明日3月7日(月)から9日(水)までの3日間、ドリームスタジオ名古屋で、恒例のパワーアップ・イベントを開催し、私のセミナーも現在の時流に合わせ、多くの方の悩みである、次の3つ(1.麺ビジネスのイノベーション、2.究極の人手不足解決法はこれだ、3.究極の売上対策)を用意しました。
※本イベントは終了となりましたが、今後も定期的にイベントを開催しております。最新情報は下記のURLから
https://www.yamatomfg.com/special-noodle-events/
本日のテーマは「背水の陣に追い込む」です。
昨日から、今月の東京支店での経営講義がスタートし、今回はすでにラーメン業界では有名になっている店主等、いつもと同様に、実に多彩な顔ぶれです。
経営講義ではいつものように生徒さんたちと、真剣勝負の質疑応答をしていると、参加するまでにシッカリ内容を理解してから参加している生徒さんと、そうでない生徒さんの差が浮き彫りになるのです。
そのような生徒さんの中で、蕎麦店を新規開業するために、お母さんと長男と2人で参加している人たちがいました。
すでに東京郊外で土地を買い取り、建物も建てて、来月開店なので、背水の陣で参加していたのですが、本当はもっと早い蕎麦学校、或いはうどん学校に参加して欲しかったのです。
蕎麦学校とうどん学校では、麺とだしが異なるだけで、全体の内容については大きな違いはないので、次回の香川のうどん学校に是非、参加をよびかけようと思っています。
経営講義の中でのご子息とのやり取りでは、経営についてもなかなか理解していたので、この事業にかける意気込みを感じることが出来たのです。
実際に学校を運営して、生徒さん1人ひとりの意気込みを見ていると、真剣度の高い生徒さんほど、何としても成功して貰いたいと応援したくなるのです。
今回のシンガポールでのラーメン学校でも、1人だけ飛び抜けて熱心な女性の生徒さんがいて、彼女はインドネシアのバリ島出身でドイツへの留学経験のある元科学者だったのですが、日本まで来て日本のラーメンも食べ歩き、シンガポールでの美味しいラーメン店での自分の好きなラーメンも明確であり、その味の方向性を求めていたのです。
だから、今回のシンガポールのラーメン学校では、実技の時間の大半をこの生徒さんと一緒に、生徒さんの方向性に沿ったスープへのチャレンジを行ない、私にとっても新しい発見が幾つかあったのです。
熱心な生徒さんがいればいるほど、私のモチベーションも上がり、上記のように新しい発見があるので、難しい課題を抱えた熱心な生徒さんを大歓迎しているのです。
従って、この生徒さんは明確な目的を持ち、ラーメン学校に参加していたのですが、ほとんどの生徒さんは、彼女のように新しいラーメンの方向性についてはあまり興味を持っておらず、すでに繁盛している他店と同じ程度のレベルしか考えておらず、単なるトンコツラーメンが出来れば良い程度の希望しか持っていないのです。
このような熱心な生徒さんがいればいるほど、麺学校全体が盛り上がり、楽しくなり、面白くなるので、熱心な生徒さんは大歓迎なのです。
今回の場合も、蕎麦学校の生徒さんの中で一番切羽詰まっていたのが、来月に開店を控えた親子の生徒さんで、最初の自己紹介でお母さんの話を聞くまでは、詳しい開店について知らなかったので、それを知ってからは何とかしてあげなければと思った次第です。
今後は後半で、本社でのうどん学校があるので、何とか本社でのうどん学校に呼んであげたいと思っています。
経営講義の教科書「ラーメン・うどん・そば店の教科書 第二版」の第二章のビジネスの成果と人間力の一貫性のある行動の部分で、⑥ 人は私を助けたがっている (こちらが求めていないだけ)というくだりがあります。
経営講義の中で、私は生徒さんの抱えている問題点を解決しようとして熱心に取り組んでいるのですが、生徒さんから問題点を提示して貰わない限り、解決する方法を指し示すことは出来ないのです。
新規開業する生徒さんが抱えている問題点は、1人ひとり千差万別で1人として同じ問題は抱えていないのです。
そして経営講義でも一番気になることは、生徒さん1人ひとりのレベルの差であり、これを授業の中で埋めることは、非常に難しいことなので、事前に生徒さんには、教科書を熟読し、理解をしてからの参加を促しているのですが、熱心な生徒さんはシッカリ予習し、そうでない生徒さんはほとんど予習をせずに参加しているのです。
経営講義については、実際に集合しなくても「e-ラーニング」で十分に可能なので、国内海外ともに早期に「e-ラーニング」の仕組み作りが必須だということが経営講義を重ねるごとに実感させられます。
事前に「e-ラーニング」で学んだ上で、本番の経営講義に参加すれば、理解度は高まっているので、質問内容も明確になっているはずなのです。
それでも最終的には、1人ひとりの生徒さんの意気込み、やる気が大切であり、それが周りを動かすのです。
今回参加した、すでにラーメンビジネスで成功している店主も言っていたのは、独立希望の弟子が何人も店内にいるのに、その弟子たちが何も聞いてこないと言っていたのは、当社の麺学校における経営講義と同じような状況なのです。
また、上記教科書の同じ項目より、⑦ 決意すれば、すべて可能になる(可能にならないのは、本気で決心していない)という項目があり、これはわれわれすべてに当てはまることではないかと思います。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
ニッチの占拠
総力戦、創造的模倣、起業家的柔道というこれら3つの起業家戦略は、市場や業界において、支配的とまではいかなくとも、トップの地位を目指すのですが、これに対し、隙間(ニッチ)の占拠を目指す戦略は、目標を限定し、すでに述べた3つの戦略が、大きな市場や業界で、支配的な地位を占めようとするのに対し、ニッチ戦略は、限定した領域で実質的な独占を目指し、3つの戦略が競争を覚悟しているのに対し、ニッチ戦略は、競争に免疫になる(競争とは縁のない世界でいる)ことを目指し、そもそも挑戦を受けることさえないようにし、総力戦、創造的模倣、起業家的柔道の戦略に成功すれば、大企業となり、普通名詞とまではなれなくとも、目立つ存在となるのですが、これに対し、ニッチ戦略に成功しても名をあげることはなく、実をとるだけであり、それらの企業は、目立たず優雅に暮らすのです。
実際、ニッチ戦略の成功のポイントは、製品としては決定的に重要でありながら、ほとんど目立たず、誰も競争を仕掛けてこない点にあり、ニッチ(隙間)戦略は、市場の一部で、代替のきかない存在になることであり、限定された分野で、圧倒的に有利なポジションを占める事ができるのですが、限定されているので、競争相手が現れにくく、限られた領域の目立たない支配企業になる方法で、ニッチ戦略は以下のように、3つあり、そのそれぞれが、特有の条件、限界、リスクを伴うのです。
1.関所戦略
2.専門技術戦略
3.専門市場戦略
I関所戦略
すでに述べたように、アルコン・ラボラトリーズは、老人性白内障の手術の流れに合わないプロセスを除去することのできる酵素を開発し、その酵素は、ひとたび開発し特許をとると、関所の地位を得ることが出来、手術用の酵素小さじ1杯分は、いかに価格が高くとも、手術全体の費用からすれば微々たるものであり、この酵素のコストを調べたことのある眼科医や病院はまず、あり得ず、市場は非常に小さく、世界全体でも年間売り上げは5000万ドル程度であり、競合品を開発するだけの価値はなく、価格を下げても、白内障の手術が増えるわけではないので、いかなる競争相手といえども、できることは、せいぜい世の中のために価格を下げることだけであって、自らは利益をあげられないのです。
これと似た関所的な地位を長年占めてきたのが、5、60年前に油井の火災防止装置を開発したある中堅の機械メーカーで、油井の掘削コストは数百万ドルに達し、火災が起これば、油井そのものを破壊し、それまでの投資を無駄にするので、掘削中の油井を災害から守る火災防止装置は、いかなる価格であろうとも、安い保険であり、この場合も、市場は非常に小さく、競争相手となりうる企業にとって魅力はなく、掘削費用の1パーセント程度にすぎない火災防止装置の価格を下げても、掘削する油井が増えるわけではなく、したがって、競争は価格を下げるだけであって、需要を増やさないのです。
関所戦略のもう一つの例示は、現在、W・R・グレースの1部門となっているデューイ&アルミーの事業で、同社は、1930年代に、缶詰の缶を密閉するための材料を開発したのですが、缶の密閉は缶詰に欠かせず、欠陥があれば破滅的な事故を起こし、ボツリヌス菌によって1人でも死ねば、缶詰会社は簡単に破産するので、缶詰の腐敗を防止する缶の密閉材料は、いかなる値段でも安く、しかも、1缶当たり1セント以下という密閉コストは、缶詰全体のコスト、あるいは事故のコストと比べて、ずっと安く、誰も気にせず、問題はコストではなく、この市場も、前述の酵素や火災防止装置の市場よりは大きいが、きわめて限定されていて、価格を引き下げたからといって、缶の需要を増やすことにはならないのです。
◆関所戦略が成立する条件
このように、関所の地位は、企業にとって最も望ましい場所であるのですが、この戦略には厳しい条件があり、製品が、いずれかのプロセスにおいて不可欠なものでなければならなく、しかも、失明させるリスク、油井を失うリスク、缶詰を腐敗当せるリスクが、製品の価格よりも圧倒的に大きくなければならず、また、市場の規模は、最初にその場を占めた者が、占拠できるほどの小ささでなければならず、それは、どこか1社だけが占拠でき、しかもあまりに小さく目立たないために、競争相手が現れようのない、真に生態学的なニッチでなければならないのです。
もちろんそのような関所的な場所は、簡単には見つからず、通常それは、何かのギャップのなかにあり、それは、アルコンの酵素の例のように、プロセス上のギャップにあり、あるいは火災防止装眞や缶詰密閉用の材料のように、機能不全のもたらすコストとその防止のためのコストとの間のギャップにあるのです。
これは、麺専門店ビジネスにおいても、同じようなことが言えるのです。
多くの新規開業者は出来るだけ、お客さまの数の多い場所、賑やかな場所に出店をしたがるのですが、そのような場所は、競争が厳しく、家賃が高く、駐車場の確保が難しい場所が多く、もし、そのような賑やかな場所で開業し、繁盛すると、多くの強いライバルが押し寄せるのですが、田舎の人口の少ないが、駐車場のシッカリ取れる場所で開業すると、幾ら繁盛しても、人口が少ないので、強いライバルは出て来ず、市場が少ないのが分かっているので、出店しても、採算が取れないのが分かっているのです。
従って、新規開業者は、ニッチ戦略を取るべきなのですが、ほとんどの新規開業者は、反対のことを行なっています。
◆限界とリスク
この関所戦略には、厳しい限界とリスクが伴い、そもそもそれは、静的な空間であり、ひとたびその適所を占めてしまえば、大きな成長は見込めず、関所の地位を占めた企業が、勝手に事業を拡大したり、変えたりすることはできず、いかに優れ、いかに安くとも、需要は、その製品が組み込まれているプロセスや製品への需要によって規定され、このことは、アルコンにとってさほど深刻な意味はなく、白内障は景気の影響を受けないのですが、油井の火災防止装置メーカーは、1973年に石油掘削が急増したときと、1979年に石油ショックが起こったとき、巨額の設備投資を余儀なくされ、ブームが長続きするはずはなかったし、投資しても回収できないことは明らかだったのですが、投資にせざるを得なく、投資しなければ市場を失い、2度と取り返せないかもしれなかったのですが、その数年後、現実に石油ブームが去り、年間の油井掘削が80パーセント減少し、それとともに火災防止装置の需要が激減したとき、なす術はまったくなかったのです。
関所戦略は、ひとたび目標を達成してしまえば、すでに成熟期にあり、最終需要者の成長と同じ速さでしか成長できないのですが、需要の減退は急速に起こり得て、需要を満たすほかの方法が発見されるならば、ほとんど一夜で陳腐化し、デューイ&アルミーは、缶詰の缶が、ガラス、紙、プラスティックの容器に取って代わられたり、冷凍や放射線照射による食物保存の方法が現れても、講じるべき対策がなく、しかも、関所戦略をとった者は、その独占を濫用することができず、山賊となって、山すその細道や峡谷を通る無防備な旅人を、強奪したり凌辱することを許されず、独占を濫用して、顧客を搾取、強要、虐待することが出来ず、もし、そのようなことをすれば、ユーザーは別のメーカーを招き入れるか、あるいは、たとえ優れたものでなくとも、ほかの製品に切り替えるのです。
ニッチ戦略の正しい戦略は、デューイ&アルミーが、すでに40年以上にわたりとってきた戦略であり、同社は、広範囲の技術サービスを提供し、ユーザーの従業員を訓練し、同社の材料を使用する製缶機械や缶詰機械の設計まで行ない、しかも、絶えず品質の向上をはかっているのです。
関所戦略においては、関所の周りを固めてしまう、デューイ&アルミーの戦略は、非常に的を得た戦略であり、ここまで関所の周りを固めてしまうと、追随者の参入障壁は限りなく高くなり、参入はほぼ不可能になり、関所は難攻不落であるのですが、その守備範囲は狭く、そのためアルコンは、この限界を乗り越えるべく、人工涙、コンタクトレンズ用液、非アレルギー性点眼薬など、目に関するあらゆる消費財へと多角化し、それらの新事業は、スイス系多国籍企業の大手消費財メーカー、ネスレの関心を誘い、巨額の資金で買収されるにいたったというかぎりにおいては、成功だったのです。
ドラッカーの知るかぎり、アルコンは、関所戦略で成功しながら、自らが占拠した関所以外の市場において、関所とならない製品でも成功した、唯一の企業ですが、アルコンにとって、経験のない競争の激しい消費財市場に多角化したことが本当に利益になっていたかどうかはわからず、関所戦略の場合の問題点は、時代の流れを敏感に読み取り、1つの関所戦略で成功したら、その余力のあるうちに、次の新しいニッチの関所を見つけることであり、決して、油断することは出来ないし、一つの関所だけに依存していると、上記の油井の火災防止装置メーカーの事例のように、景気の変動を受けて、危うい状態になりかねないのです。
画像は、昨日の東京支店での経営講義の様子で、昨日もいつもの経営講義同様に、さまざまな画像、データを駆使して、生徒さんにマネッジメントの説明を加えたのです。
本日も生徒さんの人生に、大きなインパクトのあるような経営講義にチャレンジしていく予定です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。