本日のテーマは「ビジネスの成功は、責任の重さ」です。
昨日からソウルへ到着し、インチョン空港に到着すると、販売店の金社長の車でドリームスタジオ・ソウルに入り、遅い昼食を事務所近くにある牛骨スープのソーロンタンで有名な店に行きました。
すでに2時近くになっていたのに、店内はまだお客さまで一杯で、ソーロンタンは1人前8千ウオン(約850円)で、濃い、美味しいスープに肉とソーメンが入っており、白いご飯とキムチ類が食べ放題でこの価格なので、たいへんお値打ちな価格です。
スープの濃度が高く、美味しいスープだったので、牛骨を何時間炊いているのか聞いてみると、朝7時から夜11時まで合計16時間炊いているそうで、このくらい炊けば、確かに濃いスープが完成するはずです。
単純な味ですが、やはりスープをキチンと取れば、他に特別に工夫をしなくても、それだけで美味しい料理になり、これは当社のラーメン学校で教えているスープの製法とまったく同じであったのです。
当社のラーメン学校でも、スープベースを完ぺきにキチンと取るので、スープ自体が美味しく、ラーメン学校に参加した生徒さんで、すでにラーメン店を開店している生徒さんが、自店ではこんなに美味しいスープベースが作れていないと、驚くのです。
毎回のラーメン学校で、私が生徒さんのスープのチェックをするときに、生徒さんに徹底的に教えるのは、元ダレを入れる前のスープベース自体が美味しくないと、元ダレを入れた後の完成したスープの美味しさは得られないのです。
だから、元ダレを入れる前にスープベースだけを飲んで、美味しいかどうかをキチンと確認し、この状態で味に違和感があると、スープベース自体をやり直して、スープベースが納得出来る味になるまで、試行錯誤を繰り返します。
そして、スープベース自体が澄んだ味になっていれば、初めて美味しいラーメンを作ることが出来るのです。
今月の本社でのラーメン學校でも、生徒さんの作ったスープの最終の味をチェックしていると、鶏の臭みが取れていないスープがあったので、スープベースをチェックしていると、スープベースに浮いている鶏油が混じっているのです。
スープベースが完成した時に浮いた鶏油は、スープを炊いている間に鶏ガラに含まれていたさまざまな雑味が、スープの上に浮いた油にすべて吸収されているので、スープの上に浮いている鶏油は特に臭みを含んでいるのです。
これは、鶏だけでなく、豚もすべて同じで、スープの上に浮いた油には、雑味と臭みが含まれているので、この油を使うと臭みが出てしまうのです。
豚骨ラーメンではこの臭みを利用する場合がありますが、鶏の場合は嫌味のある臭みなので、私はこの臭みを避けるために、上に浮いた鶏油は使用しないように指導しているのです。
臭みのない、スッキリした鶏油を使いたい場合は、別に鶏の脂部分を背脂を取るのと同じように、フライパン等で加熱して取れば、臭みのない鶏油を取ることが出来るのです。
多くのラーメンスープを作る人たちの誤解していることのひとつが、動物系スープの臭みを取るために、野菜を使う人がいますが、臭みを取るのは、スープの上に浮いた油を完全に分離することで防ぐことが出来るのです。
同時に、スープを取る間において、上に浮いたアクを完全に取り切ることも重要で、アクを取り切っていないと、雑味を含んだスープになります。
私も最初から、このようなことを分かり切っていたのではないのですが、ラーメン学校を始めたことで、さまざまな原理原則が分かったのです。
もし、私がラーメン学校ではなく、単なるラーメン店をやっていたのでは、このようなことは分からなかったであろうし、デジタル・クッキングの原理も作り上げることは出来なかったのですが、ラーメン学校で生徒さんに教えることにより、ラーメン店を経営するより、はるかに大きな責任が発生したのです。
そのようなさまざまな体験を通じて、私は理解したのは、ビジネスに必要なことは責任の重さであり、責任の重い状態に自分を追い込むことであるのです。
まさに、「ビジネスの成功=責任×夢×情熱×意志力×集中力×経験×直観力×忍耐力」であったのです。
自分で、自分を責任の重い状態に追い込むことが秘訣であり、多くの重い責任を背負った人ほど、早く成長出来、責任から逃れようとする人ほど、成長が遅れるのです。
この様に、美味しいラーメンを作るためには、大切なことをキチンとやり切ることが重要で、これは本質的な部分であり、多くの人が
本日から、いよいよドリームスタジオソールで、イベントが始まり、もうすぐ私の出番です。
(ドリームスタジオソウル)
本年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆人事のリスクは同じ
もちろん、起業家的なプロジェクトを成功させるためには、組織の構造が正しくなければならないのは当然であり、もろもろの関係が適切でなければならず、報酬や報奨がふさわしくなければならないのですが、誰にイノベーションのための部門を担当させるか、彼らが成功したあといかに処遇するかという問題は、裏づけのないあれこれの心理学ではなく、あくまでも人物本位で決めるべきことであり、起業家的なプロジェクトのための人事も、ほかの人事と同じであり、そこにはリスクが伴い、人事にはつねにリスクが伴うので、もとより人事の決定は、慎重かつ細心に行わなければならないだけでなく、下記のような注意が必要なのです。
1.正しく行わなければならない
2.徹底的に考えなければならない
3.大勢の候補をあげなければならない
4.1人ひとりの実績を調べなければならない
5.そして1人ひとりについて、一緒に慟いたことのある人からヒアリングしなければならない
しかし以上のことは、あらゆる人事においても行うべきことであり、しかも起業家的な仕事のための人事の平均打率も、ほかの経営管理者や専門職の人事のそれと変わることはないのです。
7起業家精神にとってのタブー
既存企業において起業家的たるためには、行ってはならないことが、下記のようにいくつかあります。
◆片手間ではすまない
最も重要なタブーは、管理部門と起業家的な部門を一緒に合せたり、起業家的な部門を、既存の管理部門のもとにおくことで、既存の事業の運営、利用、最適化を担当している人たちに、イノベーションを任せてはならないのは、それまでの原理や方法を変えることなく、起業家的たろうとしても、無理であり、ほとんど失敗は必至であり、片手間に起業家的たろうとしても、うまくいく訳がないのです。
◆異質の人たちとでは
この10年ないし15年間、アメリカの大企業の多くが、起業家たちと合弁事業を組んでいるのですが、成功したものはあまりなく、起業家たちは、官僚的、形式的、保守的な大企業の原則、ルール、文化に息を詰まらせ、彼らのパートナーとなった大企業の人たちも、起業家たちが行おうとすることが理解できなく、彼らが、規律に欠け、粗野で、夢想家のように見えるので、大企業が起業家として成功しているのは、多くの場合、自らの人材によって新しい事業を手がけたときであり、互いに理解しあえる人たち、信頼できる人たち、ものごとの進め方を知っている人たち、一緒に仕事をしていける人たちを使ったときだけであり、企業全体に起業家精神が浸透していること、すなわち企業全体がイノベーションを望み、イノベーションに手を伸ばし、イノベーションを必然の機会と見ていることが前提であり、組織全体が「新しいものに貪欲」になっていることが前提であるのです。
◆多角化は不要
いかなる組織であろうとも、不得手な分野でイノベーションを行おうとしても成功することはめったになく、イノベーションが多角化であってはならず、いかなる利点があるにせよ、多角化はイノベーションや起業家精神とは相容れないだけでなく、新しいものは、理解していない分野で試みるには難しすぎ、既存企業は、市場や技術について卓越した能力をもつ分野でのみ、イノベーションを行うことができ、新しいものは必ず問題に直面するのですが、そのとき、事業に通暁していなければならないのです。
多角化は、市場や技術について既存の事業との共通性がないかぎり、うまくいかないだけでなく、たとえ共通性があったとしても、かつてドラッカーが論じたように、多角化にはそれ自体の問題(ドラッカー著『マネジメント』参照)があり、多角化に伴う問題に、起業家精神に伴う問題が加わってしまったら、結果は最悪であり、イノベーションは、自らが理解しているところでしか行うことができないのです。
以上のことは、「ビジョナリー・カンパニー②」のハリネズミの原則で取り上げられている通り、情熱がないことに、絶対に取り組んではいけないのであり、情熱があり、世界一になれ、収益が上がる部分しか、絶対に取り組んではいけないのです。
要するに、自分の得意分野だけであるのです。
◆丸ごと買収ではない
最後に、買収、すなわちベンチャー・ビジネスの取得によって、起業家的な企業になろうとしてはならないだけでなく、もし買収しても、買収先の企業にかなり早い段階でマネジメントを送り込まないかぎり成功せず、買収された側の経営管理者が長くとどまってくれることはほとんどなく、オーナーならば、すでに金持ちになっていたり、雇われ経営者ならば、さらに地位があがりそうな場合しかとどまってくれないので、買収した側は、買収後1、2年のうちにうまくいかなくなり、買収された側にマネジメントを送り込まなければならなくなり、このことは、とくに起業家的ではない企業が、起業家的な企業を買収したときにいえるのであり、買収されたベンチャー・ビジネスのマネジメントの人間は、新しく親会社となった企業の人たちとは一緒にやっていけないことを知り、或いは、その逆も起こり、私自身、「丸ごと買収」がうまくいった例を知らないのです。
この急激な変化の時代にあって、イノベーションを行い、成功し、繁栄したいのであれば、起業家的なマネジメントを自らの組織のなかに、構築しなければならず、全組織にイノベーションの意欲を醸成し、イノベーションと起業家精神のためのマネジメントを確立しなければならなず、大企業であれ小企業であれ、既存企業が起業家として成功するためには、起業家的な企業としてマネジメントしなければならないのです。
社会的機関における起業家精神
Iイノベーションを行えない理由
政府機関や労働組合、さらには教会、大学、学校、病院、地域の非営利組織や慈善団体、職業別団体や業界団体などの社会的機関も、企業と同じように、起業家としてイノベーションを行わなければならないというよりも、むしろ企業以上に起業家的であることが必要で、社会的機関にとって、今日のような社会、技術、経済の急激な変化は、企業にとって以上に脅威であり、しかも機会であるのですが、社会的機関がイノベーションを行うことは、最も官僚的な企業と比べてさえ、はるかに難しいのは、既存の事業が、企業の場合よりも、さらに大きな障害となるためで、このことは、社会的機関についてだけ、触れているのかと思うとそうではなく、社会的機関に近い、普通の企業の総務のような、直接売上が立たない、間接部門についても言及し、社内の間接部門をこのような見方をすることは余りなかったのですが、社会的機関と間接部門が非常によく似ていることが分かります。
画像は、昨日の昼食で食べた、牛骨スープのソーロンタンです。
濃い、深い味で、単純な味ですが、美味しい味でした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。