来週3月7日(月)から9日(水)までの3日間、ドリームスタジオ名古屋で、恒例のパワーアップ・イベントを開催し、私のセミナーも現在の時流に合わせ、多くの方の悩みである、次の3つ(1.麺ビジネスのイノベーション、2.究極の人手不足解決法はこれだ、3.究極の売上対策)を用意しました。
※イベントは終了しましたが、大和製作所では定期的にイベントを開催しております
本日のテーマは「生き残れるのは、本物だけ」です。
本日は、シンガポールのラーメン学校の最終日で、本来であれば朝から経営講義の予定であったのですが、生徒さんたちのリクエストで午前中は引き続き、作品を作り、午後から経営講義にして経営講義の時間を短縮したのです。
その大きな理由は、一部の生徒さんだけが経営講義に熱心なのですが、ほとんどの生徒さんは経営講義に関心がなく、むしろ作品作りに興味があるのです。
昨晩は、一番熱心な生徒さんのリクエストがあったのと、当社のスタッフたちに「三宝亭」を見せたかったので、もう一度「三宝亭」へ出かけることにしたのです。
「三宝亭」はシンガポールに2店あり、今日は昨日行った店と違う店に行きましたが、そちらも平日の夜にかかわらず、長い列が出来ていて、大賑わいで熱心な生徒さんと一緒に行き、一緒にさまざまなラーメンを食べると、スタッフたちも生徒さんも味のレベルに改めて感心していました。
三宝亭の繁盛ぶりを見ていて気付いたのは、新潟で1967年に創業し、新潟発のストーリーが非常によく出来ていて、丼は燕市の金属加工技術を活用したステンレス製で、非常にきれいに出来ており、2重になっているので、保温性がよく冷めないのです。
米も新潟産で、丼、おにぎり等も豊富で、一番人気が新潟醤油ラーメンで、煮干しのインパクトのあり過ぎる味付けになっていて、ラーメンメニューは味の違いにより、全部で6~7種類あるのですが、すべてのメニューは見ただけでプロらしさが漂い、プロの味になっていて、盛り付けにおいても妥協のない、素晴らしい盛り付けになっていたのです。
プロとしてのオーラが漂う素晴らしい盛り付けであり、味もチェーン店展開を行なっても、ぶれない仕組みが取られ、すべてのメニューにオーラと安心感があり、安定していて、まさに95点のレベルで、他店では真似できないレベルを感じたのです。
そして、昨日も海外事業ジェネラル・マネージャーの田端さんが店内にいて、シッカリと従業員をコントロールしていたのです。
「三宝亭」の海外を見て感じたのは、海外展開にしろ、国内での事業発展にしろ、その基礎になる人づくりと、人間の体幹に当たる会社の基盤が先に出来た上での展開であることがよく分かり、「三宝亭」の2店ともまったく同じような、まったくぶれないレベルで商品が提供されていたのは、そのベースとなっている基本が出来ていたためであることがよく分かります。
「三宝亭」のように、すでにある程度の異状のレベルに達している良いものを見れば見るほど、他のラーメン店が出来ていない部分、或いは当社がまだ出来ていない部分が見えてくるのです。
国内ではどこの企業でも当たり前のように出来ることでも、海外に来て同じように出来ることは非常に難しいのですが、「三宝亭」は国内でも十分に展開していないタイプの店舗をシンガポールとカナダで展開していることに、そしてそのレベルが非常に高いことに感心しました。
これもマネッジメントがシッカリ出来ていないと、出来ることではないのです。
私はお客さまの事業を通じて、生徒さんたちの状態を見ながら、自社の進化に大きく役立てることが出来るのです。
マネッジメントを教えたり、マネッジメントを自社内で行なうことは、早くマネッジメントを理解し、マスターする近道であり、私一代でマネッジメントの学びが終わるのではなく、次世代、またその次の世代に引き継げるような仕組みを作り続けなければいけないのです。
社内においても、社外に出てもフレキシブルに学び続けることの大切さと同時に、社外に出ると、多くの素晴らしいものに出会うことが出来ることが本当に有難いと思います。
海外において、熱心に頑張っている田端さんのような人たちを見れば、日本人の素晴らしさを再認識するのです。
大和魂を背負った、多くの志の高い日本人たちがこれから海外で活躍する時代になり、日本の文化が世界で認められるようになる時代がくるようにわれわれは頑張っていかねばならないのです。
今回はシンガポールでの始めてのラーメン学校でしたが、私にとってもスタッフたちにとっても素晴らしい学びの場になったことと思います。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
2起業家的柔道
1947年、ベル研究所がトランジスタを開発し、ラジオやテレビの真空管に代わるものになることを、誰もが知っていたのですが、誰も何もせず、当時、アメリカの大手電機メーカーは、トランジスタへの転換を1970年頃に行うという計画を立て、彼らは、それまでトランジスタは使いものにならないと説明したのですが、国際的にはまだ無名で、専門家の間でさえあまり知られていなかったソニーの社長盛田昭夫が、このトランジスタのことを知り、彼はアメリカへ飛び、ベル研究所からトランジスタのライセンスを総額2万5000ドル(当時の900万円で、ソニーにとっては大金で、外貨制限のあった頃の日本であったので、許可を取るのがたいへんだった)という驚くべき安値で買い、2年後、ソニーは重さが真空管ラジオの5分の1以下、値段が3分の1以下という最初のポータブルラジオを世に出し、3年後には、アメリカの低価格ラジオ市場を手に入れ、5年後には世界市場を手に入れたのです。
もちろん、これは予期せぬ成功の拒否と、その利用の古典的な例であり、アメリカの大手電機メーカーは、「われわれの発明」、すなわちRCAやGEなどのリーダー企業の発明ではないという理由で、トランジスタの利用をためらい、プライドが邪魔をした典型的な例で、彼らは当時の技術の粋を集めた高級ラジオを誇りにしすぎていたので、彼らにしてみれば、シリコン・チップのラジオは、下品とまではいわないまでも、低級な代物だったのです。
ドラッカーが使っている、起業家的柔道戦略は次のような特徴を持った戦略なのです。
1.「柔よく剛を制す」という柔道の基本をビジネスに応用する戦略のことで、他社の力を利用して、商品開発や市場開拓をする戦略であり、社会にあふれている商品の多くは、合法的なコピー商品で、書籍で「国家の品格」がヒットすると「~の品格」がたくさん出版されるのですが、この戦略のメリットは成功の後追いですから、リスクはほとんどなく、販売力のある会社や、開発力の弱い中小企業には最適の戦略なのです。
2.成功し、驕り高ぶった大企業の脇の甘さを衝き、すでに安定して確固たる地位に就いていると思い込んでいる、うぬぼれ屋の企業を打ち負かし、自らをその業界のリーダーの地位に就かせることができるとするのが、「起業家的柔道」の技の1つで、産業や市場において、リーダーシップ支配力の獲得を狙いとしたあらゆる戦略の中で、この「アントルプルヌーリアル・ジュードー」こそ、ずば抜けてリスクが少なく、成功の公算が大であり、ドラッカーは現在の優位性の上にあぐらをかいている企業は「常習犯」と同じだ、と厳しいことを言い、変化に対して鋭い感性を磨き、外界の変化を敏感にモニターし、しかも迅速に対処することを重要視しているのです。
3.トップ企業のスキをつき、トップの地位を築こうとする戦略で、トップ企業の自社製品・サービスへのおごりや利益の発生対象、機能などのスキを突き、トップ企業が利益の最大化を目指している場合、製品やサービスへの最適化を行うので、リスクが一番低く、一番成功しやすいと言われる戦略です。
柔道戦略が特に成功する状況が3つあり、
第1は、すでに地位を確立しているトップ企業が予期せぬ成功や失敗を取り上げず、見過ごしたり、無視したりするときであるのです。
第2は、新しい技術が出現し急成長するのですが、新しい技術を市場に導入したものは古典的な独占体として行動し、すなわち地位を利用し、市場のいいとこ取りをし、創業者利益を手にするときであるのです。
第3は、市場や産業が急速に構造変化するときであり、構造変化は、イノベーションの7つの機会のうちの第4の機会「産業構造の変化」を利用するものです。
柔道戦略の攻撃側の成功要因は、柔道戦略の上記で紹介した攻撃されやすい先駆者の悪癖の裏返しです。
◆何回もの成功
問題は、ソニーの成功にあるのではなく、日本のメーカーがこの戦略を何度も使い、そのたびに成功し、アメリカの企業を驚かせてきたことをいかに説明すべきかにあり、日本のメーカーは、この戦略を、テレビ、クォーツ・デジタル時計、プログラマブル電卓で繰り返し、コピー機に参入し、草分けのイノベーターであるゼロックスから市場のかなりの部分を奪ったときも、この戦略を使い、言い換えるならば、日本の企業はアメリカの企業に対し、起業家的柔道によって何度も成功をおさめてきたのです。
しかし、アメリカの企業であるMCIやスプリントもこの戦略を使い、AT&Tの料金体系を利用して長距離通話のかなりの市場を奪い、ROLMもこの戦略によって、構内交換機(PBX)市場のかなりの部分をAT&Tから奪い、シティバンクも、ドイツでフアミリェンバンクなる消費者銀行を設立し、数年の間に、消費者金融で支配的な地位を得たのは、ドイツの銀行も、普通の消費者が購買力をもつようになり、上客になりうることは知っていて、彼らも消費者金融に進出し、だが、本心は乗り気ではなかったためで、とくに、それまで法人客と金持ちの投資家を顧客にしてきた大銀行にとって、一般の消費者は自らの威厳にそぐわない存在で、口座を開きたければ、郵便貯金に行けばよいという姿勢で、広告で何といおうが、ドイツの銀行は、その重々しい支店にやってきた一般の人たちに対し、そっけない態度をかなりあからさまに示したので、シティバンクが一般の消費者のニーズに応えるための金融サービスを設計し、利用しやすいファミリェンバンクを設立し、シティバンクのファミリェンバンクは、手強いドイツの銀行がドイツ中に支店を張り巡らしていたにもかかわらず、わずか5年の間に、消費者金融で支配的な地位を得たのです。
日本企業、MCI、ROLM、シティバンクなどの新規参入者はすべて、戦略として起業家的柔道を使い、あらゆる起業家戦略、とくに産業や市場において支配的地位の獲得を目指す戦略のうち、起業家的柔道こそ最もリスクが小さく、最も成功しやすい戦略であり、警察は、金庫破りにせよ、こそ泥にせよ、常習犯が同じ手口を使うことを知り、彼らは個性的な痕跡を指紋のように残し、何度逮捕されても変えようとせず、性癖から逃れられないのは、犯罪常習犯だけではなく、誰でもあり、企業や業界も同じであり、何度トップの地位と市場を奪われようとも、性癖は変えられず、アメリカのメーカーは、日本の企業に何度市場を奪われても性癖を変えず、犯罪者は、自らの性癖のゆえに逮捕されたことを認めないので、逮捕の原因となった性癖を直さず、言い訳を探し、自らの性癖によって市場を失った企業も、それを認めないで、ほかの原因を言い訳にし、たとえば、日本企業の成功を低賃金のせいにするのですが、RCAやマグナボックスのように現実を認識している電機メーカーは、アメリカの高賃金と福利厚生費を負担しつつ、日本のメーカーと競争できる価格と品質の製品を生産しているのです。
ドイツの銀行は、シティバンクの成功について、自分たちには犯すことのできないリスクだったと弁解するのですが、実際には、ファミリェンバンクの貸し倒れは、ドイツの銀行よりも少なく、貸付条件は、ドイツの銀行と同じように厳しく、もちろんドイツの銀行は、このことを知っているのですが、それでもなお、彼らは、自らの失敗とフアミリェンバンクの成功について弁解を続けるのは、きわめて典型的というべきであり、ここにこそ、なぜ起業家的柔道という同じ戦略が何度も成功するかを示すヒントがあるのです。
驕り高ぶることが、ビジネスでは一番危険であり、成功しているときこそが、一番危険な時であり、これは、人間の性であり、マネッジメントには、多くの体験、試練が欠かせないのです。
昨日は朝から質疑応答の後、ラーメン作りが始まり、スープの味の完成と生徒さんの作品作りが始まりました。
生徒さんがそれぞれ、自分の作りたいラーメンを披露し、それを修正していきますが、なかなかのレベルの生徒さんもいて、修正のそれほど必要ない生徒さんもいたのですが、大半は手直しが必要なレベルでした。
作品作りには、生徒さんたちは楽しそうに取り組んでいました。
今回も世界中からの生徒さんたちと楽しい5日間で、生徒さんたちとスタッフたちに感謝です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。