本日のテーマは、「新しいチャレンジ」です。
私の元々の専門分野は機械工学で、メカニズムの設計が大好きで、自動機械の設計を行なっていると、時間が経つのを忘れてしまっていました。
今でも、メカニズムにはたいへん興味があり、面白いメカニズムを見ると、つい写真を撮り、面白い機械、素晴らしいデザインに遭遇すると、エンジニア魂に火が付くのです。
そのようなエンジニアであった私もいつしか、麺の虜になり、一時期は麺の研究にどっぷり浸かっていましたし、機械工学の金属工学の理論を取り入れて、美味しい麺作りのメカニズムを探り当て、美味しいうどん作りの熟成工程を完成させたのです。
そして、麺の美味しさを求めて、日本中の美味しい店の行脚をしたこともあります。
麺の美味しさだけではなく、料理としての麺に興味を持ち、盛付のきれいさの研究にも熱心に取り組んでいます。
次に、麺専門店の繁盛に興味を持ち、自社の経営の勉強も兼ねて、マネッジメントを深く学ぶようになり、ダイアモンド社のドラッカー塾に2年間通ったのです。
マネッジメントを深く学ぶことにより、マーケテイングとイノベーション、そして生産効率の追求の3本柱の大切さを知り、マーケテイングとイノベーションを深く追及しているところです。
更に、マネッジメントの分野で、これからの時代は、サービス・マネッジメントの追求が欠かせないことが分かり、サービス・マネッジメントを深く追及すると、社員満足度、社員ロイヤルテイの追求が更に重要なことが分かったのです。
昨年1年間は、主に、サービス・マネッジメントの深掘りを行なった1年間で、今年はイノベーションの深掘りを行なっているのです。
昨年1年間、サービス・マネッジメントの深掘りを行なった結果、明確になったことは、サービス・マネッジメントは利益の確保に深く関係し、サービス・レベルを上げることにより、利益も同時に確保出来ることでした。
これを分かり易く説明しているのが、SPC(Service Profit Chain)の善循環の概念で、①社内サービスのレベルの質の向上により、②従業員満足度が向上し、③従業員ロイヤルテイが向上し、④従業員の定着が向上し、従業員の生産性向上し、⑤外部サービスの価値が向上し(顧客価値の向上)、⑥カスタマー満足度が向上し、⑦カスタマー・ロイヤルテイが向上し、⑧企業の収益性と成長性を向上させ、⑨上記の①に繋がるのです。
そして、上記の従業員満足度を高める①の社内サービスの項目は次の通りです。
1.職場環境
2.業務内容/意思決定における判断の自由
3.選抜採用と教育開発
4.報酬と評価
5.情報とコミュニケーション
6.カスタマーにサービスを提供する場合の適切なツール
上記の中で、当社のような中小企業にとって難しいテーマは、上記4の報酬と評価だったのです。
ところが、社員満足度を高める上では、欠かせないことが明確に分かり、今は明確な基準作りに取り組んでいるところです。
20年前にも、このテーマに取り組み、過去、仕事調べを社内で何でも行ない、これに対する研究も行なってきたのですが、その頃とは、世の中の価値感も大きく変わり、仕組み自体を作り直さなければいけない時期になったのです。
このような仕事は、本来であれば、社内の総務部門、人事部門が深く研究すべきテーマではあるのですが、当社のような企業ではまだ、この部門を深く追求してくれる人材が揃っていないので、最近、この分野の本を何冊も買ってみました。
すると、中小企業の現役の経営者が、苦労しながら作り上げた面白い事例をまとめ上げた書籍に遭遇したのです。
以前から、私は何か自分の知らない、得意でない分野のことを深く追求しなければいけない場合は、本屋でその分野について書かれている本を何冊も買って来ます。
それらを熟読していると、正しいことを書いている、わずかな本に遭遇します。
今回も1冊だけが、たいへん参考になり、その本の中に書かれていたのが、下記のような調査データでした。
「あなたは、どういった仕事にやりがいや幸福感を感じますか?」
1.自分だけにしか出来ない仕事 23.60%
2.新しいスキルやノウハウが身に付く仕事 22.90%
3.報酬の高い仕事 18.80%
4.自分の実績として誇れる仕事 17.10%
5.お客さまから感謝される仕事 15.50%
6.その他 2.10%
(日本財団「本当に幸せな働き方」アンケートより)
「あなたにとって、働き易い職場は?」
(総合ランキング・ベスト5)
1位 社内コミュニケーションが取り易い 54%
2位 裁量が大きく、成果は問われるが、任せて貰える 44%
3位 会社のビジョンが明確になっている 43%
4位 福利厚生や手当が整っている 38%
5位 やり方、進め方などのルールがシッカリ決まっている 26%
以上のように、良い書籍は知らないことをたくさん教えてくれ、新しいチャレンジへの道標になってくれるのです。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
◆限界とリスク
この関所戦略には、厳しい限界とリスクが伴い、そもそもそれは、静的な空間であり、ひとたびその適所を占めてしまえば、大きな成長は見込めず、関所の地位を占めた企業が、勝手に事業を拡大したり、変えたりすることはできないのです。
いかに優れ、いかに安くとも、需要は、その製品が組み込まれているプロセスや製品への需要によって規定されるのです。
このことは、アルコンにとってさほど深刻な意味はなく、白内障は景気の影響を受けないのですが、油井の火災防止装置メーカーは、1973年に石油掘削が急増したときと、1979年に石油ショックが起こったとき、巨額の設備投資を余儀なくされたのです。
ブームが長続きするはずはなかったし、投資しても回収できないことは明らかだったのですが、投資にせざるを得なく、投資しなければ市場を失い、2度と取り返せないかもしれなかったのです。
しかしその数年後、現実に石油ブームが去り、年間の油井掘削が80パーセント減少し、それとともに火災防止装置の需要が激減したとき、なす術はまったくなかったのです。
関所戦略は、ひとたび目標を達成してしまえば、すでに成熟期にあり、最終需要者の成長と同じ速さでしか成長できないのですが、需要の減退は急速に起こり得て、需要を満たすほかの方法が発見されるならば、ほとんど一夜で陳腐化するのです。
デューイ&アルミーは、缶詰の缶が、ガラス、紙、プラスティックの容器に取って代わられたり、冷凍や放射線照射による食物保存の方法が現れても、講じるべき対策がないのです。
しかも、関所戦略をとった者は、その独占を濫用することができず、山賊となって、山すその細道や峡谷を通る無防備な旅人を、強奪したり凌辱することを許されず、独占を濫用して、顧客を搾取、強要、虐待することが、できないのです。
もし、そのようなことをすれば、ユーザーは別のメーカーを招き入れるか、あるいは、たとえ優れたものでなくとも、ほかの製品に切り替えるのです。
正しい戦略は、デューイ&アルミーが、すでに40年以上にわたりとってきた戦略であり、同社は、広範囲の技術サービスを提供し、ユーザーの従業員を訓練し、同社の材料を使用する製缶機械や缶詰機械の設計まで行ない、しかも、絶えず品質の向上をはかっているのです。
関所戦略においては、関所の周りを固めてしまう、デューイ&アルミーの戦略は、非常に的を得た戦略であり、ここまで関所の周りを固めてしまうと、追随者の参入障壁は限りなく高くなり、参入はほぼ不可能になるのです
関所は難攻不落であるのですが、その守備範囲は狭いのです。
そのためアルコンは、この限界を乗り越えるべく、人工涙、コンタクトレンズ用液、非アレルギー性点眼薬など、目に関するあらゆる消費財へと多角化していったのです。
それらの新事業は、スイス系多国籍企業の大手消費財メーカー、ネスレの関心を誘い、巨額の資金で買収されるにいたったというかぎりにおいては、成功だったのです。
ドラッカーの知るかぎり、アルコンは、関所戦略で成功しながら、自らが占拠した関所以外の市場において、関所とならない製品でも成功した、唯一の企業ですが、アルコンにとって、経験のない競争の激しい消費財市場に多角化したことが本当に利益になっていたかどうかはわからないのです。
関所戦略の場合の問題点は、時代の流れを敏感に読み取り、1つの関所戦略で成功したら、その余力のあるうちに、次の新しいニッチの関所を見つけることであるのです。
決して、油断することは出来ないし、一つの関所だけに依存していると、上記の油井の火災防止装置メーカーの事例のように、景気の変動を受けて、危うい状態になりかねないのです。
2専門技術戦略
大手の自動車メーカーの名前を知らない人はいないのですが、電気系統システムを供給する部品メーカーの名前を知っている人はほとんどいないし、それら部品メーカーの数は、自動車メーカーよりも少なく、アメリカではGMのデルコ・グループ、ドイツではロベルト・ボッシュ、イギリスではルーカスなどであるのです。
たとえば、ミルウォーキーのA・O・スミスが、何十年も前から乗用車のフレームをつくってきたことや、ベンディックスが、同じく何十年も前からあらゆる種類のブレーキをつくってきたことを知っている人は、自動車産業の外にはほとんどいなく、今日では、これら部品メーカーのすべてが、歴史のある企業になっていて、自動車産業とともに育ってきたからであるのです。
これらの部品メーカーは、第1次大戦前の自動車産業の揺籃期に、その支配的地位を確立し、たとえばロベルト・ボッシュは、ドイツの自動車産業の先駆者たるカール・ベンツや、ゴットフリート・ダイムラーの友人であり、1880年代に会社をつくっていたのです。
現在でも、自動車の部品メーカーはより専門化し、グローバル化し、規模が巨大になり、規模の大きい自動車部品メーカーは、規模の小さい自動車会社よりも大きくなっているのです。
最近の内燃機関から、電池自動車の時代になり、部品メーカーへの新規参入はハードルが高く、ほとんどないのですが、自動車メーカーへの新規参入は次々と起きているのです。
◆自らが基準となる
これら歴史のある自動車部品メーカーは、その専門技術によって、生態学的なニッチにおいて支配的地位を獲得すると、その地位をずっと維持してきて、部品メーカーが獲得したニッチは、前述の関所戦略をとった企業の市場よりもかなり大きかったが、それでもかなりユニークな市場で、それら部品メーカーは、優れた技術を開発することによって、かなり早い時期に市場を獲得したのです。
A・O・スミスは、第1次大戦からその直後にかけて、自動車のフレームの製造において、今日いうところのオートメ化を実現し、ドイツのボッシュがメルセデスの軍用車両のために1911年頃設計した電気系統システムは、あまりに先進的であって、高級車においてさえ一般に使われるようになったのは、第2次大戦後だったのです。
オハイオ州デイトンのデルコは、1914年にGMに合併されるよりも前に、セルフスターターを開発していたのです。
これらの部品メーカーは、その専門技術によってあまりに先行しているために、ほかの企業にとっては挑戦する価値がなくなっていて、これらの部品メーカー自体が、すでに技術の基準となっているのです。
もちろん、専門技術によるニッチ戦略は、製造業に限定されることはなく、ここ10年間に、主としてオーストリアのウィーンの商社が、かつてバーターと呼ばれ、今日、カウンタートレードと呼ばれている分野で同じようなニッチ市場を手にしているのです。
すなわち、先進国企業からの機関車、機械、医薬品輸出に対する代金として、ブルガリア産のタバコやブラジル製灌漑用ポンプなど、途上国の輸出品を受け取っているのです。
さらに昔、ある起業家的なドイツ人が、きわめて専門的な技術によって、今日にいたるも、当人の名前をつけた「ベーデカー」なる観光用ガイドブックをつくり、大きなニッチ市場を得ているのです。
以上のように、ビジネスの世界においては、技術分野においても、技術以外の分野においても、常にイノベーションの芽を見つけ続けることが、勝ち残るための必要最低条件なのです。
昨日は本社で、次つぎと来社されるお客さまの応対をしておりました。
画像は、オーストラリアから来られた、ラーメン学校の生徒さんで、新しい店舗の相談に乗っていたのです。
新しいチャレンジに向かって、元気一杯でした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。