本日のテーマは「最初に必要なのは、精神力」です。
先ず最初に、当社のラーメン学校の卒業生で、ブータン人のツエリンさんが、故国、幸せの国「ブータン」でラーメン店を開店しようとしているのです。
真面目な青年で、ラーメン学校参加中も非常に熱心な生徒さんであったので、微力ながら応援させて戴こうと思っていますが、ブータン並びに、ツエリンさんのビジネスに興味のある方はぜひ、よろしくお願いします。
尚、ツエリンさんの奥さまからのメールで、ラーメン店開業予定の場所は標高2200m程度で気圧が低く、90度Cで沸騰してしまうので、博多トンコツ・ラーメンの予定ですが、美味しく茹で揚げることが出来ないのではないかと心配していて、私もこの点が心配なので、標高の高い場所での麺料理に詳しい人がいらっしゃったら、ぜひ、情報を戴けませんか。
先週の東京支店のラーメン学校の最終日での生徒さんとの話の続きです。
うどん蕎麦店と比べると、ラーメン店の開業を目指す人は多く、うどん蕎麦店の約2倍くらいで、うどん蕎麦店と比べると、ラーメン店の開業を目指す人たちは多く、その分だけ競争は厳しく、ラーメン業界で成功しようとすると、よほどの努力をしないと難しく、プロのレベルではなく、プロ中のプロのレベルになっていることなのです。
しかし、うどん蕎麦店を目指す人のレベルが低くても、成功するという話ではなく、ラーメン店開業よりは、競争が少ないという話だけであり、プロ中のプロのレベルに達していないと新規に開いても上手くいかないのは同様です。
そして、経営講義でも教えているのですが、プロとアマチュアを分ける大きな違いは意識の差であり、プロ意識を持っているかどうかが大切なのです。
うどん蕎麦店、ラーメン店にしろ、新規に開業する人たちにとって最も大切なことが一番理解しにくく、理解して貰えず、開業する人たちのほとんどが、このことが上手く出来ていないために、新規開業者の4割以上が1年以内、7割以上が3年以内で閉店しているのです。
だから、新規に開業する人たちに一番最初に理解して欲しいことは、心構えであり、闘争心であり、絶対に諦めない心等の精神力の大切さなのです。
ところが、新規開業者のほとんどは、そのようなことは理解しないで、一番大切だと思っているのは、美味しいラーメンの作り方であったり、うどんの作り方の商品力であるのです。
そして、商品力においても、大切なことはプロのレベルであり、95点以上の高いレベルであるのですが、ほとんどの人たちがこのレベルになる前に開店をしてしまっているのです。
当然、美味しいラーメンとか、美味しいうどん、蕎麦は当たり前で、必須であり、これは欠かすことが出来ないのですが、同じ程度或いは、それ以上にもっと大切なことは、精神力なのです。
美味しいスープとか麺は、もし自分が出来なくても、誰か得意な人に頼めば(雇えば)、幾らでも創りだすことは出来るのですが、精神力を他人に頼ることは出来ないのです。
精神力を強く持つことは、ビジネスを始めるには欠かせないのですが、これを理解して貰うのが、たいへん難しいのは、精神力の強さの測定器がないためで、自分の精神力が強いのか、弱いのか、どの程度強いのかを理解していない人が多いのです。
しかし、本人の自覚がなくても、麺学校で授業を行なっているわれわれ講師陣は1人ひとりの生徒さんについて、かなりの部分を把握しているので、つねにお客さま担当である、営業管理の女性と頻繁に連絡を取り合いながら、生徒さんの事情についてやり取りをしているのです。
過去も開業したいという生徒さんに、「ここは立地が悪いから止めた方が良い」とか、「あなたは、麺ビジネスには向かないから止めた方が良い」と止めたことが何度もあります。
特に立地については、生徒さん、お客さまからの依頼のある商圏分析を行なってみると、及第点を出せる立地は非常に少ないので、常に駐車場が不足しているとのアラームを出し続けていて、100件分析をすると、及第点に至る物件は、5件あるかないかくらいなのです。
しかし、この場所は見込みがないから、絶対にやらない方が良いとのアラームを出した生徒さんでも、成功している場合がありますが、それはその生徒さんが悪立地をカバーするために、並々ならぬ努力をした結果であり、もし、立地がもっと良くてあの努力をすれば、確実にもっと素晴らしい成功をしているはずであるのです。
本日もラーメン学校の卒業生の1人から、うまくいかないとアラームが来ていますが、もっと早く連絡をして欲しいのです。
もし、開店しても食べログの点数が3.0付近であれば、この状態こそ、危険水域にいるので、即、連絡が欲しいのです。
こうして、常に1人ひとりの生徒さんたちの人生と向き合っているのです。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
3 必要とされる2つの社会的イノベーション
起業家社会を実現するためには2つの領域において社会的イノベーションを実現することが必要である。
◆雇用問題の解決
第1は、余剰労働者の問題を解決することであり、絶対数はさして多くないのですが、煙突産業の労働者は、ごく限られた地域に集中し、アメリカ自動車産業におけるブルーカラー労働者の4分の3は、20の郡に住んでいるので、目立つ存在であり、組織率も高く、さらに重要なこととして、彼らは、新しい仕事を見つけ、専門を変え、土地を変わる能力に欠け、教育も技能も社会的な能力も十分ではなく、何よりも自信がなく、彼らの多くは求職活動をしたこともなく、働きに出る年齢に達すると、すでに自動車工場で働いていた親戚が現場管理者に紹介してくれ、あるいは教区の牧師が、製鉄所で慟いている信者の1人に紹介状を書いてくれたのです。(ドラッカーが本書を書いたのは1980年代後半であり、既に25年が経過しているのですが、余剰労働者の問題は、グローバルでみると、ぜんぜん解決されていないのです。)
イギリスの煙突産業労働者、ウェールズの炭鉱労働者、ドイツのルール、フランスのロレーヌ、ベルギーのボリナージュのブルーカラー労働者も同じことが言えて、彼らは、先進国社会における今世紀の教育と知識の向上から取り残された階層であり、彼らはその能力、経験、技能、教育において、1900年当時の未熟練工とさして変わらず、この間に起こったことといえば、彼らの所得と政治力の爆発的な増大だけであり、彼らは、福利厚生を含めると、実に今日の産業社会における最大の受益者であるのです。
したがって、個人および階層として自助能力には欠けているものの、何ごとについても反対し、拒否し、阻止する力をもち、もし社会が新しい職場を与えることができなければ、彼らは、社会にとって完全にマイナスの勢力となるのですが、この問題は、起業家経済の実現によって解決でき、新しい事業が、新しい職場を創出し、伝統的な煙突産業における大量失業が、これまでのところアメリカで政治問題化せず、保護主義的反応の引き金ともなっていない理由はここにあり、もちろん起業家経済が新しい職場を創出したとしても、煙突産業の余剰労働者を訓練し、転職させるためには、組織的な努力が必要であり、彼らだけでできることではなく、そのような組織的な努力がなければ、煙突産業の余剰労働者は、自らの救済さえ含めて、新しいことにはすべて反対することになるのです。
たとえば電炉は、一貫製鉄所の余剰労働者に職場を提供し、オートメ化した自動車工場は、レイオフされた自動車労働者に職場を提供するのですが、彼らは、現在の職場が長続きするはずのないことを知りながら、電炉の増設や工場のオートメ化に反対するので、したがって、煙突産業の余剰労働者に雇用機会を与えなければならず、さもなければ、すでにイギリスで見られるように、そしてアメリカの郵便事業で見られるように、彼らは、その喪失感、恐怖、失望のゆえに、あらゆるイノベーションに抵抗するのです。
そのための組織的な努力は、これまで2度行われ、1度は、1906年の日露戦争後の不況下において、三井財閥によって行われ、もう1度は、第2次大戦後のスウェーデンにおいて、農民と木こりの国を高度な工業国に変えるために行われ、面倒を見るべき余剰労働者の数はさほど多くなく、余剰労働者の3分の1は、早期退職制度の対象となりうる55歳以上の人たちであり、あまり心配しなくともよく、また3分の1は、自ら職を探すことのできる30歳以下の人たちであって、同じくあまり心配しなくともよいのですが、残る3分の1の人たちについては必ず、訓練し転職させなければならないのです。
ドラッカーが本書を書いたのは1980年代後半であり、既に25年が経過し、上記に書かれているような煙突産業から、他の産業への人口移動、すなわち、肉体労働から知識労働への移行はすでに終了し、日本で現在起きている現象は、生産年齢人口の急激な減少による、働き盛りの人口の不足であり、そのために、多くのサービス産業、例えば、外食産業とか、介護事業をはじめ、多くの業種で、人手の不足が起き、併せて、働いていなかったり、希望する職種に就いていない、働き盛りの人口も多く、就業のミスマッチは起きているのです。
また、同じ外食産業であっても、うどん蕎麦店、ラーメン店で幾ら募集しても集まらないのに、カフェで募集すると、優秀な人たちがたくさん押し寄せるので、時代に合ったビジネスを行なうこともたいへん重要であるのです。
◆廃棄の仕組み
第2は、はるかに過激で、まったく前例のない至難の業であり、時代遅れとなった社会政策と、陳腐化した社会的機関を組織的に廃棄する仕組みをつくることであり、これは、以前起こった起業家の時代には存在しなかった問題であり、100年前には、そもそもそのような政策や機関がまだほとんど存在していなかったのですが、今日、それらのものはあり余るほど存在していて、永久に存在すべきものは、たとえあったとしても、ごくわずかであり、短い期間を超えて機能し続けるものさえ、本来はほとんどないはずであるのです。
この20年間における最も基本的な世界観と認識の変化、真に歴史的な転換ともいうべき変化は、政府の政策や機関もまた、神ではなく人がつくったものであり、いずれも急速に陳腐化していくものであることが認識されるようになったのですが、しかし、今日でも、政治の世界だけは、依然として、政府が行うものは人間社会の本質に根ざすものであり、したがって永遠であるとの昔からの前提を堅持し、その結果、政府が行っている古くなったもの、陳腐化したもの、もはや生産的でなくなったものを切り捨てるためのメカニズムが存在していないのです。
あるいは、新しいメカニズムは、まだ十分に機能するようになっていないというべきかもしれず、アメリカでは最近、法律や政府機関を一定期間後に廃止するというサンセット方式が導入されはじめたのですが、このサンセット方式も、まだ十分機能するにはいたっていないのは、1つには、法律や政府機関が役に立たなくなったことを判定すべき、客観的な基準が存在していないためであり、1つには、廃棄の具体的かつ組織的な方法が確立されていないためであり、あるいは、法律や政府機関が実現するはずだったことを実現するための新しい方法の導入の仕方が、確立されていないためであり、今や、このサンセット方式を効果あるものとするための原理と方法を開発することこそ、最も重要な社会的イノベーションであり、しかも、直ちに行うべきイノベーションであり、社会はそれを待っているのです。
廃棄に関する課題は、政府機関が抱えているだけでなく、一般企業も同様であり、当社もまったく同じ課題を抱えていて、廃棄は、企業経営の中で難しい課題のひとつであり、難しくしているのは、そこに配置された人材の存在であり、往々にして痛みを伴い、新しく何かを始めるときも痛みを伴うことが多いので、反対する人たちは多く、新しく何かを始めるときは、同時に廃棄が必要であり、これは二重の痛みを伴うようになるので、マネッジメントの力がないと出来ないのです。
画像は、昨年12月以降の最近のうどん蕎麦学校での、革新的な新しいメニューで、未来のうどん蕎麦文化を創り上げていくような事例集です。
当社のうどん蕎麦学校も、ラーメン学校同様に、常に新しいトレンドを求め続けているのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。