本日のテーマは「なぜそうなるのかの理由を知る」です。
昨日は早朝6時過ぎにシンガポールから羽田に到着し、羽田発1便で高松に帰ろうと思って急いだのですが、少しの違いで1便目に乗れず2便目になり、2便目は何と30分も遅れたのです。
結果、10時ころに本社到着の予定が12時過ぎになってしまい、本社に到着すると、会計事務所の先生他数名が私の帰りを待っていてくれたのです。
昼食抜きで、駆け足で打合せを行ない、午後1時からはうどん学校実技最終日の私のチェックが始まったので、その後も食事する時間が取れず、昼食は夕方5時になってしまったのです。
今回の生徒さんの盛り付けの問題点の1つは、食材の重量チェックが出来ていなかったことで、牛肉とか鴨肉のコストが幾らかかるのかを掴んでいない場合があったのです。
また、食材のカット厚さにしても、一番美味しいと感じる厚さはどのくらいかの検討が出来ていなかったので、薄くカットし過ぎて、最高に美味しい状態になっていないのです。
例えば、鴨肉には、鴨肉特有の一番美味しいと感じるカット厚さがあるのです。
鴨肉は普通この程度の厚さにカットされている食べ物であると、先入観念に捉われていると、最高に美味しいと感じる厚さになっていない場合があるのです。
このような数字は、試行錯誤を繰り返しながら、確認しながら決めていかねばならず、なぜ、その厚さにカットするのかという明確な根拠が必要です。
次に、昨日は海老をトッピングに使用している生徒さんが何人かいたのですが、皆同じように、エビを茹でているのです。
エビを茹でると、赤く発色してそれなりにはきれいなのですが、茹でることによって、エビのエキスが茹で湯に流出し、せっかくの旨味が流出しているのです。
エビを茹でると、内部に含まれるエキスが流出するので、天ぷらにしたり、ソテーにすると、エキスの流出を避けることが出来、エビ本来の味を楽しむことが出来るのです。
また、このことは肉うどんの肉も同様で、うどんだしの中で生肉を見込むと、だし汁の中に肉のエキスが放出され、肉の味は薄まり、インパクトのない味になってしまい、同時にだしの色も濁ってしなうのです。
ところが、肉うどんの肉をトッピングで使う前に、フライパンで甘辛い調味液と一緒にグリルすると、肉の中のエキス分が外へ流出していないので、美味しさが一段高まるのと同時に、だしの色が濁らないのです。
ラーメンのトッピングとして、もやし等を使う方は多いのですが、ほとんどは、下茹でをしているので、エキス分が流出してしまっているのです。
だから、ラーメン学校では野菜類は、基本的に茹でずに香辛料で軽くソテーすることにより、シャキシャキ感があり、歯ごたえが良く、見た目もきれいなのです。
多くの食材のうち、茹でたトッピングは、食感、味を駄目している場合が、幾つか見られます。
この様に、食材の適性に合い、きれいに見える調理方法を採用することは、大切なのです。
多くの生徒さんは、過去からやっているので、今度もそうするとの生徒さんが多く、なぜ、そのような調理方法にするかという明確な理由が必須です。
当社の麺学校では、生徒さんに応用の力を身に付けるために、わざとそうしている理由を教えているのです。
それを知っていると応用が効き、似たような場合は、自分の頭で考えて対処できるようになるのです。
われわれは生徒さんたちに、常に応用力が付くように、なぜそうするのかとの理由を明確にしているのです。
生徒さんたちが自分の頭で考えて行動出来るようになれる能力を身に付けるお手伝いをしているのです。
要するに、魚を与えるのではなく、魚の獲り方を教えておけば、一生その漁師は路頭に迷うことはないのです。
本日は、朝から経営講義で生徒さんの多くの質問に答えていたのですが、生徒さんにとって苦手なことは思考力なのです。
現在の世の中は自分の頭で考えないでも、何とかなる世の中になっているのが便利なようで、多くの人間を駄目にしているのです。
本日も当社の価値感を掲げ続けます。
1. 顧客に深くフオーカスし、絶えざる奮闘精神で、価値ある奮闘を長期にわたって続ける(顧客との深いコミュニケーション)
2. 自己批判(内省、フィードバック、自己とのコミュニケーション)
3. オープンな姿勢と進取の精神(アライアンス、イノベーション)
4. 効率の追求(利益、コスト)
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆門外漢の強み
この戦略は、真に新しい、際立ったものをつくり出すことを目指しているがゆえに、外部の素人が専門家と同じ働きをし、あるいは、それ以上の働きをして、素人の強みは、無謀なチャレンジが出来ることであり、知らないが故に、何にでもトライ出来るのです。
私は、もともと麺の製法等もまったくの門外漢だったので、美味しい麺のノウハウをエンジニアの立場から極め、第1熟成、第2熟成の必要性、グルテンの組織を破壊しないために、防腐剤不要の美味しい麺作りのノウハウを確立出来、料理の門外漢であり、エンジニアだったので、デジタル・クッキングのノウハウを確立出来たのですが、新しいことのほとんどは、門外漢の素人によって起こされていて、現在、熱心に日本料理を学んでいる人たちの多くは外国人であり、うどん蕎麦、ラーメンに関しても、外国人は熱心に学んでいます。
ホフマン・ラロッシュ(現在の世界第3位の医薬品メーカー、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ)では、化学者ではなく、創業者の孫娘と結婚した音楽家が、自分のオーケストラを維持するために、同社のわずかな配当以上の資金を必要として、この戦略をとり、以来、同社は化学者によってマネジメントされたことが一度もなく、銀行出身の金融畑の人たちによって代々マネジメントされ、医薬品メーカーとして、世界第3位に君臨することが出来たのは、医薬品の素人であり、マネッジメントのプロであり続けたせいなのです。
ヴィルヘルム・フォン・フンボルトは、かつていかなる学界とも特別の関係や経験のなかった外交官だったのですが、1809年にベルリン大学を創設したとき、当時最大の大学の3、4倍の規模をもつ、西洋史上最大の大学をつくり、デュポンのトップ・マネジメントは、科学者ではなく企業人であり、メイヨー兄弟は、外科医ではあったが、中央の医学界からは遠く離れていて、もちろん純粋に産業の内部にいた人たちもいて、ワング博士であり、3Mの人たちであり、アップル・コンピュータを設計した若者であり、この戦略にかぎっては、おそらく門外漢のほうが有利であり、彼らは通念を知らず、したがって何が不可能とされているかを知らないのです。
2成功への道
◆7つの機会
「総力による攻撃」なる戦略は、必ず命中させなければならず、さもなければ失敗し、それは月を狙うのに似ていて、わずかに狂うだけで、ロケットは宇宙のかなたに消え去り、ひとたび発射してしまえば、修正や調整はきかず、したがって、この戦略には、徹底した思考と分析が不可欠であり、小説や映画に出てくるような起業家や、突然思いついたアイデアを、すぐに実行に移すような人に成功はおぼつかず、この戦略が成功するためには、すでに述べたイノベーションの7つの機会を利用したものであることが必要であり、イノベーション7つの機会は次の通りです。
(1)予期せぬことの生起。予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事。
最もリスクが少なく、最も容易にイノベーションの機会となるものだが、往々にして無視され、IBMは当初、科学計算用にコンピュータを作ったが、企業が給与計算などの世俗的な仕事にコンピュータを使い始め、IBMにとっては予想外の出来事で戸惑いを感じずにはいられなかったが、すぐにこのニーズに応じた。
(2)ギャップの存在で、現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップで、ギャップには業績ギャップ、認識ギャップ、価値観ギャップ、プロセス・ギャップの4種類がある。
a.業績ギャップ=製品やサービスに対する需要が順調に伸びているにもかかわらず業績が芳しくない場合。
b.認識ギャップ=ある産業の内部にいる人たちがものごとを見誤り、現実について誤った認識を持っている場合。
c.価値観ギャップ=生産者や供給者が提供していると思っている価値と、顧客が真に必要としている価値との間に違いが存在する場合。
d.プロセス・ギャップ=何か1つの作業を行う一連のプロセスの中で、不安に感じたり困ったりする部分がある場合。
(3)ニーズの存在。
漠然とした一般的なニーズではなく、具体的なニーズでなければならない。
a.プロセス・ニーズ=プロセス・ギャップから生じるニーズ。
b.労働力ニーズ=労働力不足の懸念から生じるニーズで、製造業においてロボットが半熟練労働に取って代わるようになったのは、労働力ニーズの圧力があったためである。
c.知識ニーズ=新しい知識を必要とする場合で、それらの新しい知識は開発研究によって生み出される。
(4)産業構造の変化。
自動車産業がよい例であり、第1の波は20世紀の初頭に訪れ、自動車はかつてのような金持ちの贅沢品ではなくなり、大衆に広まりつつあり、フォードの「Tフォード」はこの産業構造の変化を利用したものである。
第2の波は1960年代から80年代にかけてやってきて、自動車メーカーはそれまでの自国市場独占型の戦略を捨て、グローバル戦略に切り替える必要があり、この動きに真っ先に乗じたのが日本の自動車メーカーで、GMは日本のメーカーに後れを取ったものの、グローバル企業になる決意をし、クライスラーは完全に乗り遅れた。
(5)人口構造の変化。
人口の増減や年齢構成、雇用や教育水準、所得などの人口構造の変化は明白であり、人口構造の変化は突然訪れるものであるかのように認識されていますが、20年後に労働力人口に加わる人々は既に生まれていて、人口構造の変化が生じるまでには、予測可能なリードタイムが存在する。
(6)認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化。
コップに「半分入っている」と捉えるか「半分空である」と捉えるかは全く違い、従って、取るべき行動も違い、かつて食事の仕方は所得階層によって決まっていて、一般人は質素な食事をし、金持ちは豪華な食事をしたのですが、現在は、一般人が質素な食事もすれば豪華な食事もする。
(7)新しい知識の出現。
一般にイノベーションと呼ばれるものであり、起業家精神のスーパースターと言え、成功すれば有名になれるし、金持ちにもなれるが、最も成功が難しいのもこのイノベーションである。
知識によるイノベーションは、実を結ぶまでのリードタイムの長さ、失敗の確率、不確実性、付随する問題が他のイノベーションとは全く異なり、知識によるイノベーションのリードタイムはおおよそ30年である。
(1)から(4)は、企業や社会的機関の組織の内部、あるいは産業や社会的部門の内部の事象であり、内部にいる人にはよく見えるもので、他方(5)から(7)は、企業や産業の外部における事象で、この7つの順番には意味があり、信頼性と確実性の大きい順に並んでいます。
ワングのワープロは、プロセス・ニーズを見事に突いたのですが、1970年代には、ついそれまでオフィスで見られたコンピュータ恐怖症が薄らぎ、「コンピュータは何をしてくれるのか」に関心が移っていて、その頃には、オフィス労働者は給与計算や在庫管理を通じてコンピュータに慣れていて、しかもコピー機の普及によって、書類が急増していて、そこヘワングのワープロが、手紙、スピーチ、報告、タイプ原稿の打ち直しという、最もいやがられていた雑用を解消したのです。
ホフマン・ラロッシュは、1920年代の初め、ビタミンという新しい知識をイノベーションの機会としてとらえ、この戦略を採用した創業者の孫娘の婿の音楽家は、トーマス・クーンが『科学革命の構造』を書く30年以上前に、その本の意味するところを理解し、科学上の新理論は、たとえその否定が不可能であっても、それまで育まれ信念と化している理論が生きているうちは、けっして受け入れられることのないことを理解していて、新しい理論は、昔ながらのパラダイムがまったく無効となるまでは見向きもされなく、その間は、新しい理論を受け入れ利用する者が、その分野を独り占めすることになり、もちろんこの戦略は、イノベーションの機会についての綿密な分析があってはじめて成功し、そして、全エネルギーの集中を必要とするのですが、ホフマン・ラロッシュの創業者の孫娘婿の音楽家は、医薬品ビジネスに精通していた訳ではなかったのですが、起業家戦略に長けた、真の戦略家であったのです。
画像は、昨日のうどん学校最終日の生徒さんたちの作品事例で、今回は茹でた食材が多かったのですが、わざと天ぷらにしてみると、見た目も味も大きく変わったのです。
また、盛り付けも少し手を入れるだけで大きく変わったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。