本日のテーマは 開業で失敗しない10ヶ条、8.「際立つ個性」についてです。
遠い昔になりましたが、ラーメンブームといえば、始まりは札幌ラーメンから、うどんといえば、讃岐うどんでブームが始まりました。
その札幌ラーメンと讃岐うどんを比べてみると、讃岐うどんの本場香川県では,今でもブームが続き、全国からお客さまが押し寄せ、長寿のロングラン商品の見本のような存在ですが、札幌ラーメンの本場札幌のラーメン横丁などを見ても、人気の陰りは歴然としています。
これほどまでに大きくついてしまった讃岐うどんと札幌ラーメンの差が、ビジネスの本質を言い当てているのです。
ビジネスの本質は現状否定であり、いかに、他の店と違うものを提供できるか、つまり他といかに差別化できるかどうかで、差別化が大きければ、大きいほど成功しやすいのです。
讃岐うどん店の90%以上は、自店で作ったオリジナルの麺や出汁で勝負していて、他の店舗とは違った、こだわりの食感、味のうどんを提供してます。
札幌ラーメンの場合は、多くの店が、大手の製麺メーカーから麺やスープを仕入れ、商品を提供している店が多いため、どこの札幌ラーメンのお店に入っても似たような商品を提供している場合が多いと聞きます。
例えば、小が大に勝つための戦略としては以下の2つの戦略があります。
1.競争変数を増やしていく方法
※ラーメン業界のようにスープや麺、具、調理方法など競争変数を増やして大手が参入しにくくする。
2.際立った個性で勝負する方法
現在、最も有効なものが、2の強烈な個性で勝負する方法です。
芸能界で、長く生き残っているタレント、俳優、女優は、強力な個性のある人だけで、美男子であるとか、美人であっても長く生き残ることは出来ないのです。車の業界でいえば、フェラーリやポルシェ、ロールスロイスなど、生産台数は非常に少ないメーカーが、業界の中では非常に強く、生き残っているのです。自動車産業のような生産台数がモノを言う業界でも、圧倒的で際立った個性があれば非常に強力な武器になるのです。以上のことをもっと良く理解するために、圧倒的な地域一番店を思い起こしてみると、強烈な個性がある店ばかりです。
函館のハンバーガー・レストラン「ラッキー・ピエロ」も、茨城県にあるファミリー・レストラン「坂東太郎」、香川県の骨付き鶏「一鶴」も非常に際立った個性で勝負して成功し続けているダントツの地域一番店の事例です。
その際立った個性があればあるほど話題性が高くなり、口コミ、そして現在はインターネット上で拡散しやすく、短時間で広く拡散し、繁盛しやすくなります。従って、これからのネット時代は特に、強く生き残るために、この際立った個性は欠かせません。
個性に乏しい昔ながらの平凡なうどん店、蕎麦店はだんだん売上げを落とし、業界から消え去りつつある一方、勝ち残っている麺専門店を見ると、競争変数を増やして複雑なビジネスモデルを構築していたり、強烈な個性で勝負しているのです。
ビジネスは、複雑にすればするほど大手の参入が難しくなり、寡占化は進まないのです。反対に、寡占化の進んだ業界は、ますます標準化、単純化されていきます。それゆえ、消費者から見ても面白くないし、業界の活性度も低くなり、個店が生き残れない業界になってしまいます。
だからこそ、際立った個性を発揮して楽しい業界、お客さまにとっても楽しい業界、働いている人たちにとっても楽しい業界、関係している人たち全員にとって楽しい業界、にしなければなりません。
そうやって際立った個性を前面に打ち出して、成功を収めているお店はたくさんあり、うどん店で言えば、「つるとんたん」「楽々うどん」「山元麺蔵」等々です。人気店はすべて、際立った個性を発揮し、うどん店ではありませんが、うどん店以上にうどんで成功している「カフェ中野屋」も、際立つ個性を発揮しています。
ラーメン店で言えば、「俺のラーメンあっぱれ屋」は、店名からしても個性が際立っていて、「ラーメン二郎」も、「博多一風堂」も、「一蘭」も、際立った個性派組であり、「来来亭」は、サービス面で際立つ個性を発揮しています。
こうして見てみると、成功店、繁盛店は、何らかの尖った個性を発揮していることがよくわかります。
際立った個性の発揮こそが、個店が大型店に負けない強みであり、ビジネスは尖った個性で勝負すべきで、人間の場合も同様に、これからの時代、際立った個性の発揮が求められます。平均点主義は、学校時代は通用しますが、社会では役に立たず、害になるだけです。
一般的に、ビジネス上の競争の場合、個店よりチェーン店のほうが強いと思われていますが、うどん店、蕎麦店、ラーメン店のような麺専門店ビジネスにおいては、そんな常識にとらわれる必要はありません。小規模な個店であっても、差別化すれば十分に勝てます。すでに述べたように、競争変数の多い業界の場合、インパクトのある特徴で勝負すると、大手であってもなかなか太刀打ちできないのです。
大手が得意とするのは、競争変数の少ない、お手軽方向のマーケットで、そういうマーケットであればあるほど、大手による寡占化が進みやすく、その分、個店は苦戦を強いられます。その典型がコンビニエンス業界、牛丼業界であり、ハンバーガー業界であるのです。
したがって個店が生き残り、成功するには、際立った個性で勝負しつつ、「お手軽方向を目指さず、上質方向を目指すべきだ」ということがおわかりになると思います。
画像はうどん学校の生徒さんの作品事例です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。