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開業で繁盛店に!ラーメン・うどん・そば・パスタ|「イノベーションと起業家精神(上)」「認識ギャップ」

麺学校の様子

一昨日に東京支店へ移動し、昨日は午前中、東京支店でのお客さまの対応を行ない、午後からはラーメン学校の生徒さんたちに、最終の味のチェックと修正、そして、盛付の作品のチェックと修正を行ない、ついでに、私の新しい作品の披露も行ないました。

季節の旬のフルーツ、野菜に合わせて、さまざまな盛り付けにチャレンジしてみると、新しい盛り付けのパターンが、新たに見つかるのです。

昨日もイチゴの天ぷらとマイクロ・ベジタブルに挑戦してみました。
(マイクロ・ベジタブルは日経MJ 3月11日号掲載)

フルーツを使ったり、普通の野菜でも切り方によって印象がまったく変わるので、これからビジネスを始めようとしている生徒さんたちにとっては、驚きであるとともに、たいへんな参考になるのです。

今回もカナダから来ている生徒さんは、まったく野菜だけのスープにチャレンジしていて、最初はなかなか味がまとまっていなかったのです。

ベースになっている野菜をチェックしてみると、使っていたのは、ベジポタ、ニンジン、玉ねぎの3種類で、原液の味を見てみると、それも感心しなかったので、原液の味をすべてチェックした上で、新しい組み合わせを提案しました。

粘りを出すためのサツマイモの裏ごししたのも、大根、ニンニクの3種を使い、更に、ココナッツ・ミルクを使用してみると、まったく野菜だけのスープ・ベースでどっしりした味のスープになりました。

私は、生徒さんのスープの味の確認の時に必ず、元ダレを入れる前のスープ・ベースだけで、味の確認を行ないます。

スープ・ベースだけで美味しくないと、幾ら元ダレを入れても美味しいスープは出来ないのです。

10年以上もラーメン学校を毎月2回、真剣勝負で取り組み、世界中の参考になるレストランを毎月訪れ、味の研究、盛付の研究を行なっていると、毎日、同じように、ラーメンを作っているラーメン店店主よりはるかに進化するのは、当然のことであると思います。

同様に、最近は日々、「イノベーションと起業家精神」に取り組んでいるのですが、文章を書きながらの深い思考は、多くのことを教えてくれるのです。

学び続けることは、自分の知らない概念に触れ、それを理解し、自分の身体の一部になるまで、咀嚼し続けることであると思います。

本日は、日本における、うどん蕎麦、ラーメン店を新規に開業する人たちについて、深く思考してみました。

新規に開業する人たちのほとんどは、当社と縁のない状態で開業し、約3分の1が1年以内に閉店し、約半分が2年以内に閉店しているのです。

2年以内の閉店数は、うどん蕎麦、ラーメン店を併せると、合計3千5百店を上回り、1日に10店づつ閉店している勘定です。

同じ時代に、同じ業界で生きている者として、何か当社で役に立つことがあれば、何とかしたいと思うのは、人として当たり前のことであるのです。

当社にとって、一番のジレンマは、そのような新規に開業するお客さまの多くと接点のないまま、新規に開業し、閉店するお客さまが多いことなのです。

HP、DM、ネットDM、フェイス・ブック、各地でのイベント、各ドリーム・スタジオでの日々の製麺講習会等々、あらゆる媒体を通じて、そのような方がたに働きかけをしているのですが、それでも現状の状態であることに、たいへん大きいジレンマを感じざるを得ないのです。

これも大きい、イノベーションのためのギャップの存在であるのです。

今回のギャップの存在での探求により、多くのことを学ばせて貰いました。

もし、私が熱心にドラッカー・マネッジメントに取り組んでいなかったら、そしてイノベーションに取り組んでいなかったら、理解出来ずに終わっていたことなのです。

明日、3月15日(日)より、札幌でイベントが始まり、私も参加します。(https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/dream-studio-sapporo/)

尚、札幌のイベントでも、今回のLAの出張で垣間見た面白いレストラン事情を共有します。

本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。

ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。

2.「認識ギャップ」

「コンテナー船の例」

ある産業や社会的部門の内部の人たちがものごとを見誤り、従って現実について誤った認識を持っているとき、当然、その努力は間違った方向に向かい、成果を期待出来ない分野に努力を集中してしまうのです。

そのとき、それに気づき利用する者にとって、イノベーションの機会となる認識ギャップが存在し、その良い例が、今日の世界貿易の担い手たるコンテナー船なのです。

今から35年前の1950年代初め、貨物船は死滅すべき運命にあるとされていて、1次産品のばら積み以外は、航空機にとって代わられると予測されていたのです。

そして、海上輸送費は急速に上昇し、港での貨物の滞留がひどくなるにつれ、ますます時間がかかる様になったので、船は沖合で待機させられ、貨物はますます滞り、盗みの被害は増大したのです。

主たる原因は、海運業界が長年にわたって、成果を期待出来ない課題に力を入れていたことにあり、彼らは、船舶の高速化、省エネ化、省力化に力を入れていて、海上、すなわち港と港の間で経済性を追求していたのです。

船舶は資本財であり、あらゆる資本財にとって、最大のコスト要因は、遊休時間であり、その間、利益を生まないものに対し、金利を払わされるのです。

海運業界で働く者はすべて、貨物船の最大のコストが金利であることを知っていたのですが、彼らは既にかなり低くなっているコスト、すなわち、海上にあって稼働状態にある船舶のコスト低減に力を入れ続けたのです。

問題の解決は、積み込みと輸送の分離という簡単なことであり、空間が充分にあり、事前に作業が出来る陸上で積み込みを行なっておき、後は入港した船に載せるだけのことだったのです。

それは船舶の稼働時だけでなく、遊休時のコストの削減に努力を集中することであり、それがコンテナー船だったのです。

この簡単なイノベーションの結果は目を見張るものがあり、その後、30年間において、海上輸送は5倍に伸び、輸送コストは60%削減され、船が港に停泊する時間も、4分の3に削減され、港の混雑や盗みも減少したのです。

私もサラリーマン時代は、船の設計をしていたのですが、このようなことに疑問を持ったことはなく、私が設計していたころはタンカーの全盛時代だったのですが、その後、コンテナー船が出現し始め、コンテナー船の時代になったころには、私は既に造船設計を離れていました。

私の造船設計の時代も、燃料消費の少ない省エネ船等がテーマであり、抵抗の少ない船型の研究が主で、港での荷物の積み下ろしの高速化については、それほど、大きな課題ではなかったように思います。

従って、船だけの問題として捉えるか、輸送システム全体の問題として捉えるかによって、解決のアプローチはぜんぜん違ったものになるのです。

今回の課題でも、船だけの課題として捉えると、運行時における高速化しか課題にならないのですが、システム全体の課題として捉えると、長い停泊時間がもっと大きな課題であり、荷物の積み下ろしに大きな時間を取られていることが分かったのです。

そして、そちらに目を向けることにより、大きなイノベーションの機会を見つけることが出来たのであり、部分最適を目指すか、全体最適を目指すかの差でもあるのです。

われわれのビジネスもまったく同じであり、当社の場合は製麺機だけの問題として捉えるか、うどん店システムの全体の問題として捉えるかによって、解決しなければいけない本当の課題がまったく異なるのです。

要するに、システム全体を高い視座で見るか、低い視座で見るかによって、見える世界がまったく異なってくるので、常に高い視座でものごとを見ることが大切であると教えてくれているのです。

以上のことは、うどん蕎麦店、ラーメン店でも同じことが言えるのです。

今までのうどん蕎麦店、ラーメン店の店主は、昼間の回転率を上げることを目指せば目指すほど、売上が上がると信じて、回転率が上がる様に男性のサラリーマンを対象にしていて、女性客には重点を置かず、むしろ、女性客が入店すれば、長居するので嫌がっていたのです。

ところが、既に20年前の1995年に生産年齢人口はピークを打ち、サラリーマンの数は現象を続け、ピークより12%以上も減少しているのと、サラリーマンの小遣いが半減し、昼食に十分な支出が出来なくなっているのです。

従って、サラリーマンを対象にし続けている店は、業績を落としている場合が多く、これからは、シニアと女性客を対象にした方が、可能性が高いことを理解している店主は非常に少ないのです。

以前のブログ・フェイス・ブックでもお知らせしたように、年間のうどん蕎麦店の新規開業者数は約3千店、ラーメン店は約4千店で合計7千店ですが、当社の麺學校の 卒業生が年間約350名で、そのうち、開業に至るのは約3分の1の約120名程度なので、年間の開業者のうち、当社の麺學校を卒業して開業する人たちの比 率は、2%未満なのです。

年間約7千名にも上る新規開業者のうち、当社の麺學校卒業生はわずか120名程度しかいないので、この比率を上げることが失敗者をより少なくするための大きなポイントなのです。

こんなに大きな差があるのは、大半の新規開業者と麺学校の認識の差であり、この差を埋めない限り、生徒数は増えないのです。

「小さなイノベーション」

認識ギャップは、下記のようにしばしば自ら明らかとなるのです。

真剣な努力が事態を改善せず、むしろ悪化させるとき、例えば船舶の高速化が港の混雑と海上輸送の一層の遅れをもたらすような時には、その努力の方向性が間違っていることが多いのです。

そのような時には、単に成果が上がることだけに力を入れるだけで、大きな成果が得られ、事実、認識ギャップを利用するために華々しいイノベーションを必要とすることはあまりないのです。

海上貨物の輸送と積み込みの分離にしても、トラックや倉庫について行っていたことを応用したに過ぎないのであり、認識ギャップは、産業や社会的部門全体について見られる現象であるのです。

しかし、その解決策は、通常、的を絞った単純で小さなイノベーションを行なうことであるのです。

認識ギャップにおいて、本当の課題は、お客さまとの価値観は共有出来ていても、努力の方向性が間違っている場合が多いのです。

例えば、先ほどのコンテナー船の場合でも、お客さまの価値観は、コストの高くない、迅速な荷物の配送であり、造船所も船の運航会社もそれに向かって、出来る範囲の努力を行なってきたのですが、ほとんどの関係者は、コンテナー船にすれば良いと見抜けなかったのです。

麺専門店に来店されるほとんどのお客さまは、美味しい麺料理を高すぎない、妥当な価格で食べたいと思っているはずですが、お店の店主はこれについて、新しいアプローチを取ろうとしないで、昔ながらのやり方を変えようとしていないのです。

手打ちに負けない、驚くような美味しい麺料理を、比較的低価格で提供出来る仕組みが出来ているのですが、それを取り入れようとしていないのです。

コンテナー船の技術は以前から、トラック市場ではあったのですが、貨物船市場に導入されるのが遅くなったのと、同じなのです。

一部のその技術を利用した人ただけが、多くのお客さまを集めて繁盛しているのです。

今の時代は、技術面は大変進化しているし、それを利用しようと思えばいくらでも出来るのに、利用していない人が余りにも多いのです。

成功する人とそうでない人の差は、世の中の動きに注意しているかどうかが、非常に大きいのです。

画像は、昨日のラーメン学校で、生徒さんたちの盛り付けの修正をしている場面です。

意表を突くようなプレゼンテーションをたくさん行ないました。

ラーメン学校の最終日に、見学にお出で下さい。

楽しい、面白いプレゼンテーションを見ることが出来ます。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)

藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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