本日のテーマは「飛び抜けた商品力」です。
来週2月9日(火)から11日(木)までの3日間、ドリームスタジオ福岡で、恒例のパワーアップ・イベントを開催し、私のセミナーも現在の時流に合わせ、多くの方の悩みである、次の3本(1.麺ビジネスのイノベーション、2.究極の人手不足解決法はこれだ、3.究極の売上対策)を用意しました。
※イベントは終了しましたが、大和製作所では定期的にイベントを開催しております
残り席は少し、希望者はお早めに!
本日2月1日は、朝から大和の会議、午後から讃匠の会議で、讃匠の会議では、会議の間に、他社の商品も含め、さまざまな通信販売の商品の試食を行ないました。
その中で1つだけ感心したのは、日経MJのランキングでトップにランクされた9割蕎麦で、市販されている蕎麦としては最高クラスの出来栄えで、茹で時間も20秒と非常に短く、食感も手打ち蕎麦らしい、素晴らしい味でした。
その代わり、価格も高く6食当たり、つゆなしで4725円、1食当たり787円で、通販商品としては、破格の価格でした。
同じく、日経MJで2位にランクされた十割蕎麦も試してみましたが、2位の蕎麦の価格は1食当たり千円以上で、1位より高いにもかかわらず、1位と2位の品質のギャップは大きかったのです。
反対に、この業界(蕎麦の通販業界)で一番大手で、有名な会社の蕎麦も取り寄せて食べてみたのですが、こちらはつゆつき3食972円で、1食当たり、324円ではるかに安かったのです。
試食をしてみると、ほぼスーパーで販売している蕎麦のレベルと変わらず、価格もスーパーの商品の価格に近いのです。
今の世の中には、この様に、悪くないレベルの、普通に良いレベルの商品は溢れ返っていて、そのような商品を作っている企業、店舗は成果が上がっていないのです。
そして、そのような商品は、相当量産しているので、作ることよりも、販売に大きなエネルギーをかけなければならないのです。
現在は、商品レベルの高いのは当たり前になり、コンビニ商品でも、レベルは非常に高くなっているので、飛び抜けた高さでないと、成果の上がるビジネスにならない時代になってきたのです。
本日も讃匠の会議で、他社製品を含め、さまざまな商品の比較試食をして、飛び抜けた高いレベルでないと、お客さまを感動させ、フアンにすることが出来ないことをつくづくと感じたのです。
現在は、際立った人手不足の時代ですから、少ない人手でビジネスをやろうとする麺学校の生徒さんが多いのですが、その場合は、際立った高い商品レベルが重要で、最近も麺学校に参加する生徒さんの中には、自分ひとりとか、奥さんと2人だけの麺ビジネスを志す人は多いのですが、際立った高いレベルの商品と併せて、高い価格を考えている生徒さんは、ほとんどいないのです。
1人とか2人で出来る麺ビジネスは、当然席数も少ないので、よほど良い立地で、高い回転数が狙えるような場所でない限り、売上、利益は伴わないので、少ない人数で営業する場合の唯一の解決策は、際立って高い商品力で、高い客単価でのビジネスです。
例えば、普通の麺ビジネスで客単価が800円程度であれば、1500円程度の高い客単価でもお客さまが来るような商品を作ることです。
しかし、このような店の商品を、支持してくれるお客さまの数はそれほど多くないのですが、客単価が高いので、少ない客数でも成り立つのです。
今後の極端な人手不足時代を迎え、際立つ個性の少ない商品数で、際立って高い商品力で、高い価格で、少ない客数で成り立つビジネスを真剣に考えないといけない時代になったことが分かります。
商品をたくさん作る時代ではなく、少ない商品数で、際立つ個性で勝負する時代であり、その覚悟が必要な時代に大きく変わっているのです。
本当にプロ中のプロしか通用しない時代になったのです。
昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆なすべきこと
(1)イノベーションを目的意識をもって体系的に行うためには、ドラッカーが「イノベーションの機会」と呼ぶものから始め、徹底的に分析することから始めなければならず、イノベーションの分野が異なれば、機会の種類も異なり、時代が変われば、機会の重要度も変わるのです。
もう一度、イノベーションの7つの機会を復習すると、下記の通りです。
(1)予期せぬことの生起で、予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事。
最もリスクが少なく、最も容易にイノベーションの機会となるものだが、往々にして無視され、IBMは当初、科学計算用にコンピュータを作ったが、企業が給与計算などの世俗的な仕事にコンピュータを使い始めたのですが、IBMにとっては予想外の出来事で戸惑いを感じずにはいられなかったが、すぐにこのニーズに応じたのです。
(2)ギャップの存在。現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ。
ギャップには、下記のように業績ギャップ、認識ギャップ、価値観ギャップ、プロセス・ギャップの4種類があるのです。
a.業績ギャップ=製品やサービスに対する需要が順調に伸びているにもかかわらず業績が芳しくない場合。
b.認識ギャップ=ある産業の内部にいる人たちがものごとを見誤り、現実について誤った認識を持っている場合。
c.価値観ギャップ=生産者や供給者が提供していると思っている価値と、顧客が真に必要としている価値との間に違いが存在する場合。
d.プロセス・ギャップ=何か1つの作業を行う一連のプロセスの中で、不安に感じたり困ったりする部分がある場合。
(3)ニーズの存在。
漠然とした一般的なニーズではなく、具体的なニーズでなければならないのです。
a.プロセス・ニーズ=プロセス・ギャップから生じるニーズ。
b.労働力ニーズ=労働力不足の懸念から生じるニーズで、製造業においてロボットが半熟練労働に取って代わるようになったのは、労働力ニーズの圧力があったためです。
c.知識ニーズ=新しい知識を必要とする場合で、それらの新しい知識は開発研究によって生み出されるのです。
(4)産業構造の変化。
自動車産業がよい例であり、第1の波は20世紀の初頭に訪れ、自動車はかつてのような金持ちの贅沢品ではなくなり、大衆に広まりつつあり、フォードの「T型フォード」はこの産業構造の変化を利用したものです。
第2の波は1960年代から80年代にかけてやってきて、自動車メーカーはそれまでの自国市場独占型の戦略を捨て、グローバル戦略に切り替える必要があり、この動きに真っ先に乗じたのが日本の自動車メーカーで、GMは日本のメーカーに後れを取ったものの、グローバル企業になる決意をしたのですが、クライスラーは完全に乗り遅れたのです。
(5)人口構造の変化。
人口の増減や年齢構成、雇用や教育水準、所得などの人口構造の変化は明白であり、人口構造の変化は突然訪れるものであるかのように認識されているのですが、20年後に労働力人口に加わる人々は既に生まれていて、人口構造の変化が生じるまでには、予測可能なリードタイムが存在するのです。
(6)認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化。
コップに「半分入っている」と捉えるか「半分空である」と捉えるかは全く違い、取るべき行動も違い、かつて食事の仕方は所得階層によって決まっていて、一般人は質素な食事をし、金持ちは豪華な食事をしたのですが、現在は一般人が質素な食事もすれば豪華な食事もするのです。
(7)新しい知識の出現
一般にイノベーションと呼ばれるものであり、起業家精神のスーパースターと言え、成功すれば有名になれるし、金持ちにもなれるのですが、最も成功が難しいのもこのイノベーションであり、知識によるイノベーションは、実を結ぶまでのリードタイムの長さ、失敗の確率、不確実性、付随する問題が他のイノベーションとは全く異なり、知識によるイノベーションのリードタイムはおおよそ30年です。
上記(1)から(4)までのイノベーションの機会は、企業や社会的機関の組織の内部、あるいは産業や社会的部門の内部の事象であり、内部にいる人にはよく見えるものです。他方(5)から(7)は、企業や産業の外部における事象で、この7つの順番には意味があり、信頼性と確実性の大きい順に並んでいます。
次に、人口構造の変化は、製紙プロセスにおいて欠落したものを探している者にとっては、ほとんど意味がなく、あるいは、新しい知識といえども、人口構造の変化によってもたらされたニーズを満たすべく、新しい社会的な仕組みについてイノベーションを行おうとする者にとっては、ほとんど意味がないのですが、いかなる場合においても、すでに列挙したイノベーションの機会のすべてについて、体系的に分析し、検討していくことが必要であり、単に留意するだけでは十分でなく、検討はつねに組織的に行わなければならず、イノベーションの機会を体系的に探さなければならないのです。
以上のように、イノベーションを体系的に捉えることにより、イノベーションが特殊な人に関する仕事の領域ではなく、誰でも容易に関与することが出来るようになるのです。
(2)イノベーションとは、理論的な分析の問題であるとともに、知覚的な認識の問題でもあるのです。
したがって、イノベーションを行うにあたっては、外に出て、見て、質問し、聞かなければならず、このことはいかに強調してもしすぎることがなく、イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の双方を使い、数字を見るとともに、人を見ることであり、いかなるイノベーションが必要かを分析をもって知った後、外に出て、知覚をもって顧客や利用者を知り、知覚をもって、彼らの期待、価値、ニーズを知ることが大切なのです。
イノベーションに対する社会の受容度も、知覚によって知り、顧客にとっての価値も、また、そのようにして知ることが出来、自らのアプローチの仕方が、やがてそれを使うことになる人たちの期待や習慣にマッチしているかいないかも知覚によって感じとることができるのです。
こうしてはじめて、「やがてこれを使うことになる人たちが、使いたくなり、使うことに利益を見出すようになるためには、何を考えなければならないか」という問いを発することができ、さもなければ、正しいイノベーションを間違った形で世に出すことになり、その一例が、アメリカで学校教育用のコンピュータ・プログラムを開発した人たちで、彼らが開発したせっかくのプログラムも、コンピュータに恐れをなした教師たちには受け入れられず、彼ら教師たちは、コンピュータが、自分たちを助けてくれるものではなく脅かすものであると受けとっていたのです。
この方法を取り入れて、更に体系化した方法が、デザイン・シンキング(デザイン思考)であり、デザインシンキングもドラッカー・マネッジメントがベースになっていることがよく分かります。
(3)イノベーションに成功するためには、単純かつ具体的なものに的を絞らなければならないのです。
1つのことだけに集中しなければならず、さもなければ混乱し、単純でなければ機能せず、新しいものは必ず問題を生じ、複雑であっては、直すことも調整することもできず、成功したイノベーションは驚くほど単純であり、イノベーションに対する最高の賛辞は、「なぜ、自分は思いつかなかったのか」であるのです。
新しい市場や新しい使用法を生み出すイノベーションでさえ、具体的に方向性を決めたものでなければならず、具体的なニーズと成果に的を絞らなければならず、イノベーションを複雑にしないことは、あらゆるビジネスに共通する共通項であるのです。
(4)イノベーションに成功するためには、小さくスタートしなければならないのです。
大がかりであってはならず、具体的なことを1つ行うだけでよく、たとえばレールの上を走る車両が、走りながら電力の供給を受けるというイノベーションが電車を生み出し、マッチ箱につねに(50本という)同数のマッチ棒を詰めるというイノベーションが、マッチ箱の詰め入れのオートメ化をもたらし、それを行ったスウエーデンのマッチ・メーカーに対し、半世紀近くにおよぶ世界市場の独占をもたらしたのです。
イノベーションが、最初の段階から、ほぼ正しいという程度以上であることは稀であり、そして変更がきくのは、規模が小さく人材や資金が少ない場合だけであるので、あまりに大がかりな構想、産業に革命を起こそうとする計画はうまくいかず、多少の資金と人材をもって、限定された市場を対象とする小さな事業としてスタートしなければならないのは、必ず必要となる調整や変更のための時間的な余裕がなくなるのです。
(5)とはいえ、最後の「なすべきこと」として、イノベーションに成功するためには、最初からトツプの地位を狙わなければならないのです。
必ずしも大事業になることを狙う必要はなく、事実、あるイノベーションが大事業となるか、まあまあの程度のもので終わるかは、誰も知ることができないのですが、最初からトップの地位を狙わないかぎりイノベーションとはなりえず、自立した事業とさえなることはできないのです。
具体的な戦略としては、産業や市場において支配的な地位を狙うものから、プロセスや市場において小さなニッチを狙うものまで、いろいろありうるのですが、起業家としての戦略は、すべて何らかの領域において、トップの地位を得るものでなければならず、さもなければ、競争相手に機会を与えるだけに終わるのです。
トップを目指すことも、イノベーションだけではなく、あらゆるビジネスの共通項であるのですが、ほとんどのビジネスの関係者は、忘れ去っているのです。
画像は、先月の出張中に見つけた、ガソリンスタンド跡地を活用した麺ビジネスです。
こんな立地の使い方もある、面白い事例です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。