本日のテーマは「幅と深さと時間軸」です。
昨日は昼からラーメン学校に入ったのですが、事前に生徒さんの抱えている問題はないとのことだったのですが、今回は午後からラーメン学校に参加したのですが、実際に入ってみると、今回はベジラーメンが課題でした。
毎回、参加する生徒さんによってテーマが異なるので、テーマごとに指導しているのですが、今回のラーメン学校でまだベジラーメンの掘り下げ方が足りないことがよく分かりました。
野菜だけで作るベジラーメンには大きく分けて6種類あり、熱いラーメンで、スープに粘りのあるタイプ、次にスープに粘りのない、透明度の高いタイプ、そして中間の半濁状態、次が冷たいベジラーメンでスープに粘りのあるタイプ、冷たいベジラーメンでスープに粘りのない、透明なタイプ、そしてその中間の半濁タイプです。
将来はもっと種類が増え、細分化され、博多トンコツラーメンのように乳白色のもの、赤色等の野菜の色の濃いもの、透明度の高いもの等々、動物系ラーメンのようにさまざまなタイプに広がることと思います。
現在でもこの程度の種類があり、最近はベジラーメン希望の生徒さんが徐々に増えているので、ベジラーメンを今後は更に極めていきます。
ベジラーメンの原材料は、動物系を一切使用しないので、野菜、フルーツ、穀物類で、昆布のような海草も範疇に含まれ、昆布は濃度を上げ、旨味をプラスするのに、欠かせない食材です。
昨日もベジラーメンを作っていて、野菜を使う場合の最も大きな問題点は、野菜には旨味だけでなく、ラーメンの味を阻害するアクが含まれていることで、鰹節のようなもので、鰹節も本節の雄節、雌節のように血合を完全に取れば、アクは少なくなるのですが、血合が入れば、雑味の元になるのです。
血合の雑味を感じるのは、魚体がある程度の大きさ以上の場合だけで、煮干しのような小魚は感じないのです。
いずれにしても、今後は、深い野菜の研究は欠かせないことを認識させてくれた素晴らしいチャンスであったのです。
今回は岐阜から当社のユーザーさまであり、ラーメン学校の卒業生の熱心な生徒さんが参加し、一緒にベジラーメンに挑戦したのですが、最終的に今までラーメン学校で用意していたベジポタ(ポタージュ状態の野菜スープ)の雑味が消えなかったのが、最後の最後に分かったのです。
糖度が高い、粘度の低いラーメンであれば、フルーツを使えば簡単なのですが、粘度の高いラーメンを作る場合の、素材の検討が課題であることがよく分かりました。
過去もこのようにしてある程度の間、徹底してテーマを絞り取り組むことにより、さまざまな問題を解決してきたので、今後、当分の間はベジラーメンをテーマに絞り、徹底的に研究を進めていきたいと思います。
プロとアマチュアの違いは、幅と深さの違いであり、時間軸でもあり、止むことのない情熱が必要で、終わりのない挑戦でもあるのです。
以前に聞いた話ですが、イヌイットの人たちは雪の種類を何十種類と見分けることが出来るそうなのです。
われわれの場合は、粉雪だとか、ぼたん雪だとか、わずか数種類の雪の判別しか出来ないのですが、雪のプロは幅が非常に広いのです。
幅が広いだけでなく、奥行きもあり、同時に時間軸で深め続けているのです。
当社が携わっている麺のジャンルについても、麺そのものの幅と奥行き、時間軸での変化により、最近ではグルテンフリーの麺がたくさん出回るようになってきたのです。
私が創業した40年前には、考えられなかったことが起きていて、その変化の速度が加速し続けているのです。
だから、われわれはまだまだ自分が足りないということを理解しなければ、いつか取り残されてしまうのです。
これは、自己否定につながり、ビジネスの速度を上げようとすると、自己否定は欠かせない要素であることが良く分かります。
ビジネスの本質は、自己否定であり、現状否定であり、現状に満足しないことであり、常に変化に対応し続けることであるのです。
しかし、ビジネスから離れて、われわれ自身の現実の生活は、現状肯定であり、今の状態に満足し、感謝し続けることであるので、この意識の切り分けが難しく、人間関係も現状肯定でなければ、良い関係が保てないのです。
幸いなことに来週もラーメン学校が続くので、ベジラーメンの試作を思い切り行なうことが出来るのです。
そして、インターネットが発達して現在においては、プロ中のプロしか、世の中で大きく成功することは出来ないので、出来ないことへのエンドレスのチャレンジです。
本日も当社の価値感を掲げ続けます。
1.
顧客に深くフオーカスし、絶えざる奮闘精神で、苦しい奮闘を長期にわたって続ける(顧客との深いコミュニケーション)
2. 自己批判(内省、フィードバック、自己とのコミュニケーション)
3. オープンな姿勢と進取の精神(アライアンス、イノベーション)
4. 効率の追求(利益、コスト)
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
第9章 新しい知識を活用する(第七の機会)
I知識によるイノベーションのリードタイム
発明発見という新しい知識にもとづくイノベーションは、いわば起業家精神のスーパースターであり、たちまち有名になり、金にもなり、これが一般にイノベーションといわれているものなのですが、もちろん、新しい知識によるイノベーションのすべてが重要なわけではなく、取るに足りないものも多いのです。
歴史を変えるようなイノベーションのなかでは、知識によるイノベーションはかなり上位に位置づけられ、イノベーションのもとになる知識は、必ずしも科学上、技術上のものである必要はなく、社会的なイノベーションも、同じくらい、或いは、それ以上に大きな影響をもたらすのです。
知識によるイノベーションは、その基本的な性格、すなわち、実を結ぶまでのリードタイムの長さ、失敗の確率、不確実性、付随する問題など、ほかのイノベーションと大きく異なり、さすがスーパースターらしく、気まぐれであって、マネジメントが難しいのです。
「リードタイムの長さ」
知識によるイノベーションの第1の特徴は、リードタイムがきわめて長いことであり、新しい知識が出現してから、技術として応用できるようになるまでには、長いリードタイムを必要とし、市場において製品やサービスとするには、さらに長いリードタイムを必要とするのです。
1907年から10年にかけて、生化学者ポール・エーリッヒが、化学合成物によるバクテリアの制御、すなわち化学薬品による治療を確立し、彼は梅毒治療のために、史上初の抗菌性薬品、サルバルサンを開発したのですが、エーリッヒの化学療法の応用によって開発された細菌性疾患の治療薬サルファ剤が、広く市場に出回るようになったのは、26年後の1936年であるのです。
1897年には、ルドルフ・ディーゼルが、自らの名を冠したエンジンを設計し、直ちに誰もが、大きなイノベーションであることを認めたのですが、その後長い間、実用化は進まず、1935年になって、ようやく1人のアメリカ人、チャールズ・ケタリングが、ディーゼルのエンジンを根本から再設計し、船舶、機関車、トラック、バス、乗用車などのための動力源として使えるようにしたのです。
コンピュータも、多くの知識が集まってようやく実用化され、まず最初の知識が、あらゆる数字を1と0で表す17世紀の数学理論、2進法であり、19世紀の前半にいたり、チャールズ・バベッジがこの理論を計算機に応用し、1890年にはヘルマン・ホレリスが、数字による指示が可能なパンチカードを発明したのです。
1906年、アメリカ人のリー・デ・フォレストが3極管を発明し、エレクトロニクスを生み出し、1910年から13年にかけて、バートランド・ラッセルとアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドが、共著『数学原理』において、あらゆる論理的概念を、数字で表すことを可能とする記号論理学を確立したのです。
そして最後に、第1次大戦中、対空砲火技術のためにプログラムとフィードバックの概念が発展し、こうして1918年、コンピュータの開発に必要な知識がすべて手に入ったのですが、最初のコンピュータが実用化されたのは、1946年になってからだった。
1951年、フォードの生産担当役員がオートメーションなる言葉をつくり、オートメ化に必要な要件を詳細に明らかにし、その後25年間にわたり、ロボット化やオートメ化か論じられたが、何も起こらなかったのです。
日本の日産やトヨタが、工場にはじめてロボットを導入したのが1978年、GEがペンシルベニア州エリーに、機関車製造用のオートメ工場をつくったのが1980年代の初めであり、同様に、GMがエンジンと部品の工場のいくつかをオートメ化したのもその頃で、フォルクスワーゲンが完全なオートメ工場「ホール54」の操業を開始したのが1985年の初めだったのです。
数学者であり哲学者でもあったバックミンスター・フラーは、位相数学を応用して、「ダイマクシオン・ハウス」なるものを設計し、家の表面積を最小にしつつ、居住空間を最大にしたもので、最大の独立空間、最適の冷暖房効果、最高の音響効果をもっていて、建材は軽く、基盤は不要、梁は最小限、耐震、耐風だったので、1940年頃、フラーは、このダイマクシオン・ハウスをニューイングランドの小さな大学の校庭に建てたのですが、そのまま何も起こらず、その後、ダイマクシオン・ハウスを建てた者はほとんどいなく、どうやらアメリカ人には、円形の家は住みにくく、従来型の建物ではあまりに建築コストか高くつき、かつ実際上も建てにくく、南極と北極において、この家が最初に使われたのが、1965年であり、講堂、コンサート会場、体育館の建築に使われるようになったのは、さらにその後のことだったのです。
発明、発見という知識に基づくイノベーションは、われわれの身近には、あまりありませんが、長いリード・タイムが必要であることはよく分かり、従って、知識に基づくイノベーションよりも、意識の変化に基づくイノベーションの方がはるかに、われわれには取り組み易いのです。
再度、イノベーションの7つの機会を復習すると、次の通りです。
第1が予期せぬことの生起であり、予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事であるのです。
第2がギャップの存在であり、現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップであるのです。
第3がニーズの存在です
第4が産業構造の変化
残り3つの機会は、企業や産業の外部における事象であり、即ち、
第5が人口構造の変化
第6が認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化
第7が新しい知識の出現
最初の4つは、企業や社会的機関の組織の内部、或いは産業や社会的部門の内部の事象であり、内部にいる人たちにはよく見えるものであり、表面的な事象に過ぎないのですが、すでに起こった変化や、たやすく起こさせることの出来る変化の存在を示す事象であるのです。
但し、これら7つの機会の順番には意味があり、信頼性と確実性の大きい順に並べてあり、一般に信じられていることとは逆に、発明発見、とくに科学上の新しい知識というものは、イノベーションの機会として、信頼性が高いわけでも成功の確率が大きいわけでもなく、新しい知識に基づくイノベーションは目立ち、派手であって、重要ではあるが、最も信頼性が低く、最も成果が予測しがたいのですが、これに対し、日常業務における予期せぬ成功や、予期せぬ失敗のような、不測のものについての平凡で目立たない分析がもたらすイノベーションの方が、失敗のリスクや不確実性ははるかに小さく、そのほとんどは、成否は別として、事業の開始から生まれるまでのリードタイムが極めて短いのです。
昨日は、ラーメン学校の生徒さんたちの最終作品のチェックでした。
ベジラーメンの試作に熱中して、時間が足りなくなってしまったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。