本日のテーマは、「トップを目指し、トップを守り切る」です。
昨日は舞台を仙台に移し、仙台でのイベントでセミナーを行ない、本日は最終日で、私のセミナーは午前9時半と午後2時の2回あります。
(https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/dream-studio-sendai/)
私は過去のビジネス体験で、トップを目指すことも大切ですが、トップを守り切ることもそれ以上に大切であると信じています。
幾ら、過去トップになっても、後から来た新規参入者にトップを奪われると、2度と復帰することは出来ないのです。
従って、一度トップになると、トップを守り切ることが絶対に欠かせないのであり、麺業界ではセルフうどんのジャンルで、過去「はなまる」がトップであったのですが、後から参入した「丸亀製麺」にトップを奪われると、2度と返り咲くことは出来ないだけでなく、トップとの差は開くばかりです。
古い話では、昔日本の自動車業界ではトヨタと日産は、ほぼ差がなかったのですが、トヨタが完全にトップになると、その差は開くばかりで、現在トヨタは日産のほぼ3倍の売上なのです。
そのトヨタも昨年は、世界でトップであったのですが、本日ネットで見つけた面白い記事では、次のような情報が配信されていました。
-2014年(1月~12月)新車販売台数ランキング-
自動車メーカーの世界での2014年新車販売台数が出そろいました。「トヨタグループ」が3年連続で首位となりました。
1位の「トヨタグループ」が1023万台、2位の「フォルクスワーゲングループ」が1014万台と共に初の1000万台を突破しました。
「トヨタグループ」の世界一の地位も2015年には「フォルクスワーゲン・グループ」の猛追により抜かれそうです。
「フォルクスワーゲン・グループ」は、2000年代中頃まではドイツ企業らしい堅実な経営をしていましたが、最近は高い目標を掲げ、積極果敢に設備投資をする肉食系の企業に変身しています。
1度抜かれると再び追い抜くのは厳しそうです。
というのは「フォルクスワーゲングループ」には、グループ内に「アウディ、ポルシェ、ベントレー、ランボルギーニ」などの凄い高級車メーカーがあるからです。この物凄いラインナップに対抗するのは至難の業です
2014年世界販売台数ランキング(カッコ内は対前年比)
01位 トヨタ自動車グループ(日) 1023万台(3%)
02位 フォルクスワーゲングループ(独) 1014万台(4%)
03位 GMグループ(米) 992万台(2%)
04位 ルノー・日産グループ(仏・日) 847万台(3%)
05位 現代自動車グループ(韓) 771万台(5%)
06位 フォード(米) 632万台(0%)
07位 フィアット・クライスラー・オートモービルズ(伊・米) 461万台(6%)
08位 本田技研工業(日) 436万台(2%)
09位 プジョーシトロエングループ(仏) 294万台(4%)
10位 スズキ(日) 288万台(7%)
◆ トヨタ自動車グループ(日本)
トヨタ自動車(915万台)、ダイハツ工業(92万台)、日野自動車(17万台)の合計です。
◆ フォルクスワーゲングループ(ドイツ)
フォルクスワーゲン、アウディ、シュコダ(チェコ)、その他グループ会社の合計です。
◆ GMグループ(アメリカ)
ビュイック、キャデラック、シボレー、GMC、オペル(ドイツ)、その他グループ会社の合計です。
◆ ルノー・日産グループ(フランス・日本)
ルノーグループ(271万2432台)、日産自動車(531万0064台)、アフトワズ(ロシア/44万8114台)の合計です。
◆ 現代自動車グループ(韓国)
現代自動車と傘下の起亜自動車の合計です。
◆ フィアット・クライスラー・オートモービルズ(イタリア・アメリカ)
フィアットグループとクライスラー(280万台)の合計です。
ドイツ高級車ブランド御三家
ドイツの高級車ブランドの御三家と言えば誰もが知っている「BMW、アウディ、メルセデスベンツ」です。
世界で4番手のトヨタ自動車の「レクサス」も頑張っていますが、「BMW、アウディ、メルセデスベンツ」は共に「レクサス」の約50万台の3倍以上の販売台数を誇っているので、世界の高級車ブランドの御三家です。
「BMW、アウディ、メルセデスベンツ」のグループ会社の別のブランドを除いた純粋のプレミアムブランドだけの2014年の世界新車販売台数はどれくらいか興味があると思います。
1位はBMWブランドで、2005年から10年連続首位です。2位はアウディブランド、3位はメルセデスベンツブランドとなっています。
「アウディ」は、「フォルクスワーゲングループ」です。フォルクスワーゲングループの最大の強みは、グループに高級車メーカーの「アウディ」がある事です。
プレミアムブランドでも、昔はベンツがトップであり、BMW、AUDIはそれほど強いブランドではなかったのですが、一度抜かれると、再度、抜き返すのは、至難の技なのです。
2014年世界販売台数ランキング(カッコ内は対前年比)
1位 BMWブランド 181万1719台( 9.5%)
2位 アウディブランド 174万1100台(10.5%)
3位 メルセデスベンツブランド 165万0010台(12.9%)
注目したいのは対前年比の伸びです。伸び率が非常に高い事が分かります。中国をはじめ世界中で富裕層が急増しているためです。
プレミアムブランドは、1台当たりの利益率や利益額が非常に高いです。日本のメーカーもトヨタ自動車の「レクサス」、日産自動車の「インフィニティ」、本田技研工業の「アキュラ」と頑張っていますが、残念ながらドイツの高級車ブランドの御三家が強すぎます。
以上のように、世界最強と思われているトヨタもプレミアムブランドでは苦戦し、現在では、自動車業界のトップの座も厳しくなってきているのが現状で、トヨタの現在は、トップを守り切ることが何より重要なのです。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
3顧客戦略
◆GEとマコーミック
大型蒸気タービン市場におけるGEのリーダー企業としての地位は、第一次大戦前、顧客の事情を徹底的に検討することによってもたらされ、発電用として、それまでのピストンエンジンに代わって登場した蒸気タービンは、設計上、高度のエンジニアリングを必要とする複雑な装置で、調達した電力会社がメンテナンスしきれるものではなかったのです。
電力会社は、新しい発電所を建設する5年から10年ごとに蒸気タービンを調達するのですが、そのためには技術的なバックアップが必要で、蒸気タービンのメーカーがコンサルティングのための大きな支援チームを組織し、維持しなければならなかったのです。
アメリカの法律では、電力会社が大きな支出をする場合、州の公益事業委員会の許可が必要であったので、電力会社は、コンサルティングには金を払えず、各州の公益事業委員会は、そのような仕事は電力会社自らが行うべきであると判断していたのです。
各州の公益事業委員会が認めなかったので、GEは、コンサルティング費用を請求できず、一方、蒸気タービンそのものの寿命にかかわらず、ブレードは5年から7年ごとに替えなければならず、しかもブレードは、蒸気タービンを製造したメーカーから調達しなければならなかったのです。
そこで、GEは発電所向けの世界一のコンサルティング部門をつくり、コンサルティング部ではなく、関連機器販売部と名づけ、しかもこのコンサルティング部門は、電力会社に対するサービスについて代金を請求せず、蒸気タービンそのものの価格も、競争相手より高くせず、GEはコンサルティング部門のコストと利益を交換用ブレードの価格に上乗せしたのです。
10年もたたないうちに、ほかのメーカーもこのシステムを理解し、真似を始めたのですが、その頃には、すでにGEが世界市場においてトップの地位を占めていたのです。
以上は、お金の貰い方に関する戦略であり、最終的に必要とする額を入手出来れば良いのであり、お客さまの事情に合わせ、お客さまが納得できる貰い方に変え、最終的にライバルに打ち勝ったのです。
但し、この方法であれば、回収に時間がかかるので、資金に余裕がない会社には難しい方法であるのです。
このようにさまざまな戦略は資金余裕のある場合と、そうでない場合であれば、資金余裕がないと、取れる戦略の範囲が狭まるのです。
このGEのはるか前の1840年代、顧客の事情に対応するという同じ考え方が分割払いなるものを生み出したのです。
サイラス・マコーミックは、収穫機を発明した大勢の1人にすぎず、需要があることは確かだったのですが、ほかのメーカーと同じように、彼も製品を売ることができなかったのは、農民に購買力がなかったためであったのです。
収穫機の代金が2、3年で回収できるのは、誰にもわかっていたのですが、当時、農機具代を農民に貸す銀行はなく、そこでマコーミックは、3年の分割払いで売ることにした結果、農民は彼の収穫機を買えるようになり、事実、買ったのです。
一般的に、メーカーは(経済学者、心理学者、道徳家と同じように)、合理的に行動しない顧客についてこぼすのですが、合理的に行動しない顧客など存在でず、昔からいわれるように、存在するのは無精なメーカーだけであり、顧客は合理的に行動し、単に、顧客の事情がメーカーのそれと異なるだけであるのです。
公益事業委員会の規則や規制は、意味のない恣意的なものに思われるかもしれないのですが、公益事業委員会監督のもとに事業を行わなければならない電力会社としては、それは現に存在する事実であるのです。
アメリカの農民は、1840年代の銀行が考えていたよりも、信用力はあったかもしれないのですが、当時のアメリカの銀行が、農民の設備投資に対し融資をしなかったことも事実だったのです。
イノベーションのための戦略は、それらの事実が、顧客にかかわりを持つかぎり、不可避の事実として認めるところから始まり、顧客が買うものは、それが何であれ、彼らの事情に合ったものであり、事情に合ったものでなければ、何の役にも立たないのです。
現在は以上のような時代と異なり、ビジネスを始めるバックグラウンドは、至れり尽くせりに準備されていて、非常に恵まれているのです。
ただ一つ、上記の時代と異なるのは、ビジネス自体が非常に複雑になっていて、われわれは、多くのことを学ばないと成功しないということなのです。
時代の移り変わりの速度が高速になり、ビジネスがグローバル化し、自動車メーカー等もグローバル化に遅れたメーカーが淘汰されてしまい、その典型的な事例はイギリスの自動車メーカーであり、ほとんどのイギリスの自動車メーカーは消えるか、他の自動車メーカーに買収されたにもかかわらず、日本のほとんどの自動車メーカーが生き残っているのは、グローバル化で成功したのです。
特に、自動車業界で最後発のホンダが、現在、日本では2位、世界では8位になっているのも、グローバル化の成功なのです。
4価値戦略
起業家戦略としての価値戦略は、メーカーにとっての製品ではなく、顧客にとつての価値を提供することで、この戦略は、顧客の事情を、顧客が買ってくれるものの一部として受け入れるという前述の戦略の延長線上にあるのです。
アメリカ中西部のある中堅企業は、ハイウェイ建設用ブルドーザー、露天掘りの表層土除去用重機械、炭鉱の石炭運送用大型トラックの潤滑油の半分以上を供給していて、この潤滑油メーカーは、あらゆる種類の潤滑油を揃えている大手石油会社と競争関係にあり、このメーカーが成功しているのは、単に潤滑油を売ることによってではなく、このメーカーは一種の保険を売っているのです。
土木業者にとっての価値は潤滑油そのものではなく、機械の稼働であり、大型機械が動かなくなるために失われる時間は、潤滑油の年間費用をはるかに上回る損失をもたらし、そもそも請負契約そのものが、工期を正確に算定し、寸刻を惜しむことを前提にしていて、ペナルティは厳しいのです。
その中西部の潤滑油メーカーは、そのような土木業者のために、機械のメンテナンスについて分析を行ない、次に、年間のメンテナンス計画と費用を示し、潤滑油を原因とする年間稼働時間の損失を一定時間内に抑えることを保証するのです。
もちろん自社の潤滑油の使用を前提とするので、土木業者が買うのは潤滑油ではなく、彼らは、稼働時間という、彼らにとって最も大きな価値を買うのです。
最後の例は、いわば製品からシステムへの移行というべきものであって、ミシガン州ジーランドのハーマン・ミラーの例であり、ハーマンミラーは、イーメス椅子なるオリジナル・デザインの椅子メーカーとして有名になったのですが、ほかのメーカーがオリジナルの椅子に進出してくるや、一般企業や病院のオフィス全体を売るようになり、大きな成功をおさめ、さらにその後、未来オフィスなるものが流行しはじめると、施設マネジメント研究所を設立し、仕事の流れ、生産性、労働環境、コストの観点から、オフィスのレイアウトとオフィス機器に関するアドバイスを売るようになり、同社は、顧客にとっての価値を明らかにしたのです。
「顧客が実際に買っているものは、仕事や志気や生産性である。したがって代金も、それらのものに対してでなければならない。」と言っているのです。
当社のような製麺機メーカーにとっても事情はまったく同じで、お客さまが買うのは、製麺機ではなく、美味しい麺が簡単に誰にでも作れ、安定的に供給されることであり、最終的に美味しい麺作りを通して、永く繁栄することであるのです。
そのためには、美味しい麺作りのノウハウはもちろん、性能の良い、安全で、使い易い製麺機、365日年中無休のメンテナンス、麺学校でのデジタル・クッキング、商品力アップ等のテクニック、ノウハウの習得、経営講義でのマネッジメントの理解等が欠かせないのです。
当社はそれらの麺専門店の経営者に必要なテクニック、ノウハウの提供をすべて行っており、更に、グローバル化に合わせて、それらを海外に広げているのです。
われわれのビジネスの先輩には、既にグローバル化で成功した、日本の自動車メーカーと、グローバル化で失敗した、日本の家電メーカーの貴重な教訓があるのです。
失敗した先輩たちの轍を踏まないためにも、われわれは常に学び続けなければいけないのです。
画像は、ラーメン学校とユニバーサル麺学校の卒業生であり、当社のユーザーさまでもある、福島県の鈴木さんがたくさんプレゼントしてくれた、デザイン入りの懐中電灯です。
鈴木さんが手作りで作ってくれたそうですが、何百個もプレゼントして戴き、社員全員で分けさせて戴きました。
いつもたいへん熱心で、学び好きで、素直で、プラス発想の素晴らしいお客さまです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。