今回のテーマは「利害関係者、目的の大義化、いくつかの成功例」です
昨日、日曜日は、朝からジェイソンに連れられて、シンガポールの豚肉料理の伝統的な朝食、その後、食材の買い出しに行き、昼食はスタッフの友人夫婦が経営 しているベトナム料理のカフェの繁盛店で昼食を取り、その後、明日からのイベントの会場である、キッチン・スタジオで打合せを行ないました。
スタッフたちは何度もキッチン・スタジオを利用していたのですが、私は初めてであったので、どのような場所で、どのような設備で、どのような内容のイベントをやっているのか、確認をしておきたかったのです。
場所は、余り広くはありませんが、整った設備で、使い易い、考慮された施設でした。
今回のイベントには、遠くは北欧、インドからの参加者もあり、シンガポールは、国際都市だけあり、遠方からの参加者も見込まれ、ほとんどの参加者が、シンガポール国外からの参加者だそうです。
遠方から、時間とお金とリスクをかけて、参加する人たちは、海外から日本の麺学校に参加するような、熱心な人たちだけです。
そして、熱心な人たちほど、成功していて、私が麺学校で生徒さんたちの態度を見ても、応援したくなるのは、熱心な人たちだけです。
例え、外国であろうと、わざわざ店舗を見に行こうと思うのは、そのような人たちだけで、今年もベトナム、カナダ、オーストラリアと見てあげたい生徒さんたちが何人もいます。
国内でも、面白いデータが出始め、当社のユーザーさまの食べログ順位を見ると、食べログの最低ランクの3.0を割った人たちはゼロに近く、県別で食べログトップ、あるいは、トップ・クラスの人たちが多いことが分かりました。
麺学校に参加したり、自家製麺をしようと思うような人たちは、取り組む姿勢が熱心なのです。
そして、熱心だから、成果を上げて、永く繁盛することが出来ていて、永く成功するのは、簡単ではなく、情熱、意志力、忍耐力が必要なのです。
私は現在、イノベーションを深く学んでいますが、必ず、この成果を麺ビジネスに取り入れて、麺ビジネス界にイノベーションを起こすことにより、さらに多くの生徒さんたち、ユーザーさま方を幸せにしたいと考えています。
今回の学びで分かっているように、日本の蕎麦うどん業界が旧態依然としているのは、イノベーションが起きていないからなのです。
古い秩序が徐々に世の中の変化に遅れて、受け入れられなくなっているのです。
この文章を書きながら、昨日デジカメで撮影した画像をPCに取り込んだら、約300枚近くありました。
過去十数年で、デジカメは世の中を変えてしまい、フィルムの時代では撮影した画像をすぐに確認することなどは、絶対に出来ないことでしたが、今は簡単に誰でも出来るようになったのです。
私のPCに残っている一番古い画像は2003年9月からで、その頃から私はデジカメを使い始め、ほぼ毎日、PCに画像を残してきたのです。
それまでは、フィルム・カメラを使っていて、残念ながらそれまでのフィルムの画像は、PCには残っていないのです。
デジカメは世の中の人びとのライフスタイルを変えてしまい、世の中にイノベーションを起こしたのです。
従って、イノベーションかどうかの条件は、世の中を変えることが出来たか、どうかなのです。
当社の麺学校も、もし、麺ビジネスを大きく変えることが出来ると、イノベーションを起こしたことになります。
そのようなイノベーションを起こせるようなことでないと、これからのグローバル化したビジネスでは成功とはいえないのです。
今回もシンガポールへ来て気づいたことがあり、貧富の激しさです。
シンガポールで豊かな暮らしをしているのは、どちらかと言えば、色の黒くない人たちで、華人がほとんどを占め、その中でも一部の知識階級で、熱心に学び、自分自身で、地位を上げた人が成功しているのです。
反対に、色の浅黒い人たちの多くはマレーシア人であり、最も黒い人たちは、インド人であり、この人たちのほとんどは肉体労働者です。
従って、シッカリと学んでいる一部の人たちが更に豊かな生活を享受し、肉体労働で精を出す人たちはいつまで経っても豊かな生活になれないのです。
これは、シンガポールだけではなく、既に始まっている日本の未来でもあり、日々の学びで大きな差がついてくる時代を迎えています。
そのためにも、私は麺学校で経営講義に熱心に取り組んで、麺ビジネスに携わる人たちのマネッジメント・レベルを上げるために躍起になっているのです。
いよいよ本日からは、シンガポールでのイベント(27日(月)~29日(水))がスタートします。
私は本日だけの参加で、今年になってから訪問した、ロンドン、香港、台中、LAの最新店舗のご紹介を致しますので、既存店の方がたにとっても、今から開業する方がたにとっても、世界の最新外食情報を知るチャンスです。
1.「コンセプトの重要性、コンセプトがビジネスの成功を左右する」
2.利益倍増計画~多店舗展開へのステップアップ~
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
◆利害関係者
第2に、社会的機関は、非常に多くの利害関係者によって左右され、市場で製品を販売する企業では、消費者という関係者が、ほかのあらゆる関係者よりも最優先し、株主、従業員、地域社会などの関係者を満足させるのは、消費者を満足させたあとなのです。
企業内のスタッフ部門も含め、社会的機関では、活動の成果が収入の原資になっていないために、あらゆる種類の関係者が、実質的な拒否権をもち、社会的機関 はあらゆる人たちを満足させなければならず、いずれとも不和になる余裕がなく、しかも社会的機関は、事業を開始したその瞬間から、廃止や修正を拒否する関 係者を抱えるのです。
そして新しい事業は、つねに疑いの目をもって見られ、新しい事業は、自らを支持してくれる関係者をもつ前に、既存の事業の関係者から反対を受けるのです。
社会的機関としては、日本の場合は、農協、漁協等の協同組合等も社会的機関で、一部の農協は活発に活動をして大成功しているのですが、大半の農協は、イノベーションが遅れている見本のような存在になってしまっているのです。
労働組合も同様で、今日では本来の役割をほぼ終えてしまっているので、新しい使命を設けて、イノベーションを起こすと、新しい未来型の労働組合が出来るのですが、誰もそれをやろうとはしないのです。
こうして考えると、社会的機関だけではなく、企業も売上を右肩下がりで落とし続けている場合は、その役割が世の中の求めているものと合っていないので、社 会的機関であろうと、企業であろうと、その提供する商品、サービスが、世の中が求めるものでなければならず、世の中のニーズと合っていることは絶対なので す。
◆目的の大義化
第3に最も大きな障害として、つまるところ、社会的機関は、善を行うために存在するので、自らの使命を道義的な絶対的存在とみなし、経済的な費用効果の対象とはみなさないことを意味するのです。
経済の世界では、より大きな成果を得るために、つねに資源の配分を変え、すべてが相対的ですが、社会的機関においては、より大きな成果などというものは存 在せず、善を行うのであれば、より大きな善などというものはなく、善を求める活動において目標を実現できないということは、努力を倍加すべきことを意味 し、予想した以上に悪の力が強かっただけのことであり、さらにいっそう闘わなければならないのです。
何千年も前から、あらゆる宗教の伝道師たちが、肉欲に克つべきことを説いてきたのですが、ほとんど成功していないこの事実は、彼らの活動の是非にとっては 関係のないことであり、確実に成果を生むことのできる使命に力を入れるべきであるといっても、耳は貸してもらえないだけで、努力を倍加すべき理由にされる だけであり、肉欲に克ことは、倫理の問題であって、費用効果を超えた絶対のものであるのです。
もちろん、自らの目標をこれほど絶対視している社会的機関は、それほどはないのですが、企業の人事や製造部門のスタッフでさえ、自らの任務は善を行うこと であり、費用効果を超えた絶対のものであると考える傾向があり、つまり社会的機関は、最適化ではなく最大化を目指すのです。
したがって、飢餓撲滅運動のリーダーは「地球上に飢えている子供が1人でもいるかぎり、われわれの使命は終わらない」とし、「現在の配給システムが到達し うる地域の子供たちの可能なかぎり多くが、発育不全にならないだけ食べられるようになれば、われわれの使命は終わる。」と言おうものなら、リーダーの地位 を追われるだけであるのです。
目標が最大化にあったのでは、目標はけっして達成されることがなく、それどころか、達成に近づくほどいっそうの努力が求められるのは、目標の75パーセン トあるいは80パーセントという最適値を超えるや、得られる成果は指数関数的に小さくなり、必要とされるコストは指数関数的に大きくなるからであるので す。
こうして、社会的機関は目標の達成に近づくほど不満を感じ、よりいっそう力を入れることになり、しかも成果があがらなくとも、成果があがっているときと同じように行動するのです。
社会的機関は、その目標の成否にかかわらず、イノベーションや新しい事業を、自らの基本的な使命、存在、価値、信念に対する攻撃として受けとり、これがイ ノベーションにとって深刻な障害となり、これこそが、社会的機関におけるイノベーションが、なぜ既存の機関からではなくベンチャー的な機関から生まれるか の理由であるのです。
その最もよい例が、おそらく労働組合であり、先進国では、今世紀最も成功した社会的組織は労働組合であり、それは明らかに所期の目的を達成し、先進国にお いてGNPに占める労働者の取り分が90パーセントにおよび、オランダをはじめとするいくつかの国においてはほぼ100パーセントになっている今日、もは やより多くの取り分は残っていないのです。
しかるに今日、労働組合は、新しい挑戦、目標、貢献について検討することさえできず、彼らが行うことは、相も変わらず昔からのスローガンを繰り返し、昔な がらの闘いをするだけで、労働者の大義は絶対の善だからで、見直すことはもちろん、考えてみることさえしてはならないのです。
大学も、労働組合に次ぐ成功と成長を実現したために、労働組合と同じ状況にあるのです。
社会的機関でも、成果を上げる必要性、重要性は企業の場合と変わらず、時代、時代に合った明確な目的がないと、社会的機関も世の中の荷物に成り下がるだけなのです。
最近、国内で話題になっているNHKも社会的機関の一つであり、多くの国民から税金徴収と同じような形で、視聴料を集めているので、国民からの理解を得ることは欠かせないのです。
社内においても、総務部門等は同じことが言えるのです。
◆いくつかの成功例
もちろん社会的機関のなかには、既成の大組織を含め、イノベーションを行っているものも多く、アメリカのあるカトリック司教区では、百貨店の元人事担当副 社長などの既婚女性を事務長に任命するとともに、秘蹟(サクラメント)を除くあらゆる活動を一般信者に任せていて、その結果、全米の司教区が司祭不足に悩 んでいるなかにあって、この司教区だけは司祭の数に余裕があり、秘蹟を充実させているのです。
科学団体のなかでも最も歴史のあるアメリカ科学振興協会は、1960年から80年にかけて自らの性格づけを変え、科学界のリーダーとしての地位を維持しつ つ、国民的組織へと脱皮し、そして週刊の機関誌『サイエンス』を、科学政策に関する権威ある解説誌、素人にもわかる充実した大衆誌へと刷新したのです。
アメリカ西海岸のある大病院は、1965年頃、アメリカの医療制度がまさに医療の成功の結果、変化しつつあることを知り、ほかの都市部の病院が病院の チェーン化や外来診療センターの設立という趨勢に抵抗していたなかで、進んでイノベーションを行い、変化の先頭に立ち、アメリカではじめて宿泊中心の格安 の妊産婦センターを設置し、外来の外科センターをつくり、マネジメント上のサービスを中心にして、地域の小病院をチェーン化したのです。
今世紀初めに創設され、数百万人の隊員を擁するアメリカのガールスカウトは、1975年頃から、隊員、活動、ボランティアの3本柱についてイノベーション を行い、黒人、アジア系、ラテン系の女の子たちの隊員を募集し、その結果、今日ではマイノリティの子供たちが、全隊員の5分の1を占めるにいたったので す。
また、女性が専門職や経営管理者の地位に就くことが一般化したことを受けて、主婦や看護婦に加えてキャリアウーマンを役割モデルとすべきことを認識し、訓練プログラムの内容を変えたのです。
ガールスカウトは、自らの活動にとって決定的な制約要因であるボランティアの供給源だった専業主婦の母親の減少にも見舞われたのですが、ガールスカウト は、社会進出した母親たちが一つの機会であり、彼女たちに提供しうるものがあることを知り、ボランティアとしての仕事を、働く母親たちにとって、自分の子 供と楽しみつつ、その成長に手を貸すための魅力ある機会としたのです。
さらには、まだ小さな自分の子供に十分な時間を割けない働く母親たちのために、就学前の女の子を隊員とするスカウトをつくり、こうしてガールスカウトは、 隊員とボランティアを減少させるどころか、増加させたのですが、その間、歴史があり資金的にも豊かで、規模も大きかったボーイスカウトは、低迷を続けてい たのです。
以上のように、社会的機関も役割が明確である場合と、役割が明確でない場合では、結果がまったく異なるのです。
従って、役割分担、目的の明確化は欠かせないのと、企業と同じように、イノベーションの機会を探っていかないと、いつかは時代遅れになり、不要な存在になってしまい、弱体化するのです。
画像は、昨日訪問した、当社のスタッフの友人がやっていて、非常に繁盛しているベトナム料理のカフェで提供している牛肉のフォーです。
優しい味が、非常に美味しかったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。