本日のテーマは「書籍を通じての学び」です。
ひとときの正月休みも昨日で終了し、本日はTV番組の収録のために、高松発の朝一便で上京しているところです。
この正月休みの一番の成果は、盛り付けの教科書の原稿が完成したこと、自宅の応接兼書斎の片づけが出来たこと、ゆっくりと今年以降の戦略を構築出来たこと等で、もっと他にもやりたいことがあったのですが、そこまで手が回らなかったのです。
昨年末は、讃匠が30日まで全社稼働していたので、新人の山上さんと新規事業への取り組みで、年末ぎりぎりまで2人で天ぷらを揚げたりで、落ち着いて、私自身の仕事に取り組む時間が取れず、年末、正月は家庭内行事もあり、普段の休日のように思い切り、自分自身の時間を使うわけにはいかないのです。
しかし、元旦以降は、家庭内行事以外の時間は、深い思考の時間に費やすことが出来、今年以降の面白い戦略を構築することが出来たのです。
併せて、6名の役員に宿題として、課題図書を与え、内容のコメントを求めていたのですが、すでにほとんどの役員から、課題図書の内容が素晴らしく、これからの当社にとって、たいへん有意義な図書であったとの報告がありました。
この本は、たまたま、品川インターシテイをウオーキング中にインターシテイ内の書店で見つけ、面白そうだったので買って読んでみると、素晴らしい内容であったので、役員の正月休みの課題図書にしたのです。
内容も難しい、分厚い本だったのですが、すでに、2名の役員は昨年中に読み終えたのに、驚きました。
われわれは書籍を通して、得るものが大きく、書籍を読む場合は、書籍を書いた人になったつもりで、書籍の内容を今度は、自分が他のスタッフたちに説明出来るようにすれば、加速学習になり、理解度が高まるのです。
私は、「イノベーションと起業家精神」を何度も繰り返し、復習していますが、復習の度に、新しい気づきがあり、毎回、新鮮な気持ちで復習しているのです。
この書籍は当初、イノベーションのことについて深く触れた書籍だと思っていたのですが、イノベーションは当然ですが、マーケテイングと戦略についても、同様に、深く説明を加えているのです。
書かれてからすでに、30年以上経過しているのですが、今でも内容については決して古くない内容であり、今の世の中にもこのままで十分通用するのです。
私は、現在、イノベーションが当社の社風になるまで、復習を繰り返す予定で、復習を繰り返すだけでなく、今年からの幹部の勉強会では、これを教科書として、使って行く予定です。
但し、ドラッカーの翻訳本を使うのではなく、私が分かり易く解説した本がすでに出来上がっているので、そちらを使っていく予定です。
このように復習を行ないながら、並行してさまざまな書籍を読んでいて、他の書籍から得られた教えも、この書籍に照らし合わせて考えてみると、理解度の深まりが早いのです。
だから、私にとって「イノベーションと起業家精神」は、マネッジメントの参考書のような役割をしてくれているのです。
「イノベーションと起業家精神」についての学びを終えると、次はマーケテイングについて、理解を深める予定です。
若いころと比べると、理解するには時間がかかるようになってきているので、テーマを決め、ある程度の時間をかけて学んでいかないと、なかなか自分の手足のように活用することが出来ないので、大切な書物には時間を十分にかけるのです。
そして、今年から幹部の勉強会では、このテーマを学んでいき、私が座長になって進めるので、もう少し理解は早くなっていくのです。
若いころの私と現在の私の一番大きな違いは、一切のアルコールを飲まないことで、若いころはアルコールを飲んでいたので、飲むと寝てしまい、その後の学習が出来ないのですが、今は、アルコールはまったく飲まないので、学びに割く時間は増えました。
若いころから、アルコールを飲んでいなければ、もっと学びに時間が取れていたのが、反省するところです。
昨日は夕方、年末から通い始めた接骨院へ行くと、先生から私の身体の問題点をいくつか指摘され、修復方法も教えてくれました。
私の場合は、インナーマッスル(深層筋)が鍛えられていなかったことが、さまざまな身体の障害の原因であったようで、インナーマッスルの鍛え方を教えて貰ったのです。
年末に始めて来たときは、歩き方の問題点を指摘されて、それから歩くときはいつも気にしながら歩いていると、だいぶ症状が良くなってきました。
身体の場合は、問題点を指摘してくれる指導員の先生がいるのですが、マネッジメントを指導してくれる先生は、ほとんどいないのです。
昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
4.「プロセス・ギャップ」
1950年代末、製薬会社のセールスマンが、独立して事業を興そうと医療のプロセスにギャップを探し、見つけ出しのです。
当時、最も一般的に行なわれていた手術の一つに、老人性白内障があり、手術は定型的かつ機械的なもので、完璧なダンスのように途切れることなく、すべてを掌握して行なえる手術だったのですが、ただ、1ヶ所だけ、流れの切れるところがあり、ごく小さな筋肉を切開し、血管を縫合しなければならなかったので、血が流れ、眼球を損なう恐れがあり、手術自体は優しい手術だったが、そこだけは手術をする者にとって気掛かりで、手術の流れが変わることが不安の種になっていて、何度手術をしても怖い部分だったのです。
製薬会社のセールスマン、ウイリアム・コナーは、ちょっと調べてみたところ、筋肉組織を瞬時に溶かすことが出来る酵素は、既に1890年代に分離されていることを知ったのですが、当時、その酵素を数時間しか生かしておくことが出来なかったので、酵素を保存する技術は長足の進歩を遂げているはずであり、事実、コナーは数か月足らずで、酵素の効力を失うことなく保存期間を延ばす保存薬を見つけ、数年後には、世界中の眼科手術医が、コナーの会社アルコン・ラボラトリーズの酵素を使うようになり、20年後、彼はその事業を高い値で、ある多国籍企業に売ったのです。
ここにもう1つ、教えられることの多い例があり、O・M・スコットは、芝生関連の器具、種、肥料、殺虫剤の最大手メーカーであり、現在は大企業の子会社になっていますが、芝生業界におけるトップの地位は、同社がまだ中小企業の1つに過ぎなかった頃、シアーズ・ローバックやダウ・ケミカルのような大企業との競争の末、勝ち取ったもので、同社の製品は確かに優れていましたが、競争相手の製品も負けず劣らずで、O・M・スコットは、定量を均等に播くための器具としてスプレッダーという簡単な手押し車を開発し、その後の地位を確立したのです。
芝生の肥料や殺虫剤は、すべて徹底した科学的実験に基づいて調合しているということが売り物であり、散布する量も、気温や土壌の質によって厳密に処方していて、あらゆるメーカーが、科学的とまではいかなくとも緻密でなければならないことを消費者に説いていたのですが、O・M・スコットのスプレッダーが登場するまで、そのための器具を消費者に提供したメーカーはなく、それがないことが、芝生を育てるプロセスの中で、消費者を不安にさせるプロセス・ギャップになっていたのです。
要するに、プロセス・ギャップとは、何か1つの作業を行う一連のプロセスの中で、不安に感じたり困ったりする部分で、例えば、少し前、マンション住まいの奥さま方は、天ぷらを揚げた後の廃油の処理に困っていて、彼女たちは、新聞紙にフライパンの廃油を浸み込ませ、牛乳パックをカットして、その中に丸めていれて、ゴミとして捨てていたのです。
そこで、アメリカのジョンソンは彼女たちに、次のような質問をして、「本当はやりたくないけれど、やらざるを得ないので、やっていることは何ですか?」と聞いたところ、マンション住まいの主婦たちは、上記の回答をしたので、ジョンソンはイノベーションを起こして、「テンプル」を開発し、天ぷらを揚げたあとの廃油の処理が非常に楽になったのです。
以上のように良い流れが途中で切れている場合は、必ず、プロセス・ギャップが起きていて、イノベーションのチャンスが横たわっていて、プロセス・ギャップは、われわれの身の回りにたくさん存在しているのですが、改めて気にしなければ、それが当たり前になっているので、気付かないのです。
プロセス・ギャップは、ギャップの1番目の業績ギャップ他、すべてのギャップが起きている原因の一つでもあり、流れが途切れていて、スムーズに流れていないので、業績の悪化が起きている場合があり、うどん蕎麦店等では、厨房の作業の流れの中で、天ぷらを揚げる作業も往々にして、プロセス・ギャップになり、メニューの中に天ぷらのメニューが多かったり、天ぷらメニューが多いのに、フライヤーの油面が小さかったり、このバランスが取れていない場合によく起きているのです。
新規開業者がよく起こしているプロセス・ギャップは、開店時の練習不足で、十分な練習をしないで開店し、開店時にお客さまを長く待たせ、怒らせたり、品質の悪い商品を提供して、悪い評判を取っている場合が多く、開店までの流れを一連のプロセスと考えると、多くの新規開業者が陥っている問題点は、最初の計画をキチンと立てていないのと、開店前の練習不足であり、最初の計画の部分は、麺學校の経営講義に参加すると、十分に理解が出来、練習不足に関しては、当社の場合、新規開業者の開店前チェックとして、当社のスタッフを派遣する有料サービスがあるので、開店出来るレベルになっているかどうか、どこに問題があるのかを明確に指摘するので、開店における失敗を未然に防ぐことが出来るのです。
以上のように、流れの中で、スムーズに流れていない部分に着目すると、どこに問題点があるかがよく分かり、肝心なことはこのような棚卸を行なう時間を改めて取ることで、普段、忙しい日々を送っていると、忙しさに流されて、気付かないことがあるのです。
「いかに見つけるか」
では、そのようなプロセス・ギャップは、運や勘によって見つけられるものか、それとも、体系的、組織的に見つけるべきものかですが、ウイリアム・コナーは、手術のプロセスの中に不安になる部分がないかを医師に聞いて回り、小さな芝生用品のメーカーだったO・M・スコットは、何か困っていることはないかを、デイーラーや消費者に聞いて回り、その結果、スプレッダーを開発し、そのスプレッダーを中心として製品ラインを組み、全国的な中堅企業に成長したのです。
プロセス・ギャップは、なかなか見つけられないような代物ではなく、消費者がすでに感じていることであり、眼科の手術医は、目の中の筋肉組織にメスを入れるとき、常に不安を感じ、そのことを人に話していて、金物屋の店員は、芝生の庭を持つ顧客の不安を知っており、そのことを話していて、欠けていたものは、それらの声に耳を傾けることであり、真剣に取り上げることであったのです。
製品やサービスの目的は消費者の満足にあり、この当然のことを理解していれば、プロセス・ギャップをイノベーションの機会として利用することは容易であり、しかも効果的なのですが、それでも深刻な限界があり、プロセス・ギャップをイノベーションの機会として利用できるのは、その世界のなかにいる者だけだということであり、決して、外部の者が容易に見つけ、理解し、イノベーションの機会として利用出来るものではないのです。
以上のように、プロセス・ギャップを見つけるのは、関係者だけであり、案外容易に見つけることが出来、従って、プロセス・ギャップを活用したイノベーションも大きな効果を発揮することが出来そうです。
本日は、朝一便で東京への日帰り出張で、787で羽田に向かいます。
正月明けの高松空港は長い列で、私もサラリーマン時代は岐阜にいたので、この時期に同じように移動していたので、たいへんさが良く分かります。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。