ラーメン・そば・うどん屋開業・繁盛店を目指す|名言集 17-7 ピーター・ドラッカー解説(将来についてもっと時間と思索を割くべき)

麺のテーマパーク

 昨日は朝の便で、羽田から鹿児島まで飛び、鹿児島空港でドリーム・スタジオの山本さんと合流し、最初に訪問したのは、ラーメン学校の卒業生の店です。

開店で苦労しているとのことで行ってみましたが、商品そのもののレベルは、大きな問題はなかったのですが、問題はコンセプトと商品、店名、商品名等が合っていないことでした。

商品力についても、スープ自体の大きい問題点は無かったのですが、盛り付けがコンセプトに合っていなかったので、近くのスーパーに一緒に行き、食材を買い込み、盛り付けを一緒にやってみました。

ラーメン学校でも同じように、やってはいるのですが、そのときは十分に理解が出来ていなかったようです。

今回の訪問を経て、全員ではないでしょうが、麺学校を終えてから開業に至るまでの密着した、詳細なガイダンスの必要性を感じました

訪問すれば、この様に生徒さん自身が気付いていない問題点がよく分かります。

この後、鹿児島空港の近くで麹と焼酎、地ビールとチェコの料理等をテーマにしたテーマ・パークを運営している、1月の蕎麦学校に参加された、山元会長の施設を訪問しました。

この方は、麹の世界的な研究の第一人者で、100年続く麹メーカーの3代目であり、ビジネスの成功者でもあります。

施設も素晴らしかったのですが、夕食を御馳走になりながら伺った山元会長の波乱万丈の人生ドラマが素晴らしかったのです。

このような方に当社の麺学校に御参加戴いたのは、たいへん光栄でした。

本日も、ドラッカーの名言の解説で、今日のテーマは「将来についてもっと時間と思索を割くべき」です。

13.「将来についてもっと時間と思索を割くべき」

経営者は、その企業の将来について、もっと時間と思索を割くべきである。

(解説)私も自分の過去を振り返ってみれば、創業の頃から大きな夢を持っていましたが、日々の生活に追われ、夢の実現よりも、目先のことを優先せざるを得なかったのです。

しかし、徐々にお客さまの数が増え、規模が拡大し、従業員が増えると共に、責任の及ぶ範囲、大きさはまったく次元が異なってきて、目先の日々のことだけを見て、意思決定をし、行動しているだけでは、将来にわたって成功し続けることが出来ないことが分かったのです。

現状だけを見て、対策を打つだけのことをやっていると、飛行機を安全に操縦することに注意しているだけになり、定期航路に沿った飛行機の操縦士とか、電車とかの運転手と同じことをやっていることになります。

われわれが経営している会社は、定期航路の飛行機とか船、或いは電車のように既定路線には沿わないで、常に変化する環境の中で、使命に最も合った新しい進路を探し続けなければいけないのです。

そして、終わりのない、果てしない旅路を目指し、経営者には、飛行機を安全に運航するのは勿論、常により良い成果を上げるために、より高みをめざして進化し続けなければいけない、重大な役目があるのです。

ビジネスは、自分自身、自社の強み、即ち、得意分野と時代の大きなトレンドの交差点ですから、刻々と変化する時代の変化を読み取り続けなければいけないのです。

そして、進む進路を見極めるためには、過去の分析から未来を予見し、未来のあるべき姿から現在に立ち戻り、業界のさまざまな競争因子、外乱を見極め、想定し、未来のあるべき姿を目指していくのです。

単に現在の延長線上の未来に思いを馳せるのではなく、過去とはつながらない未来、即ち、イノベーションを起こそうとすると、お客さまの行動を深く掘り下げなければいけないのです。

会社の将来について、思考を深めるときには、考えなければいけないのは、マーケテイングであり、イノベーションであり、これらはマネッジメントの両輪で、ロイヤルテイの高い、熱狂的なファン客作りは、マーケテイングとイノベーションの双方によってなされるべきなのです。

以下は、私の著書「儲けを目指さない店だけが繁盛する」第三章よりの抜粋です。

「適切なときに、適切なことをやっているか」

機械設計のエンジニアだった私は、創業当時からデザインに関してはうるさいほうで、田舎の鉄工所がつくったのが丸わかりの、野暮ったいデザインではなく、都会的センスにあふれた見栄えのいい製麺機をつくりたかったのです。

そのためには、高額なアマダ製の板金用工作機械が必要だったのですが、創業間もない当社に、そんな大金などあろうはずがありませんし、銀行から借りようにも、与信ゼロですから、借りることもできません。

しかし、私が設計した製麺機を製造するには、この工作機械は欠かせないので、何としても導入しないことには、美しいデザインの製麺機をつくることができないのです。

県の保証が付けば、銀行から資金を借りられるのではないかと考え、そこで私は、香川県に望みを託して、掛け合うことにしました。

こうして県庁詣でが始まり、何度も足を運んだ末、ついに承諾を得、件の工作機械を導入することができ、その努力の甲斐あって、他社の製麺機よりデザイン面で一歩も二歩も抜きんでた製麺機を完成させることができたのです。

それから10年余りが経過し、製麺機の販売も軌道に乗りかけた頃、お客さまの数が増え始め、ノートに記録するだけでは用を足さなくなってきたので、全国のお客さまにDMを送るための顧客データを保存する必要が生じてきました。

すでにその頃、コンピュータは出回り始めていましたが、当社にとってはまだまだ高根の花で、とても手の出せるシロモノではなかったのですが、それでも果敢 に挑戦して、高額なコンピュータを導入し、独学でコンピュータを学んだ山本常務の尽力で、この部門を立ち上げることができました。

そのおかげで、全国のお客さまのデータベースをつくることができたのはもとより、お客さまとのやり取りすべてをデータベースに記録し、過去のデータをいつでも見ることができるようになったのです。

いま振り返ると、先の工作機械の導入にせよコンピュータの導入にせよ、当社の成長にとっては不可欠な出来事で、実は当社はこの2つのほかにも、以下のような成長のための布石をつぎつぎと打って来たのです。

1.うどん用小型製麺機「真打」の開発
2.アマダ製板金工作機械の導入
3.麺の美味しさの研究(麺研究室の創設)と、そのための高額な測定機器の導入
3.ラーメン用製麺機「リッチメン」の開発
4.そば用製麺機「坂東太郎」の開発
5.熟成庫「寝太郎」の開発
6.コンピュータ導入
7.大型自動製麺機の開発
8.関連会社「讃匠」の創業
9.最初の使命「麺専門店繁盛支援会社」を明確にした
10.365日メンテナンス開始
11.麺専用塩「46億年」の製造販売開始
12.大和うどん学校開校
13.坂出駅構内に直営店「亀城庵」開店
14.全国各地での当社独自の展示会開催を開始
15.女性の登用を開始
16.新規開業支援事業「トータル・プロデユース」の開始
17.ラーメン学校、そば学校を開校
18.商圏分析の開始
19.2つ目の使命「美味しい日本の麺文化を世界中に広める」の明確化
20.3つ目の使命「人生の成功ストーリー販売会社」の明確化
21.ドラッカー・マネジメントを本格的に学び、社内に広める
22.TOC理論をイスラエルのゴールドラット・コンサルテイングより学ぶ
23.本社を現在の新本社に移転
24.「ドリームスタジオ」国内8カ所、ソウル1カ所、合計9カ所体制に
25.本社での有機農法無農薬野菜を使ったオーガニック食堂を開始
26.経営講義の本の出版

大きい失敗をたびたび経験しながらも、当社が今日まで来ることができたのは、必要なときに必要なことを実行してきたためで、こうして振り返ってみると、適切なときに適切なことを実行することが、いかに大切であるかがわかります。

適切なときに適切なことを実行しないと、ビジネスが駄目になります。

もちろん、ビジネスが駄目になる要因はほかにもたくさんありますが、原因の多くは、時期を失した施策や対応にあり、可能なかぎりツボにはまった施策を打ちたいものですが、それには5つの留意点があります。

1.顧客重視、即ち、お客さまにフォーカスすることで、そして、お客さまの変化を常にとらえておくことです。
2.実践を重視し、仮説、実行、フィードバックを高速で繰り返すことです。
3.本質をつかむ洞察力を磨き、ものごとの本質をつかむことの大切さを理解することです。
4.責任を重視し、とくにトップの責任の重さ、企業としてのお客様に対する責任の大きさ、およびリーダーシップの大切さを自覚することです。
5.人間重視で、人の強みを発揮させることです。

経営とはまさに日々を真剣に生き、物事を深く考え実行し、最終的に多くの人たちを幸せにすることであり、それには、日々の取り組みへの真剣さが大切で、1年の歳月も、1日1日の積み重ねに過ぎず、いまという一瞬一瞬を、いかに真剣に生き切るかが問われているのです。

そのことを自覚すると、適切な時期に適切なことをやっているかどうかは見えてきますし、もし、適切な時期に適切なことができていないと、一刻は大きく成功したように見えても、その成功がかえって仇となり、結局、駄目になることがよくあります。

今やっていることが適切なことか、適切な時期であるかを常に振り返るようにするには、ステイーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行った以下のスピーチが参考になります。

「私は17歳のときにこんな言葉と出会った。「毎日を人生最後の1日だと思って生きていこう。そうすればいつの日か必ず間違いのない道を歩んでいることだ ろう。やがて必ずその日がやってくるから」。それはとても印象に残る言葉で、その日を境に33年間、私は毎朝、鏡に映る自分にこう問いかけることを日課に してきた。
「もし今日が最後の日としても、今からやろうとしていることをするだろうか」と。「違う」という答えが何日も続くようなら、生き方を見直せということです。」
ステイーブ・ジョブズも桁外れの成功も、常に正しいことを行なってきた結果なのです。

「深く思考し本質を掘り下げると、輝く未来が見えてくる」

私の場合、イノベーションに深く踏み込もうとすると、必ずと言っていいほど、以前に学んだ「デザイン思考」に行き着きます。

デザイン思考は、図案を描いたりレイアウトをしたりする、いわゆるデザインとは別物で、英語の「デザイン」という言葉には、「問題を解決するためのプロセ スや、思考や概念の組み立て」という意味が含まれており、デザイン思考で言うデザインも、こういった意味合いで使われます。

非常な難問であっても、少し角度を変えて眺めてみると、いままで思いもよらなかった解決法が見つかったり、新しいチャンスが生まれたりするもので、そうした新しい機会を発見するためのプロセス、それがデザイン思考です。

そのデザイン思考を世界に発信して広めているのは、アメリカ・カリフォルニア州シリコンバレーの一角、パロアルト市にあるIDEO(アイディオ)社で、私は以前からこの会社に興味を持っていたので、サンフランシスコに行ったおりに、本社を訪ねました。

世界のイノベーションをリードするIDEO社のことですから、きっと最先端の超近代的ビルに本社を構えているに違いない、この際、アメリカの最先端ビルがどういう構造になっているか、この眼で確かめてやろうと思い、私は期待に胸を高鳴らせました。

ところが何と、IDEO社の本社は閑静な高級住宅街の中にひっそりと佇み、これが世界的に有名なIDEO社の本社であろうかと疑いたくなるほど小さく、こじんまりしているのです。

一瞬、目を疑いましたが、こういう環境だからこそ、感性の素晴らしい頭脳が集まり、いろいろなアイデアを生み出すことができるのだと、すぐにわかりました。そう思えば思うほど、創業者の思慮深さが偲ばれます。

ところで、デザイン思考を考え出したのはもともと、IDEO社のデザイナーたちで、彼らは、いろいろな企業からの求めに応じてデザインを進めるうちに、い くら素晴らしいデザインを考案しても、それだけではクライアントに大きな成果をもたらさない、会社の経営自体にかかわらないと全体が良くならないことに気 づき、デザイン思考という概念を生み出すに至ったのでした。

当社が大きく変わることができたいきさつも同様で、創業からの約20年間、当社は製麺機メーカーとして、美味しい麺をつくれる製麺機の製造販売にひたすら 取り組んできましたが、いくら努力しても、お客さまである麺専門店の経営者の考え方やお店の運営方法が間違っていると、良い成果を出せないのです。

14年前に自社でうどん店を持ち、うどん学校を始めてからは、そのことが一層よくわかるようになりました。

ビジネスの世界では、頭の中で考えたとおりにいかないことがほとんどで、その一番の理由は、〝人〟を対象にしているからで、人はひとり一人、個性があり、生きてきた歴史も違っているので、10人いれば10通りの違った考え方、違った行動があります。

ところが往々にして、お客さまは同じように考え同じように行動をするものと思い込み、同じような対応をしてしまいます。

たとえば当社の場合でも、すべてのお客さまに同じDMを送り、同じ製麺機を販売していました。

お客さまのニーズは一人ひとり異なっているにもかかわらず、ワンパターンの思考、ワンパターンの行動で対応していたら、お客さまが良い反応をしなかったり、クレームが発生するのも当然かもしれません。

一方、IDEO社のアプローチは、通常のコンサルティング会社とは異なり、認知心理学、文化人類学、社会学などの専門家チームが事実を観察することからス タートし、クライアント企業の依頼に応じて、商品の使われ方やユーザーの行動を、さまざまな角度から徹底的に観察するのです。

その意味ではプロセス・コンサルティングに近いアプローチであり、実際、彼らは、最近では企業変革や革新をもたらすプロセス・コンサルティングも始めています。

以上のように、デザイン思考では、すべてをリセットしてゼロベースに戻し、現実に起きている現象、すなわち「なぜ、お客さまはそのような行動を取るのか」を正確に把握、分析して、最適解を導き出すのです。

つまり、デザイン思考のプロセスは、徹底した観察、その後の思考、試作、実験、さらに思考という、深い思考の積み重ねで成り立っているわけです。

実際にデザイン思考を実践しようとするなら、いままでの考え方をすべて疑ってかかることで、顧客の行動分析であれば、まずお客さまの行動を深く観察し、な ぜお客さまはあのような行動を取るのだろうと深く思考し、そして、考えたことを素早く実行に移し、小さい失敗をたくさん積み重ねます。

そのように、仮説を立て、仮説を検証するために実行し、思考しながらまた実行することを繰り返し、そのスピードを徐々に速めていき、できるだけ早く正解を見つけることです。

いまのような変化の激しい時代に、このようなアプローチの仕方は非常に重要で、とりわけ、一つの業界に何十年と取り組んでいる人にとっては必要にして不可欠なのは、固定観念に縛られやすいからです。

たとえば当社の場合、製麺機の製造販売を30年以上もやっていますから、ともすると「製麺機とはこういうものだ」という固定概念に縛られかねないのです。

時代の変化に対応するには、固定観念の打破が先決問題で、製造業であれ、小売業であれ、サービス業であれ、固定観念を打ち破らないことには、時代の変化に遅れるのです。

麺専門店に絞って考えると、世の中にはたくさんのうどん店、蕎麦店、ラーメン店があり、同じような店が同じような商売をやっていて、これらの店の多くが、時代の潮流から取り残されようとしています。

それでもなお、「うどん店は昔からこういうもの」「そば屋とはこういうもの」と考えているとしたら、まさに「固定観念にとらわれている」と言うほかありません。

これからの時代にピッタリの麺専門店を立ち上げるには、顧客ニーズに応えるべく、ゼロベースで考えて準備する必要があり、それには、柔軟な頭で柔軟に考えることで、成果は新しく考えたことを通してしか、得ることができないのです。

あまりにも多くの人たちが、日々、考えることなく、慣れきった単純な作業をやっていますが、これは大きな課題であると同時に、人間として大変もったいないことです。

われわれは、食べ物を自由に選ぶことができ、食べ物だけでなく、行動も選ぶことができ、思考も選ぶことができ、自由に好きなことを考えることができ、自由 に好きな夢を見ることができ、どんな大きな夢も自由に描くことができ、われわれはまったく自由で、好きなことができるようになっているのです。

ところが、いつしかそのことを忘れてしまい、過去の記憶、習慣、惰性の延長線上で生きている人が少なくありません。いまこそ、そこから抜け出さなくてはなりません。それを可能にするのは、深い思考と自分自身への問いかけです。

なぜ、何のために、これをやっているのだろう…、なぜ、何のために、これをやらなければいけないのだろう…、深い思考と自身への問いかけが、新しい未来の扉を開くのです。

過去の延長線上で生きていく必要はなく、新しい未来の可能性にチャレンジし、新しい未来は、すでに自分の中にあるのです。それを見つけるのは、深い思考と自分に投げかける質問です。そこには、過去の自分はいません、新しく生まれ変わった自分がいるだけです。

画像は昨日お伺いした、鹿児島空港近くの麹のテーマ・パーク「霧島麹蔵GEN」の外観の画像で、内部の見学工場、レストランも素晴らしかったです。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

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