毎回、麺學校の経営講義に参加する度に気づくのは、生徒さんたちが独自のコンセプトに基づく、世の中にないような店を始めようとせずに、巷に既に溢れていると同じような店舗を始めようとしていることです。
そして出来るだけ、初期投資の少ない居抜きとか、席数の少ない店を始めようとしたり、郊外なのに駐車場のない、或いは少ない店を始めようとしているのです。
本日のドラッカー・マネッジメントでいう、起業家精神のない、変わり映えしない、普通の店を始めようとしていることがよく分かります。
そして、その結果は過去の事例より、明白なのです。
当社も5年ほど前に、ゴールドラット博士のTOC理論を学んだ時に分かったことは、新規開業者或いは既存店が上手くいかない一番の理由は、リスクを避けようとしていることでした。
起業家精神は、反対にリスクを取ることにより、本来のリスクを最小にすることであったのです。
起業家精神は、現状を当たり前と思わないで、今ある現状をより良い、理想的な状態に変えようとするのがビジネスなのです。
これこそが、人類の歴史そのものなのですから。
IKEAは家具の世界で、世界の人びとのライフ・スタイルを変え、アップルも世界中の人びとの音楽と携帯電話に関するライフ・スタイルを変えたのです。
グーグルとフェイス・ブックはインターネットの世界を変え、アマゾンは本の販売の世界を変え、ハーレー・ダビッドソンは大型オートバイを楽しむ人たちのライフ・スタイルを変えたのです。
長い目で見ると、このように現状を否定し、今までにない、新しいジャンルに、起業家精神を持って取り組んだ方が、ビジネスは大きく成功していることが分かります。
だから、新規にラーメン店を開業したり、うどん、蕎麦店を開業する人たちにはぜひ、起業家精神を持って取り組んで欲しいのです。
ビジネスの本質は、「今ある状態をあるべき姿に移すプロセス」でもあるのですから、あるべき姿、すなわち、理想的な状態を求めるのがビジネスなのです。
当社も永くビジネスを行なっているので、気を付けていないとついつい、現状維持に走りがちなのです。
わざと、何か新しい要素を取り入れているか、現状の課題を解決しようとしているのか、進化しようとしているのかの注意が必要なのです。
人は往々にして、楽な方向に流れがちなものですから。
次は、来週から始まるユニバーサル麺學校のお知らせです。
今回初めて、3月3日(火)から8日(日)までの6日間、東京支店で、当社始まって以来、初めての試みのうどん、蕎麦、ラーメン、パスタの4種類の麺を一度に体験できるユニバーサル麺學校がスタートします。
https://www.yamatomfg.com/yamato-noodle-school/
初めての試みのためか、多くの生徒さんが躊躇し、まだ、少しだけ空きがあるようです。
日程は迫っていますが、初めてのテーマであり、これからのパスタ等の学びも得られる素晴らしいチャンスであり、4種類の麺すべてを一度に体験できるので、その違いもよく分かります。
当社がこのようなユニバーサル・麺学校を始めるようになったきっかけは、世界中で、麺の世界の違いが薄れ、だんだんと融合を始めているのです。
うどん、そば、ラーメン、パスタの境界線が薄れて、明確ではなくなってきているのです。
例えば、香港で一番人気のうどんは、既にスープがトンコツであったり、二番目に人気のうどんはスープがトマトであり、このようなことが世界中で起き始めているのです。
さらに国内でも、カフェでうどんを提供する店が大ヒットしているのです。
このような時代背景を見据えて、これからの麺の店のあり方の一つとして、ユニバーサル麺学校を企画した次第です。
起業家精神を持ち、麺ビジネスを目指す新規開業者の方にはぜひ、お勧めです。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきましょう。
「起業家のリスクは低い」
一般には、起業家には大きなリスクが伴うと信じられているのです。
確かにマイクロ・コンピュータや遺伝子工学など目立ち易いハイテクのイノベーションは、失敗の確率が高く、成功の確率どころか、生き残りの確率さえかなり小さいのです。
しかし、なぜ、起業家精神には、大きなリスクが伴わなければいけないなどと言えるのでしょうか。
「最もリスクが小さな道」
起業家はその本質してから、生産性が低く成果の乏しい分野から、生産性が高く成果の大きな分野に資源を動かすのです。
もちろん、そこには成功しないかもしれないというリスクはありますが、しかし、多少なりとも成功すれば、その成功はいかなるリスクを相殺しても余りあるほど大きいのです。
従って起業家精神は、単なる最適化よりも、はるかにリスクが小さいというべきであるのです。
イノベーションが必然であって、大きな利益が必然である分野、すなわちイノベーションの機会がすでに存在する分野において、単なる資源の最適化にとどまるほど、リスクの大きなことはないのです。
したがって、論理的にいって、起業家精神こそ、もっともリスクが小さな道であり、起業家精神のリスクについての通念が間違いであることを教えてくれる起業家的な組織は、われわれの身近にいくらでもある
たとえば、AT&Tのイノベーションの担い手たるベル研究所があり、この研究所は、1911年頃の自動交換機から1980年の光ファイバーの開発に至るま で70年以上にわたって、トランジスタや半導体、コンピュータに関わる理論やエンジニアリングなど、次つぎにイノベーションに成功してきたのです。
ベル研究所の過去の記録は、ハイテク分野でさえイノベーションと起業家精神のリスクを小さくすることが出来ることを示しているのです。
IBMもまた、コンピュータという進歩の早いハイテク分野において、しかも電気や電子の専門企業と競争しながら、今日のところ、大きな失敗を犯していないのです。
同様に、最も平凡な在来型企業である小売業において、世界で最も起業家的なイギリスのマークス・アンド・スペンサーも、大きな失敗をしていないのです。
消費財最大手メーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も、同じように完璧に近い、イノベーションの成功の歴史を誇っているのです。
ミネソタ州セントポールのミドルテク企業であるスリーエム(3M)も、過去60年間にわたって100種類以上にのぼる新事業や新製品を手がけ、その8割を成功させているのです。
これらは、低いリスクのもとにイノベーションを成功させてきた起業家的な企業のごく一部に過ぎないのです。
神の助け、まぐれ当たり、偶然とするには、あまりに多くの企業がイノベーションを成功させていて、起業家精神のリスクについての通念の間違いを教えてくれる個人起業家も大勢いるのです。
「4種類のリスク」
リスクには基本的に、下記の4つの種類があるのです。
(ドラッカー名著集⑥『創造する経営者』)
第一に負うべきリスク、すなわち事業の本質に付随するリスク
第二に負えるリスク、
第三に負えないリスク、
第四に負わないことによるリスク
世界で最初の、かつ今日に至るも最高の経営戦略書とされている本書において、ドラッカーは、経営計画では、まず リスクの種類を明らかにせよといったのです。
第一に、事業を行う限りは、ほとんどあらゆる産業に負うべきリスクがあり、 産業ごとに負うべきリスクは異なるのです。
新薬には人体を傷つけるリスクがりますが、製薬会社にとって、新薬開発に伴うリスクこそ、 負うべきリスクの典型であり、リスクがいやならば撤退するしかないのです。
人を助けるべきものが人を傷つけるかもしれないという、製薬会社にとっては悲痛なリスクであり、過去には、サリドマイド禍があり、小児麻痺ワクチンによる死亡事故もあったのです。
第二のリスクと第三のリスクはペアであり、 一方に負えるリスクがあり、一方に負えないリスクがあり、 失敗しても多少の損失(資金と労力を失う)ですむというリスクは、負えるリスクであり、 逆に、失敗したら存続できないほどの資金がかかり、会社がつぶれるというリスクは、負えないリスクであるのです。
ここにもう一つ、負えないリスクがあり、成功しても、その成功を利用できなというリスクであり、事業に着手するに当たっては、成功を利用できるか、もたらされる機会を実現できるか、それとも誰かのために機会をつくるだけかを問わなければならないのです。
例えば、失敗すれば、投じた資金を失うだけですむのですが、成功すれば、人手と資金の追加が必要となり、そのときに調達できなければ、それはもともと負えないリスクだったということになるのです。
したがって、新しい事業に手を出すに当たっては、 後からやってくるどこかの大事業の水先案内人に終わらないか考えねばならないのです。
第四が、負わないことによるリスクであり、その典型が、革新的な機会に伴うものであると同時に、乗り遅れのリスクであり、その古典的な例が、第二次大戦直後のGEの原子力発電への進出であるのです。
米GE(ゼネラル・エレクトリック)は、原子力発電は顧客たる電力会社にとって採算が合わない、と見て、専門家は原子力を経済的な電力源にできる可能性は低いと見ていたのです。
しかし、GEは発電機メーカーの雄として、 たとえ万一であっても乗り遅れるという、リスクを負うわけにはいかなかったので、一流の人材を投入し、膨大な投資を行ったのです。
「もちろん何かを起こすにはリスクを伴う。 しかしそれは合理的な行動である。何も変わらないという居心地のよい仮定に安住したり、ほぼ間違いなく起こることについての 予測に従うよりも、リスクは小さい」(『創造する経営者』)
「トラック企業が負うべきリスクは」(ドラッカー学会理事、上野周雄氏)
リスクは負う価値のあるものにとどめることであり、計画が成功すれば、より大きなリスクを負担できるようになるのです。
新規事業を起こす場合には、一流の人材を投入し膨大な投資を行なうということであり、勘や経験に頼らず、複数のリスクから最も合理的なものを選ぶことが必要です。
トラック運送業界では、交通事故の発生は「負うべきリスク」で、自社のトラックが事故を起こさなくても、他の車の事故に巻き込まれる可能性もあり、交通事故が嫌ならば事業をやめざるを得ないのです。
第二は失敗した場合の損失が少なくてすむ「負えるリスク」です。
第三は失敗したら会社がつぶれる「負えないリスク」ですが、「負えるリスク」と考えていても、成功後に次の資源(人・モノ・カネ)の追加投入ができなければ、もともと第三の負えないリスクだった――ということになるのです。
自社が強みとする最も重要な事業分野に大きな変化があったとすると、このとき新たな資源を投入するべきなのか、他社に先行を許すという大きなリスクがあり、これが第四の「負わないことによるリスク」なのです。
経済活動において何よりも大きなリスクは、リスクを負わないことであり、リスクを負えなくすることであるのです。
「原理と方法」
起業家精神にリスクが伴うのは、一般に、起業家とされる人たちの多くが、自分がしていることをよく理解していないからであり、つまり、方法論を持っていないだけでなく、彼らは、初歩的な原理を知らないのです。
このことは、特にハイテクの起業家について言えることであり、そのため、特にハイテクによるイノベーションと起業家精神は、リスクが大きく困難なものとなっているのです。
ハイテクにおける発明発見によるイノベーションは、業績上のギャップや、市場、産業、人口、社会の構造変化に基づくイノベーション、さらには認識の変化にもとづくイノベーションに比べて、きわめてリスクが大きいのです。
しかし、ハイテク分野におけるイノベーションや起業家精神でさえ、ベル研究所やIBMの例が示すように、リスクは必ずしも大きい訳ではないのです。
但し、そのためには体系的でなければならず、マネッジメントしなければならないのです。
そして、何にも増して、目的意識を伴ったイノベーションを基礎としなければならないのです。
弊社グループのビジネスに対し、この度、企業価値協会より、企業価値認定を受けました。
企業価値認定は、その企業の特徴的な価値を評価し、それを認定する制度で、「お客様や社会から強く必要とされる特徴的価値を有する」と判断した企業を認定しているものです。
企業価値協会のホームページで、認定に至った評価している内容が掲載されています。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。