先日、ご相談に来られたお客さまは、ショッピング・モール内への出店でした。
日本には各地に大規模なショッピング・モールがたくさんあり、最近でも当社のユーザーさまは、そのような施設内に出店しているお客さまが、多くいらっしゃいます。
高速道路のSA、PAへの出店も、ショッピング・モールとか、ショッピング・センター内への出店と同じような戦略になるのです。
どちらも、来店されるお客さまの数は、施設が集める数で決まってくるのです。
例えば、ショッピング・センターの場合は、そのショッピング・センターへ来店されるお客さまの数以上に、施設内の飲食店に来店されるお客さまの数は、多くならないのです。
例えば、平日の場合はショッピング客の一部が飲食店を利用し、土日祭日の場合は、家族客とかカップルが多く、平日と土日祭日では、お客さまの種類、数がまったく異なります。
そして、これらの比率は、そのショッピング・センターごとで異なりますが、それほど大きい開きはないのです。
そして、ショッピング・センターの場合の平日と、土日祭日の売上の落差は、非常に大きいのが普通で、高速道路よりもはるかに差が大きいので、併せて、土日祭日の人手の確保も重要です。
そして、規模の大きいショッピング・センターの場合は、フード・コートと別に、単独の飲食店が10店舗位入店して、ショッピング・センターに来店されたお客さまの中から、お客さまの奪い合いを行なっているのです。
たいていのショッピング・センターでは、家賃は売上の一定比率(例えば、売上の15%前後)になっていて、売上の低い店は、退店を余儀なくさせられるようになっているので、高い売り上げを上げ続けていることは、ショッピング・センターに出店する限りは、絶対条件なのです。
フード・コート或いは、単独店で出店した場合でも、その売り場での売上トップを目指し、トップになることが欠かせず、同一商圏で地域一番店になる事が欠かせないのです。
それには、そのショッピング・センターに来店されるお客さまの、真のニーズの理解が欠かせず、お客さま方のニーズを最も理解している店が売上トップになる事が出来るのです。
高速道路の場合もまったく同じで、高速道路の場合、平日はプロ・ドライバーが多く、土日祭日は家族客、カップル等が多いのです。
そして、平日と土日祭日の数の比率は、ショッピング・センターほどの落差は、ないのです。
ショッピング・センターの場合も、高速道路の場合も平日と土日祭日のお客さまの種類が異なり、当然、ニーズも異なるので、平日と土日祭日の営業内容が異なってきて、だんだんとビジネス自体が複雑に、難しくなってきています。
ショッピング・センターの場合は、24時間営業の飲食店はほぼありませんが、高速道路の場合は、24時間営業の場合があり、時間帯によりお客さまのニーズはさらに異なるので、よりきめ細かい対応が必要になってくるのです。
そして、高速道路ごとに、更に高速道路の場所によって、お客さまのニーズは異なるのです。
例えば、大都会の東京に近い場所にあるSA、PAとか、はるかに東京から遠い場所にあるSA、PAではドライバーのニーズは異なるのです。
この様に、ショッピング・センターでも、高速道路でもそこに来店されるお客さまのニーズは異なるので、そのニーズの違いを真剣に読み取り、戦略をシッカリ構築した店舗ほど勝てる可能性が高まるのです。
ショッピング・センターとか、高速道路には全国チェーンの店が多く入店していますが、全国チェーンの場合は、画一された店舗運営になっているので、その施設に合わせたビジネスが出来ないのです。
従って、大きいチェーン店よりも、その施設にピッタリ合わせた戦略を取ることが出来る単独店舗の方が、大きい自由度があり、勝てる可能性が高いのです。
いずれにしても、お客さまのニーズの理解は外せず、ニーズに理解には、本日のドラッカーの成功例にあるように、実際に現地でお客さまの行動を深く観察し、お客さまの行動より真のニーズ、そしてライフ・スタイルの理解が重要であるのです。
観察により、お客さまは、われわれに回答を与えてくれているのです。
今の時代は、頭の良い人ほど、仮説を立ててPCできれいなプレゼンを作りますが、本当の回答は現場にしかなく、足繁く、現場に通い詰め、自分自身で回答を見つけ出すのが、一番の近道なのです。
現在ほど、学び続けていかなければいけない時代はなく、われわれは常に日々試され、磨かれ続けているのです。
来月、4月7日(火)~9日は、東京支店でパワー・アップ・イベントを開催し、私もセミナーで参加します。
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私3つのセミナー・タイトルは、【オリンピック景気 必勝法!】、【スタッフのモチベーションアップセミナー~オーナー様、店長、スタッフ必聴~】、【富裕層客の獲得必勝法!】で、今年になってから訪問した、ロンドン、香港、台中、LAの最新店舗のご紹介を致します。
新規開業の方がたにとっても、今から開業する方がたにとっても、世界の最新外食情報を知るチャンスです。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
2「イノベーションの機会」としての利用 ◆成功例
人口構造の変化を、イノベーションの機会としてとらえることに成功した、いくつかの例があります。
アメリカの大きな大学のほとんどは、1970年代には大学生の数が1千万人から12百万人に達するというドラッカーの予測を、唐突なものとして受け入れなかったのです。
しかし、この予測を真面目に受けとめた、起業家精神にあふれた大学は、NYのペイス大学と、サンフランシスコのゴールデン・ゲート大学でした。
これらの大学も初めは懐疑的だったのですが、ドラッカーの予測の内容を調べた結果、有効であり、唯一の合理的な予測であることを知り、この予測をもとに新入生の増加に備えたのです。
これに対し、伝統のある有名大学は何もせず、20年後には、対策を講じていた大学は学生を増やし、しかも、その後の少子化により、アメリカ全体の学生数が減少した後でさえ、さらに成長を続けていったのです。
大学は良識の府と呼ばれ、このような少し検討すれば分かることを理解しようとしなかったという事実に驚きます。
ベビー・ブームという現実を受け入れた小売業者の一つが、無名に近かった小さな靴のチェーン店メルビルで、団塊の世代の第一陣がティーン・エージャーになる直前の1960年代の初め、メルビルはこの新しい市場に力を入れることにし、10代を対象にする新しい店をたくさんつくり、デザインも大幅に変えたのです。
広告や販売促進も、16、7歳のティーン・エージャーを対象にし、さらに、男の子や女の子の着るものにまで進出し、メルビルは、アメリカで最も急速に成長し、最も利益をあげる小売チェーンとなったのです。
その10年後、すなわちアメリカの人口の重心が10代から離れ、20歳から25歳の「若い大人」に移りはじめた頃になって、ほかの小売店が10代に目をつけ、彼らを相手にする商売を始めたのですが、その頃には、メルビルはいち早くこの「若い大人」に的を移していたのです。
1961年、「進歩のための同盟」について助言を求めるべく、ケネディ大統領が招集した学者たちは、ラテン・アメリカにおける都市化の波を予測できなかったのですが、アメリカのある企業、大店舗小売業のシアーズ・ローバックは、その数年前に、統計によってではなく、現地へ赴き、メキシコシティ、リマ、サンパウロ、ボゴタなどの街を観察することによって、この変化に気づいたのです。
その結果、同社は1950年代の半ば、けっして金持ちではないが、立派な中流階級になっていた、新しい都市住民のためのアメリカ流百貨店を、ラテン・アメリカの主要都市に建設し、数年後には、ラテン・アメリカの小売業界において主導的な地位を占めるにいたったのです。
一方、日本における、われわれのビジネスにおいても、人口構成の変化は外すことの出来ない重要な課題であるのです。
日本での外食の歴史を振り返ってみると、まったく、人口の年齢構成の通りに人口の最も多い団塊の世代を中心に、ビジネスの栄枯盛衰の歴史が辿っていることが分かります。
われわれ、団塊の世代が若いころにファミレスが出現し、小さい子どもを持つ若い家族は、ファミレスを随分使ったものです。
次に、マクドナルド等のファースト・フードが盛んになり、小さい子供たちが中学生、高校生になる頃には、ファースト・フードが全盛になりました。
団塊の世代が40代に乗ると、居酒屋文化がピークを迎え、サラリーマンの小遣いもピークを迎えたのです。
その後、日本はデフレに陥り、サラリーマンをターゲットにしていた居酒屋を含め、サラリーマンをターゲットにしていた外食は、売上を徐々に落とし、マクドナルドが半額セールを始め、牛丼の吉野家が大幅値下げに踏み切り、大きな成果を上げたのです。
うどんのジャンルでは、はなまるがセルフで大成功し、その後、丸亀製麺が大成功したのは、周知の事実です。
そして、現在は徐々にデフレの方向から、価値の高さが重要な要素になり、競争の激しい、サラリーマンをターゲットにするビジネスよりも、多くの飲食ビジネスが、シニアと女性をターゲットにしたビジネスに方向転換を進めているのです。
女性の社会進出
人口構造の変化を、イノベーションの機会としてとらえ、生産性の高い優れた労働力を手に入れることに成功した、顕著な例がいくつかあります。
ニューヨークのシティバンクの成長は、主として意欲に燃える若い女性の社会進出をいち早く認識したことによるもので、1980年にいたってはアメリカの大企業のほとんどは、それらの女性の存在を「問題」としてとらえていて、今日でも、そのような企業はかなり多いのです。
しかし大企業のうち、シティバンクだけは、彼女たちの出現こそイノベーションの機会であると見、1970年代を通じて、積極的に女性を採用し、訓練し、各地の支店へ貸付担当者として配置し、シティバンクが主導的な地位の銀行、しかもアメリカではじめての全国銀行となるには、それら意欲ある若い女性の業績が大きくものをいったのです。
同じ頃、(あまりイノベーションやベンチャーには関係のなさそうな)貯蓄貸付組合が、子育てのために退職し、労働力人ロから脱落した既婚女性が、パートタイムの正社員として強力な戦力になりうることを発見したのです。
それまでは、パートタイムは臨時社員であることが常識で、しかも一度労働力市場から離れた女性は職場に戻ってこないことが常識で、いずれも、かつては当たり前のことだったのです。
しかし、人口構造の変化が常識を陳腐化させ、それらの貯蓄貸付組合、とくにカリフォルニアの貯蓄貸付組合は、統計によってではなく、外に出かけて観察することによってこの現実を受け入れ、類のない愛社精神をもつ有能な労働力を手に入れたのです。
旅行およびリゾート産業における地中海クラブの成功もまた、労働者階級のわずか1世代後にしかすぎないにもかかわらず、高い教育を受け、豊かな生活を送るにいたった大量の若い大人たちの出現という、人口構造の変化をイノベーションの機会としてとらえた結果、もたらされたのです。
旅行慣れしていない彼らは、休暇や旅行やレジャーに詳しい者を必要とし、しかも、労働者階級の両親や、中流階級の年輩者と一緒では気づまりであり、そのような彼らが、10代のたまり場の異国版としての地中海クラブにとって、上客となったのです。
以上の結果より、ビジネスは人口が大きく関連しており、日本の現状においては、一番人口の多い世代は、団塊の世代であるシニア世代であり、まだまだ、シニア世代は元気で購買力も旺盛なのです。
そして、女性の活用はたいへん有効な労働資源であると同時に、強力な消費者であることが分かります。
起きている現象を直視し、観察を繰り返すことにより、思考を重ねて次の時代のニーズを探り出すことは、時間をかけてわれわれ経営者が未来のためにやらなければいけない、非常に重要なことであるのです。
イノベーションの種は、その気になり、目を開けてみると、われわれの周りに存在しているのですが、ただ漫然と見ているだけでは、見えないのです。
イノベーションの種を探すのにも、マネッジメントの原理原則を理解していないと、見えるものが見えないのです。
他の人たちに見えなくても、ドラッカーには常に見えていたのは、ドラッカーがマネッジメントの大家であり、マネッジメントを道具にように使えることが出来ていたためであったのです。
われわれもマネッジメントを学ぶことにより、少しでもドラッカーに近づくことが出来るのです。
画像は、先週のうどん学校の生徒さんの作品事例です。
奥は玉ねぎの天ぷら、手前はイチゴとバナナの天ぷらです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。