本日のテーマは、「新しいビジネスモデルの創出」です。
昨日から本社での経営講義が始まり、大和、讃匠合計で6名の新入社員たちが経営講義に参加し、今回は、生徒さんたちより熱心に質問を行なったのです。
私は毎回経営講義を行なっていますが、参加する生徒さんで、ほとんど質問を発しないで、2日間の経営講義を終了する人がいて、以前より最近の方がこの傾向が強いようです。
マネッジメントの大切さを理解していないのかも知れませんが、人生の大きな時間のロスと貴重なお金のロスに繋がる、たいへん勿体ない話であると思います。
また、以前と比較すると、経営講義の内容は、非常に難易度が高くなっているので、1回だけの経営講義で終えると、理解出来ない人が多いので、複数回の参加をお勧めしているのです。
本来であれば、当社のスタッフたちより、麺ビジネスに対して、真剣に考えている生徒さんたちの方が熱心に質問を行なうのが当たり前ですが、今回は生徒さんたちよりも、熱心であったのです。
というのは、当社のスタッフたちは、ほんのこの1ヶ月前後で途中入社した人たちばかりで、当社のような麺に関したビジネスを行なう会社に、入社することを想定しないでいた人も多かったはずなので、麺に関するビジネスに対する関心は、生徒さんたちより薄かったはずなのに、こんなに熱心だということは、今回、入社したスタッフたちは、本当に優秀であるということになるのです。
昨日、当社のスタッフたちの一人から次のような面白い質問を受けたのです。
それは、新規開業に当たり、麺専門店のことを知らない生徒さんたちが、どの様にして、お客さまのニーズを理解して、開業すれば良いかという質問でした。
これに対して、私が応えたのは、新規に開業する人は、まだ麺専門店を経営していないので、確かに麺専門店経営の素人であるかも知れませんが、麺専門店へすでに何度も何度も行き、麺を食べるプロのはずです。
まして、今から開業しようと考えているのであれば、既存の麺専門店に対して、たいへん興味を持ち、いろんな店に行っているはずであるので、麺専門店の問題点、欠点を把握し、それらの問題点とか欠点を解決するような店舗作りを進めていこうと考えているはずです。
従って、開業する前であり、麺専門店経営の素人であるので、余計にお客さまの立場で、冷静に、客観的に麺専門店についての課題について思考出来るはずであるし、これからの時代の理想的な麺専門店のあるべき姿について、頭に描くことが出来るはずなのです。
要するに、麺専門店の素人であるので、麺専門店としての既成概念にとらわれずに、自由な発想で、これからの麺専門店のあるべき姿について、理想状態を追求できるはずなのです。
これを行ない、過去、最初に成功したのが、今から30~40年前に全国に広まった「杵屋」の実演手打ちであり、十数年前にセルフのさぬきうどんを全国に広めた「はなまる」であったし、次に大成功したのが、「丸亀製麺」であったのです。
この様に、その時代背景に合わせて、その時代の問題点を捉えて、その問題点を解決した人たちだけが大きく成功をしてきているのです。
しかし、それらの時代からすでに、相当時間が経過し、一般消費者の価値感、ライフスタイルも変貌を遂げているので、現在は新しいビジネスモデルが芽生える、大きな時代の転換点に来ているのです。
私のみるところ、新しいビジネスモデルの芽は出かかっているので、まだ、完全にビジネスモデルの構築を済ませている人はいないように思います。
私は麺学校の校長という立場で、毎回、参加する生徒さんを見て、新しいビジネスモデルを発掘しそうな生徒さんを探しているのです。
熱心で情熱にあふれて、麺業界を大きく変革してくれそうな生徒さんが毎月の麺学校の中で、最低一人でも出れば、多分当社はこの業界で、大成功することが出来るのです。
当社の麺学校はそのような生徒さんにとって新しい時代の方向性を示している、灯台のような道標であるし、生徒さんにとっての文字通りの新しいビジネスモデル構築の場であるのです。
経営講義は2日間にまたがり、朝から晩まで、真剣に経営について質疑応答を行なうので、生徒さんのこのビジネスに取り組む真剣度、考え方は、否が応でも伝わります。
私にとっての経営講義は、優秀な生徒さんの発掘の場でもあり、私自身の加速学習の場でもあり、時代の大きなトレンドを理解する場でもあり、世界の麺業界、飲食業界の動きを理解する場であり、私にとってたくさんの学びの場を兼ねた、生徒さんとの真剣勝負のやり取りの場でもあるのです。
再来週6月14日(日)から16日(火)までの3日間、ドリーム・スタジオ高崎にて、皆さんのパワーをアップするイベントを開催し、私も参加します。
(https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/)
本年2月21日から始まった、91日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びは、最近、一応終えたのですが、さらに、学びを深めるために、大切な部分の復習を進めていきたいと思います。
更に、イノベーションと起業家精神を磨き、会社を大きく変えるのに、役立てていきます。
「予期せぬ失敗」
予期せぬ成功とは異なり、予期せぬ失敗は、取り上げることを拒否されたり、気付かれずにいることはないのですが、それが機会の兆候と受け取られることは殆どないので、現実にビジネスでもっとも多いのは予期せぬ失敗で、件数が多いだけに、単なる失敗とか、警告と受け取らずにイノベーションのための機会と、とらえることにより、新しい可能性が開け、麺専門店開業における失敗も、ほとんどすべてが、本人にとっては予期せぬ失敗で、開業に当たって、本人は当然上手くいくと思って開業しているので、上手くいかないのは、予想外の予期せぬことで、下記のデータのように、新規開業者の約3分の1が1開店年以内に、約半数が、開店2年以内に閉店しているのです。(シンクロ・フードの過去に閉店した飲食店の特徴より)
(http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000001049.html)
■営業年数別の閉店割合
1年未満:2243件(34.5%)
1〜2年:987件(15.2%)
3〜5年:1364件(21.0%)
6〜10年:1113件(17.1%)
11〜15年:380件(5.9%)
16年以上:407件(6.3%)
「失敗が教える機会の存在」
予期せぬ失敗の多くは、単に計画や実施の段階における過失、貪欲、愚鈍、雷同、無能などの結果に過ぎないのですが、慎重に計画し、設計し、実施したものが失敗したときには、その失敗そのものが、変化とともに機会の存在を教えることが多く、製品やサービスの設計、マーケテイングの前提となっていたものが、もはや現実と乖離するに至っているのかもしれないし、顧客の価値観や認識が変わっているのかもしれないのです。
同じように売れ続けていたとしても、同じものを買ってはいるが、違う価値を買っているのかもしれず、かっては一つの市場、一つの最終用途であったものが、まったく異質の2つ、或いはそれ以上の市場や最終用途に分かれてしまったのかもしれないのです。
「それらの変化はイノベーションの機会である」
ドラッカー自身、ハイスクールを出て社会に入った早々、予期せぬ失敗を目にし、ドラッカーが見習いとして働いていた商社は、英領インド向けに100年以上も前から金物、とくに錠前を輸出し、毎月、船1隻分の錠前を輸出していて、それらの錠前は、ピンで簡単に開けられる安物だったのですが、1920年代当時、インドでは所得が上がってくるにつれて、錠前の売れ行きは伸びるどころか、かなり急激に減り始めたので、ドラッカーの雇用主は、当然の対策を講じたのです。
錠前を頑丈なものに、つまり上等なものに設計し直させ、しかも余計なコストをかけずに品質を向上させたが、新しい錠前はまったく売れなかっただけでなく、この錠前の輸出の不振が原因となって、この商社は4年後に倒産したのですが、その商社の10分の1の規模しかない、生き残るだけで精一杯だった弱小の競争相手が、この予期せぬ失敗の中に、大きな変化の兆候があることを知ったのです。
インド人のほとんどを占める田舎に住む農民にとって、錠前は神秘的な存在であり、いかなる泥棒も、錠前を開けようとしなかっただけでなく、鍵がかけられることはなかったし、たいてい、鍵はどこかに無くされていたので、ドラッカーの雇用主が生産コストを抑えつつ、苦労して作った頑丈な錠前は、鍵なしでは開けられず、農民にとっては便利などころか、不便極まりない代物だったのですが、一方で、当時成長しつつあった中流階級は頑丈な錠前を必要とし、そもそも錠前が売れなくなったのは、彼らが安物の錠前を買わなくなったことが原因であり、彼らにとっては、改良後の錠前でさえ十分に頑丈ではなかったのです。
そこでドラッカーの働いていた会社の競争相手は、インド向けの錠前を2種類作り、1つは、価格はそれまでの3分の1、利幅は2倍という押しボタン式の超安物の鍵なし錠前、もう一つの価格は2倍、利幅も大きい3つの鍵を付けた頑丈な錠前で、いずれの売れ行きは好調で、その商社は、2年足らずでヨーロッパ最大のインド向け金物輸出業者になり、そして10年後、第二次世界大戦によってヨーロッパのインド向け輸出が中断されるまで、その地位は続いたのですが、これは昔の面白い話の1つに過ぎないし、コンピュータ、市場調査、ビジネススクール出身の経営学修士(MBA)の時代である今日では、われわれは少し賢くなっているのです。
新規開業者が失敗する理由の大半が、過去の常識、過去のノウハウ、過去の知識で開店しているのですが、現在は、既に変わってしまった未来で、過去ではなく、多くの人が現在だと思っている、既に過ぎ去った過去は次の通りです。
1.生産年齢人口の減少に伴う、働き盛りの人口の大幅な減少(売上減少、人手不足に拍車)。
2.サラリーマンの小遣いの半減(サラリーマンから、女性とシニアへ)
3.世帯構成の変化で、一人世帯の大幅な増加
4.世界的に草食男子化、肉食女子化で、女性パワー増大
5.機能的ベネフィットから、感情的ベネフィットへ
6.インターネットの発達による、パラダイムの変換
(事例:①95点以上の高い商品力、②開店チラシ、開店広告は絶対にやってはいけない、③一番でなければ生き残れない、④小が大に勝つ戦略しか有効でなくなる(●競争変数を増やす、●強烈な個性で勝負する)、⑤競争は絶対にしない、⑥学ぶ人とそうでない人のギャップが非常に大きくなる)
以上のように、われわれを取り巻く環境は、われわれが気付かない間に、大きく変貌し、さらに変化が加速していこうとしているので、われわれは日々、学びの時間を確保しないと成功しない時代に生きているのです。
従って、これからの時代を見据えて言えるのは、一生懸命に努力する1%以下の人たちだけが成功の恩恵に預かれて、その他大勢の人たちは日々、生きていくだけに汗を流し、そんなに楽しくない人生を送らざるを得ないのです。
われわれは、真剣に学びの時代に生きていることを自覚しなければいけないのですが、当社の麺學校に入学する、どちかと言えば比較的意識レベルの高いはずの人たちでさえ、十分にマネッジメントの教科書を読んでいなかったり、理解せずに経営講義に参加する生徒さんが多いのが現状で、当社の麺學校に来ないで開店する、99%の人たちのほとんどは、十分なマネッジメントの学びをなしで、開店しているので、上手くいく方が珍しいので、学びには情熱とエネルギーが必要であるのと、日々継続の忍耐と習慣が必要なのです。
「ビジネスの成功=責任×夢×情熱×意志力×集中力×経験×直観力×忍耐」
そして、技術革新によるイノベーションのほとんどは、予期せぬ失敗を起点とし、エジソンの電灯の発明のための何千回にわたる失敗、ダイソンの掃除機の開発の途上で起きた5千回の失敗もすべて、予期せぬ失敗を繰り返し、克服したので成功したので、予期せぬ失敗をイノベーションに活用している多くの事例は、技術革新の分野に見られるのです。
昨日は、うどん学校とラーメン学校の経営講義の初日で、当社の新入社員たちからたくさんの質問を受け、たいへん盛り上がりました。
この様に、盛り上げ役がいれば、経営講義がたいへん面白くなり、私のモチベーションも上がります。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。