本日のテーマは「苦しい奮闘を長期にわたって続ける」です。
昨日の全社員を集めた経営方針発表会の折に、当社は現在まで、約5年前から始まった冬の真っ只中であったことを説明したのです。
季節の四季は巡り、現在の日本は、少し前に冬が終わり、春の桜の季節の到来ですが、会社にも同じように四季があり、好むと好まざるにかかわらず、春夏秋冬が巡りくるのです。
当社は創業以来ずっと冬のような状態でしたが、特に20年前は当社にとってたいへん熾烈で、厳冬の時期を迎えていたのですが、20年前の冬と比べると、今回の冬は、会社の状態がぜんぜん異なるので、冬の厳しさはまったく異なることを話したのです。
20年前の冬は、当社の状態はまだ会社としての十分な体をなしておらず、自力だけでは生き残ることが出来ず、多くの方がたのお世話になり、生き延びることが出来たのです。
20年前の冬を体験している当社のスタッフは、すでに私を含め7名だけですが、最古参の山本常務が20年前の当時を思い出し、20年前は現在のようにスタッフ同士が強い力で結びついておらず、助け合う状態が作れていなかったと言っていたのが印象的でした。
そう言われてみると、その通りだったことを思い出し、20年前と現在の当社は、人、物、金、すべてにおいてまったく異なり、この20年間で当社は見違えるような状態になることが出来たのです。
今回の当社の冬は、5年前の秋から冬の入れ替わりの時期から始まり、約5年間続き、この5年間はスタッフと一緒に冬を乗り越えるために、苦しい奮闘を続けた5年間でした。
同時に思い出したのは、当社は創業以来ずっと、苦しい奮闘を長期にわたって続け、苦しい奮闘がなかった時期がないので、つねに苦しい奮闘を長期にわたって続けるのが当たり前の体質になっていることを再発見したのです。
奮闘者を根幹とし、苦しい奮闘を長期にわたって続けるDNAは、当社の社内に継承し続けなければいけない大切なものであることを再発見したのです。
また、昨年の社内で起きたさまざまな人間に関する問題は、当社の価値感の不十分さを浮き彫りにしてしまったのです。
そして私は、価値観の上部に自己批判の精神がなかったことを発見し、そのために長い間で、徐々に私を含めてスタッフの心の中に、自慢する心、慢心がいつしか住みついてしまっていたのです。
20年前まではたいへん厳しい冬であったのですが、春の訪れと共に、冬であった時代を忘れ、会社の業績が上向き、成長を続け、新しい社員の増加とともに、だんだんと厳しい冬を過ごしてきたことを忘れ去り、いつしか慢心が住みついたのです。
従って、現在のわれわれにとって必須であり、無くしてはいけない価値感は、自己批判であり、自分たちはまだ大したことがない、十分ではない、自分たちの能力は知れているということの理解が必要であったのです。
それを社内でうるさく伝え続けることが必要であったのですが、私も厳しい冬の時期を過ごしてきたことを忘れ去っていたのです。
従って、今回は当社の価値感を全面的に見直し、次のような価値感に改めたのです。
1. 顧客を中心に据え、奮闘者を根幹とし、苦しい奮闘を長期にわたって続ける(顧客とのコミュニケーション)
2. 自己批判(内省、フィードバック、自己とのコミュニケーション)
3. オープンな姿勢と進取の精神(アライアンス、イノベーション)
4. 効率の追求(利益、コスト)
そして、使命についても次の通りです。
1.麺ビジネス成功支援会社
2.人生の成功ストーリー販売会社
3.日本の美味しい麺文化を世界中に広める
使命1について、今までは麺専門店繁盛支援会社であったのですが、麺専門店以外からのお客さまが増えるに従い、今までの使命で価値感であれば、実態に合っていないのが分かったのです。
使命2以下は、以前のままで問題ないのですが、このように世の中の変化に合わせて、使命も進化していかねばならないのです。
この様に、価値観、使命は常にその深い意味を理解し、変わり続けなければいけないのです。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
「ギャップを探す – 第2の機会」
ここでいうギャップとは、現実にあるものとあるべきものとの乖離、あるいは誰もがそうあるべきとしているものとの乖離であり、不一致であり、原因は分からないことがあり、検討さえつかないこともあるのですが、それにも関わらず、ギャップの存在は、イノベーションの機会を示す兆候であり、それは、地質学でいう「断層」の存在を示し、まさに断層はイノベーションへの招待であり、断層では、わずかな力が、社会を動かし、経済構造や社会構造に変化をもたらす不安定状態を生み出すのです。
このギャップは、通常、マネッジメントに提示され、検討を加えられるような数字や報告の形では現れないで、定量的というよりは定性的であり、ギャップとは、予期せぬ成功や失敗と同じように、すでに起こった変化や起こり得る変化の兆候であり、ギャップは予期せぬ事象と同じように、1つの産業、市場、プロセスの内部に存在するので、その産業や市場、プロセスの内部、或いは周辺にいる者は、ハッキリ認識することが出来、まさに彼らの目の前にあるのですが、同時に、ギャップは、それを当然のこととして受け止めてしまいがちな、内部の者が見逃しやすいものであり、彼らは「ずっとそうだった」と言うのですが、多くの場合、その「ずっと」が、実は最近のことにすぎなく、イノベーションの機会としてのギャップは、以下のように、幾つかに分類できるのです。
1.業績ギャップ
2.認識ギャップ
3.価値観ギャップ
4.プロセス・ギャップ
「業績ギャップ」
製品やサービスに対する需要が順調に伸びているならば、業績も順調に伸びていなければならないし、需要が順調に伸びている産業では、利益を上げることは容易なはずであり、しかも、上げ潮に乗っているはずであり、そのような産業にありながら業績が上がっていないのであれば、何らかのギャップが存在すると見るべきであり、それらのギャップは、1つの産業全体、あるいは、社会的部門全体におけるマクロ的な現象であることが多いのです。
通常、それらのギャップをイノベーションの機会として利用するのは、中小の専門企業であり、しかも、この機会を利用する者は、長期にわたってその利益を享受することが出来、予期せぬできごとによるイノベーションは、大企業の方が有利であったのですが、ギャップをイノベーションの機会として利用出来るのは、中小の専門企業であり、長期にわたり、その利益を享受出来るので、われわれ中小企業は最もギャップに注目すべきなのです。
ほかの企業や社会的機関が、この危険な競争相手に気づくのは、かなり経ってからであり、ほかの企業や社会的機関は、需要の増大と業績不振とのギャップを埋めるのに忙しく、誰かほかの者が何か別のこと、成果の上がること、需要の増大を利していることに気づかないのです。
しかし、イノベーションを行なうためには、必ずしも、ものごとが動くべきであるのに、動かない原因を知ろうとして苦労する必要はなく、「このギャップをイノベーションの機会として利用するためにはどうすべきか、何がそれを機会に変えてくれるか、何が出来るか」を問えばよいのです。
「鉄鋼業と製紙業の例」
業績ギャップは行動を要求し、問題が明らかでなくとも、とるべき行動が明らかなことがあり、もちろん、問題が明らかでありながら、取るべき行動が明らかでないこともあり、鉄鋼業における電炉の例は、ギャップをイノベーションの機会として利用することに成功した良い例であり、第一次大戦後から今日に至るおよそ50年間、先進国の高炉メーカーがブーム的な好業績をあげたのは、戦時中だけで、鉄鋼に対する需要は、少なくとも1973年までは着実に伸びていましたが、平時における高炉メーカーの業績は、失望させられることが多く、この業績ギャップの原因は昔から明らかだったのです。
高炉の場合、需要の増加に応じた生産量の増加の最小単位がきわめて大きく、必要とされる設備投資が巨額にのぼり、生産能力が大幅に増大してしまうからであり、新設の高炉の稼働率は、需要が新たな生産能力に追いつくまでの間、低いものとならざるを得なく、しかも、戦時を除き、需要は徐々にしか増加せず、需要が増加しているときに、生産設備の増設を行なわないことは、シェアの喪失、ときには恒久的な喪失を意味するので、そのようなリスクを冒せる高炉メーカーはないので、高炉が高収益は享受できるのはごく限られた期間、すなわちあらゆる高炉メーカーが、設備の更新を開始してから完成するまでのわずかな期間と言うことになるのです。
その上、1870年代に発明された製鉄のプロセスそのものが、これも昔から知られているように、基本的に不経済であり、物理の法則に反し、従って経済の法則に反し、物理の世界では、温度の変化は、重力や慣性に対する抵抗に次いで大きなエネルギーを要求し、一貫製鉄所では、加熱と冷却を4度繰り返し、そのうえ高熱の重量物を持ち上げ、相当の距離を運ばねばならないので、このような高炉の特有の弱みを緩和するイノベーションを行なえば、鉄鋼の生産コストを大幅に引き下げられることは、かなり前から明らかになっていたのです。
そして、電炉が行なったことが、まさにそれであり、電炉は、決して小さな製鉄所ではなく、最低規模の電炉さえ、年間売上1億ドルであるのですが、最低規模の一貫製鉄所と比べて、6分の1から、10分の1に過ぎず、従って、電炉は、すでに市場に存在する需要に合わせて、生産能力の増大を小刻みに行なうことが出来、しかも、電炉は一度加熱するだけであり、冷却を行なわず、そのまま全プロセスを終了し、電炉は、原料として鉄鉱石の代わりに鉄屑を使い、最終製品も鋼板や棒鋼に特化しているので、高炉が労働集約的であるのに対し、オートメ化が容易であり、電炉の生産コストは高炉の半分以下であるのです。
各国の政府、労働組合、一貫製鉄所は、あらゆる方策をもって電炉の発展を抑えようとしたのですが、電炉は増え続けていて、2000年には、アメリカで消費される鉄鋼の半分以上が電炉によるものかもしれないのですが、その間、高炉のよる大規模一貫製鉄所のシェアは低下していったのです。
私は機械工学出身でしたが、上記の高炉一貫生産製鉄所のジレンマを知らなかったので、改めてドラッカー博士の見識の広さに驚くと同時に、一つの産業の中にこのような問題の存在にも驚き、ライバルとの競争に明け暮れる以上に、業界の構造にメスを入れ、自社が存在している、業界の特質を理解することの大切さを改めて理解しました。
多分、どのような業界でも深く掘りすると、恐らくこのようなギャップ、ジレンマを抱えているはずで、ほとんどの業者は、ライバル業者との間の競争に明け暮れていて、このようなギャップの存在を掘り下げようとしている者はいないのです。
日本の外食産業は、ピークの1997年(18年前)まで右肩上がりで成長し、その後、ほぼ一貫して右肩下がりで落ち続け、それはまさに、1995年にピークを打った生産年齢人口の推移と、ほぼ同じ推移を辿っているのですが、生産年齢人口の減少幅(12%)よりも落ち幅が大きく、ピーク時より約20%程度減少しているのです。
この余分な落ち幅がギャップであり、サラリーマンの小遣いの半減(ピーク比)が大きく影響をしているはずで、サラリーマンの小遣いの半減が、居酒屋市場を直撃して、居酒屋市場はピークと比べると、市場規模を3分の2以下にしているのですが、外食市場全体の数字に比較して、うどん蕎麦店市場は堅調で、2014年のデータでも過去最高の市場規模を誇っているのは、生産年齢人口の落ち込みを完全にカバーしているシニア世代の影響が大きく、以上より、私はこれからうどん蕎麦、ラーメン店が狙っていくべきお客さまは、女性とシニアであるとの結論を導き出し、この事実を麺学校で指導し、現に、サラリーマンを対象の麺専門店ビジネスは苦戦し、女性、シニアを狙っている坂東太郎とか、ラッキー・ピエロのような飲食店が成功しているのです。
当社の場合も、麺市場の規模と、製麺機市場の間のギャップの存在に気づいていて、製麺機を購入するお客さまは、新規にうどん蕎麦店、ラーメン店を開業するお客さまと、既に開業しているお客さまが大きな需要者であり、新規開業者が増えれば増える毎に、需要は大きくなり、製麺機市場は、麺市場の景気の波に左右されたのですが、現在は景気よりも製麺機を使用する人手の過不足に影響をされているのです。
画像は、昨日の創業40周年記念植樹祭、食堂での全社経営方針発表会、社員の結婚のお祝い、誕生日のプレゼント等で、最後にサプライズで慰労金を配ると、全員が盛り上がったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。