昨日で、7月の東京支店でのラーメン学校も終了し、卒業式の後、生徒さんたちと今後の話をしている時に出てきたのは、日本における今後の麺ビジネスにおける死角は、人手不足です。バブルのころも人手不足を経験しましたが、それは一時的
なものであったのですが、現在の人手不足は慢性的な人手
不足で、これからも解消される可能性はないのです。
従って、ビジネス上における要点が過去とかなり変わり、私がビジネスを始めた40年前のビジネス上の課題は、人手不足ではなく、いかに販売を成功させるかというマーケテイングが一番のテーマであったので、私の専門分野であった機械の開発と併せて、マーケテイングの研究に没頭してきたのです。
これは麺専門店に例えると、どのようにしてお客さまを増やすかの研究であり、併せて、商品力を高めることであったのです。
商品力も高まり、マーケテイングも成功し、ある程度知名度が上がってきて、次の時代の要請はサービスであり、当社は年中無休365日のメンテナンス・サービスに注力したのです。
麺専門店においては、サービス・レベル・アップを行なっているのと同じことであったのです。
そして、これらが功を奏し、業績も良くなっているときに、真綿で締め付けられるように効いてきたのが、人手不足だったのです。
麺専門店とか、外食ビジネスで働いている人たちは、最初は、自分たちのビジネスは、典型的な3Kビジネスだから、人手が集まらないと思っていたのですが、本当の原因は別のところにあり、労働人口の減少が、一番大きな原因であったのです。
日本で住んでいる以上、人手不足は避けられない課題であり、これからはこのことに真剣に対処する企業が成功を収める時代になったのです。
昨日の読売新聞によれば、イタリア、ギリシャ、スペイン等の南欧諸国では、若い労働人口の約半分の仕事がなく、国を離れ、景気の良いドイツに出て働く若い人が非常に増えているそうです。
肉体労働者だけでなく、優秀な頭脳まで流出し、2度と自国に戻る気はないと言っており、これらの国々の将来に大きな影を投げかけているのです。
日本の国はこれらの国とは反対に、若い労働人口が不足しているので、これらの若い労働人口が余っている国からの労働者移民を受け入れることが可能なのです。
近隣では、韓国が同じような現象に陥っていて、若い労働者人口が豊富なので、韓国から優秀な人材を受け入れる好機でもあり、当社も何人か採用しましたが、今回採用した人が定着すれば、今後も同じように採用を続けて行く予定です。
これは、韓国だけでなく、ベトナム、カンボジア、ミャンマー等、可能性のある東南アジアの国々は多いのです。
また、ポーランド、ハンガリー等の東欧諸国も同様に可能性が高く、労働者移民の可能性は高いのです。
このようなことは、チャレンジしようとすると、われわれのような中小企業でも幾らでも、可能なのです。
日本国内では、労働人口の絶対数が不足しているので、補うには外部からの人手の導入と、国内での、特にサービス業での人手の省力化です。
麺専門店の場合、自家製麺が多く行なわれていますが、これからの時代の製麺機に要求される一番の課題は、いかに人手がかからないかということなのです。
私が創業したころ、製麺機に要求された一番の課題は、麺の美味しさ、次がコンパクトさ、使い易さ、安全性、耐久性、デザイン性、実演自家製麺に耐える見ての楽しさと続きましたが、以上の項目をすべて満たした上で、いかに人手を要さないかということです。
最高の品質の麺が、安全、簡単に、出来るだけ人手を省けるかがテーマになっているのです。
これを成し遂げようとすると、お客さまが製麺機を使用している現場を熟知、理解していないと出来ないのです。
場合によっては、当社のように自社で麺の製造販売をしていると、このことが非常に良く分かっているのです。
当社では、開発スタッフと営業スタッフ、メンテナンスの距離が非常に近いので、このことが非常に達成し易いのです。
現在も当社の開発スタッフたちは、次つぎと新しいテーマに取り組んでおり、次世代機の大きなテーマは、人手対策です。
製麺機を複雑にし、大掛かりにするのではなく、むしろ簡単に単純化し、労働力を削減することが待たれているのです。
今や、企業を挙げて、あらゆる方向にアンテナを高く上げ、世の中の変化に敏感になり、イノベーションの種を常に探り続けなければいけないし、その仕事はトップの重要な仕事であるのです。
本年2月21日から始まった、91日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びを終え、さらに学びを深めるために、5月26日より7月5日まで41日間の復習を進めてきましたが、さらに理解度を増すため、再再度、チャレンジし、自分自身を大きく変えるのに役立てていきます。
2起業家的柔道
1947年、ベル研究所がトランジスタを開発し、ラジオやテレビの真空管に代わるものになることは直ちに明らかになり、誰もが知っていたのですが、誰も何もせず、当時、アメリカの大手電機メーカーは、トランジスタへの転換を1970年頃に行うという計画を立て、彼らは、それまでトランジスタは使いものにならないと説明したのですが、国際的にはまだ無名で、専門家の間でさえあまり知られていなかったソニーの社長盛田昭夫が、このトランジスタのことを知り、彼はアメリカへ飛び、ベル研究所からトランジスタのライセンスを総額2万5000ドル(当時の900万円で、当時のソニー(東京通信工業株式会社)にとっては、大金であり、外貨制限のあった頃の日本であったので、許可を取るのがたいへんだった)という驚くべき安値で買い、2年後、ソニーは、重さが真空管ラジオの5分の1以下、値段が3分の1以下という最初のポータブルラジオを世に出し、3年後には、アメリカの低価格ラジオ市場を手に入れ、5年後には世界市場を手に入れたのです。
もちろん、これは予期せぬ成功の拒否と、その利用の古典的な例であり、アメリカの大手電機メーカーは、「われわれの発明」、すなわちRCAやGEなどのリーダー企業の発明ではないという理由で、トランジスタの利用をためらい、プライドが邪魔をした典型的な例で、彼らは当時の技術の粋を集めた高級ラジオを誇りにしすぎていたので、彼らにしてみれば、シリコン・チップのラジオは、下品とまではいわないまでも、低級な代物だったのです。
ドラッカーが使っている、起業家的柔道戦略は次のような特徴を持った戦略なのです。
1.「柔よく剛を制す」という柔道の基本をビジネスに応用する戦略のことで、他社の力を利用して、商品開発や市場開拓をする戦略であり、社会にあふれている商品の多くは、合法的なコピー商品で、書籍で「国家の品格」がヒットすると「~の品格」がたくさん出版されるのですが、この戦略のメリットは成功の後追いですから、リスクはほとんどなく、販売力のある会社や、開発力の弱い中小企業には最適の戦略なのです。
2.成功し、驕り高ぶった大企業の脇の甘さを衝き、すでに安定して確固たる地位に就いていると思い込んでいる、うぬぼれ屋の企業を打ち負かし、自らをその業界のリーダーの地位に就かせることができるとするのが、「起業家的柔道」の技の一つで、産業や市場において、リーダーシップ支配力の獲得を狙いとしたあらゆる戦略の中で、この「アントルプルヌーリアル・ジュードー」こそ、ずば抜けてリスクが少なく、成功の公算が大であり、ドラッカーは現在の優位性の上にあぐらをかいている企業は「常習犯」と同じだ、と厳しいことを言い、変化に対して鋭い感性を磨き、外界の変化を敏感にモニターし、しかも迅速に対処することを重要視しているのです。
3.トップ企業のスキをついて、トップの地位を築こうとする戦略で、トップ企業の自社製品・サービスへのおごりや利益の発生対象、機能などのスキを突き、トップ企業が利益の最大化を目指している場合、製品やサービスへの最適化を行うので、リスクが一番低く、一番成功しやすいと言われる戦略です。
柔道戦略が特に成功する状況が3つあり、
第1は、すでに地位を確立しているトップ企業が予期せぬ成功や失敗を取り上げず、見過ごしたり、無視したりするときであるのです。
第2は、新しい技術が出現し急成長するのですが、新しい技術を市場に導入したものは古典的な独占体として行動し、すなわち地位を利用し、市場のいいとこ取りをし、創業者利益を手にするときであるのです。
第3は、市場や産業が急速に構造変化するときであり、構造変化は、イノベーションの7つの機会のうちの第4の機会「産業構造の変化」を利用するものです。
柔道戦略の攻撃側の成功要因は、柔道戦略の上記で紹介した攻撃されやすい先駆者の悪癖の裏返しです。
◆何回もの成功
問題は、ソニーの成功にあるのではなく、日本のメーカーがこの戦略を何度も使い、そのたびに成功し、アメリカの企業を驚かせてきたことをいかに説明すべきかにあり、日本のメーカーは、この戦略を、テレビ、クォーツ・デジタル時計、プログラマブル電卓で繰り返し、コピー機に参入し、草分けのイノベーターであるゼロックスから市場のかなりの部分を奪ったときも、この戦略を使い、言い換えるならば、日本の企業はアメリカの企業に対し、起業家的柔道によって何度も成功をおさめてきたのです。
しかし、アメリカの企業であるMCIやスプリントもこの戦略を使い、AT&Tの料金体系を利用して長距離通話のかなりの市場を奪い、ROLMもこの戦略によって、構内交換機(PBX)市場のかなりの部分をAT&Tから奪い、シティバンクも、ドイツでフアミリェンバンクなる消費者銀行を設立し、数年の間に、消費者金融で支配的な地位を得たのは、ドイツの銀行も、普通の消費者が購買力をもつようになり、上客になりうることは知っていて、彼らも消費者金融に進出し、だが、本心は乗り気ではなかったためで、とくに、それまで法人客と金持ちの投資家を顧客にしてきた大銀行にとって、一般の消費者は自らの威厳にそぐわない存在で、口座を開きたければ、郵便貯金に行けばよいという姿勢で、広告で何といおうが、ドイツの銀行は、その重々しい支店にやってきた一般の人たちに対し、そっけない態度をかなりあからさまに示したので、シティバンクが一般の消費者のニーズに応えるための金融サービスを設計し、利用しやすいファミリェンバンクを設立し、シティバンクのファミリェンバンクは、手強いドイツの銀行がドイツ中に支店を張り巡らしていたにもかかわらず、わずか5年の間に、消費者金融で支配的な地位を得たのです。
日本企業、MCI、ROLM、シティバンクなどの新規参入者はすべて、戦略として起業家的柔道を使い、あらゆる起業家戦略、とくに産業や市場において支配的地位の獲得を目指す戦略のうち、起業家的柔道こそ最もリスクが小さく、最も成功しやすい戦略であり、警察は、金庫破りにせよ、こそ泥にせよ、常習犯が同じ手口を使うことを知っている彼らは個性的な痕跡を指紋のように残し、何度逮捕されても変えようとせず、性癖から逃れられないのは、犯罪常習犯だけではなく、誰でもあり、企業や業界も同じであり、何度トップの地位と市場を奪われようとも、性癖は変えられず、アメリカのメーカーは、日本の企業に何度市場を奪われても性癖を変えず、犯罪者は、自らの性癖のゆえに逮捕されたことを認めないので、逮捕の原因となった性癖を直さず、言い訳を探し、自らの性癖によって市場を失った企業も、それを認めないで、ほかの原因を言い訳にし、たとえば、日本企業の成功を低賃金のせいにするのですが、RCAやマグナボックスのように現実を認識している電機メーカーは、アメリカの高賃金と福利厚生費を負担しつつ、日本のメーカーと競争できる価格と品質の製品を生産しているのです。
ドイツの銀行は、シティバンクの成功について、自分たちには犯すことのできないリスクだったと弁解するのですが、実際には、ファミリェンバンクの貸し倒れは、ドイツの銀行よりも少なく、貸付条件は、ドイツの銀行と同じように厳しく、もちろんドイツの銀行は、このことを知っているのですが、それでもなお、彼らは、自らの失敗とフアミリェンバンクの成功について弁解を続けるのは、きわめて典型的というべきであり、ここにこそ、なぜ起業家的柔道という同じ戦略が何度も成功するかを示すヒントがあるのです。
驕り高ぶることが、ビジネスでは一番危険であり、成功しているときこそが、一番危険な時であり、これは、人間の性であり、マネッジメントには、多くの体験、試練が欠かせないのです。
昨日は、東京支店での今月のラーメン学校の最終日で、生徒さんたちの作品のチェックの日でした。
夏の時期であったので、冷たいラーメンにチャレンジする生徒さんが、何人かいて、私も冷たいトマトだけのスープのトマトラーメンにチャレンジしました。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。