本日のテーマは「奮闘精神」です。
昨日の夕方、スタッフたち総勢4名でシンガポールに到着し、到着した時間が夕方の6時くらいで、まだ太陽の位置が西の空の上の方にあり、外は昼のように明るく、シンガポールは常夏の国だから、日本の感覚から言えば、日没は少なくとも8時過ぎだと思ったのです。
出迎えにきてくれた、ビジネス・パートナーのジェイソンにシンガポールの日没を聞いて驚いたのは夜の7時半で、確かに7時半になれば、外は急に真っ暗になっていて、また、日の出は朝の7時で、思っていたより遅いのです。
日本の夏の時期は、朝の5時付近で明るくなり、日没は夕方8時近くまで明るいので、常夏の国のシンガポールは、もっと明るい時間が長いと思っていたのですが、日照時間は年中同じでそれほど長くないのです。
羽田からシンガポールまでのフライトは約7時間近くですが、その間ずっと、一昨日の全社方針発表会と営業会議で発表した内容の、当社の新しい価値感について考え続けてきたのです。
そこで気付いたのは、ビジネスには奮闘精神が欠かせないこと、奮闘精神を持ち続けると年齢に関係なく、いつまでも若々しく、若者でいることが出来ることで、これはビジネスだけでなく、人生においても同様に、奮闘精神が必要で、これからの日本の超高齢化社会を老人社会から、若々しい世代に引き戻すには、すべての人たちが心の中に奮闘精神を持ち続けなければいけないのです。
そうしないと、本当に日本が超高齢化社会になり、老人ばかりの日本になってしまい、世界から本当に取り残されてしまうのです。
反対に高齢者が多い日本になっても、高齢者がいつまでも奮闘精神を持ち、奮闘を止めずに死ぬまで続ければ、日本はいつまでも若い国でいられるのです。
また、当社が何度も倒産の憂き目に遭いながら、不死鳥のように、奇跡のように生き延びてくることが出来たのは、奮闘精神、ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップの精神を持ち続けてくることが出来たことです。
いくら年齢的に若くても、奮闘精神を失うとすでに老人の域で、今の日本には、若年寄が多くなっているのではと思ったのです。
最近、草食男子と肉食女子という言葉が流行っているのですが、草食男子は奮闘精神を失った若い男性であり、肉食女子というのは、奮闘精神を持ち続けている若い女性であるとすると、意味が通じやすいのです。
当社では、女性比率が55%以上になっている何よりの理由が奮闘精神を持ち合わせている肉食女子が頑張っていることであり、当社が非常に厳しい製麺機業界の中で、唯一強いポジションを保ち続けることが出来ている理由でもあるのです。
会社が若々しく、存在し続けることが出来るのは、社内に創業以来の奮闘精神の文化があり、全員が奮闘し続けているためなのです。
これは企業規模に一切関係なく、企業規模が非常に大きく、社員数が何万人もいるアップル、グーグル、GE、PG、ジョンソン等、成功し続けている企業、永く成功している企業は、奮闘精神を持ち続けている企業であったのです。
だから、当社の価値感の最初に持ってこなければいけなかったのは、今回、価値感として明確にした、奮闘精神であり、また、当社は創業のころよりずっと厳しい環境の中で、奮闘精神を持ち続け、企業運営をしてきたのです。
だから、どんなに厳しい状況になっても乗り越えることが出来たのですが、同時に、奮闘精神を持ち続けるには、現状に甘んじることなく、現状の安心領域から常に逸脱する、背伸びをし続けることが重要です。
要するに、簡単には達成できないような、常に大きな野望を持ち続けることにより、奮闘精神を持ち続けることが出来、小さい、ささやかな目標では、奮闘精神を持ち続けることは難しいのです。
奮闘精神を持ち続けるには、精神的にアグレッシブであり続けることが必要で、ハングリー精神を持ち続け、現状肯定ではなく、現状否定の精神が重要であるのです。
だから、これから当社のスタッフに常に問うことは、「君は奮闘精神を持っているか?」、「奮闘精神を持ち続けているか?」、「その仕事で、奮闘精神を持っていると言えるのか?」と聞き続けていけば良いのです。
第2次世界大戦前の日本人にあって、今の日本人の多くが無くしてしまったものが奮闘精神であり、大和魂ではなかろうかと思います。
奮闘精神とは、自分のためではなく、人のための要素が大きく、自分のためだけであれば、何もそこまで奮闘しなくても、生きていける場合が多いのです。
第2次世界大戦末期に、多くの若者が日本のために命を落としていったのが、特攻隊で、鹿児島の知覧には、若い命を南の海に散らした多くの若者の遺書が残っています。
その若者の多くは、自分が命を捨てると日本が戦争に勝つと思って命を捨てたのではなく、日本はいずれ負けるが、日本が戦争に負けても、日本の国民はこんなに勇敢な国民だったと称賛されるような日本であり、戦後の日本が、国際社会の中で立派に再建できる礎になるために、自分たちは命を捧げるのだと、書かれている遺書が多く見られるのです。
従って、大和魂こそ、奮闘精神であり、日本に伝わる武士道こそ、奮闘精神であり、奮闘精神とは、単なる闘いではなく、自分の心を常に戦闘状態に保つ、心の状態であるのです。
われわれは、素晴らしい日本に伝わっている伝統的な精神文化を継承し、それを次世代に伝え続けていかねばならず、日本人の多くがかって持っていた奮闘精神を呼び起こし、それを世界中に伝えることも、われわれにとって大切で、当社の3つ目の使命である、「日本の美味しい麺文化を世界中に広める」ことにも、美味しい麺文化とともに、日本の精神性である、不屈の奮闘精神、大和魂、武士道を世界中に広めることでもあるのです。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
「業績ギャップは需給のギャップ」
ここに、似たような問題を抱える産業がもう一つあり、製紙業にも、生産プロセスにかかわる業績ギャップがあるのですが、製紙業界では、このギャップをイノベーションの機会として利用する方法を、まだ開発しておらず、あらゆる先進国とほとんどの途上国が、紙の需要を伸ばしてきたにも関わらず、製紙業の業績はかんばしくなく、史上最高の利益を3年続けると、そのあとで必ず過剰設備と不況の年が5年続くのですが、製紙業界ではいまだに、製鉄業の電炉に相当するものを発見するに至っていないのが、大きな課題なのです。
パルプの繊維が、モノマーであることが認識されたのは100年以上も前のことであり、これをポリマーによってつくることなど、さほど困難ではないはずであり、無駄の多い非効率的な機械的プロセスを効率的な化学的プロセスに変えることが出来、すでに衣料用繊維については、1880年に開発したレーヨンによって、これを実現しているのですが、巨額の研究開発費を投じているにも関わらず、そのような紙の開発には、誰も成功していないのです。
これらの例が示すように、業績ギャップをイノベーションの機会として利用するためには、まず、解決すべき問題を明確にしなければならず、そして、既知の技術と既存の資源を利用してイノベーションを実現しなければならないので、開発のための努力が必要なのですが、革新的な知的発見を必要とする状況であるならば、起業家の出番はまだ早く、機は熟していないと言うべきであり、しかもイノベーションは、複雑であってはならず、単純でなければならないのと、華々しいものではなく、当たり前のものでなければならないのです。
以上より、よく分かるのは業績ギャップの原因は、需要と供給のギャップであり、需要が供給を上回れば、業績が上がり、需要が供給を下回ったときには、業績が下がり、それをビジネスに非常に有効に活用しているのはフェラーリで、新しいモデルを開発して、もし需要が世界中で4千台あるとすれば、3999台しか作らず、常に需要を少し下回る供給しかしないので、高い価格を守り通せ、同じような戦略を取っているのが、ブランドのルイ・ヴィトンで、フェラーリと同様に、需要と供給のバランスを巧みに操り、決して作り過ぎをしないのです。
高炉一貫製鉄業、製紙業、いずれの場合も装置産業であり、1回の設備投資が巨大で、設備投資により一気に供給が増え、需要を上回り、価格バランスが崩れ、業績が悪化する、業界の構造的要因で、需要と供給のバランスを緩和して、価格下落を防ぐことが出来るのが、製鉄業では電炉であり、われわれのビジネスにおいても、どんなビジネスにおいても、業績が落ちる原因は、需要と供給のバランスが大本の原因であり、その面白い事例がコーヒー・チェーンのドトールとスターバックスなのです。
セルフ式コーヒーは、日本では最初にドトールが口火を切り、その後、スターバックスが参入してきたのですが、今は、スターバックスはドトールの約2倍の売上に達し、私の宿泊するホテルの隣にドトールがあり、たまに利用するのが、気になるのがタバコの臭いで、分煙にはなっているのですが、禁煙席でも匂い、その点、スターバックスは完全に禁煙を貫いていて、タバコを吸わない私でもまったく気にならないし、スターバックスでは、第3の場所を活用して、PCを開き、コンセントを使って仕事をし、価格はドトールの1.5倍ほどですが、まったく気にならないのです。
ドトールとスターバックスの差こそ、需要と供給の差で、禁煙を好むお客さま、雰囲気を好むお客さまの数が、喫煙で価格の安いコーヒーを好むお客さまの数を上回り、それぞれのお客さまの需要と供給の差であったのです。
この様に、需要と供給のギャップにより、業績のギャップが生まれているので、業績ギャップの原因になっている需要と供給のギャップに注目することが大切であり、どんなビジネスでも業績を落としているビジネスは、需給ギャップが生じていて、需給ギャップが改善されると、自然に業績ギャップは改善されるのです。
コーヒーの原料であるコーヒー豆の輸入量は漸減しているにも関わらず、セブン・イレブンがコーヒーを始め、コメダ珈琲が郊外型店舗で活躍しているのも、需要と供給のバランスで、新しいタイプの需要が増え、古いタイプの需要が減り、需要と供給のバランスで業績が決まり、われわれは常に、新しい需要を創り出していかねばならず、まさに、ビジネスの本質は顧客創造にほかならず、新しい需要の目を見つけ続けることが、マーケテイングであり、それを結果として成功させるのが、イノベーションであるのです。
「医療の例」
社会部部門にも業績ギャップは存在し、先進国における医療サービスは、その典型で、1929年では、医療サービスにかかる費用はGNPの1%をはるかに下回っていたのですが、そのわずか50年後の1980頃には、病院を中心とする医療サービスは、あらゆる先進国でGNPが増大しているにも関わらず、アメリカでは7%から11%に達し、しかも医療サービスの生産性は向上するどころか低下し、サービスの質よりも費用の方が急激に上昇していて、3倍から5倍の速さで増加し、ドラッカーの想定通り、2012年の日本における対GDP当たりの医療費は10.3%、ドイツ11.3%、イギリス9.3%、フランス11.6%、アメリカは16.9%に達し、今後も伸び続けることが想定され、先進国では今後も、高齢者人口の増大に伴い、医療に対する需要は伸び続け、しかも費用は年齢と相関関係にあり、医療サービスの費用は、今後さらに急速に上昇を続けるのですが、医療サービスの費用の上昇の現象の本当の原因は、明らかにされているわけではなく、イギリスとアメリカでは、すでに的を絞り込んだイノベーションが行なわれ、成功していて、いずれも国の医療システムの欠陥を機会としてとらえているのです。
イギリスの民間医療保険は成長を続け、専門医による診断と手術を保証する企業内福祉制度として人気を得ていて、イギリスでは、医療費削減のため、政府管掌保険は疾病を優先させ、整形外科については保険金の給付を限定していて、関節炎による股関節の変形など、生命に関係ない手術は数年待たされるのですが、この民間医療保険は、その種の手術についても直ちに保険金を払うのですが、これに対し、医療費の上昇などに配慮せず、あらゆるニーズに応えようとしているアメリカでは、入院費の個人負担が爆発的に上昇していて、そこにイノベーションの機会が生まれたのです。
すなわち、病院機能の解体で、スキャナー、コバルト照射装置、自動検査装置、リハビリテーション装置など、高額の医療器具を必要としない医療サービスが、新事業として続々病院の外に出され、妊産婦と新生児のための宿泊施設的な妊産婦センター、入院や術後措置を必要としない手術のための外科センター、神経科センター、高齢者医療センターであり、これらの医療施設は、病院に代わるものではなく、集中治療や緊急治療の役割は病院が担い、これらの医療部門の新事業は、今日の医療に関わる業績ギャップを、イノベーションの機会として捉えたものであり、これらいずれも、産業や社会的部門におけるイノベーションとして理解し易い例なのです。
まさに業績ギャップが、なぜ大きなイノベーションの機会となるかを教えてくれ、産業や社会的部門の内部では、誰もがギャップの存在に気づきながら、無視せざるを得ず、それに気づかない多くのライバルはあちらをいじり、こちらを直し、こちらの火を消し、あちらの穴を埋めるのに忙しいので、誰かが行なったイノベーションと闘うどころか、それを検討する余裕さえなく、取り返しがつかなくなるまで気付きもしないのです。
その間、イノベーションを行なったものは、誰にも煩わされることがなく、成果を独り占めでき、社会部門における業績ギャップも、需要と供給のギャップで起きていて、新しい需要に新しい供給が追い付いておらず、古い需要には供給が間に合っていて、需給のギャップが起き、従って、われわれは常に新しい需要の起きている現場を理解しなければいけないので、それには、街に出て、現場を確認しなければいけないのです。
先日も博多の街に出て、新しい上質な蕎麦店が2時頃でもひっきりなしにお客さまが来店しているのを見て、新しい需要は起きているのに、ほとんどの人は気付かず、古い需要を追いかけ続け、供給過剰で業績が上がらず、新しい需要は、街に出て自分の目で見て、確認する他はないのです。
画像は、昨日の続きで、一昨日の全員集合しての経営方針発表会での結婚のお祝い、スタッフたちの誕生日会のお祝い等です。
皆、奮闘精神に満ち溢れたスタッフばかりですが、この日ばかりは、全員、感動していたのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。