本日のテーマは「人間力」です。
シンガポールのラーメン学校の経営講義で使用するコンテンツを「ラーメン、うどん、蕎麦店の教科書」より、抜粋しますが、本日は第2章からです。
(http://www.yamatomfg.com/book/schoolbook.php)
人間力は、一貫性のある行動と状態の管理から成り立ち、人間力があれば、大きな仕事を成し遂げられるのです。
「ビジネスの成功=アイデア×コミュニケーション×人間力」ですが、このアイデア、コミュニケーション、人間力のうち、最も重要な要素が人間力です。
それをうまく表現しているのが、「一貫性のある行動の④すべてを理解していなくても、利用することはできる」の部分です。
例えば、アイデアやコミュニケーションが苦手でも、人間力さえあれば、アイデアを出すのが得意な人や、コミュニケーションが得意な人を使うことができ、したがって最終的に最も大切なのは、人間力を磨き続けることなのです。
一貫性のある行動が信頼を生み、人間力の定義にはさまざまな定義がありますが、本書では、その中でも特に実践的である「一貫性のある行動」と「状態の管理」の2つにフォーカスしました。
一貫性とは、言っていることと行動の一貫性とか、物事の筋が通っていることを指し、一貫性を貫くことは、他者から高い評価を受け、信頼につながります。
人は行動、発言、態度、信念等に対して、一貫していたいと思い、この心理を「一貫性の心理」と呼びます。
大和麺学校の卒業生についても同じようなことが起こっていて、開業して成功している生徒さんほど、学校で習ったことを忠実に実行しています。
ところが、うまくいっていない生徒さんは善意の第3者のアドバイスに耳を傾け、迷ってしまい、お店を駄目にするのです。
一貫性とは即ち、ぶれない心で、リーダーに必要な資質というと、これまでは高いスキルやマネジメント能力などがよく挙げられていましたが、これからのリーダーに必要なのは一貫性です。
そこで共有される強いストーリーがチームを束ね、この典型的な成功事例がアップルの創業者であり、同社を再建し、株式価値世界一の会社に育て上げた故スティーブ・ジョブズで、スティーブ・ジョブズは、共同創業者のスティーブ・ウォズニアックのようなコンピュータの才能を持たず、何か特別な能力に長けていたわけでもなく、持っていたのは、「この惑星に衝撃を与えたい」という大きな夢であり情熱で、これを生涯、一貫して持ち続けたのです。
目先の損得に右往左往したり、言行の不一致があったりするとビジネスでは信頼を失い、麺専門店では、商品力・サービス力・店舗力に一貫性を持ったコンセプトが必要で、一言で言えば、ぶれない心です。
状態の管理で、結果が変わるのは、人間力のもう1つの柱、状態の管理とは、心の状態の管理のことで、能力以下の成果は、能力の問題ではなく、心の状態が原因です。
能力以上の成果も同様で、心の状態が改善されれば、結果が改善され、「状態の管理 ①アイデンテイテイ(自分は一体何者かを明確にすること)」は、この結果につながり、専門分野が多くなり、物事を広く深く理解しているほど、成果が上がりやすくなります。
したがって成果を上げるのに必要な分野であれば、無理をしてでも、アイデンテイテイを増やすべきなのです。
また、「④集中しているニーズ(自分自身のニーズ)」は、自分自身が大切にしている価値観の上位にある項目で、自分自身が大切にしているものが、価値観の上位に来ていて、自分にはまだ足りていないものです。
「⑤信念と想い(自分自身の信念)」は、自分の能力に対して強い信頼を寄せることで、この場合の信念の使い方は、あくまで状態の管理に関してで、自分自身を信じ、「自分はできる」ということを信じ切ることです。
一貫性のある行動を取り続けるには、①~⑦のような信念に基づくポジティブな思考を持ち続け、これらを素直に信じることが重要で、起きたことは同じでも解釈の差で、その後の人生はまったく異なる
次に、一貫性のある行動とは、状況が難しくなっても一貫性のある行動を取り続けるパワーで、自分に対する強いコミュニケーション(自信、信念)から来るのです。
① 物事はすべて目的があって起こるものである (すべて必然で起きている)
② 物事はすべて良くなる様になっている (起きていることは、よくなるための条件)
③ 失敗は存在しない、成功と学習があるのみ (諦めないこと)
④ すべてを理解していなくても、利用することはできる
⑤ 仕事は遊びである (仕事を楽しむことができれば、遊びと同じかそれ以上)
⑥ 人は私を助けたがっている (こちらが求めていないだけ)
⑦ 決意すれば、すべて可能になる(可能にならないのは、本気で決心していない)
状態の管理
能力以下の成果は能力の問題ではなく、状態が原因。
能力以上の成果も同様で、状態が改善されれば、結果が改善される
① アイデンテテイ (自分は一体何者かを明確にすること)
② 価値感 (例えば、仕事が一番とか家庭が一番などを明確にすること)
③ ルール (例えば朝の起き方や挨拶などの習慣となっているルール)
④ 集中しているニーズ (自分自身のニーズ)
⑤ 信念と想い (自分自身の信念)
⑥ 物事を説明するために使用している比喩表現 (例えば、ライオンのように強いとか)
以上のような内容は、常に経営講義の中で詳しく解説していますので、未参加の方はぜひ、経営講義にご参加下さい。
昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆機会を追求
第4に、社会的機関は、イノベーションの機会の追求を自らの活動に組み込まなければならず、変化を脅威としてではなく、機会として見るようにならなければならないのであり、前述の社会的機関がイノベーションに成功したのも、そのためであったのです。
アメリカのカトリック教会では、第2次大戦後、学歴の高い信者が急増し、司教区のほとんどがこの変化を脅威とし、あるいは少なくとも問題とし、高学歴の信者は司祭の言いなりにはならず、しかも彼らには、教会の構造や統治において果たすべき役割がなかったのですが、他方、1965年あるいは70年頃から、司祭になる若者が急減し、司教区のほとんどが、この事態をも大きな脅威と見たのですが、ある司教区が、この2つの変化を機会としてとらえたのです。
ただし、その司教区には新しい問題が生じ、司祭は、本来の仕事に専念できるために、アメリカ中の若い司祭がこの司教区を希望するようになってしまったのです。
アメリカの病院は、1970年あるいは75年頃から医療に変化が生じていることを知り、病院のほとんどがその変化に抵抗し、そのような変化は破壊的であるとしたのですが、そこに機会を見た病院が1つだけあり、アメリカ科学振興協会は、科学に関連する仕事の人たち、および科学的な知識をもつ人たちの増加を科学界および一般社会において指導的な地位を築くうえでの機会としてとらえたのです。
ガールスカウトは、人口構造の変化を見て、「いかにして機会に変えることができるか」を自問し、政府機関でさえ、起業家的たるためのこれら4つの簡単な原理を適用することによって、イノベーションが可能となり、ここに1つの例があるのです。
(参考)4つの原理
1.目的を明確に、以下のような、明確な目的をもたなければならない。
① 自分たちは何をしようとしているのか。
② なぜ存在しているのか。
2.目標を現実的に、現実的な目標をもたなければならず、目標は「空腹の根絶」ではなく「飢餓の減少」でなければならず、社会的機関は実現可能な目標を必要とし、やがて「達成した」といえる実現可能な目標をもつこと。
3.目標を再点検、いつになっても目標を達成することができなければ、目標そのものが間違っていたか、あるいは少なくとも、目標の定義の仕方が間違っていた可能性のあり、目標は、大義ではなく、費用対効果にかかわるものとして、とらえなければならず、いかに努力しても達成できない目標は、目標として間違っている。
4.機会を追求、イノベーションの機会の追求を自らの活動に組み込まなければならず、変化を脅威としてではなく、機会として見るようにならなければならない。
120年前、ネブラスカ州リンカーン市は、先進国ではじめて、公共輸送、電力、ガス、水道などの公的サービスを市営とし、そのリンカーン市が、女性市長ヘレン・ブーサリスのもとに、この10年間で、ごみ収集、スクールバスなどの公的サービスを民営化し、コストを大幅に削減するとともに、サービスを改善させ、市が予算を組み、競争入札によって民間の事業者に委託し、サービスの提供者たる市当局と、サービスの供給者たる民間企業とを分離し、競争を通じて、サービスの質、効率、信頼性を向上させるとともに、コストの削減を実現したのです。
これら4つの原理は、社会的機関が起業家として、イノベーションを行うための経営政策であり、もちろんこれらと併せて、あらゆる種類の既存の組織が起業家的になるうえで必要な経営政策と、具体的な方策の適用が必要であるのです。(前章参照)
3既存の社会的機関によるイノベーションの必要性
既存の社会的機関におけるイノベーションが、それほど重要とされ、歴史上われわれは、つねにそのようにしてきたのに、既存の社会的機関はそのままにし、必要なイノベーションは、新しい社会的機関をつくり、それに行わせることはできないのは、今日の先進国では、既存の社会的機関が、すでにあまりに大きな存在になっているからであり、社会的部門は、政府機関であれ、非政府の非営利組織であれ、今世紀に入って以来、民間部門よりも急速に伸びてきて、おそらく3倍から5倍の速さであり、この伸びは第2次大戦以降、さらに速くなったのです。
社会的機関の伸びが大きすぎたので、今やそれは可能なかぎり、営利事業に転換しなければならないのは、ネブラスカ州リンカーン市が民営化したような公共サービスについてだけではなく、すでにアメリカでは、非営利から営利への転換が進行中であり、今後は専門教育や大学院教育の分野でもそれが進み、先進国において、すでに高額所得を得ている人たち、専門的な学位をもつ人たちに対する補助金は、もはや正当化できず、今後20年から30年の間、先進国経済の中心的な問題は資本形成であり、われわれには、資本形成に資する事業、すなわち利益をあげる事業として組織できるものを、資本を費消する事業、非営利の事業として運営する余裕はないのです。
それでも今日、社会的機関によって行われている事業のきわめて多くは、依然として社会的サービスとして残り、すべてをなくしたり、転換できるわけではないので、それらの事業を成果のあがる生産性の高いものにしなければならず、これが、既存の社会的機関にイノベーションを行わせ、起業家的にマネジメントしなければならない理由であり、そのためには、社会的機関は、この急激な変化の時代にあって、社会、技術、経済、人口構造の変化を機会としてとらえなければならず、さもなければ、社会的機関は単なる邪魔物となり、環境が変化するなかにあって、もはや機能しなくなった事業やプロジェクトに固執しているようでは、いかなる役割も果たせなくなり、そのうえ、果たせなくなった役割を放棄できず、放棄しようともしなくなるので、その結果、社会的機関は、1300年頃に社会的機能を失った中世の封建領主、すなわちほかの邪魔をし、食いものにするだけの寄生虫に似た存在となっていき、存在の正統性を失い、独善的な存在となっていき、すでにこのことは、社会的機関のなかでも最強の存在たる労働組合に起こりつつあるのです。
◆社会が必要とするからには
しかしそれでも社会は、新しい挑戦、ニーズ、機会を伴う急激な変化の過程にあって、社会的機関を必要とし、アメリカでは、機会と危険の両方の存在を示すよい例として、公立学校があり、アメリカの公立学校は、積極的にイノベーションを行わなければ、スラム街のマイノリティ用としてしか生き残れず、アメリカは史上はじめて、都市や郊外の公立学校に、貧しい人たちしか入らなくなるという危機に直面していて、改革に必要なことは、すでに明らかであり、今日のような状況は、公立学校自体に責任があるのです。
ほかの社会的機関も状況は似ていて、すでに何が問題であるかは明らかであり、イノベーションの必要は明らかであり、今やそれらの社会的機関は、自らのシステムのなかに、いかにしてイノベーションと起業家精神を組み込むべきかを学ばなければならず、さもなければ、新たに起業家的な社会的機関をつくリ、既存のものを陳腐化させる部外者に頼らざるをえないのです。
19世紀後半から20世紀初めにかけて、公共サービスこそが、まさに創造性が発揮され、イノベーションの行われる分野であり、1930年代までの75年間に行われた社会的イノベーションは、当時の技術的イノベーションに劣らず斬新かつ生産的であって、しかも、急激だったのは、あの時代の社会的イノベーションは、社会的機関を新設することによって行われていたのですが、今日の社会的機関のほとんどは、その組織と使命が、60年前、70年前のままであり、しかし、これからの20年、30年はそうはいかず、社会的イノベーションの必要性はさらに高まり、しかもそのほとんどは、既存の社会的機関の手によって行われなければならないので、既存の社会的機関のなかに起業家的なマネジメントを組み込むことが、今日における最大の政治課題であるのです。
今日は、久しぶりに本社の食堂で企画メンバーと一緒に食事をしました。
ドイツからのアルパーさんも久しぶりに訪ねてきたのです。
本日は、生命保険会社の方が来られて、社員全員の血管年齢を測定し、実年齢より若い人もいれば、老けた人もいて、皆、大騒ぎしていたのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。