サービス戦略「これからの人材確保術と教育法!」 ①
特にサービス産業である飲食業の場合、サービス・レベルを上げるには、サービス・マインドを持ったスタッフの採用が欠かせません。サービス・レベルの高いアップル・ストアー等でもITの専門知識の豊富な人ではなく、人に接するのが好きな笑顔の素晴らしい人を採用しているのです。
専門知識は後からでも教えることが出来るのですが、人に接することが好きな自然な笑顔は教えることがたいへん難しいのです。
多くの経営者は、ある程度のレベルの人を採用して、それから教育で育てようとしていますが、採用して良い人と、そうでない人を採用時に見分けることがたいへん重要になっています。
採用時において大切なことは、能力ではなく、努力と考え方なのです。
例えば、仕事の成果方程式を表すと次の通りです。
「仕事の成果=能力×努力×考え方」
そして、能力とか、努力はプラスだけですが、考え方はマイナスがあるのです。
例えば、ここにAさんとBさんがいたとします。
Aさんの能力は高く8点、しかし、努力は余りしなくて2点、考え方がマイナス3点であったとすると、Aさんの仕事の成果は次の通りです。
A=8×2×(-3)=-48
ところが、Bさんの場合、能力は低く2点、努力は8点、考え方がプラス3点であったとすると、Bさんの仕事の成果は次の通りです。
B=2×8×(+3)=48
以上のような結果になり、Aさんを採用すると、一見、能力は高く、直ぐに役に立つように思いますが、実際は組織の足を引っ張るのです。
Bさんの場合は、能力が低いので最初は役に立ちませんが、努力は人一倍するので、そのうちに能力が上がり、大きな戦力になるのです。
優秀な人材の確保は、これからの日本におけるどんなビジネスにも避けて通ることが出来ない、たいへん重要なテーマです。
そして、現在の日本では、優秀な人だけではなく、募集しても応募者が来ないのが現状で、その大きな原因は、アベノミクスによる経済環境の好転、オリンピッ ク誘致成功、東北大震災の復興需要以外に以下の大きな原因が横たわっていて、この日本独自の課題は今後とも日本の経済に大きな影を落とします。
1.生産年齢人口の問題
現在、生産年齢人口(15歳から64歳までの最も働き盛りの人口)がすでに、19年前の1995年にピークを打ち、現在、ピークから既に12%減少してい て、更に減少を続けている日本において、人材確保はどんな企業においても、最優先課題なのです。(別表「日本の人口の推移」参照)
この表のように、1995年が生産年齢人口、即ち、働き盛りの人たちがピークで、それからずっと減少を続けているが、日本の総人口はほとんど減少していないのは、高齢者人口が増え続けているためです。
従って、これからも働き盛りの男性の確保は、日本においては難しくなる一方であるのです。
従って、高齢者と女性の人材としての確保は重要な課題です。
更に、生産年齢人口は消費人口でもあるので、日本の経済が沈滞の一途にあるのは、生産年齢人口の減少のせいであったのです。
自動車が売れなくなったり、さまざまな消費が停滞しているのは、生産年齢人口の減少が大きく影響し、17年前をピークに外食産業が右肩下がりで下がり続けているのも、生産年齢人口の減少が原因であったのです。(参考:外食産業の市場規模の推移)
当然、麺専門店においても同様で、最近では募集しても人がぜんぜん来ないのが当たり前の状態が日本全国で続いており、有名なチェーン店では、人手不足のための閉店しなければいけない店が続出しています。
2.教育よりも、人材の確保が優先
従って、優秀な人材の確保こそ、これからの企業では最優先課題であり、人手がますます採用しにくくなる状況の中で、重要なことは従業員の立場で、働きたくなる職場作りが欠かせないのです。
ここで、働く人たちにとって、価値ある仕事とか、価値ある労働環境とはどのようなものであるかを方程式を使って表してみると、以下のようになります。
3.従業員の価値方程式
従業員にとっての価値=(顧客に価値を提供する能力+ワークライフ・クオリテイ)÷((1÷総所得)+アクセス・コスト)
上記を詳しく解説すれば
① 顧客に価値を提供する能力とは、仕事の結果のクオリテイを上げるために、顧客との長い接触による信頼の構築、明瞭な問題解決方法の提示、解決策の十分な準備等)
② ワークライフ・クオリテイとは、仕事のプロセス、環境についてで、働き易くて、清潔な職場環境、良好な人間関係、人としての尊厳、仕事と私生活との両立のバランス
③ 総所得は、業界水準に基づいた報酬
④ アクセス・コストとは、通勤に便利な立地条件
以上を簡素化すれば、次のようになります。
従業員にとっての価値=仕事を通じて得られる心の満足×実質的な報酬
要するに、仕事を通して得られる心の満足と報酬の高さの双方の積になっているのです。
次に、従業員サテイスファクションについてですが、従業員サテイスファクションを高める要素は、主に仕事の要素が多く、従業員ロイヤルテイを高めるには、人間味あふれる要素がもっと重要
従業員サテイスファクションを高める要素は以下の通り
1つ目は、従業員のやる気(モラール)を高める対策で、具体的には、
① 資格取得者に対する報償制度
② 職務拡大などスキルを生かせる仕事を与える
③ 目標管理制度等を活用した透明性・納得性の高い評価制度
等があります。
2つ目は、従業員の能力開発を支援する対策で、具体的には、
① 社外の技術トレーニングへの参加を推奨する
② 自社内でのジョブ・ローテーションやOJT(On-the-Job Training)による教育訓練の実施
③ CDP(Career Development Program)など自分のキャリアを磨くことができる仕組みの導入
等があります。
3つ目は、標準化の推進で、具体的には、
① 仕事が効率よくこなせる業務プロセスや情報システムの整備
② マニュアルや手順書等による作業の標準化
等があります。
画像は、これからの寒い冬にピッタリの牡蠣とネギ天ぷらの、味噌仕立てうどんです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。