先ずは、お知らせで、来週11月10日(火)~12日(木)の3日間、ドリームスタジオ東京で、創業40周年記念イベントがあり、各種セミナー、製麺講習等が行なわれ、今であれば、3日間とも余裕があり、私も2日目から参加します。(https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/dream-studio-tokyo/)
本日のテーマは「麺ビジネスは製造直販ビジネスで、高いマネッジメント能力を要求される」です。
昨日は、大阪の豆腐工場の見学に行きましたが、すでに7年前から年中無休で、一般消費者対象の工場見学を行なっており、工場見学は短時間であったのですが、その後の試食の種類と量が多く、私の地元にはないような、面白い商品がたくさんあり、どの試食も美味しく、試食が美味しいだけでなく、案内してくれた女性の説明と、ホスピタリテイが凄かったのです。
合計11名の参加者だったのですが、正月3が日と大晦日の4日間だけが休みで、年中無休で開催し、1ヶ月先まで、いつも予約が一杯なのです。
この豆腐屋さんは、創業125年経過していて、今年3月末までは、スーパーへの納品も行なっていたのですが、4月からは、すべて直販に切り替えていて、若い従業員の多い、たいへん活気のある豆腐屋さんでした。
多分、スーパー納品から撤退するときは、相当のリスクを覚悟したと思います。
日本の食品メーカーのほとんどは、スーパーに依存したビジネスになっているのですが、自分で販路を持っていて、他社に販売を頼らないビジネスは、リスクも伴いますが、独自の販路を持っていることは、非常に強いのです。
誰かに販売を依存するのではなく、自分で作って、自分で売るビジネスほど、強い立場でビジネスが出来るのです。
うどん蕎麦店、ラーメン店のような飲食タイプの麺ビジネスは、基本的には、自分でお客さまを開拓しているビジネスと言えるのですが、一部ショッピングモールとか、大きな商業施設に出店している麺ビジネスは、一次集客を大家であるショッピングモールに依存しているビジネスであると言えるのです。
従って、基本的には、その商業施設に来ているお客さましか、食べに来ないので、お客さまの質は限定されてしまいます。
自店が求めたいお客さまと言うよりは、ショッピングセンターに来店されるお客さまが対象になるので、自分でお客さまを選ぶことは出来ないのです。
ほとんどのショッピングモールは、それほどこだわった、上質志向のお客さまを集客していないので、ショッピングモールに出店する場合は、その施設に来られるお客さまをターゲットにする以外にはなく、日本のショッピングモールの場合は、基本的には、お手軽志向の場合がほとんどです。
ところが、路面店においては、自分の価値感、使命、コンセプトに合ったお客さまを自由に選ぶことが出来、それらの一貫性の程度、商品力、雰囲気、サービスレベルの高さによって、お客さまの数を幾らでも増やすことが出来、自由度の高いビジネスが可能になるのです。
当社も創業して間もないころは、規模の小さく、お客さまの信頼がなかったので、自分だけの力で商品を販売することが難しかったので、昔からローカルで強かった厨房業者の方がたに、販売して貰っていたのです。
しかし、時代を経るとともに、地域の厨房業者の力が弱くなり、廃業したりする業者が続出し、いつの間にか、大手の厨房業者だけになり、地域の厨房業者に頼ることが出来なくなったのです。
約20年前に、使命を明確にしたころから、徐々に、お客さまへの直接販売が増え、同時に、麺の作り方、だしの取り方、調理方法を指導するようになってきて、最終的にマネッジメントまで指導するようになり、麺學校へとつながってきたのです。
こうしてみると、昨日訪問した豆腐メーカーのように、世の中の変化に合わせて、当社も自然な流れに沿って、販売方式も変化しているように見えるのです。
だから、自分が作った商品を自分の力で販売することは、メーカーであれば、最終的には欠かせないことで、ユニクロ等は、最初はメーカーではなかったのですが、最終的に自分で直接に工場を持たないメーカーになっているのです。
アップル等も同様で、自分で工場は持っていないのですが、商品企画から始まり、販売まで完結しているメーカーであり、アップルの商品は人気が高く、世界中で売れ続けているのです。
ユニクロの成功、アップルの成功も新しいビジネスモデル(ルール)を自ら作り、自分で新しい勝負の土俵を作り上げたのです。
自分で作って自分で販売を成功させようと思えば、マーケテイング、イノベーション等の高いマネッジメントレベルを要求され、スーパーに販売を依存する下請け業のような製造メーカーとは違った経営能力を要求されるのです。
これは、飲食ビジネス全般、麺ビジネス先般について言えることであり、短期間ではなく、永く繁栄している、強い店舗ほど、高いマネッジメントレベルで経営しているのです。
マネッジメントを深掘りしていくと、行きつくところは、皆同じところに行きつくような気がします。
本年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆知識によるイノベーションの報酬
科学や技術の分野における新しい知識にもとづくイノベーションこそ、リスクの最も大きなイノベーションであり、もちろんホットな分野であるほどリスクは大きくなり、それはかって、パソコンであり、バイオであったのですが、これに対し、地味な分野のイノベーションは、単に時間的な余裕があるというだけでも、リスクは、はるかに小さく、社会的なイノベーションにおいても、リスクはそれほど大きくないのですが、知識によるイノベーションには、ほかのイノベーションよりも大きなリスクがつきものなのです。
しかしそのリスクは、それが世に与えるインパクト、そして何よりもわれわれ自身の世界観、われわれ自身の位置づけ、そしてゆくゆくは、われわれ自身にさえ変化をもたらすことに対する代価でもあるのですが、それらハイテクのイノベーションに伴うリスクでさえ、イノベーションの機会としての新しい知識を、予期せぬ成功や失敗、ギャップの存在、あるいはニーズの存在と結合させることによって、大幅に小さくすることができ、そのとき、社会がイノベーションを受け入れるかどうかは、すでに確定していて、容易かつ確実に調べることができ、しかも、イノベーションを完成させるうえで必要な知識も、かなりの精度で、規定することができ、これがまさに今日、開発研究なるものに人気がある理由なのです。
(注記)研究開発(けんきゅうかいはつ、英: Research and development、R&D)とは特定の対象を調査して、基礎学問の研究や、目的に応じた応用研究の模索、将来的に発展する技術等の試験を行い、技術的な優位を得るための活動であり、英語ではResearch and developmentを用いることが多く、20世紀の初頭以降に用いられるようになった言葉です。
開発研究においては、システム的思考と自己規律が必要とされ、組織的かつ、目的であることが不可欠であり、このように、知識によるイノベーションを行おうとする者は、より多くのことを要求され、ほかのイノベーションとは、要求されるものがまったく異なり、直面するリスクが異質であり、そもそも時間が敵であるのですが、リスクが大きければ、それだけ報酬も大きく、この典型的な事例としては、かってはスマートフォーン、現在は、スマート・ウオッチ、更には、スマート・グラスがこれに当たり、ほかのイノベーションでも富を手に入れることはできるのですが、知識によるイノベーションでは、名声まで手に入れることができるのです。
第10章 アイデアによるイノベーション
アイデアによるイノベーションは、ほかのあらゆる種類のイノベーションを全部合わせたよりも多く、10の特許のうち7つか8つは、この種のものであり、起業家や起業家精神についての文献で、取り上げられている新事業の多くが、アイデアにもとづき、ジッパー、ボールペン、エアゾール缶、缶のフタの類であり、企業の開発研究と称されているものの多くも、朝食用のコーンフレークやソフトドリンクの味つけ、新しい運動靴、焦がす心配のないアイロンなど、アイデアを発見するための作業です。
◆あまりの曖昧さ
アイデアは、イノベーションの機会としてはリスクが大きく、成功する確率は最も小さく、失敗する確率は最も大きく、この種のイノベーションによる特許のうち、開発費や特許関連費に見合うほど稼いでいるものは、100に1つもなく、使った費用を上回るかを稼ぐものは、おそらく500に1つという少なさで、しかも、アイデアによるイノベーションのうち、いずれに成功のチャンスがあるか、いずれに失敗の危険があるかは誰にもわからないのです。
たとえば、なぜあのスプレー式のエアゾール缶は成功したのか、ほかに似たような発明がたくさんあったのに、それらはなぜ失敗に終わったのか、なぜあの万能スパナが売れて、ほかのものは消えたのか、なぜジッパーは、あれほど引っかかりやすいにもかかわらず、ジッパーの引っかかりほど厄介なものはないにもかかわらず、広く受け入れられ、ボタンに取って代わったのか、分からず、アイデアによるイノベーションの成否を事前に知るための方法も、とくに改善されているわけではなく、アイデアによるイノベーションで、成功する者に共通の個性、姿勢、性癖を知ろうとする試みも、同じようにうまくいっていないのです。
「イノベーションに成功する者は発明しつづけ、何でも試し、そのうちに成功する。」というのですが、続けていればやがて成功するという考えは、ラスベガスのスロットマシーンで儲けるには、レバーを引きつづければよいというのに似ていて、スロットマシーンは、胴元が70パーセントの確率で勝ち、レバーを引くほど負けの確率は大きくなり、スロットマシンで勝つ方法に根拠がないように、アイデアの追求において、執拗さがよい結果を生かなどという説を裏づける証拠はないのです。
ただ一つのアイデアで成功し、それでやめる人がいて、ジッパーの発明者、ボールペンの発明者がそれで、他方、40の特許をもちながら、1つも成功しないという人が大勢いて、もちろん、進歩はありうるのですが、それも、正しい方法を実行したとき、すなわちイノベーションの機会を体系的に分析したときだけです。
アイデアによるイノベーションの予測が難しく、かつ失敗の確率が大きい原因はかなり明らかであり、そもそもアイデアなるものが、あまりに曖昧であり、ジッパーを発明した人以外で、衣類をとめるのにボタンやホックでは、不都合だと考えた人が何人いたか、あるいは、ボールペンを発明した人以外に、あの19世紀の発明たる万年筆に欠陥があり、その欠陥が何であるかを考えた人が何人いたか、1960年代のヒット商品だった電動歯ブラシによって、いかなるニーズが満たされたか、つまるところ、電動式歯ブラシもまた、手でもたなければならないことに変わりはなく、しかも、たとえニーズが明らかになったとしても、問題の具体的な解決策は、自動的には出てこないのです。
交通渋滞の車中に気晴らしのニーズがあるということは、さほど気づきにくいことではないのですが、1965年頃、ソニーがこのニーズを満たすものとして開発したカーテレビは、かなり高価なカーステレオが成功したにもかかわらず、なぜ失敗したのか、あとになって答えることは容易ですが、事前に答えることは出来ず、起業家たる者は、いかにもろもろの成功物語に心惹かれようとも、単なるアイデアによるイノベーションに手をつけるべきではなく、つまるところ、ラスベガスでも、毎週誰かがスロットマシーンで大儲けしているのですが、スロットマシーンで遊ぶ、彼や彼女にできる最善のことは、あとで困るほど金を注ぎ込まないようにすることぐらいなのですが、これに対し、計画的に行動する起業家は、明確な目的意識をもって、本書で述べてきたイノベーションのための7つの機会を分析し、それら7つの機会についてだけでも、個人として、あるいは企業として、さらには社会的機関として、なすべきことは十二分にあり、とうてい利用しきれないほどあり、しかもそれらの機会のそれぞれについては、いかにものごとを見、何を探し、何をなすべきかが明らかであるのです。
アイデアによるイノベーションを志すと、いう人たちに対してできることは、数の困難を乗り越えて成功し、かつ成長を続けていくためには、成功したあと何をしたらよいかを教えることぐらいであり、すなわちベンチャー・ビジネスの心得であり、起業家精神についてのもろもろの文献が、イノベーションそのものではなく、ベンチャー・ビジネスの設立と、そのマネジメントの問題だけを扱っている理由もそこにあるのです。
画像は、先週の営業会議の1コマで、会議に先立ち、恒例の国歌斉唱を行なっているところです。
全員、緊張感がみなぎっているのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。