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うどん学校・ラーメン学校・そば学校・パスタ学校で開業&成果アップ|「イノベーションと起業家精神(最終)」「マーケティングの基本、財務上の見通し、ベンチャー・ビジネスの挫折」

 ラーメン学校での経営講義の風景

本日のテーマは「コンセプトの明確化」です。

シンガポールのラーメン学校の経営講義で使用するコンテンツを「ラーメン、うどん、蕎麦店の教科書」より抜粋しますが、本日は第4章「コンセプト」からです。(
http://www.yamatomfg.com/book/schoolbook.php

第4章 コンセプトとは?

ビジネスについてのコンセプトを煎じ詰めると、ビジネスの本質のことであり、ビジネスそのもので、価値観から始まる使命、コンセプトの一貫性も必然です。

コンセプトは対象が見えるもので、モノであるとか、本であるとか、商品であるとか、モノを対象にしているのが、コンセプトで、コンセプトを一言で言えば、何(What?)を明確にすることです。

従って、コンセプトをビジネスで使った場合は、「そのビジネスの本質」がコンセプトの本質であるので、一見、何か商品を売っているように見えている場合でも、ビジネスの本質は、その商品を売ることではなく、商品はそのビジネスの本質をまっとうするための手段の1つに過ぎないのです。

これからのビジネスはモノを売るのではなく、コンセプトの販売なのです。

例えば、スターバックスの場合は、コーヒーの販売という手段で、「第3の場所の提供」というコンセプトでWTP(喜んで払ってもらえる価格)を増大させているのです。

コスト優位戦略はお手軽、WTP戦略は上質に当たり、規模の小さいお店や企業には、コスト優位戦略は難しいため、基本的にWTP優位戦略の方が適しています。

したがって、WTPを増大させるには、商品力、サービス力、店舗力の価値を増大して、お客様の満足度を高めることが欠かせません。

例えば、ドトールコーヒーのレギュラーサイズのベース価格は、220円(消費税込み)ですが、それに対して、スターバックスの同等商品の価格は303円(消費税込み)と約80円の差がありますが、スターバックスに足を運ぶお客様は、その価格差以上の価値を見出しているので、スターバックスを利用します。

すなわち、単純にコーヒー一杯だけの価格で勝負しているのではなく、スターバックスの提供している価値をよく理解しているお客様が、その価格差を納得して金額を払っているのです。

スターバックスを利用しているお客様の中には、コーヒーを飲むために利用する人たちより、あの落ち着いた雰囲気を楽しむために利用している人の方が多いのではないでしょうか。

つまり、商品力だけでなく、優れたサービス力や店舗力によってWTPを増大させ、この80円の差を埋める価値が作り出されているのです。

スターバックスのコンセプトについて詳しく見ていくと、それは「第3の場所の提供」であることがわかり、第1の場所は家庭で、第2の場所は学校や職場で、したがって家庭でもなく、学校や職場でもない、おいしいコーヒーの香りのする、落ち着いた雰囲気で、心地良くリラックスできる場所の提供こそが、スターバックスのコンセプトなのです。

このコンセプトを一貫性を持って貫くために、スターバックスではオペーレーション形態にこだわり、FC展開(フランチャイズ展開)は一切やらず、全店舗を直営で展開しています。

また、落ち着いた雰囲気を出すため、間接照明や緩やかなBGM、座り心地の良いソファやイス、ゆったりとした席数などこだわるとともに、カトラリー(食器)が触れ合う音を懸念し、ナイフとフォークを使うような本格的な食事は提供していません。

さらにアルコールを提供すると、酔っ払って雰囲気を壊す人が出てくる可能性があるため、アルコールは一切提供せず、全店禁煙で、このため、お客様は落ち着いた雰囲気の中でリラックスすることができ、ゆっくりと自分の時間を過ごせるので、滞留時間は自然と長くなります。

このようにスターバックスでは、コンセプトとコンセプトの一貫性を大切にしているのでWPTが増大し、価値を上げるだけでなく、お客様の来店頻度も上げています。

それに対して、ドトールコーヒーは、「やすらぎと活力」をコンセプトに、おいしいコーヒーをお手軽な価格で販売することが基本になっていて、お客様は、忙しいビジネスマンが中心で、スターバックスに比べると、滞留時間が短いのが特徴です。

わずかに空いたひとときの間、おいしいコーヒーを楽しみ、活力を養ってまた仕事に戻っていくので、ドトールコーヒーでは、場所の提供が最大の売りではないのです。

店舗数は、スターバックスもドトールコーヒーも1000店を越え、店舗の形態は同じようにセルフサービスタイプのコーヒーショップですが、コンセプトが違うと、このようにまったく違う内容になります。

明確な使命に基づく差別化されたコンセプトこそ、ビジネスの本質であり、競争の原点でもあり、お客様の価値を模索し、WTPを増大させるための商品力、サービス力、店舗力を練り上げてください。

丁度1年前の、昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。

◆マーケティングの基本

ベンチャー・ビジネスを市場志向のものにすることは、とくに難しいことではないのですが、そのために必要とされることは、起業家の性向に反し、予期せぬ成功や失敗など、予斯せぬものを体系的に探さなければならず、予期せぬものを例外として片づけず、機会として調べなければならないのです。

第2次大戦の直後、インドのある小さなエンジニアリング会社が、ヨーロッパから原動機付き自転車のライセンスを買ったのは、インドにはうってつけの製品に見えたのですが、あまり売れず、その会社のオーナーは原動機のみの注文がかなりあることに気づいたのですが、初め、彼はあのように小さな原動機で何ができるというのか、無視しようとしたのです。

だが彼は、ともかくたくさん注文のきていた地方へ行ってみると、農民たちが、それまで人力で行っていた灌漑を、自転車から外した原動機で行っているのを見て、このエンジニアリング会社は、今日では灌漑用小型ポンプの世界最大のメーカーとして、年間数百万台を販売していて、この会社のポンプが東南アジア全体に農業革命をもたらしているのです。

市場志向であるためには実験が必要で、当初、考えてもいなかった顧客や市場が、自らの製品やサービスに多少なりとも関心があるとわかったら、その製品やサービスを実際に使ってくれる人を探さなければならず、なじみのない人たちに無料のサンプルを提供し、彼らがそれをいかに使うかを調べなければならず、さらには、彼らを顧客にするには製品やサービスをいかに変えるべきかを調べなければならず、何らかの関心が示されたならば、直ちに関連する専門紙に広告を載せ、協力してくれる人たちを探さなければならないのです。

以上のことをいつも徹底的に行ない、今までにない商品をベスト・セラーにしているのが大塚製薬で、オロナミンC、ポカリスエット、ソイジョイ等の発売時にサンプルを徹底的に配り、ベスト・セラーを作り続け、少ない商品数ですが、すべてベスト・セラーで、ロング・セラーであり、たいへん効率の良い、理想的な経営を行なっていて、それらの商品は、ボンカレーのようなレトルト商品であったり、オロナミンCのような栄養ドリンクであったり、ポカリスエットのようなスポーツ・ドリンクであったり、ソイジョイのような健康補助食品であったりとバラエテイに富んでいるのですが、すべて、大塚製薬という、製薬会社の持つイメージに助けられて、素晴らしい相乗効果を果たしている、凄い戦略で組み立てられているのです。

当初、デュポンは、ナイロンが自動車タイヤに利用できるとは考えていなかったのですが、オハイオ州アクロンのタイヤ・メーカーが関心を示したことをきっかけとして、タイヤ生産用のナイロン工場を建て、数年後には、デュポンのナイロンにとって、タイヤは最も利益のあがる市場となったのです。

予期せぬ市場からの予期せぬ関心が本当の可能性を示すものか、単なる好奇心にすぎないかを見分けるには、さしてコストはかからず、若干の感受性と体系的な作業が必要なだけであり、ベンチャー・ビジネスのマネジメントは以下のことを体系的に実施しなければいけないのです。

1.外へ出ていかなければならないのであり、市場に出て、顧客や自社のセールスマンと時間を過ごし、見たり聞いたりしなければならないのです。

2.製品やサービスの意味を決めるのは、顧客であって生産者ではないことを、つねに思い起こせる仕組みをつくっておかなければならないのです。

3.製品やサービスが顧客に提供している効用や価値に関し、絶えず自らに疑問を投げかけていかなければならないのです。

4.最大の危険は、製品やサービスが何であり、何であるべきかであり、いかに買われ、何のために使われるかについて、顧客以上に知っていると思い込むことにあるのです

5.予期せぬ成功を、侮辱ではなく機会として見なければならないのです。

6.企業は、顧客を満足させることによって対価を得て、顧客を替えることによって対価を得るのではないという、マーケティングの基本を受け入れなければならないのです

2財務上の見通し

設立間もないベンチャー・ビジネスに特有の病気が、市場志向の欠如であり、それは初期段階における深刻な病で、ベンチャー・ビジネスを殺しはしないまでも、その発育を完全に止めてしまいかねず、これに対し、財務志向の欠如と財務政策の欠如は、成長の次の段階における最大の病気となり、とくに、急成長しつつあるベンチャー・ビジネスにとって脅威となり、財務上の見通しをもたないことは、成功すればするほど大きな危険となるのです。

◆ベンチャー・ビジネスの挫折

ベンチャー・ビジネスが製品やサービスで成功し、急成長すると、大幅な増益とばら色の見通しを発表し、株式市場の注目が集まり、とくに、ハイテクなどの流行の分野であれば、大きな注目が集まり、5年以内に売り上げ10億ドルという見通しさえ、あちこちで聞かれるようになるのですが、1年半後、そのベンチャー・ビジネスは挫折し、倒産はしないかもしれないが、赤字のために、275人の従業員のうち180人を解雇せざるをえなくなり、社長は退陣させられ、あるいは大企業に安い値で買い取られるのですが、原因はいつも以下のように同じ3つの原因である。

第1に、今日のための現金がない。
第2に、事業の拡大資本がない。
第3に、支出や在庫や債権を管理できない。

おまけにこれら3つの症状は、同時に起こることがあり、これらの病気のうちの1つにでもかかると、大さく体力を損ない、財務上の危機はひとたび起こるならば、立て直しに非常な苦労と苦痛が伴うのですが、3つの症状は、いずれも予防することができ、ベンチャー・ビジネスの起業家が、金に無頓着であることはほとんどなく、逆にきわめて貪欲であり、そのため、彼らは利益を重視するのですが、それは、ベンチャー・ビジネスとしては間違った態度であるのです。

利益は結果としてもたらされるものであって、最初に考えるべきものではなく、利益よりも現金、資本、管理のほうが、先に問題となり、これらのものがなければ、利益の数字も虚構に終わり、目の前の利益など、1年から1年半で消えてしまい、成長には栄養が必要であり、成長するということは、資金の余剰ではなく、資金の不足を意味し、成長には現金と資本が必要であるので、利益は虚構であり、バランスシートの1項目にすぎなく、しかもこの虚構に対し、ほとんどの国が税金をかけているのです。

成長は余剰の発生ではなく、債務の発生と現金の流出をもたらし、ベンチャー・ビジネスは、成長が健全であって早いほど、より多くの財務上の栄養を必要とし、新聞や株式情報に大きく取り上げられたベンチャー・ビジネスや、史上最高利益を更新したベンチャー・ビジネスが、2年後には無惨な苦境に陥るのです。

昨日から本社でのラーメン学校での経営講義が始まりました。

通常の経営講義は、うどん学校、或いは蕎麦学校とラーメン学校の合併の経営講義ですが、今回は前半も後半もラーメン学校で、ラーメン学校の生徒さんだけの経営講義でした。

熱心な生徒さんたちが参加して、たいへん意味のある楽しい経営講義になりました。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)

藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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