来週3月7日(月)から9日(水)までの3日間、ドリームスタジオ名古屋で、恒例のパワーアップ・イベントを開催し、私のセミナーも現在の時流に合わせ、多くの方の悩みである、次の3つ(1.麺ビジネスのイノベーション、2.究極の人手不足解決法はこれだ、3.究極の売上対策)を用意しました。
※イベントは終了しましたが、大和製作所では定期的にイベントを開催しております
本日のテーマは「麺学校の国際化」です。
昨日で当社にとっては初めての、シンガポールのラーメン学校は終了し、終了とともに帰路につき、深夜発の便で羽田に向かい、早朝に羽田空港に到着したのです。
気になっていた英語での経営講義の授業も何とか無事に終了し、これから英語での経営講義を行なうこと、或いは、英語での授業全体を行なうこともだいぶ自信がついてきて、英語はまったく筋トレのようなもので、慣れることと、日々、やり続けることの大切さが分かり、以前のように英語での授業自体が苦にならないようになったのです。
併せて、初めての海外でのラーメン学校を無事終えたことで、私も大きな自信と達成感を得ることが出来たのですが、同じように同行したスタッフたちも、たいへんなことをやり終えたことで、大きな達成感と満足感を得ることが出来、スタッフたちの心の中に大きな自信となって残り続けることでしょう。
この様に安心領域から逸脱した大きなチャレンジが、われわれを大きく変え続けてくれ、われわれは安心領域から逸脱し続けることでしか成長出来ないことがよく分かり、このような大きなチャレンジを続けていくことが、会社全体を大きく変えてくれるのです。
2月にシンガポールでラーメン学校を開始することを意思決定したのは、私が昨年の11月末から12月にかけてシンガポールに来たときであり、その間、日本での正月休み、シンガポールでの旧正月の休みを挟んでいたので、スタッフたちの短期間での準備に対する苦労もたいへんであったのです。
それでも何とか乗り越え、初めてのラーメン学校を成功裏に終えることが出来たので、スタッフたち、会社全体にとって大きな励みになり、今後はこのラーメン学校の改善改良をスタッフたちで続けていくだけになったのです。
5日間を振り返っても、日々ホテルに帰ることが出来たのは、ほぼ深夜になりましたが、充実した、本当に楽しい5日間でした。
特に今回は、女性の生徒さんですが、熱心な生徒さんに巡り合い、彼女の多くのリクエストに付き合い、難しいスープにチャレンジし、新しい発見があり、新しいノウハウを獲得出来たことが大きな収穫でした。
当社のラーメン学校の過去を振り返っても、難しい問題を抱えた生徒さんと真剣に向き合い、難しいラーメンスープと取り組み続けることにより、ラーメン学校のレベルを大きく上げ続けることが出来たのです。
最近の日本では難しい問題を抱えた生徒さんが少なくなり、われわれが大きなチャレンジを行なうようなチャンスが少なくなり、現在持っているノウハウだけで、生徒さんの問題解決が出来てしまうような状態になってしまっていた、安心領域にいたことがよく分かりました。
その生徒さんの問題を解決するには、これまで持っていた知識とノウハウだけでは解決することが出来ず、一昨日の夜はホテルに帰ってからもずっと、その生徒さんの課題を考え続け、解決することが出来る新しい方法を見つけることが出来たのです。
今回見つけた方法は、今までの当社になかった新しい美味しさを創りだすことが出来る方法で、ラーメンスープに、自然な深い甘さを創りだすことが出来たのです。
本日は、東京支店での蕎麦学校の実技の最終日であり、生徒さんたちと一緒に蕎麦の盛り付けの新しいチャレンジを行なう予定で、蕎麦は夏のシーズンには強いメニューですが、冬には弱いので、冬に強い、今までにない新しい、画期的な蕎麦メニューの提案をしていきたいと思っています。
明日から始まる東京支店での経営講義では、今回のシンガポールでの経営講義を参考に、国内の生徒さんであっても、海外の生徒さんに接するのと同様に、難しくない、誰にとっても分かり易い授業に変えていこうと思っています。
今までの私の経営講義は、初めての生徒さんたちにとって、少し難易度の高い授業になっていて、このような授業を受けたことのない、初めての生徒さんたちは理解するのがたいへんであったと思います。
国内だけで麺学校をやっていると、当たり前のようなことも海外での麺学校を始めると、さまざまな生徒さんたちに接することにより、大きな進化をせざるを得ないのです。
また、世界中から参加した生徒さんを通じて得られた貴重な情報は、これから当社と私の貴重な財産になり、データベースとなるのです。
今回もNYから参加している生徒さんを通じて、改めてアメリカの厨房での衛生の厳しさ、冷蔵庫、冷凍庫の温度管理だけでなく、室温管理の大切さを教えられたのです。
同様にリカー・ライセンスもNYでは2種類あり、どちらを取得するかにより、お店の利益も大きく変わってくることが分かりました。
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆先行者の5つの悪い癖
新規参入者が起業家的柔道を使い、先行者を負かし急成長し、トップの地位を得ることが出来るのは、下記のように、先行者の悪い癖が5つもあるためなのです。
1.アメリカ英語でいうところのNIH(Not Invented Here-自分たちの発明ではない)という態度、自分たちが考えたもの以外には、ろくなものがないという傲慢さであり、この傲慢さのゆえに、先行者は、かって、アメリカの大手電機メーカーがトランジスタについて行ったように、新しいイノベーションを鼻であしらうのです。
2.最も利益のあがる部分だけを相手にするという、いいとこ取りであり、これは、ゼロックスが行い、その結果、日本のコピー機メーカーに機会を与える結果になったものであり、ゼロックスは、大手ユーザーすなわち大量にコピー機を買ってくれる顧客や、高性能で高価なコピー機を買ってくれる顧客に的を絞っていて、ほかの客を相手にしないわけではなかったが、力を入れなかったので、当然、ほかの客は、サービスに不満をもっていたのです。
正確には、サービスの悪さに不満をもっていて、そのため、ゼロックスの競争相手にとっては参入がしやすくなっていたので、市場のいいとこ取りは、経営学的にも経済学的にも、初歩的な間違いで、それはつねに市場の喪失という罰を受け、ゼロックスは財産(過去の遺産)に安住し、たしかに大きな財産であり、大きな利益があがっていたのですが、いかなる事業といえども、財産に頼りつづけるわけにはいかないので、いいとこ取りは過去の財産への依存であり、しかも1度この性癖を身につけると、それはずっと続き、起業家的柔道の攻撃を受けやすくなっていくのです。
3.さらに大きな弱みとして、価値についての誤解があり、実は、製品やサービスの品質は供給者がつくるものではなく、顧客が引き出し、対価を払うものであり、製品は、メーカーが考えがちなように、生産が難しく、金がかかるから価値があるのではなく、それは単に、メーカーとしての無能を示すだけであり、顧客は自分にとって有用なもの、価値あるものを提供してくれるものに対してのみ対価を払い、それ以外のものは価値ではないのです。
1950年代、アメリカの大手電機メーカーは、真空管を使う自分たちのラジオが、より大きく、より精緻であり、まさに20年におよぶ努力の結晶であるがゆえに価値があるとし、彼らは、トランジスタラジオが未熟練工でも生産できるのに対し、自分たちのラジオは高度の技能を要することをもって、価値があるとしたのですが、消費者からすれば、トランジスタラジオのほうが、軽く、浜辺やピクニックに持って行け、故障することなく、真空管を取り変える必要もなく、安く、音域や音質も優れていたので、明らかに価値があり、肝心なとき、16本の真空管のうち必ず1本は切れてしまう最高級ラジオより品質も、優れていたのです。
4.いいとこ取りや、価値についての誤解に関係のあることとして、創業者利益なる錯覚があるのですが、創業者利益こそ、つねに競争相手に対する招待状なのです。
19世紀初めのフランスのJ・B・セイやイギリスのデヴィッド・リカード以来、すでにおよそ200年にわたって、経済学は、完全独占以外で大きな利益を得る方法は、コストと価格との差しかないと認識してきたのですが、コストと価格との差によって利益を得る試みは必ず失敗し、それは、競争相手に傘を差しかけてやるだけのことであり、トップの地位を確立している者にとって、今日、大きな利益に見えるものも、数年後には覇権を唱えるに至る新規参入者に対する補助金にほかならないのであり、創業者利益は、株価上昇をもたらす喜ぶべきものというよりも、自らに対する脅威と見るべきものであり、それは危険な弱みであるのですが、創業者利益なる高利益の幻想は、それがつねに起業家的柔道に門を開くものであるにもかかわらず、今日、あまりに一般化しているのです。
第5に、すでに地位を確立している企業によく見られ、かつ必ず凋落につながることとして、過剰な機能の追求があり、それは、製品やサービスの最適化ではなく、最大化を求めることであり、典型がゼロックスで、市場の成長に伴い、1つの製品やサービスによって、すべてのユーザーを満足させようとすることであるのです。
たとえば、化学反応をテストするための新しい分析機器を開発したとすると、当初、市場は企業の研究所に限られているのですが、やがて、大学の研究所や専門の研究機関、あるいは病院が購入しはじめ、それぞれが少しずつ違うものを要求すると、そこでメーカーは、新しい顧客を満足させるために新しい性能を加え、さらに次の顧客を満足させるために次の性能を加え、こうして単純な機器だったものを複雑きわまるものになり、機器の機能を最大化し、その結果、その機器は、誰も満足させられないものになるのです。
なぜならば、皆を満足させるということは、誰も満足させることができないということだからであり、しかも価格は高くなり、使い方や補修も難しくなるのですが、それにもかかわらず、メーカーのほうは自信満々であり、新聞の全ページ広告では、64種類もの機能を列挙するのですが、そのようなメーカーが起業家的柔道の犠牲となるのは、ほとんど確実であり、まさに強みとするものが仇となるのです。
新規参人者が、1つの市場、たとえば病院用機器を開発すると、病院が必要としない機能、病院が毎日必要とはしない機能は、何1つつけていないのですが、病院が必要とする機能はすべて備えていて、しかも、多目的な機器よりも機能が優れているので、この新規参入者は、次に、研究所用、政府機関用、産業用の機器を開発し、ユーザー別の機器によって、すなわち最大化ではなく最適化をはかることによって、すべての市場をもっていくのです。
日本のコピー機メーカーは、特定のユーザー、歯科医、医師、校長室向けなど小さなオフィス用のコピー機を開発して、競争に参入してきて、ゼロックスが誇りとしていた高速性や鮮明度では対抗しようとせず、彼らは、小さなオフィスが必要とするもの、簡単で安いコピー機を導入し、ひとたび市場で地歩を固めるや、次の市場にとって最適の機器を開発し、その市場に参入していき、同じようにソニーも、まず最初に安いポータブルラジオから参入し、そこで地歩を固め、次の市場へと移っていったのです。
起業家的柔道を使う者は、たとえば、シティバンクがファミリェンバンクを設立したとき反撃しなかったドイツの銀行のように、すでに地位を確立したトップ企業が本気で守ろうとしない海岸の一角を確保し、そこで市場と売り上げを手に入れると、次の一角を確保し、やがて島全体を確保し、しかも、つねに同じ戦略をとり、それぞれの市場向けに最適の製品やサービスを設計し、すでにトップの地位にある企業が闘いに勝つことはほとんどなく、彼らは、新規参入者に支配権を奪われるまで、それまでの事業のやり方を変えようとしないのです。
以上より、起業家的柔道戦略は、中小企業で余りリスクを掛けることが出来ない企業に向いた戦略であり、非常に効果が大きいのですが、市場を押さえる戦略なので、あらゆる方向からの深い思考が伴っていないと、危険な戦略でもあるのです。
昨日の最終日は、朝の始まりで生徒さんの質問を受け答えした後、スープ作りの実習に入り、午後1時から経営講義に入り、事業計画書の説明と、2人分の授業計画書を作成し、その後、商圏分析、メニュー分析へと話を進め、一通りの経営講義の授業を終えたのです。
授業を終えた後は、日本の麺学校と同じように、卒業証書の授与と記念撮影を行ない、卒業した生徒さんたちは、世界中に巣立っていき、われわれも日本への帰路についたのです。
チャンギ空港で、スタッフたち5人で夕食を共にして、今回のラーメン学校を無事に成し遂げたことを分かち合ったのでした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。