本日のテーマは「事業計画書作成」です。
シンガポールのラーメン学校の経営講義で使用するコンテンツを「ラーメン、うどん、蕎麦店の教科書」より抜粋しますが、本日は第5章「資金調達」からです。(http://www.yamatomfg.com/book/schoolbook.php)
第5章 開業資金の調達方法と事業計画書の作り方
公的機関の利用も視野に入れることが必要で、新規開業となると、資金調達についてのお悩みをよく聞きますが、最初のステップとしては、公的機関を利用するのがお勧めで、地元の商工会議所に相談してみましょう。
例えば、融資であれば、日本政策金融公庫の国民生活金融公庫の利用などのアドバイスをもらえ、国民生活金融公庫は、全国の各都道府県に1ヵ所はあり、さらに、都道府県などの融資制度を紹介してもらえることがあります。
また、雇用に関係した事業として、ハローワークから補助金の対象になることもあります。
事業計画書の作成は資金調達の強い味方で、事業計画書を作る理由は、2つあり、1つ目は金融機関などからの借入や事業協力者を得るため、2つ目は自分のビジョンをより明確化させ、その整合性を確認するためです。
事業計画書は、ビジネスを成功させるためには必要不可欠なツールで、具体的なプランを立てなければ作成することはできず、作成した計画書を通して、自身のアイデアがビジネスとして成功できるかどうかを検証することが大切です。
また、事業計画書を書く際には、読み手にアピールポイントがわかりやすいように作成し、いろいろな内容を詰め込みすぎると要点がぼやけてしまい、何を主張したいのかがわかりづらくなり、事業のポイントはどこなのかが明確にわかるように作成します。
ちなみに、事業計画書のボリュームでは良し悪しは決まらず、あくまで内容が重視され、事業計画書の読み手(金融機関や事業の協力者)がどのような内容を書けば、スムーズに物事が運ぶかを考えて書きます。
事業計画書の作成手順
1.全体の構想、事業イメージ
2.具体的な事業内容
3.開業時の資金計画
4.収支計画
開業動機、事業の目的、将来的なビジョン、さらには市場性の調査を説明し、提供する商品、サービスの特徴とターゲットとする顧客にいかにマッチしたものであるかを説明し、希望どおりの資金調達ができなかった場合のケースも想定しておき、開業当初と軌道に乗った後の収支予測を立てる
売上計画書は、正しく作れば、実際に開業する前に、開業後の損益が見え、したがって、開業しなくても、この方法で、開業すると採算がどのくらい取れるのか、あるいはまったく可能性がないかがわかります。
また席数や客単価、回転率等を変えることにより、どのようにすれば利益が最大化できるかもわかり、どのようなお店を作ると、成功するかが事前にシミュレーションできるのです。
多くの生徒さんが陥っている問題点は、小さいお店を作ってしまい、利益が上がらないケースで、特に郊外型であれば、駐車場付きで、最低40席以上、できれば50席以上が望ましく、女性客や家族客を呼ぶのであれば、席数が充分ないと難しいのです。
一番やってはいけないのは、居抜きの20席前後の小さいお店で、4人掛けのテーブル席で営業をする場合で、まず満席率が非常に悪くなり、採算が取れません。
家賃の非常に高い、都心型のラーメン店では、小さいお店の場合、カウンター9席が最高の効率で、厨房の中は、2名で営業可能で、うどん店、そば店では、小さいお店の場合、サラリーマンをターゲットにするのであれば18席のカウンターだけの店が効率的で、行列ができるような混雑時には、厨房スタッフ計4名で営業可能です(茹で、天ぷら、食器洗い、盛り付け、各1名)。
個人の新規開業者の平均的初期投資額は、約1200万円程度で、 100%自己資金ではなく、公的機関を利用して資金調達を行う方も多く、資金調達をスムーズに行うためには、事業計画書の作成が不可欠であるのです。
事業計画書は、どうすれば自分の事業に協力者が賛同し、納得してくれるか?を意識しながら作成し、当然ながら、資料のボリュームよりも、内容が重視されるのです。
採算計画書では、無理のない返済プランを立て、融資が降りてからのキャッシュフロー想定の材料にし、結局、借入後の収支が具体的に見通せる資料が揃っているほど、資金調達しやすくなります。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆資金構造を超えた成長
ベンチャー・ビジネスは、キャッシュフローの分析と予測と管理を必要とし、ここ数年、(ハイテク企業を例外として)アメリカのベンチャー・ビジネスの経営状態がよくなっているのは、新しい起業家たちが、起業家精神には財務上のマネジメントが不可欠であることをようやく理解するようになったためであり、財務のマネジメントは、キャッシュフローの予測によって容易に行うことができるのですが、ここでいう予測とは、希望的観測ではなく、最悪のケースを想定した予測であり、キャッシュフローの予測と計画については、昔から、「債務は思ったよりも2か月早く決済しなければならず、債権は2か月遅く決済される」という経験則があるので、ベンチャー・ビジネスにとっては慎重すぎるということはなく、たとえ慎重すぎたとしても、資金が一時的に余るだけの話であるのです。
つねに1年先を見て、どれだけの資金がいつ頃、何のために必要になるかを知らなければならず、1年の余裕があれば、資金の手当てはほとんど可能であるのですが、切迫した状況のもとで資金を調達することは、事業がうまくいっている場合でも困難であり、法外なコストがかかり、重要な時期に、最も重要な人材に寄り道をさせることになり、数か月間にわたって金融機関をまわり、財務の見通しの練り直しに時間とエネルギーを使わされ、挙げ句は、わずか3か月の資金繰りのために、事業そのものを抵当に入れざるを得なくなり、再び時間と頭脳を事業に集中できるようになった頃には、取り返しのつかない大きな機会を逃しているのは、ベンチャー・ビジネスの本質からして、機会が最も大きくなるとき、資金繰りは最も苦しいからであるのです。
成功しているベンチャー・ビジネスは、自らの資金構造を超えて成長し、これまた経験則によれば、新しい事業は、売り上げを40パーセントから50パーセント伸ばすごとに、それまでの資金的基盤では開に合わなくなり、資金構造も変えなければならなくなり、ベンチャー・ビジネスは、成長するに伴い、オーナー自身や家族、あるいは友人という私的な資金源では問に合わなくなり、株式の公開、既存企業との提携、保険会社や年金基金からの資金調達など、大きな資金源をもたなければならなくなり、増資によって資金を調達してきたのであれば、長期の借入を行わなければならなくなり、その逆もあり、成長によって、それまでの資金構造は陳腐化し、障害とさえなり、事業経営には、資金は欠かせず、幾ら赤字であっても資金さえ続けば、事業はやっていけるのですが、資金が途絶えた途端に事業は駄目になるのです。
そして、資金について、現在の時代に余計に難しくなっているのは、ほとんどの資金の動きは目に見えず、コンピュータ・システムで処理されていて、われわれの目には見えないので、会社の資金だけでもなく、家庭のお金も同じで、ほとんどのお金は、ITにより処理されて、ますます見えなくなっているので、この点からも余計に現金の管理は大切なのです。
◆フランチャイズ成功の原則
もちろん、資金計画が比較的容易なベンチャー・ビジネスもあり、レストラン・チェーン、病院チェーン、専門店チェーン、住宅建設業など、各地で類似の事業を展開しているベンチャー・ビジネスでは、各事業単位がそれぞれ独自に資金繰りをすることができ、フランチャイズ制をとったり、あるいは、地元の人たちに有限責任のパートナーとして参加してもらうことができ、このようにすれば、成長と拡大に必要な資金を段階的に調達していくことができ、1つひとつの事業が成功すれば、それが次の事業に対する投資家への保証と誘因になっていくのですが、この方法が機能するためには、以下の3つの原則があるのです。
1.事業単位のそれぞれをできるだけ早く、遅くとも2、3年以内に採算に乗せなければならない。
2.素人のフランチャイジーや外科センターの所長など、マネジメント能力のあまりない人たちでも、本部からの指示なしに無事にマネジメントできるよう、事業内容を定型化しておかなければならない。
3.事業単位のそれぞれが、かなり早い時期に、追加資金を必要としなくなり、むしろ次の事業単位を資金的に助けられるようにならなければならない。
以上のようなマネッジメント・レベルを上げ続けるのは、大きな課題であり、財務のプロは必ず必要なのです。
◆死活問題
このような独立した事業単位として資金を調達することのできないベンチャー・ビジネスにとって、資金計画はまさに死活問題であるのですが、そのようなベンチャー・ビジネスであっても、つねに3年先を見越し、最大の必要資金量を想定して計画しておくならば、必要な資金を、必要なときに、必要な方法で調達することができるのですが、資金源や資金構造を超えて成長してしまったあとでは、自らの独立はもちろん、その生命まで危険にさらすことになり、うまくいっても、創業者は、あらゆる起業家的なリスクをおかして、懸命に働いた挙げ句、他の豊かな者をオーナーにしただけとなり、自らは雇われの身となり、新しくやってきた投資家がオーナーとなり、事実、以上のことは、成長したために起きる、不幸な出来事なのです。
◆突然の不能
ベンチャー・ビジネスは、成長のマネジメントに必要な財務システムを確立しておかなければならず、素晴らしい製品をもち、市場において素晴らしい地位を占め、素晴らしい成長の可能性をもつベンチャー・ビジネスが、次から次へと登場してくるのですが、その多くが、突然、マネジメント不能となり、未収金、在庫、製造コスト、管理コスト、アフターサービス、流通、そのほかあらゆるものをマネジメントできなくなり、1つをコントロールできなくなると、あらゆることをコントロールできなくなり、それまでのシステムを超えて成長してしまったためであり、しかも、ようやく新しいシステムができた頃には、市場は失われ、顧客は、反感とまではいかなくとも不信を抱くようになっていて、流通業者は信頼しなくなり、当然であるのですが、最悪なことに、従業員がマネジメントを信用しなくなっているのです。
急激な成長は、つねに既存のコントロール・システムを陳腐化し、ここでも、成長率にして40パーセットから50パ-セントが、1つの段階として重要な意味をもち、1度コントロールの能力を失うと、取り戻すことは難しいのですが、予防することはかなり容易であり、自社にとって最も重要なこと、たとえば、アフターサービス、未収金や在庫、製造コストについては、財務の観点から検討しておかなければならず、最重要項目が4つないし5つを超えることはほとんどないのです。
これに加えて、マネジメント関連のコストについても気をつけておかなければならず、マネジメット・コストの増大は、マネジメントの人間の雇い過ぎを意味し、マネジメントの構造と仕事の仕方が、事業の変化に追いつけなくなり、コントロールできなくなったことを示し、マネッジメントの人間の雇い過ぎと、マネッジメントの不足はどちらもいけないのですが、バランスを取ることが大切なのです。
それよりも、今の日本で、最も難しくてたいへんなのは、マネッジメントを理解出来る人たちを採用したり、育成したりすることで、プロのマネッジメントを創れるような人材の確保と育成であり、ベンチャー・ビジネスが成長していくためには、それらの最重要項目について、つねに3年先を見越し、コントロールのシステムを確立しておかなければならず、細部にわたるシステムは必要ないし、数字も大雑把でよく、重要なことは、それらのことを意識し、注意し、必要に応じて迅速に対応できるようにしておくことであり、最重要項目に注意さえしていれば、通常、混乱は生じないのです。
3年先を見通しておくことの大切さはその通りで、ほとんどの企業が3年先を、既に起きている未来として理解出来ていないのが問題で、財務上の見通しには、さほど時間はかからないのですが、つねに検討しておかなければならず、そのための技術的な手法は簡単に手に入り、会計の教科書に説明してあるとおりであるのですが、自ら行わなければならないのです。
昨日は経営講義の2日目で、本社での経営講義は、インストラクターの湯浅さんとメンテナンス部門のハンさんが、いつも私のサポートをしてくれています。
湯浅さんは、まだインストラクターの卵ですが、お父さんは宮崎県で果樹園を経営していて、昨日は、お父さんの手作りの、日向夏とせとかのおすそ分けを戴きました。
日向夏もひじょうに美味しかったです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。