本日も、ドラッカーの名言の解説で、今日のテーマは「効果が出ているか、仕事を再検討する重要性」です。
18.効果が出ているか、仕事を再検討する重要性
組織に働く者は、成果に何も寄与しないが無視できない仕事に時間をとられる。
膨大な時間が、ほとんど役に立たない仕事、あるいはまったく役に立たない仕事に費やされている。
(解説)上記のような時間は、コビー博士の7つの習慣に照らし合わせると、第三領域(重要ではないが、緊急な仕事)、或いは、第四領域(重要でなく、緊急でもない)の仕事です。
ドラッカーは名言集の中で、成果についての記述は以下の通りです。
「仕事で成果をあげる人の特徴は、
私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。
時間からスタートする。計画からもスタートしない。
何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。
次に、時間を管理すべく自らの時間を奪おうとする非生産的な要素を退ける。」
仕事で成果を上げる人は、仕事とか、計画からスタートしないで、時間管理からスタートし、必要な時間を最初に割り当てることから、スタートしているのです。
例えば、24時間の中から最低限必要な睡眠、入浴、食事、仕事等の時間を引き去り、残った時間を成すべきことに優先順序を付け、割り当てているのです。
例えば、毎日瞑想、筋トレに1時間とか、英語の学習に1時間とかを優先的に割り当てるのです。
次は、「成果が出ない人の3つの特徴で、
いかなる成果もあげられない人の方がよく働いている。
成果の上がらない人は、第一に、ひとつの仕事に必要な時間を過小評価する。
第二に、彼らは急ごうとする。
第三に、彼らは同時にいくつかのことをしようとする。」
要するに、成果の上がらない人ほど、十分な準備とか、深い思考を怠っていることがよく分かります。
時間管理の鉄則では、
「時間を管理するには、まず自らの時間をどのように使っているかを知らなければならない。」としています。
自分自身の時間をどの様に使っているのかを、実際に計測することを勧めていて、計測すると、無駄な時間の存在が見えてくるので、次は、明確になったロス時間を思い切り省くことなのです。
「知識労働者をマネジメントできるのは自分自身だけで、
知識労働者を直接、あるいは細かく監督することはできない。
彼らには助力を与えることができるだけである。
知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。
自らの仕事を業績や貢献に結び付けるべく、すなわち成果を上げるべく、自らをマネジメントしなければならない。」
成果がほぼ時間と比例する、肉体労働者の仕事から、成果が時間とは比例しない知識労働者の仕事に変遷するにつれ、知識労働者の成果を上げるための研究をドラッカーは深く取り組んでいます。
上記も、そのような研究の結果ですが、知識動労者は自分自身をマネッジメントすることが成果を上げる上で重要であることを見つけ出したのです。
肉体労働の時代は、労働者は経営者にマネッジメントをされる側でしたが、現在のように労働者のほとんどが知識労働者の時代になれば、成果を上げるには、労働者が自分自身をマネッジメントすることが要求される時代になったのです。
このようなことに慣れていない労働者がほとんどの日本において、意識改革が重要であり、自主的に労働者が動くような社風が欠かせないのです。
以下は最近見つけた面白い情報で、株式会社武蔵野 代表取締役社長 小山 昇(こやま・のぼる)氏が、2014年12月3日 日経BPネットに掲載されていました
「ストレス耐性のある新卒は絶滅しましたか?-懐古趣味ではマネジメントはできない」
前回の当連載で、「最近の若い人はストレス耐性がきわめて弱くなった」という内容の記述をしました。そういう世の中になってしまった以上、マネジメントもそれに合わせて変えていかなくてはならない–、と。今回はそれと続く話をさせていただきましょう。
これも前回触れたが、わが社では就活中の学生さんに対しては『エナジャイザー』を受診してもらっています。これはリーズナブルとはいえない分析ツールです が、わが社の企業風土や文化になじむことができない人を採用しては互いに不幸ですので、コストは気にせず「全員受診」を実施しています。
エナジャイザーでは、被験者のストレス耐性が数値で明確に出ます。これまでわが社は、ストレス耐性が弱い人材は、他の数値が優秀でも採用はしませんでした。
ところがここ数年–、もう少し具体的にいえば、いわゆる「ゆとり世代」以降–、ストレス耐性が強い学生は少なくなりました。こうなるともう「ストレスに弱い人は採用しない」などとはいってられない。そんなことに拘泥していたら人材が採用できなくなるから当然です。
「以前はよかった」「昔はこうじゃなかった」なんて嘆くのは、ただの懐古趣味です。もっというなら敗北主義です。嘆いたってボヤいたって事情は当面決して 変わらない以上、自らが変わって時代に対応するしかない。そう頭を切り替え、マネジメントのやりかたも根本から変えました。
マネジメントのキーワードは「傾聴」
以前の、といってもつい10年~15年前の武蔵野のマネジメントは、簡単にいえば「指示」でした。あれを仕上げておきなさい、これを売ってきなさい云々と いう具合です。実際にはもう少し乱暴といいますか、「おらおら、早よやらんかコラ」「とっととお客様訪問してこい、タコ」みたいな口ぶりであったことは、 事実です。
ですが、ストレス耐性の高かった昔はそれでも特に大きな問題はありませんでした。管理職は、部下に指示すべきことをしっかり覚えておいて、そしてきちんと実行させてさえいれば組織は回ったのです。
いまは「絶対に」そんなことはやれませんね。蝶よ花よと乳母日傘(おんばひがさ)で育てられてきた昨今の若い社員にとって、そんな伝法な口ぶりは大ストレスもいいところです。
そこでマネジメントの手法を根本から変えました。従来の「指示」のマネジメントは止め、代わりに「傾聴」に徹することにしたのです。つまり「ああしろ、こ うしろ」ではなく、「きみはこの会社(武蔵野)でどうしたいのか、どうでありたいのか」を聞く。すると、いかにストレス耐性の弱い新人であろうと前向きな ことをいいます。「給料は××万円くらい取れるようになりたい」「来年には主任になりたい」などと。
その仕事をする意義を理解・納得してもらう
こういうふうに相手の希望を知れば、具体的なアドバイスができます。「××万円の給与となると、わが社の規定の号俸(賃金表において号数ごとに設定された 給与額)では10号俸ほど上がらなくてはいけないよ」「つまり、A評価を2回続けて取る必要があるね」「きみの場合、A評価を取るためにはどうしたらいい かというと…」などと。
すると以降、新人は上司からの助言を非常に受け容れやすくなります。早い話が、あれこれ指示を受けてもあまりストレスを感じにくくなる。どうして? 「こ うでありたい」という本人の実現するための指示だからです。ある意味では傾聴のマネジメントというのは、その仕事をする意義を理解・納得してもらうための 手続きだともいえるでしょう。
…という話を、かねて懇意にしている編集者にしたところ、彼は目を丸くしていいました。「そこまでして差し上げなくてはならないのですか」。私はいいまし た。「当然でしょう」。だってそういう時代ですから。彼ら若い人たちがストレスをあまり感じないで済む環境をつくってきたのは、いってみれば私たちです。 である以上、そのツケも私たちが払わなくてはなりません。
わが社のことでいうと、今年の新人に対しては「傾聴のマネジメント」の個別対応も始めました。昨年まではだれに対しても一律な傾聴で良かったものが、今年 は「Aさんにはこういう質問をしなさい」「Bくんにはこういうふうに聞きなさい」「Cさんにはこうやって」と、他ならぬ私自身が管理職に指示をしている。
もう少し具体的にいうと、週に4日–、よろしいですか、週4ということは「ほぼ毎日」ですぞ–、私は課長・元課長を対象に、新人に対するマネジメント のやりかたを指導しています。いやはや、前述の編集者氏が聞いたらきっと天を仰いで嘆息することでしょう。でも、そうでもしないとにっちもさっちも行かな いのが現実なのです。
「きみの部下はもっと傷ついてるんだ」
最近実施した従業員アンケートの中で、こんな回答がありました。「××課長は嫌だ」。彼はなかなか傾聴のマネジメントができない人材でした。自分のマネジ メントに問題があることも知らず「名指しでこう書かれると傷つきますね」という××課長に私はいったものです。「馬鹿をいうんじゃない、きみの部下はもっ と傷ついてるんだ」。
××課長に少しだけ同情を示すなら、つい先日まで「ああしろ」「こうしろ」と上から目線で指示を出していた(そして、それで特に問題はなかった)わが社の 管理職にとって、今日からいきなり傾聴のマネジメントに切り替えるのは難しいものがあるとは思う。しかし、それをすることができた管理職とできない管理職 とでは業績に厳然たる差が出る。
だから私はそうした数値を見ながら諭しています。「きみの同期の××課長は、きちんと傾聴のマネジメントを行なって、これだけの業績を出している」「一 方、いつまでも指示のマネジメントから離れられないきみはこの数字だ」「このままでは更迭することになるよ」。そして事実、更迭した管理職も何名もいま す。
ここであなたに理解していただきたいことはひとつです。いつの時代の新人を差配するにしても、マネジメント次第できちんと業績を上げることは可能だという 事実です。10年、20年ごときの世代論などぶって利益が出せるのならそれでも結構。しかし現実はそうではない以上はマネジメントを変えるしかない。大切 なのは時代を嘆くことではなく、あくまでも数字を叩き出すことですから。
ドラッカーも上記とほぼ同じことを言っているのです。
「リーダーの仕事は「命じること」から「聞くこと」へ
過去のリーダーの仕事は「命じること(tell)」だが、未来のリーダーの仕事は「聞くこと(ask)」が重要になる。」
画像は、ラーメン学校の生徒さんの作品事例です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。