本日のテーマは「成功する店舗作り」です。
シンガポールのラーメン学校の経営講義で使用するコンテンツを「ラーメン、うどん、蕎麦店の教科書」より抜粋しますが、本日は第6章「店舗作り」からです。(http://www.yamatomfg.com/book/schoolbook.php)
第6章 店舗作り
最初は、勝ちパターン(成功しているビジネス・モデル)と立地の関係で、ビジネス・モデルと立地は非常に密接な関係があり、その立地ゆえに、そのビジネス・モデルがうまく成立しているのであって、立地を変えるとそのビジネス・モデルが成り立たない場合がほとんどで、このことを理解していないため、繁盛しているお店をいくら上手にコピーしても、商圏が変われば成功しないのです。
例えば、駅中の立ち食いのお店は、あの立地だから成立するのであって、郊外や地方では成り立たないのです。
過去、私が見聞きした勝ちパターン(良いビジネス・モデル)の幾つかの事例と立地の主な関係は、以下の通りです。
①有名なラーメン店は、40席以上の都心型
全国的に知られ、国内・海外に多数展開している有名なラーメン店は、すべて都心型で、席数は40席以上です。
②9席で40回転できるラーメン店は、都心の一等地型
最近、席数の少ないラーメン店を開店される方が増えていますが、家賃の高い、お客様の数の多い都心での勝ちパターンであり、郊外や地方では成り立ち難いのです。
③立ち食い店も家賃の高い特殊立地だけで成り立つ
立ち食いのような、お手軽志向の典型的なお店は、人通りの多い便利な一等地だけで成立する勝ちパターンです。
④郊外のセルフうどん店は80席以上で、駐車場が取れる500坪タイプ
セルフサービスのうどん店を見て、投資金額が低そうだと勘違いされる方が多いのですが、実際は反対で、客単価が低い分、店舗規模が大きくなり、投資金額も多くなります。
⑤都心のセルフうどん店は50席以上
都心型のセルフうどん店であれば、郊外型よりもお客様の数が多い分だけ少ない席数で成立しますが、それでも50席以上は必要です。
⑥郊外の家族を集客する店舗は50席以上
郊外型の家族を集客する店舗の場合は、50席以上ないと十分に収容出来ず、家族連れの場合は客席回転率が減少するので、席数が重要な要素になります。
⑦海外での出店の場合も50席以上
日本人のサラリーマンの場合は、店内で食べる時間が非常に短く、客席回転率は1時間に3~5回転するのですが、海外の場合はランチで1時間は当たり前なので、海外の場合も席数が充分にないと麺専門店でも成り立たないのです。
また立地は、コンセプトによってまったく異なり、立地について漠然と考えている人が多いのですが、どのようなコンセプトで、どんなお客様をターゲットにするか明確にしましょう。
基本的にビジネスは、上質志向とお手軽志向の2種類だけで、ほとんどビジネスは上質でもなく、お手軽でもなく、中間の不毛地帯でやっているために、うまくいっていないのです。
家賃と売上の関係は、上質志向の店舗では相関関係がないのですが、お手軽志向の店舗では、家賃の高い場所ほど、売上が高くなる相関関係があり、立ち食いのようなお手軽志向のお店は、家賃(坪家賃)の高いところほど、成功しやすいのに比べて、上質方向のお店は、家賃(坪家賃)と売上(坪売上)の相関関係はあまり見られません。
このように、お店のコンセプトが明確になる前に立地は決められず、価値観、使命、コンセプトと立地には、明確な関係性があり、お店のコンセプトの違いによって、来店されるお客様の特性が変わります。
したがって「価値感>使命>コンセプト>お客様>立地」の関係が成立し、立地を決めるのは、魚釣りとまったく同じで、どんな魚(お客様)を釣ろうとするかによって異なってきます。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
3トップ・マネジメント・チームの構築
市場において、しかるべき地位を確立し、しかるべき資金構造と財務システムを確立するにもかかわらず、数年後、深刻な危機に陥ることがあり、まさに確立した事業体として成功し、成人したかに思われたそのときに、理解できない苦境に立ち、製品は一流、見通しも明るいのですが、事業は成長しないで、収益や財務体質などの重要な分野で成果があがらないことがあり、ほとんどの経営者は、この原因が分からずに、下記のマネッジメント・チームの構築以外のところに原因を求めるのですが、私もドラッカー・マネッジメントを学ぶ前は、トップ・マネッジメント・チーム結成の必要性等は、考えたこともなかったのです。
◆トップ・マネジメントの欠落
原因はつねに同じであり、トップ・マネジメントの欠落であり、企業の成長が、少人数でマネジメントできる限界を超えてしまった結果であり、今や、トップ・マネジメントのチームが必要であるのですが、実際には、そのときすでに、適切なトップ・マネジメントチームがなければ、手遅れであり、生き延びることで精一杯となり、たとえ生き延びたとしても、不治の機能障害に陥るか、少なくとも数年は出血がとまらず、志気は衰え、従業員は幻滅し、熱気は失われ、事業をつくり、築き上げた創業者は追い出され、辛い思いをするのです。
◆対策
対策は簡単であり、トップ・マネジメントチームが必要となる前に、前もって構築しておくことであり、チームは一夜ではできず、機能するようになるには時間がかかり、チームは相互信頼と相互理解でできるのですが、そのためには数年を要し、私の経験では3年以上かかるのですが、成長しつつある小さなベンチャー・ビジネスがトップ・マネジメントチームをもつ余裕はなく、立派な肩書と、相応の報酬を伴う人たちを6人も抱えることはできず、ベンチャー・ビジネスは、ごくわずかの人間で、出てくる問題を処理していかなければならないのです。
それでは、いかにして、この円を四角にするかの対策は、かなり簡単であり、ただしそのためには、創業者自身が、いつまでも自らマネジメントするのではなく、やがてはトップ・マネジメントチームに引き継がせるという意思をもたなければならず、もし、トップの1人ないし2人が、あらゆることを自ら行いつづけるつもりでいたならば、数か月あるいは遅くとも数年後には、経営危機が不可避となるのです。
市場や人口などの客観的な指標によって、3年から5年後に倍の規模に成長することが明らかになったならば、やがて間もなく必要となるトップ・マネジメントチームの構築が急務となり、これは、いわば予防策であり、トップ・マネッジメント・チームの具体的な構築方法は下記の通りです。
1.まず初めに、創業者自身が、事業にとって、とくに重要な活動について、主な人たちと相談しなければならないのです。
2.存続と成功がかかっている活動は何か、何が重要な活動かについては、あまり異論はないはずであり、もし意見の違いや対立があるならば真剣に検討しなければならないのです。
3.重要な活動としてあげられたものは、すべて検討の対象としなければならず、重要な活動といって、本のなかから探すことはできず、実際の事業の分析から見出すべきものであり、同じ種類の事業に見えても、重要な活動として位置づけられるものが、まったく異なることがあり、生産活動かもしれないし、顧客サービスかもしれないのです。
4.あらゆる組織に共通する重要な活動は2つしかなく、人の管理と資金の管理であり、それ以外の活動は、事業や仕事、価値観や目標を内部から見ている人たちが決めなければならないのです。
5.次に、創業者をはじめとする主な人たちの1人1人が、「自分が得意とするものは何か。ほかの大たちが得意とするものは何か」を考えなければならず、このときも、それぞれが得意とするものについては、考えが一致するはずであり、一致しない点については、すべて検討の対象として取り上げなければならないのです。
6.次に「それぞれの強みに応じて、いずれの活動を担当すべきか、誰がどの活動に適しているか」を考えなければならず、こうしてようやく、トップ・マネジメントチームが構築されるのです。
7.創業者といえども、人事が自分に適した活動でなければ、手を出さないよう自制しなければならないのであり、強みは新製品や新技術にあるかもしれないのです。
8.あるいは、日常業務、製造、物流、アフターサービスにあるかもしれない、財務かもしれない、人事は他人に任せたほうがよいかもしれない、重要な仕事はすべて、実績によって能力が証明されている人が担当しなければならないのであり、CEOは何を担当すべきであるというルールはないのです。
9.もちろんCEOは、最高の意思決定機関であって、最終責任を負うので、この最終責任を果たすうえで必要な情報は、必ず入るようにしておかなければならないのですが、CEO自身の仕事は、企業が何を必要とし、彼自身がいかなる人間であるかによって決まり、仕事が何であれ、企業にとって重要な活動を担当するのであれば、立派なCEOであるのです。
10.だが、ほかの重要な活動のすべてが、誰かによって担当されるようにはしなければならないのです。
11.最後に、重要な活動のすべてについて、目的と目標を定めなければならず、製品開発、人事、資金のいずれにせよ、重要な活動に責任を負うことになったすべての人に対し、「何を期待できるか。何に責任を負ってもらえるか。何をいつまでに実現するつもりか」を問わなければならず、これはマネジメントの初歩にすぎないのです。
以上のような手順で、スタートしてみて、トップ・マネッジメント・チームの問題点を解決しながら、チームのレベルを永遠に上げ続けていくことが大切であるのです。
◆準備が必要
当初は、このトップ・マネジメントチームを、非公式のものとしなければならず、成長しつつあるベンチャー・ビジネスでは、肩書を与えることも、公表することも、上乗せの報酬を払うことも必要なく、新しい陣容が機能し、その様子が明らかになるまで、1年ほど待つべきであり、その間、チーム全員が、それぞれの仕事、協力の仕方、互いの仕事をしやすくするために行わなければならないことなど、多くのことを学ぶ必要があるのです。
こうして2、3年後、いよいよトップ・マネジメントチームが必要になったとき、まさにそれは存在していることになり、しかも、もしそのようになっていないようであれば、そのはるか前に、マネジメントの能力そのものが失われてしまっているにちがいなく、創業者は仕事の負荷に耐えられなくなり、重要な仕事は行われなくなっているのですが、そのような状態に陥る原因として、考えられるケースは2つあり、1つは、創業者自身が能力と関心をもつ1つか2つの活動に没頭したままでいるケースであり、たしかに、それらの活動は重要であるのですが、それだけが重要というわけではなく、それら以外の活動は、見る人もないまま放っておかれていて、2年後には、事業は苦境に陥るのです。
もう一つの悪いケースは、創業者が良心的すぎる場合であり、人と資金が重要であること、それらをマネジメントしなければならないことを知っていて、そこで彼は、自分の能力と関心が新製品の設計と開発にあるにもかかわらず、人と資金を自らマネジメントしようとするのですが、才能がないために、いずれもうまくいかなく、意思決定や行動に時間がかかり、そのため時間がなくなり、自分が得意とする肝心の新製品や新技術の開発がなおざりになり、3年後には、必要な製品もなく、人や資金のマネジメントもない抜け殼となるのです。
前者のケースであれば、企業を救うことは不可能ではなく、つまるところ製品はあり、創業者がトップの座を再建のために乗り込んできた人に取って代わられるだけであるのですが、後者のケースでは、事業は再建することさえできないので、事業は身売りされるか清算されることになり、したがってベンチャー・ビジネスは、トップ・マネジメントチームを必要とするはるか前に、ワンマンによるマネジメントが機能せず、失敗するはるか前に、構築しておかなければならないのです。
そのワンマン自身が、同僚と協力すること、人を信頼すること、さらには、人に責任をもたせることを学ばなければならないので、創業者は、付き人をもつスターではなく、チームのリーダーになることを学ばなければならないのですが、ベンチャー・ビジネスがスタートアップして順調に推移している間は、上記のように、トップ・マネッジメント・チームの必要性をほとんどの創業者は知らない間に、苦境に陥るのです。
本日は、朝から讃匠の夏カタログの写真撮影をしています。
今まで外部のプロに依頼していたのですが、今回は社内で全部撮影するようにしたのです。
讃匠の東さんが写真に詳しく、素晴らしい画像を撮ってくれています。
社内にも隠れた能力を持った人がいることが分かったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。