本日のテーマは「現場確認と分析の双方が重要」です。
一昨日夜、東京から自宅に移動し、昨日は朝から本社で2件ほどの打合せがあり、その後、ラーメン学校の生徒さんのスープと盛付のチェックがありました。
今回は、生徒さんのうちの1人が牛骨希望で、今までの味の成功方程式に則ってスープを作っていたのですが、出来上がったスープを飲んでいると、どうしても喉の奥で、納得出来ない味を感じたのです。
私は毎回、生徒さんのスープをチェックしているのですが、少しでも納得出来ない不自然な味が見つかると、絶対にOKは出さずに、問題点を徹底的に突き止めるのです。
昨日分かったことは、牛骨の場合、豚骨とか、鶏ガラとは違った元ダレの構成が必要なことが分かったのです。
豚骨とか、鶏ガラで抽出したスープの場合は、当社のノウハウでの、元ダレの組合せの方程式があり、その方程式通り作ると、誰が作っても美味しいスープを作ることが出来るのですが、牛骨の場合、その方程式通りに作ると、味の屈折を感じたのです。
少し試行錯誤し、ある元ダレを引いてみると、スッキリした味に仕上がり、牛骨の場合は、豚骨とか、鶏ガラと違った味の方程式があることが分かり、小さな発見かも知れないのですが、当社の麺學校は毎回、このような小さな発見の積み重ねで、次つぎとノウハウが進化しているのです。
次に昨日企画部内で打合せをしていて気づいたことは、仕事の成果を上げるためには、社内での情報収集、分析だけではなく、実際に客先に出向くことが欠かせないのです。
資料を楽に早く作ろうと思えば、過去の資料をコピーし、インターネットからのさまざまな情報を集めてコピペで作れば早く、簡単に作ることが出来るのです。
特に、インターネットの発達により、ほとんどの資料はネット上に散乱しているので、上手に組み合わせると、それなりの見栄えにはなるのです。
ところが、これを繰り返していると、最も大きな問題点は、次つぎと変化している新しい、本当の真実を知らずに済ませてしまうのと、思考力が高まらずに、自分自身が進化しないのです。
私も川崎重工に勤務していた20歳代の若いころ、20万トンタンカーの設計に取り組んでいて、ある時、エンジンルーム内のさまざまなタンクの設計を任されたがあったのです。
私は、タンクを実際にどのようにして製造しているのか理解するために、地元にあった下請け工場に見に行ったのですが、その時に言われたことは、「今まで長く川重の下請けをしていたが、設計担当者が当社に見に来たのは、あなたが初めてだ」と、言われたのです。
実際に現場で、タンクの製造工程を見て、タンクの製造上における設計の問題点をたくさん見つけて、私は今までのタンクの設計方式を大幅に改めて、それまで延々と続いていた設計方式を見直し、私独自の設計に変えたのです。
造船事業部で私が在籍したのは、わずか3年でしが、その間に私が担当した、蒸気配管、煙突、タンク、プロペラーシャフトの抜き方式等は、それまでの設計とは、まったく異なった設計に変更したのです。
特に設計の仕事は、机にしがみついて図面を書いているとイメージが多いのですが、良い設計士ほど、客先訪問したり、現物と取り組み合ったりし、図面を書く時間よりも、それ以外の時間の方が長いのです。
私は、若いころから常に、現場に赴く癖があり、今でもすぐに海外に出たり、国内でも気になった店とか、何かあれば、直ぐに見に行くので、フットワークは非常に軽いのです。
昨日も当社のスタッフが現地を知らずに、HPの資料を作っていたので、注意を促し、まず、現地に訪問することを要請したのですが、その現地は、当社の本社から至近距離にあったので、訪問した後の訂正した資料を見ると、まったく異なった内容になっているのです。
現在は、非常に便利な時代になり、ネット上にあらゆる情報が散らばっているので、余計にビジネスマンが行動しなくなり、机にしがみついた仕事が増えているのです。
そのために、PCだけで仕事を済ませるので、薄っぺらい成果しか上げることが出来ない場合が多いのです。
この様に、現地、現物、現実の3現主義と併せて、正確な分析が大切で、分析においても、お客さまの生の声とか、3現主義を取り入れた分析が欠かせないのです。
本年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆評価も別に行う
報酬と報奨の問題からも明らかなように、イノベーションの収益パターンは、既存の事業とは異なるので、測定の方法も違うものにしなければならず、既存の事業や製品については「毎年15パーセント以上の税引前利益と、年間10パーセント以上の成長」という目標も意味があるのですが、新しい事業については、意味をなさないだけでなく、ある意味では高すぎ、ある意味では低すぎ、
新しい事業は、長い間、往々にして数年間、利益も成長ももたらさないだけでなく、資源を食うだけであるのですが、やがて、突然、急激に成長し、開発に要した資金の50倍以上を回収するのですが、そうでなければ、イノベーションとしては失敗であり、そもそもイノベーションは小さくスタートし、大きく実を結ばせなければならないのであり、そもそもの初めから、小さな特殊な製品の開発や、既存の製品ラインを若干充実させるといったことではなくて、大きな新事業を生むべきものとしてスタートさせなければならないのです。
イノベーションがもたらすべきものについては、過去の経験からのフィードバックによってのみ知ることができ、「イノベーションのための期間をどの程度見るべきか」「資源の投入のタイミングは、いつが適切か」「最初から人材と資金を大量に投入すべきか、それとも最初は担当者1名とし、1人か2人の助手をつけるだけにすべきか」「それでは、いつ規模を拡大するか」「いつ、単なる開発から大きな利益をあげる事業に発展させるべきか」という、これらの問いこそ重要であり、答えは本のなかにはなく、しかも主観や勘、あるいは理屈では答えられないのですが、真に起業家的な企業は、自らの産業、技術、市場におけるイノベーションのパターン、リズム、タイムスパンを知っているのです。
たとえば、前述のイノベーション志向の銀行では、海外での子会社の設立にあたり、少なくとも3年は投資を続けるべきことを知っていて、4年目で単年度の収支を合わせ、6年目の中頃までに、投資した資金をすべて回収する必要があり、6年たっても投資を続けなければならないようでは、そのイノベーションは失敗であり、撤退すべきであり、その銀行では、リース業などの新しいサービスへの進出についても、期間はやや短いかもしれないが、同じサイクルがあるとしているのです。
P&Gも、新しい製品は、開発に着手して2,3年後には市場で売れるようにしなければならないとしているようであり、しかもその1年半後には、リーダー的な製品となっていなければならないとし、IBMも、新しい製品は5年で市場に出していて、発売後1年で急成長しなければならないとし、さらに、2年目のかなり早い時期には、トップの地位を得て利益をあげ、3年目の早い時期には資金を回収し、5年目には売り上げのピークに達し、以降はその水準を維持しなければならなく、しかもその頃には、次の新製品が、それを陳腐化させけじめなければならないのです。
これらのことを知るためには、自社と競争相手のイノベーションの実績を体系的に分析しておかなければならず、イノベーションの成果を期待にフィードバックさせ、起業家としての業績を定期的に評価しておく必要があり、こうして、イノベーションからいかなる成果を期待すべきであり、期待できるかを理解して、はじめてイノベーションのための活動をコントロールすることが可能となり、新しい事業を担当する部門と、その経営管理者の仕事ぶりを評価することもできるようになり、いずれの活動を推進すべきか、見直すべきか、廃棄すべきかを決定することもできるようになるのです。
以上のように、常時イノベーションに取り組んでいる企業は、独自の評価の基準を持っているので、今まであまりイノベーションに縁のなかった企業が、これからイノベーションに力を入れる場合は、独自の評価基準が出来るまで、試行錯誤を繰り返す必要があり、いずれにしても、イノベーション体質を得て、守り続けるには、たいへんな努力と忍耐を伴うのです。
◆責任体制
既存企業が起業家的たるための組織構造上の要件の最後は、1人の人間、および1つの単位組織に、イノベーションにかかわる全責任をもたせることであり、前述の成長しつつある中堅企業のほとんどが、この責任をCEO自身に、もたせ、大企業では、トップ・マネジメントの1人にこの責任をもたせ、大企業であっても、それほど大きくない企業では、ほかの仕事と兼務することにしてもよく、巨大企業ともいうべき大企業では、独立した部門や子会社を設立していて、その最も古い例が、今から100年以上前の1872年、民間企業のメーカーであるドイツのジーメンスにおける世界で最初の大卒技術者ヘフナー・アルテネックが設立した世界初の企業研究所で、この研究所は、新製品や新工程の開発について全責任をもたされ、最終用途や市場の開発についても責任をもたされ、彼らは、技術的な段階だけでなく、新工程や新製品の導入、さらにはそれらの収益についても責任をもたされたのです。
その50年後の1920年代、アメリカのデュポンがこれに似た組織をつくり、開発部と名づけ、デュポンの開発部は、イノベーションの提案を集め、調査分析し、そのうち新事業として取り組むべきものをトップ・マネジメントに提案し、そのあとは、研究、開発、製造、マーケティング、財務など、あらゆる分野の人材を動員することができ、新製品や新サービスが市場に出るまでの数年間にわたり、それらの新事業の面倒を見たのです。
イノベーションの責任は、CEO自身、あるいはトップ・マネジメントの一員のいずれがもつことになろうとも、さらには専任、兼任のいずれになろうとも、独立した責任、トップ自身の責任としなければならず、そしてその責任は、イノベーションの機会の追求を含むものとしなければならないのです。
当社も過去を振り返り、反省するとすれば、私自身がイノベーションの先頭に立った新規事業は成功し、誰かに任せた新規事業は上手くいかず、私が常に担当した新規ビジネスは、麺学校であり、特にラーメン学校であり、外部のコンサルタントを招いて新しく取り組んだビジネスも、私が中心になっていなかったら、最終的に成功しておらず、上記に書いてあるように、中小企業において、トップの関与はイノベーションには欠かせないのです。
画像は、昨日のラーメン学校最終日に、今回初めて、豚骨ラーメンのスープをスープ・ブレンダ―で泡立て、キムチを入れた豚骨キムチラーメンを作りましたが、スタッフたち、生徒さんたちに評判が良かったのです。
濃厚なトンコツスープが泡状になり、余計にマイルドで、同時に無添加のキムチとの相性が非常に良い、美味しい一品でした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。