うどん学校・ラーメン学校・そば学校・パスタ学校で開業&成果アップ|「イノベーションと起業家精神」「需要側か供給側か、イノベーションの体系」

熱湯に落として茹で揚げたパスタで、柔らかい食感が特徴のパスタ料理の一種

 本日のテーマは、「会社の歴史」です。

昨日は、シュツットガルトを出発し、郊外の田舎にあるドイツで一番規模の大きい、パスタメーカー、ALBGOLD社を訪問しました。

5年前の3月に当時のオーナーのフライドラー夫妻が当社に来られ、2か月後の5月に私がALBGOLD社を訪問して以来、5年ぶりの訪問でした。

私がALBGOLD社を5年前の5月に訪問した2ヶ月後の7月に、オーナーのクラウス・フライドラー氏が突然の事故で亡くなり、そのころ、学生であった長 男、次男が父の遺志を継ぎ、母親を支え、経営に参画し、昨日は次男のアンドレ・フライドラーさんが、社内を案内してくれました。

改めて、昨日、会社の歴史の説明を受けると、もともとALBGOLD社は、1968年(47年前)にアンドレさんのお爺さんが、卵の製造販売を細々と始 め、お父さんのクラウス・フライドラーさんが、卵が売れない時に、売れ残った生卵を使ったパスタの製造販売を始めたのです。

今は、養鶏場の商売は止めているのですが、毎日、生卵を20万個使い、時間当たり、5万4千個の卵を自動卵割り機で割って使っているのに、驚きです。

パスタを作り始めたころの製造量は、1日50kg程度で細々と生産していたのですが、現在では、毎日50トンを24時間の3シフトの生産していて、最近買 収したドイツ国内のパスタ会社の生産量を合わせると、1日250トンの生産を行ない、従業員数は、合計430名にもなっているのです。

ALBGOLD社の大きな特徴は、パスタの見学工場、直売店、レストラン、ハーブ園を持っていて、遊園地のようになっていて、規模の大きい直売店では、パ スタは勿論、ワイン、オリーブオイル等のさまざま関連食品、料理本、調理器具等の販売をしていて、見ているだけも楽しい売店になっていて、年間30万人の お客さまが工場訪問し、見学、買物、食事体験、ハーブ園での散歩を楽しんでいるのです。

直売店の奥には、大きいレストランがあり、専門の調理師5人が、お客さまに美味しい料理を提供し、5年前に訪問したときに戴いたパスタ料理と比較すると、はるかに美味しくなっていました。

見学ラインには、会社の歴史が分かりやすく刻まれていて、お爺さんが卵の商売を始めたころの様子から、現在に至るまでの歴史が表現されていて、10年前くらいには、ドイツの首相もこの工場を訪問していました。

もう一つのALBGOLD社がここまで成功出来た大きな特徴は、材料にこだわっていることで、地元産小麦粉を主に使い、中にはオーガニックの材料も使い、 卵も粉卵ではなく、生卵を使い、事故を起こさないように厳重に細菌のコントロールを行なっていて、材料に非常にこだわっているのです。

10年余り前に、最初の会社、最近、次の会社と、いずれも自社よりも規模の大きい会社を2社も買収出来たのも、多くのお客さまの信頼を集め、本業で非常に成功していたことが、よく分かります。

このように会社の歴史を辿っていくと、その会社がどのような歩みをして、どのような信念で、ビジネスを行なっているかが見えてくるのです。

ALBGOLD社は、見学工場を作り、ドイツ全土から、たいへんな田舎に多くのお客さまを集客することにより、さりげなく、自社の過去の歴史、自社の信念、製造工程等を紹介することにより、ファン客を作っていたのです。

当然、ALBGOLD社に買収された他の規模の大きかった2社は、このようなことを行なってはいなかったのです。

ベンツ博物館でも、会社の歴史(ストーリー)に感動しましたが、高額な商品を販売するほど、会社の使命とか、歴史はその商品を長く愛用して戴くための信頼のベースになり、欠かせない要素であるのです。

パスタのような、身体に取り込む食品の場合も信頼は欠かせず、お客さまとの信頼関係を増すための見学工場とか、お客さまとの触れ合いの場作りも欠かせない要素であり、遊園地のような、見学工場を作ったクラウス・フライドラー氏の慧眼には、感心します。

そして、何よりもそこで働いている社員の一人ひとりが会社の歴史を振り返ったときに、自社のポリシーに自信を持ち、胸を張れるような会社の歴史がなければならないのです。

目先の損得だけで動き、人を裏切るようなビジネスを行なってきたような会社の社員は、自社に誇りを持つことが出来ないのです。

正しい歴史を刻んで行くことこそ、永く繁栄するためには、欠かせないことを今回のドイツへの出張で教えられたのです。

本年2月21日から始まった、91日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びは、昨日で一応終えたのですが、さらに、学びを深めるために、大切な部分の復習を進めていきたいと思います。

更に、イノベーションと起業家精神を磨き、会社を大きく変えるのに、役立てていきます。

「需要側か供給側か」

もちろんイノベーションを需要と供給のどちら側の概念と捉えるかは、具体的なケースによって異なり、鉄鉱石を原料とする高炉から鉄屑を原料とする電炉への 移行は、供給サイドのイノベーションであり、これに対し、テープ・レコーダーやビデオの発明は、同じように技術的イノベーションではあっても、消費者の価 値や満足という需要サイドのイノベーションであるのです

1920年代にヘンリー・ルースが創刊した「タイム」「ライフ」「フォーチューン」などのニュース雑誌や、1970年代後半から80年代前半にかけて発展 したマネー・マーケットなどの社会的イノベーションもまた、需要サイドのイノベーションであり、私が創業した40年前になかったもので、最近の車のほとん どに装着しているナビゲーション・システムとか、ETCも技術的なイノベーションですが、これらも消費者の価値や満足という需要サイドのイノベーション で、これらのお蔭で、車でのドライブ、ビジネスにおいてどれだけ便利になったか分かりません。

パソコンとか携帯電話も需要サイドのイノベーションで、われわれの生活をどれほど変えたか分からず、少し考えてみれば分かるのですが、われわれの周りはイ ノベーションに取り囲まれ、イノベーションのお蔭で、江戸時代のお殿様さえ体験出来なかった生活をわれわれは日々、楽しむことが出来ているので、同様に、 われわれはお客さまに対して、イノベーションを提供し続け、価値や満足を高め続けなければ、われわれの存在価値がないことになるのです。

「イノベーションの体系」

われわれはまだ、イノベーションの理論を構築していないのですが、イノベーションの機会をいつ、どこで、いかに体系的に探すべきか、さらには、成功の確率 と失敗のリスクを、いかに判断すべきかについては十分知っていて、まだ輪郭だけですが、イノベーションの方法を発展させる上で必要な知識も、十分に得てい るのです。

19世紀における技術史上の最大の偉業は、「発明の発明」であるとされていて、1880年以前には、発明は神秘的なものであり、19世紀の文献は「天才の ひらめき」という言葉を繰り返していて、発明家なる者は、屋根裏で何かいじっている夢見る変人だったのですが、第1次世界大戦が勃発した1914年頃に は、すでに発明は、開発研究、すなわち目的とする成果と、実現可能な成果について計画を立てる体系的なものになっていたのです。

イノベーションについても、これと同じ発展が必要であり、今や起業家は、体系的にイノベーションを行なわなければいけない時期にきていて、起業家として成 功する者は、「女神の口づけ」や「アイデアのひらめき」を持っていないだけでなく、彼らは仕事をして、大穴は狙わず、産業革命をもたらし、10億ドル・ビ ジネスを生み出し、一夜で成金になるようなイノベーションを求めたりはしないのです。

大金持ちになるのは間違いなしという、アイデアをもとに事を起こす起業家、特に急ぎ過ぎる起業家は、必ず失敗し、失敗を運命づけられ、今日イノベーション と称しているものの多くは、単なる科学技術上の偉業に過ぎないのですが、これに対し、マクドナルドのような、科学技術的には何ら特筆するところのないイノ ベーションが、高収益の大事業に発展し、企業以外の事業、すなわち社会的機関のイノベーションについても同じことが言えるのです。

起業家として成功するものは、その目的が金であれ、力であれ、或いは好奇心であれ、名声であれ、価値を創造し、社会に貢献することなのであり、その目指す ものは大きく、既に存在するものの修正や改善では満足しないで、彼らは新しい価値や満足を創造し、単なる素材を資源に変えたり、或いは、新しいビジョンの もとに既存の資源を組み合わせるのです。

われわれのビジネスに置き換えてみると、博多ラーメンを世界に広めようとしている「博多一風堂」もイノベーションの旗手であり、同じく「讃岐うどん」を世界に広めている「丸亀製麺」もイノベーションを起こしていると、言えるのです。

私も含め、多くの日本での起業者は、ビジネスは自分の売りたい商品、サービスを出来るだけたくさん販売すれば成功し、ビジネスで成功するには、売りたいも のを売ることだと思って、ビジネスを始める人は多いのですが、ドラッカーの言うビジネスはそのようなものではなく、われわれはお客さまに対して、イノベー ションを提供し続け、価値や満足を高め続けなければ、われわれの存在価値がないことになり、ビジネスではなく、起業家として成功するものは、大きな価値を 創造し、社会に貢献することだったのです。

その価値を理解するための方程式が顧客価値方程式であり、この方程式は黄金方程式と言っていいくらい、われわれのビジネスには切っても切り離せないものなのです。

価値=(「結果」のクオリテイ+結果を得るための「プロセス」のクオリテイ)÷(「売価」+「手に入れるのに必要なコスト」)

上記を単純化すると、「価値=クオリテイ÷コスト」になり、お客さまにとっての価値とは、詰まるところ、クオリテイとコストとのバランスであり、うどん蕎麦店等で、食べた時に得られた商品の品質の満足感と支払った価格とのバランスであるとも言えます。

要するに価値が大きいほど、お客さまに再利用して戴ける頻度が高まり、売上が上がり、利益が上がり易くなり、更に、上記の価値をもっとさまざまな視点から 深く掘り下げていけば、さらに多くの学びが得られ、クオリテイについて、コトラーは次のような項目を挙げていて、「結果」のクオリテイについては、以下の ように商品力に相当するのです。

① 商品そのもののクオリテイ(提供する商品の機能・品質・性能などの提供価値のコアになるもの、カスタマイズによる魅力度アップも含む)

②イメージ・クオリテイ(ブランド価値であり、企業や商品のブランドそのもので、商品の機能ではなく、取引自体や保有することに価値を感じる)

「プロセス」のクオリテイについては、以下のようにサービス力に相当します。

① 従業員のクオリテイ(従業員の能力・人間性・信頼性がこの価値の源泉、また、顧客は従業員が社内の内部資源をどれだけ顧客のために調達できるかを見てい る、他にソリューション・クオリテイとして、顧客の課題を持っている経営資源を活用しながら解決すること、顧客が気付いていない課題を抽出し、それを解決 することで価値が高まる)

②サービス・クオリテイ(アフター・サービスや支払い条件、購入のし易さ、付属景品などのコア価値以外の補助的なもので取引の魅力度を高める、他に提供タ イミング・クオリテイとして、顧客の購買タイミングに合わせて提案すること、顧客が欲しい時に提供出来ること、顧客が求める情報をタイミングよく提供出来 ること)

コストについては次の通りで、「売価」については、

① 金銭的コスト(顧客が商品、サービスを購入するために支払う金額のこと、価格を下げることにより、価値を上げる側面もある)

② 心理的コスト(初回購入時の不安・購入時のストレスなど)

「手に入れるのに必要なコスト」は

①時間的コスト(顧客が商品、サービスを手に入れるために要する時間)

②エネルギーコスト(労力コスト等のことで、購入するまでに情報を集めたり、社内で根回ししたりする手間、商品探索や購入時の手続き、店舗から自宅に持ち帰る労力等)

以上のように、われわれのビジネスは、お客さまにとって価値のある、商品力とサービス力を磨き続けることと共に、適正な価格で、お客さまが手に入れやすく なる努力を行ない続けることにより、お客さまの満足を高め続けることが出来、顧客ロイヤルテイが高まり、商品、サービスの購入頻度が高まり、企業の成果が 上がるのです。

そして、われわれのビジネスは、顧客価値を高め続けることしか、永く生き残ることが出来ず、顧客価値を高める最高の方法が、マーケテイングとイノベーショ ンの組合せであり、マーケテイングとイノベーションとも、普段の仕事の仕組みの中に取り入れられ、特別のこととしてではなく、普段の仕事として遂行されな ければいけないのです。

画像は、昨日のALBGOLD社の訪問のおり、レストランで戴いた同社のパスタ料理の1種で、生卵をたくさん入れ、加水65~70%で溶いた緩い生地を、バケツの穴のようなところから、熱湯に落として茹で揚げたパスタで、柔らかい食感が特徴です。

5年前に、お伺いしたときと比べて、料理の味が、格段に美味しくなっていました。

スッカリ、自社のビジネスに自信を持っている、次男のアンドレ・フライドラーさんに御馳走になりました。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

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