます。
だから、海外での仕事は難しい。
それと向き合うことが自分を高めることにつながると信じているので、逃げずに立ち向かっていきますけど。
33.向上できる感情に自ら飛び込む
私の場合は、海外の施主はすべて外国人です。
パートナーを組む設計会社や建築会社も外国企業です。
相手が日本人でないから、意思疎通は上手くいかないし、当然リスクも高いです。
でも、そういう緊張感の中で仕事をしなければ自分が向上しないでしょう。
日本人同士で仕事をすれば安全かもしれませんが、それで鍛えられることはありません。
34.トップは社員の声を聞くことが大切
市民の声を聞く政治家が必要なように、社員の声を聞くトップが必要です。
声に耳を傾けないトップは、都合のいいところだけ聞いています。
上司に対してものを言いづらい社員から、意見をうまく引き出し、それをもとに決断していく。
これがトップとして当たり前なのに、偉くなったら上から下へドーンとトップダウン。
だから売上、利益一辺倒になってくる。
35.四六時中仕事について考えることの重要性
とにかく、自分の仕事でギリギリまで追い込まれる必要があります。
それぞれの仕事を四六時中考える。
昔の人は、寝る直前まで仕事のことを考えたし、朝起きた直後から仕事のことを考えていましたよ。
でも最近の若い人は、職場の机を離れたら仕事のことなど忘れてしまう。
大手企業ならいいかもしれませんが、中小企業はボスが倒れたら全員失業です。
にもかかわらず、仕事のことを考えない。
残念です……。
36.誰もが自分ができることをやって少子化をカバーしていくことが大切
企業が保育所をつくると、その分お金はかかりますが、少なくとも少子化を食い止める手助けにはなります。
それぞれの企業が、自分たちのできる範囲で投資をすればいいのに、ほとんどしないから保育所が足りなくなっている。
私が東急渋谷駅と上野毛駅の設計を手がけたとき、「駅に託児所をつくってくださいよ」とお願いしました。
そうやって、誰もができることをやって少子化をカバーしていく、サポートしていくということがなければ、社会は元気になりません。
企業がお金を貯め込んでいるという状況は、喜ばしいことではありませんよ。
昨日は本社での経営ノウハウ講義で、生徒さんたちとの真剣なやり取りの風景です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。