パスタ学校・ラーメン学校・うどん学校・そば学校で成果アップ|「イノベーションと起業家精神(下)」「弱みへの攻撃、創造的模倣、イノベーターよりも創造的」

製麺機でつくるサクサクのクロワッサン

私は過去、当社のユーザーさまを通じて、この業界の栄枯盛衰を見てきて、今回の創造的模倣戦略の成功事例として、「丸亀製麺」が「はなまる」を超えたときの戦略がこれに相当すると気づいたのです。

一番最初に当社のユーザーさまが、香川県で人気の出始めていた、セルフスタイルのうどん店を東京で出店したのは、約30年前で、斬新なスタイルのうどん店ではあったのですが、まだ時期が早すぎ、国内にセルフうどん店の市場が存在しなかったのです。

十年余り前に、香川県でスタートした「はなまる」が、まだ香川県でも数店しかなかった時に、東京渋谷に出店し、大成功し、これがきっかけで、全国展開を始めたのです。

それまでは、香川県とか、岡山県ではセルフうどん店は、既に当たり前であったのですが、全国的には認知されておらず、「はなまる」の怒涛のような全国出店により、多くのメデイアに取り上げられ、一気に有名になり、多くのコピー店が乱立し、当然、当社のうどん学校にも、多くの生徒が押し寄せ、セルフのさぬきうどん店の開業希望者が増えてきて、国内全域にセルフうどん店の市場が広がっていったのです。

ところが、どのチャレンジャーも、「はなまる」のコピーであったり、或いは、香川県の既存のさぬきうどん店と同じような、ほぼ似たり寄ったりの店舗作りであったのですが、その中で「丸亀製麺」だけが路線が異なっていて、敢えて、製麺機で麺打ちを見せて、実演自家製麺を売りにしたのです。

「はなまる」のビジネスモデルは、FCが主流で、麺は本部が持っているセントラルキッチンから配送されるで、店舗オペレーションは楽で、FC化には向いていたのです。

反対に「丸亀製麺」は、店内で小麦粉のミキシングから始めるので、店内作業が多く、FC化には向いていなかったので、国内はすべて直営店方式なのです。

日本でのFCビジネスで一番成功しているのは、コンビニエンスですが、コンビニの場合は、店内加工が少ないので、店舗間の品質のバラつきが少なく、管理が楽で、FC化には向いているのですが、反対に麺ビジネスはラーメンにしろ、うどん、蕎麦にしても、店内加工が多く、バラつきが出易いので、FC化には向いていないのです。

しかし、両社のビジネスの本質を深く掘り下げていくと、「丸亀製麺」は、実演自家製麺による美味しさの演出、シズル感、見た目のインパクト、そして、実際に食べたときの麺質の差等で、ビジネスモデルとして、「はなまる」を凌駕したのです。

ところが、「丸亀製麺」が大成功したので、当然、多くの会社、個人が「丸亀製麺」のコピーを試みたのですが、これが成功している2番手であると言えるような、強いライバルはぜんぜん存在しないのです。

その一番大きな理由がマネッジメントの差であり、「丸亀製麺」のような品質管理体制が取れていないのです。

「丸亀製麺」は国内で800店舗近くありますが、そこまで来ることが出来たのは、単純に言えば、マネッジメントの差でしかないのです。

「丸亀製麺」が使っている製麺機を購入しようとすれば、誰でも購入でき、店作りも実際に見学すれば、ほとんどのことが分かります。

ところが、一番真似出来にくい部分は、根っ子の部分で、価値観、使命、企業文化であり、これは幾ら「丸亀製麺」の店舗に見に行っても見えないのです。

そして、ほとんどのライバルは、見える部分しか見ていないので、お手軽に、見える部分だけのコピーをして、価値観、使命、企業文化に気を付けていないのです。

従って、「丸亀製麺」の取った戦略はまさしく、本日のテーマである、「創造的模倣」であり、市場の存在が見え始めて来た時に、最初のイノベーターを徹底的に分析して、イノベーターつまり「はなまる」をはるかに超える戦略を構築したのです。

次に、うどんよりもっと難しいラーメンで、国内、海外合わせて、100店舗近く展開している「博多一風堂」も海外は、NYを初め、世界中に店舗展開して成功しているのですが、これらが可能になっているのも、マネッジメント・レベルの高さなのです。

1店だけであれば、行列店を創ることが出来ても、多数の店舗展開を行なうには、マネッジメント・レベルの高さが要求されるのです。

多数店舗を展開する場合は、自分自身の頑張りだけではどうすることも出来ないので、多くの人に頑張って貰える仕組みを作り続けなければいけないのです。

従って、マネッジメント・レベルを磨き続けなければいけないのです。

本日の学びで、「創造的模倣」戦略がいかに強力な戦略であるか、非常によく分かりました。

本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。

ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。

第17章 弱みへの攻撃

I創造的模倣

「弱みへの攻撃」は、南北戦争における南軍将校の言葉であり、起業家戦略としては、「創造的模倣」と「起業家的柔道」という2つの戦略が、これに該当するのです。

◆イノベーターよりも創造的

創造的模倣は、ハーバード・ビジネススクールのセオドア・レヴィットの造語で、明らかに矛盾した概念であり、創造的ということは、オリジナルということであり、あらゆる模倣に共通していることは、オリジナルではないということであるのですが、これは、まさに内容とぴったりの言葉であるのです。

この戦略は模倣であり、この戦略では、起業家は、すでにほかの誰かが行ったことを行うのですが、この創造的模倣の戦略を使う起業家は、最初にイノベーションを行った者よりも、そのイノベーションの意味をより深く理解しているがゆえに、創造的となるのです。

日本の場合でも、模倣戦略はたびたび実行されるのですが、最近ではそのほとんどが失敗しているのは、イノベーションを行なった者よりもはるかに低いレベルの模倣を行なっているのです。

形だけ真似て、イノベーションのコンセプト、要するに本質を理解していないためで、創造的模倣においては、本質の理解が欠かせないのです。

IBMがこの戦略を最も多く使い、大きな成果をあげていて、P&Gが、石鹸、洗剤、トイレタリーの市場でトップの地位を獲得し維持するために使い、日本の服部セイコーが世界の時計市場において、トップの地位を得るために使っているのです。

1930年代初め、IBMは、ニューヨークのコロンビア大学の天文学者のために、高速の計算機をつくり、その数年後の1930年代半ばには、(ハーバード大学の天文学者のために、コンピュータの原型ともいうべき計算機をつくり、第2次大戦が終わる頃には、記憶装置とプログラム能力を備えたコンピュータをつくったのですが、そのIBMが、コンピュータのイノベーターとして歴史の本で取り上げられることはあまりないのです。

それには、それなりの根拠があり、IBMは、その先駆的な1945年のコンピュータを完成し、二ユーヨークの街中で大勢の人たちを集めて実演した後、自らの設計を捨て、ペンシルベニア大学で開発されたENIACに乗り換えたのは、ENIACの設計者は認識していなかったのですが、給与計算に使いやすかったのです。

IBMは、計算事務という平凡な仕事に使えるよう、ENIACの設計を取り入れ、生産し、アフターサービスすることにし、1953年、ENIACのIBM版が世に出るや、直ちにそれは、企業用の多目的メインフレーム・コンピュータの標準となったのであり、これが創造的模倣の戦略であるのです。

誰かが新しいものを完成間近までつくりあげるのを待ち、そこで仕事に取りかかり、短期間で、顧客が望み、満足し、代価を払ってくれるものをつくりあげ、直ちにそれは標準となり、市場を奪うのです。

IBMは、パソコンについても創造的模倣の戦略を使い、アイデアそのものはアップルのものであり、IBMは、パソコンが経済的でなく、最適にほど遠く、金のかかる間違った製品と見ていたのですが、なぜかそれは成功していたので、
IBMは直ちに、パソコンの標準となり、支配者となり、少なくとも先端的となるべき製品の設計にかかり、その成果がPCで、2年後には、IBMのPCはアップルのリーダーシップを奪い、最も売れる製品、標準たる製品となったのです。

P&Gもまた、石鹸、洗剤、トイレタリー、加工食品などの市場で、ほとんど同じ戦略を使ったのです。

時計業界は、半導体が開発されたとき、それまでの時計よりも正確で信頼性が高く、しかも安い時計がつくれることを知り、スイスの時計メーカーもクォーツ・デジタル時計を開発したのですが、すでに従来型の時計に多額の投資を行っていた彼らは、新製品を贅沢品として位置づけ、時間をかけて導入していくことにしたのです。

他方、国内市場向けに腕時計をつくっていたセイコーは、半導体にイノベーションの機会を見出し、創造的模倣の戦略をとって、クォーツ・デジクル時計を普及品として世に出し、スイスのメーカーが気づいたときには、すでに遅く、セイコーの腕時計が世界のベストセラーとなり、スイスのメーカーはほとんど市場から追いやられたのです。

創造的模倣の戦略は、「総力による攻撃」と同じように、市場や産業の支配まではできなくとも、トップの地位の獲得を目指すのですが、リスクははるかに小さく、創造的模倣を行う者が動き出す頃には、市場は確立し、製品が市場で受け入れられているどころか、通常、最初のベンチャー・ビジネスが供給できる以上の需要が生まれているのです

市場もすでに明らかになっていて、少なくとも明らかにできるようになっていて、しかも、顧客が何を買っているか、いかに買っているか、何を価値としているかを、市場調査によって明らかにすることができるようになっているのです。

最初のベンチャー・ビジネスが直面した無数の不確定要素も、ほとんどが明らかにされているか、少なくとも、分析し調べることが可能になっていて、もはやパソコンやクォーツ・デジタル時計が何であるか、何をするものなのかを説明する必要はないのです。

もちろん、イノベーションを行った者が、最初からすべてを行ってしまい、創造的模倣の戦略に対して戸を閉めていることもあり、ビタミンのホフマン・ラロッシュ、ナイロンのデュポンのように、行うべきことをすべて行ってしまっていることがあるのですが、これまで創造的模倣に成功した起業家の数を見るかぎり、最初にイノベーションを行った者が、すべてのことを行い、市場を占有してしまっていることは、それほど多くはないのです。

創造的模倣のもう1つのよい例が、「非ピリン系アスピリン」ともいうべきタイレノールであり、これほど、創造的模倣の戦略が何であり、成功するための条件が何であり、いかにうまくいくかを示してくれる例はないのです。

アメリカでタイレノールなる商標名で売られている、アセトアミノフェンは、長年鎮痛剤として使われていたが、ごく最近まで、処方箋がなければ手に入れられない医薬品であり、アセトアミノフェンよりもはるかに古いアスピリンが市場を独占していたのです。

アセトアミノフェンは、アスピリンほどの効き目はなく、鎮痛剤としては効いても、解熱剤としては効かないのですが、その反面、血液の凝固作用がないので、アスピリンのように、長期間にわたって大量に投与しても胃の異常や出血をもたらすという副作用もないのです。

したがって、ようやくアセトアミノフェンが処方箋なしで売られることになったとき、最初に市場に出された製品はアスピリンの副作用に苦しむ患者のための薬として売られ、それは成功し、成功は予想をはるかに上回ったのですが、まさにその成功が、創造的模倣の機会を生み出したのです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、アスピリンに代わる鎮痛剤の市場が存在すること、しかもアスピリンのほうが、やがて解熱や血液凝固を必要とする限定された市場になってしまうであろうことを理解し、そこで、タイレノールを一般薬として売り、2年のうちに、このタイレノールが市場を獲得したのです。

この戦略は以上の様に、たいへん有効性が高いのに、リスクが少ないので、使い易い戦略なのですが、いかに本質を極めているかが重要であり、本質を極めていないと、単に時間とお金の膨大なロスに繋がるだけなのです。

私は、このビジネスを通して、「はなまる」をコピーした店、「丸亀製麺」をコピーした店のほとんどが駄目になった事実を知っているので、本質を極める大切さを実感しているのです。

画像は、蕎麦用製麺機「坂東太郎」を改造したベーカリー用機械で、最近入社した、新人の十鳥さんが焼いたクロワッサンです。

まだ慣れていないところはあるのですが、国産小麦、天然酵母、自然発酵で、高級なバターを使い、なかなかの美味しさです。

本社では、毎日、実演しているので、本社スタッフたちは、毎日、美味しいクロワッサンを堪能しています。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

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