昨日の土曜日は、シンガポールでのイベントに参加するために、午前11時の便で、羽田空港を発ちました。
3年ぶりのシンガポールで、途中のフライト時間が7時間程あったので、機内では眠らないで、PCを使い、思考に耽っていました。
今回は私の都合で、イベントには、27日の1日だけしか参加できませんが、シンガポールでの活動の様子をぜひ確かめておきたかったので、無理なスケジュールを押して来たのです。
イベントへの参加だけでなく、短期間ですが、3年ぶりなので、進化した外食を見て回りたいと思って来たのですが、昨日、チャンギ空港に到着してから、市内 に入るまでの道筋で、いろんな新しい建築物が出来ていて、どれを見ても日本の新しい建築物とは、大きく異なっていました。
日本の建築物の場合は、立方体のような四角の整然とした形のビルが多いのですが、シンガポールの場合は、どのビルを見ても個性豊かで、デザイン性に富み、コストがかかっていると思えるようなビルばかりでした。
昼間の造形がきれいなだけではなく、夜間照明で、更に映えるように設計してあり、昼の顔と夜の顔の双方で際立っていました。
シンガポールの建造物を日本の建造物を比較してみると、最近の建物ほど、大きく変わり、最近の建造物ほど、伸び行く国と沈みゆく国の国力の差を現しているのが象徴的でした。
昨晩、現地の代理店をやっているジェイソンに案内して貰った店は、スペイン料理の店で、シンガポールの象徴である、マーライオンのある近くにある海の上のレストランで、店舗のデザインも奇抜で、出てくる料理も個性的な料理ばかりで、感激の一言でした。
お客さまを飽きさせないパーフォーマンスも楽しく、レストランでの食事自体がエンターテイメントになっていました。
このレストランの立地からして、レストランからの景色は素晴らしく、カジノと奇抜な建物で有名になった「マリナ・ベイ・サンズ」の湾を挟んだ正面にあり、「マリナ・ベイ・サンズ」のトップから夜空に放たれるレーザー・ショーは、素晴らしい夜景を醸し出していました。
香港のレーザー・ショーほどの規模はありませんが、一体の建物の色も音楽に合わせて変化して、レーザー・ショー自体がこの一帯にあるレストランのショーになっているようでした。
このレストランはスペインから来ているそうですが、30年前であれば、日本に来ているような一流のレストランでした。
東京の場合であれば、お台場がこのような景色に当たると思いますが、お台場のレストランと比較すると、テイーン・エイジャー向けと成熟した大人向けのような落差を感じました。
国力の差が、あらゆる差を大きくしていることを感じざるを得ませんでした。
改めてシンガポールの国民一人当たりのGDPを見ると、世界第9位で、日本は27位であり、日本の1.55倍で、いつの間にか、日本を大きく引き離していたのです。
(IMF – World Economic Outlook Databases (2015年4月版)より)
このような状態を見れば、片時の油断もなく、学び続けて、企業を絶対に成功させねばと、思いを新たにするとともに、日本が持っている独特の強みをもっと磨かねばならないと強く感じたのです。
それには、日本独特の麺文化を世界中に広めることは、大きな意味があることなのです。
今の時代は50年経てば、国はまったく異なった国になり、企業は10年経てば、まったく異なった企業になる事が出来るのです。
しかし、最低10年という月日は必要で、単純なことを、一貫性を持ってやり続ける意志が必要であったのです。
シンガポールに来る度に、最近亡くなった建国の父、リー・クアンユーが身体を張って、シンガポールの国づくりに取り組んだことを思いだすのです。
シンガポールが実質的に東南アジアで経済的にトップの国になり、多くの国民を幸せに出来たのも、リー・クアンユーの先見性であり、戦略と意志力の賜物なのです。
2011年5月14日には上級相のゴー・チョクトンと共同で閣僚ポストから退く意向を表明した時に残した声明が次の通りです。(リー・クアンユー87歳)
(今回の選挙で)われわれは新しい政治的状況を知るに至り、そしてそれがどのように未来に影響を与えるか考慮しました。われわれはシンガポールの発展に貢 献しました。複雑で難しい状況の中、シンガポールをさらに前進させる若者たちの時代がやって来たのです。首相や彼を支える若い世代のリーダーは、新鮮でク リーンな基盤を持つべきです。若い世代は、汚職がなくしかも実力主義(知的エリート階級の)の政府を持つこと、加えて高い生活水準を享受すること以外に も、自分自身に影響を及ぼす決定により多く携わりたいと願っています。重要な分岐点となる今回の選挙の後、 私たちは、内閣を去る決意をしました。そして、完璧に若返った内閣に、未来のシンガポールを形作りつつあるこの若い世代と前進してもらうことにしました。
しかし、この若い内閣たちは古い世代のためにも存在していることを忘れてはいけません。この古い世代は、シンガポールに貢献してきたのであり、十分に省みられなければなりません。
— リー・クアンユー、ゴー・チョクトン共同辞任声明 日本語訳
私も去る時には、このような言葉を残したいと思います。
明日からは、シンガポールでのイベント(来週27日(月)~29日(水))がスタートします。
私は初日だけの参加で、今年になってから訪問した、ロンドン、香港、台中、LAの最新店舗のご紹介を致しますので、既存店の方がたにとっても、今から開業する方がたにとっても、世界の最新外食情報を知るチャンスです。
1.「コンセプトの重要性、コンセプトがビジネスの成功を左右する」
2.利益倍増計画~多店舗展開へのステップアップ~
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
第14章 社会的機関における起業家精神
Iイノベーションを行えない理由
政府機関や労働組合、さらには教会、大学、学校、病院、地域の非営利組織や慈善団体、職業別団体や業界団体などの社会的機関も、企業と同じように、起業家としてイノベーションを行わなければならないというよりも、むしろ企業以上に起業家的であることが必要なのです。
社会的機関にとって、今日のような社会、技術、経済の急激な変化は、企業にとって以上に脅威であり、しかも機会であるのですが、社会的機関がイノベーショ ンを行うことは、最も官僚的な企業と比べてさえ、はるかに難しいのは、既存の事業が、企業の場合よりも、さらに大きな障害となるためです。
上記は社会的機関についてだけ、触れているのかと思うとそうではなく、社会的機関に近い、普通の企業の総務のような、直接売上が立たない、間接部門についても言及しているのです。
社内の間接部門をこのような見方をすることは余りなかったのですが、社会的機関と間接部門が非常によく似ていることが分かります。
◆固有の力学
あらゆる社会的機関が大きくなることを好むのは、利益という評価手段がないために、規模をもって評価基準とし、成長を目標とするのです。
なすべきことはつねに多く、社会的機関では、既存の事業をやめて新しい事業を始めることは異端とされ、少なくとも耐えがたい苦痛となるのです。
事実、社会的機関におけるイノベーションのほとんどは、外部の人間によって、あるいは何らかの破局によってもたらされているのです。
たとえば近代大学は、大学の外部の人間、プロイセンの外交官、ヴィルヘルム・フォン・フンボルトが創設したのですが、彼は、17、18世紀の大学がフランス革命とナポレオン戦争によって機能しなくなっていた1809年、ベルリン大学を創設したのです。
その60年後、アメリカでも、それまでの大学が陳腐化し学生を集めることができなくなってようやく、今日の近代大学が生まれたのです。
同じように、組織についても、戦略についても、今世紀に入ってからの軍のイノベーションはすべて、不面目な機能障害や敗北のあと行われ、アメリカ陸軍の組 織と戦略の見直しは、米西戦争における不名誉な戦果の後、セオドア・ルーズヴェルト政権の陸軍長官となったニューヨークの弁護士、エリフ・ルートによって 行われたのです。
その数年後、イギリス軍の組織と戦略の見直しが、ボーア戦争における不面目な戦果の後、陸軍大臣のハルディン卿によって行われ、ドイツ軍の組織と戦略の見直しも、第一次大戦の敗北の後、行われたのです。
近代政治史上最大のイノベーションたる1933年から36年にかけてのニューディール政策も、アメリカ社会そのものを解体寸前に追い込んだ、大恐慌がもたらしたのです。
社会的機関にイノベーションや起業家精神が見られないのは、退嬰的な月給泥棒、権力マニアの政治屋の抵抗によるものとされていますが、この説は、およそ 500年前にマキャヴェリが指摘したときでさえ、もはや目新しい説ではなく、その後の変化は、誰が唱えるかで、今世紀の初めには、リベラルが指摘し、今日 では、いわゆる新保守派が指弾しているのです。
しかし事態はそれほど簡単ではなく、改革論者の万能薬たる「人の入れ替え」による解決などは幻想にすぎず、最も起業家的なイノベーション志向の人たちでさ え、社会的機関、とくに政府機関のマネジメントの座におかれるならば、半年後には最低の月給泥棒、権力マニアの政治屋となるのです。
社会的機関において、イノベーションと起業家精神を阻害するのは、社会的機関そのものに内在する固有の力学なのです。
そのよい例示は、企業内の社会的機関ともいうべき企業のスタッフ部門であり、それらの部門の多くは、競争的な市場において成果をあげていた事業部門出身の 人たちによって率いられているのですが、それでも、企業のスタッフ部門は、イノベーションを行うことができないのです。
スタッフ部門は、自らの王国を築くことに長けていて、つねに、より多くの同じ種類のことを行おうとし、すでに行っていることをやめることに抵抗し、自らの地位を確立したスタッフ部門が、あえてイノベーションを行うことは、ほとんどないのです。
当社でも、総務部門はお金を扱っているので、比較的地味であり、保守的であり、イノベーションからはほど遠い現状ですが、会社を大きく変えようとする場合は、総務の過去の状態ではいられないのです。
総務部門においても、他部門どうように、常にイノベーションを起こし続けないと、企業の仕組みが進化しないのです。
特に、人事については、これから将来は非常にイノイベーションを社内で起こすための人事が重要になってくるのです。
その中心にいなければいけない、総務部門こそ、イノベーションを理解し、イノベーションを起こせるような人材の採用、配置、そして、教育に取り組まなければいけないのです。
従って、総務部門はトップのアシスト役でなければいけないので、自らイノベーションを起こし続けることが出来るような体制は必要なのです。
◆予算型事業
社会的機関では、既存の事業がイノベーションの障害となりやすい原因が3つあり、第一に、社会的機関は、成果ではなく予算にもとづいて活動し、自らの活動に対し、ほかのものの稼ぎから支払いを受けるのです。
すなわち納税者や寄付者から支払いを受け、企業の人事部門やマーケティング部門の場合には、同じ企業の事業部鬥から支払いを受けるのです。
その予算は、活動が大きいほど大きくなり、しかも社会的機関の成功は、一般に、業績ではなく獲得した予算によって評価され、活動の一部を切り捨てることは、自らの縮小を意味し、それは地位と権威の低下を意味するのです。
もちろん失敗を認めることはできないだけでなく、さらに悪いことには、目標の達成さえ認めることができないのです。
以上のように、社会的機関においてイノベーションが難しいのは、日本の官僚を見ているとよく分かり、いったん貰った予算は絶対に翌年に回さないで、使い切ることを熱心に取り組んでいるのです。
従って、3月末の年度末が近付くにつれて、あちこちで土木工事が頻繁に行なわれている様子が見て取れます。
これは、予算制度の非常に悪い結果であり、上記のように行き詰まることがなければ、修正出来ないようになっているようです。
普通の企業の場合は、ここまでの問題はないと思います。
画像は、マリナ・ベイ・サンズが夜空に放つレーザー・ショーで、音楽に合わせて、レーザー光が夜空に踊るのです。
豊かな国になったシンガポールの象徴です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。