本日のテーマは「インプットとアウトプットの関係」です。
今年もいよいよ残りの日数が、数えるだけになりましたが、振り返ってみると、素晴らしく成果の上がった出来事と、そうでない出来事が織り交ざり、狙った通りに進んでいないこともあり、今まで通りではない、世の中の大きな変化を感じます。
今年も年初からさまざまな対策を立ててきたのですが、対策が当たった部分は、世の中の変化が、ほぼ過去の延長線上で推移し、リニアに変化している部分であり、当たらなかった部分は、過去の延長線上に推移せず、リニアに変化していない部分なのです。
特に今年までは、私もリニア思考が抜けなかったために、昨年までの過去と同じような発想をしてしまった結果なのですが、来年以降は、特にITが少しでも影響する部分は、リニア思考は絶対に避けなければいけないと思っています。
リニア思考とは、これから起きる未来も、過去の延長線上でものごとが進んでいくとする考えで、われわれは余りにもリニア思考に馴らされているのです。
或いは、デジタル革命、インターネット革命までは、リニア思考で良かったのですが、デジタル革命、インターネット革命とともに、リニア思考が通用しなくなり、私だけではなく、多くの人たちがまだ分かっていないのです。
例えば、今までは売上を上げるには、商品力を少し上げ、或いは、サービス力を少し上げる等の対策を行ない、何かの対策を打てば、それなりに成果が上がっていたのですが、今の時代は打った対策と成果のリニアな比例関係がなく、ある程度の成果を上げようと思うと、相当、特別な手立てをしないと上がらない時代になっています。
だから、日本の企業の得意技である、改善、改良が効かず、イノイベーションを起こさないと成果が上がらないのです。
当社も過去を振り返ってみると、成果を上げるためにさまざまなことを日々、行ない続けて来ているのですが、過去と比べて良いくらいでは、ほとんどのお客さまは反応しないのです。
自動車の世界も、少しよくなったレベルでは、今の時代は売れないで、大幅に燃費が良くなり、デザインが良くなり、使い勝手が良くなるようなことがないと、売れない時代になっているのです。
要するに、インプット(努力)とアウトプット(成果)はリニアの比例関係ではなく、関数の関係で、インプット量とアウトプット量は比例しておらず、例えば、1のアウトプットを得ようとすると、2のインプット、2のアウトプットを得ようとすると、4のインプット、3のアウトプットを得ようとすると、9のインプットが必要で、成果を上げようとすればするほど、大きなインプットが必要な時代になり、まさにインプットの効果が低減される時代です。
ネット戦略を使い、同じことをやっても、同時にネットで拡散すれば、インプット量は、それほど大きな力は要らなくなりますが、これにも本質的な部分が飛び抜けていることが必要です。
従って、トップを目指して、その業界、その市場、そのエリアでダントツのトップになることが出来れば、拡散速度は非常に高まり、ネット等のメデイアの力を活用するのとしないのでは、得られる結果はまったく異なります。
例えば、現在の日本で成果を上げ続けている飲食ビジネスは、他店と比較すると、商品力、サービス力において、圧倒的な差別化、際立った個性で勝負している店舗であり、大きなインプットが効いている店舗ばかりなのです。
このままいけば、70~80年前のアメリカで、いたるところにたくさんあった、パパママストアのハンバーガーレストランのように消えてしまい、高いマネッジメントレベルに裏打ちされた、麺ビジネスのチェーン店だけになってしまう可能性が高いのです。
このようなことを多くの人たちは、自分のこととして考えられないのは、まだリニア思考のためであり、これからの未来も過去の延長線上に推移していくと信じているためなのです。
しかし、すでにリニア思考の時代は終わり、非リニア思考の時代になっている事実を考えると、われわれに残された時間は多くないのです。
このことに気づいている人たちは、ほんの一部であり、一部の人たちだけが世界を変え、生き残ることが出来るのです。
1年の最後にあたり、今年1年を振り返ってみると、いかにわれわれが新しい時代の入り口に立っているかが良く分かるのです。
本年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
「需要側か供給側か」
イノベーションを需要と供給のどちら側の概念と捉えるかは、具体的なケースによって異なり、鉄鉱石を原料とする高炉から鉄屑を原料とする電炉への移行は、供給サイドのイノベーションであり、これに対し、テープ・レコーダーやビデオの発明は、同じように技術的イノベーションではあっても、消費者の価値や満足という需要サイドのイノベーションであり、1920年代にヘンリー・ルースが創刊した「タイム」「ライフ」「フォーチューン」などのニュース雑誌や、1970年代後半から80年代前半にかけて発展したマネー・マーケットなどの社会的イノベーションもまた、需要サイドのイノベーションであり、最近の車のほとんどに装着しているナビゲーション・システムとか、ETCも技術的なイノベーションですが、これらも消費者の価値や満足という需要サイドのイノベーションで、これらのお蔭で、車でのドライブ、ビジネスにおいてどれだけ便利になったか分かりません。
パソコンとか携帯電話も需要サイドのイノベーションで、われわれの生活をどれほど変えたか分からず、少し考えてみれば分かるのですが、われわれの周りはイノベーションに取り囲まれ、イノベーションのお蔭で、江戸時代のお殿様さえ体験出来なかった生活をわれわれは日々、楽しむことが出来ているので、同様に、われわれはお客さまに対して、イノベーションを提供し続け、価値や満足を高め続けなければ、われわれの存在価値がないことになるのです。
「イノベーションの体系」
われわれはまだ、イノベーションの理論を構築していないのですが、イノベーションの機会をいつ、どこで、いかに体系的に探すべきか、さらには、成功の確率と失敗のリスクを、いかに判断すべきかについては十分知っていて、まだ輪郭だけですが、イノベーションの方法を発展させる上で必要な知識も、十分に得ていて、19世紀における技術史上の最大の偉業は、「発明の発明」であるとされていて、1880年以前には、発明は神秘的なものであり、19世紀の文献は「天才のひらめき」という言葉を繰り返していて、発明家なる者は、屋根裏で何かいじっている夢見る変人だったのですが、第1次世界大戦が勃発した1914年頃には、すでに発明は、開発研究、すなわち目的とする成果と、実現可能な成果について計画を立てる体系的なものになっていたのです。
イノベーションについても、これと同じ発展が必要で、今や起業家は、体系的にイノベーションを行なわなければいけない時期にきていて、起業家として成功する者は、「女神の口づけ」や「アイデアのひらめき」を持っていないだけでなく、彼らは仕事をして、大穴は狙わず、産業革命をもたらし、10億ドル・ビジネスを生み出し、一夜で成金になるようなイノベーションを求めたりはせず、大金持ちになるのは間違いなしというアイデアをもとに事を起こす起業家、特に急ぎ過ぎる起業家は、必ず失敗し、今日イノベーションと称しているものの多くは、単なる科学技術上の偉業に過ぎないのですが、これに対し、マクドナルドのような、科学技術的には何ら特筆するところのないイノベーションが、高収益の大事業に発展し、企業以外の事業、すなわち社会的機関のイノベーションについても同じことが言え、起業家として成功するものは、その目的が金であれ、力であれ、或いは好奇心であれ、名声であれ、価値を創造し、社会に貢献することなのであり、その目指すものは大きく、既に存在するものの修正や改善では満足しないで、彼らは新しい価値や満足を創造し、単なる素材を資源に変えたり、或いは、新しいビジョンのもとに既存の資源を組み合わせるのです。
「変化が機会」
新しいものを生み出す機会となるものは、組織の外の変化で、イノベーションとは、全社を挙げ、意識的かつ組織的に外の世界の変化を探し出すことであり、それらの変化が提供する経済的、社会的イノベーションの機会を体系的に分析することであり、従って、マネッジメント・チームの重要な仕事のうちの1つが、外部の変化に敏感になることであり、外部の変化に敏感になるためには、自社のビジネスのキーになる項目、要するに重要なセンサーのような項目に、常に注意を払うことが大切で、私の場合は、食の世界の変化を見るために、セブン・イレブンの弁当売り場とデパ地下の惣菜売り場がたいへん参考になるのは、セブン・イレブンの弁当売り場は、食の世界の変化をタイミングよく、常に先取りし、大切にすべきは、お客さま方の反応の変化で、時代とともにお客さま方も同じではなく、刻々と変化し、麺専門店に来られるお客さまも価値観の変化、ライフ・スタイルの変化を伴ない、30年前、20年前と現在では、かなり違い、30年前、20年前は、もっと家族の単位が大きかったのですが、現在は日本全国どこでも、1人世帯が一番多く、これらの変化は一刻には現れないのですが、徐々に、確実に起き、これらの変化に対応出来るかどうかで、ビジネスの成果はまったく異なるのです。
スイーツの世界では、数十年前より、甘さは控えめになり、優しい甘さが主流で、甘さの強いお菓子は食べなくなってきていて、このような変化を早く察知し、対策をたててきたスイーツメーカーだけが、生き残り、成功し、世の中の変化に敏感であることは、ビジネスを行なう上では欠かせず、グローバル・ビジネスを展開するようになれば、国内だけではなく、関係各国の為替レート、景気の変化、政変、人びとのライフスタイルの変化等々に注目する必要があり、それぞれの異なったビジネス毎に、注目すべき視点は異なり、グローバル・ビジネスを志す場合は、関連している国々への訪問は欠かせず、国々の変化を肌で感じる必要があり、注意していると行くたびに国の変化が肌で分かるのです。
通常それらの変化は、既に起こった変化や起こりつつある変化であり、成功したイノベーションの圧倒的に多くが、そのような変化を利用しているので、外の世界の少しの変化も見逃さないような、お客さまと接している人たちのセンサーの感度の良さと、それらをマネッジメントが吸い上げる社内のコミュニケーションの良さの双方がないと、外の世界の変化を見落としてしまい、イノベーション自体は組織の体質、組織文化にならなければ成功しないのです。
イノベーションの中には、それ自体が大きな変化であるというものもありますが、ライト兄弟による飛行機の発明と技術的なイノベーションなどは、むしろ例外に属し、成功したイノベーションのほとんどが平凡であり、単に変化を利用したものに過ぎず、起業家精神の基礎とも言うべき、イノベーションの体系とは、具体的、処方的な体系であり、すなわちそれは、変化に関わる方法論、起業家的な機会を提供してくれる典型的な変化を体系的に調べるための方法論であり、イノベーションとは、決してひらめきを必要とするものでもなく、日々の仕事として、組織を挙げて、コツコツとやり遂げることが大切であり、日々の探求が大きな、価値あるイノベーションに繋がっていることを社員全員が理解し、実行することが大切なのです。
「イノベーションのための7つの機会(チャンス)」
問題解決で得られるのは、目的達成の阻害要因が取り除かれ、正常な状態に戻すことだけで、環境の変化により、現在行っていること自体が問題になることがあり、成長するためには問題解決ではなく、機会(チャンス)を活かすことでしか、得られず、具体的に、イノベーションの機会(チャンス)には7つの種類があり、最初の4つは、企業や社会的機関の組織の内部、或いは産業や社会的部門の内部の事象であり、内部にいる人たちにはよく見えるものですが、それらは、表面的な事象に過ぎず、すでに起こった変化や、たやすく起こさせることの出来る変化の存在を示す事象であるのです。
第一が予期せぬことであり、予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事なのです。
第二がギャップの存在であり、現実と、かくあるべきとのギャップなのです。
第三がニーズの存在であり、第四が産業構造の変化です。
残り3つの機会は、企業や産業の外部における事象で、即ち、第五が人口構造の変化で、第六が認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化で、第七が新しい知識の出現なのです。
これら7つのイノベーションの機会は、歴然と分かれているわけではなく、互いに重複し、ちょうど1つの部屋に並んでついている、7つの窓に似ていて、それぞれの窓から見える景色は隣り合う窓とあまり違わないのですが、部屋の中央から見える7つの窓の景色は異なり、7つの機会それぞれが異なる性格を持ち、異なる分析を必要とし、いずれが重要であり、生産的かは分からない(さして意味のない製品の改善や、価格の変更によって生じた)変化を分析することによって、偉大な科学的発見による新しい知識を華々しく応用するよりも、大きなイノベーションが行なわれることがあるのですが、これら7つの機会の順番には意味があり、信頼性と確実性の大きい順に並べてあり、一般に信じられていることとは逆に、発明発見、とくに科学上の新しい知識というものは、イノベーションの機会として、信頼性が高いわけでも成功の確率が大きいわけでもなく、新しい知識に基づくイノベーションは目立ち、派手で、重要ですが、最も信頼性が低く、最も成果が予測しがたいのです。
これに対し、日常業務における予期せぬ成功や予期せぬ失敗のような、不測のものについての平凡で目立たない分析がもたらすイノベーションの方が、失敗のリスクや不確実性は、はるかに小さく、そのほとんどは、成否は別として、事業の開始から生まれるまでのリードタイムが極めて短いのです。
画像は、私の筋トレルームで、徐々に機材が充実してきています。
エデイプテイカルも揃い、雨が降っても大丈夫になりました。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。