本日のテーマは「デジタル化、感性、人間力」です。
昨日のフェイスブックの内容は、IT化と女性を戦力にしてイノベーションを起し、大成功した機械加工会社を紹介したのですが、同じようにわれわれの麺ビジネス、飲食ビジネスにおいては、どのようなイノベーションを起せるかを考えてみます。
飲食ビジネスはサービス業であるので、人件費は重要なポジションを占めて、人件費の扱い方でビジネスが決まってしまうのです。
お客さまが払う価格帯により、サービスの手厚い高級なレストラン(海外であれば、チップ制レストラン)から、そうでないファーストフード系(チップの不要なレストラン)に分かれるのです。
日本におけるレストランの実態を見れば、麺ビジネスの多くは、すでにファーストフードの範疇に含まれ、今までのセルフうどん店は、すべてこのジャンルであり、これからも世界で最も伸びが大きいのは、このジャンルであるのです。
要するに、多くの成功する麺ビジネスの中に、スターバックスのような次の3つの要素を備えたセルフ店が次つぎと生まれていくことでしょう。
1つ目は、商品力のレベルに対する飽くなき追求であり、高い商品力を求め続け、商品力においては一切の妥協をしないことで、現在の多くの麺専門店がなし得ていないことなのですが、価格については品質の割には高くない金額で、提供出来ることが重要で、ライバルから見て、この金額では、この商品力のレベルの商品を提供することは無理だと言わせることが出来ることなのです。
そうすると、ライバルがいないブルーオーシャン市場で楽に一人勝ちが出来、同時に、そんなに高い金額ではないのに、自店はシッカリ利益をだすことが出来る店内のオペレーションの効率の良さも重要なのです。
2つ目は、店内のあらゆる行動のICT化で、熟練職人、熟練ウエイトレスの技や勘などのあらゆる店内情報をコントロール、数値化し、これを独自のプログラムで読み取ることで経験の浅い作業者をサポートするシステムを構築し、さらに、成功したときの作業条件だけでなく、ありとあらゆる作業条件もすべて貯めておき、それをビッグデータとして蓄積させていくのです。
3つ目は、スタッフの発想力で、たとえ熟練したスタッフの行動をデータ化できたとしても、そのまま再現していたのでは、従来と同じような行動しか出来ないので、どうすれば過去にだれも成し遂げたことのない成果を実現できるか、それには膨大なデータの中からポイントを見極める目、常識にとらわれない発想力が求められるのです。
「お客様の要望は、突き詰めれば『いいものを安く』の1点で、そのために、技術を究めて付加価値を追い求めていくと、他社との果てしない戦いに勝たなくてはならず、一方、安さを追求していけば、価格競争に巻き込まれて窮してしまい、それとはまったく違う道、誰も考えつかなかった道を導き出して、桁違いの価値を出すことが重要なのです。
以上のような、過去に例のないような高い価値のある麺ビジネスを追求すれば、戦略は採用方針にはっきりと表れ、レベルの高い商品力、サービス力を求めるのであれば、経験豊富なプロを採用していくのが相場ですが、フレキシビリテイの高い新卒で、それも業界未経験の理工系と文系女性の採用は必須なのです。
昨日の事例にあったように、採用で重視しなければいけないのはEQ(感情知能、人間性)であり、たとえ知識がなくても、その人に徳があれば、周囲が自ずと教えてくれるようになるので、短期間で習得出来、なまじ外食業界の知識があるのも考えもので、中途半端さが邪魔をして、新しい発想ができなくなってしまうので、それくらいだったら、間違いを犯してもかまわないからどんどん失敗して覚えた方がいいのです。
業界で昔から行なわれている技術やノウハウをすべてITの世界に落とし込み、プロの頭の中にだけあるノウハウではなく、スタッフであれば、誰でも最高のモノを作れる仕組み、最高のサービスを提供出来る仕組みを作り、そのノウハウは、知的財産として堅固に保護し、自分たちは外食サービス集団ではなく、IT企業であり、外食サービスのIT化の成功ノウハウを販売している企業にならなければいけないのです。
最近の飲食ビジネスの成功方程式によれば、「飲食ビジネス=料理×アート×サイエンス×ユーモア×哲学」であるのですが、これらの要素をデジタル化することにより、ビジネス自体を大きく変貌させることが出来るのです。
昨日の成功事例は機械加工の世界にITを持ち込んで成功したように、麺ビジネスにこそ、ITを持ち込み、デジタル化して、ビジネスを大きく変貌させなければいけないのですが、IT化ということはデジタル化に他ならないのです。
そして、デジタル化することにより、リニアな進化速度ではなく、エクスポーネンシャルな進化の速度になり、進化速度が決定的に変わってくるのです。
上記の飲食店の成功方程式において、当社はすでに、料理の部分をデジタル化し、デジタル・クッキングを成し得ているのです。
次に、残りの要素のうち、アート、ユーモアのような芸術性の高い部分は際立って高い感性で構築し、最後の哲学の部分は、奥深い人間力が要求される分野であり、この部分のとらえ方で、ビジネスの方向性が決まってしまうのです。
いずれにしても、これからのビジネスは今までの延長線上にはなく、深い思考で、不可能を可能にするイノベーションを起し続けなければいけないのです。
本日も当社の価値感を掲げ続けます。
1. 顧客に深くフオーカスし、絶えざる奮闘精神で、価値ある奮闘を長期にわたって続ける(顧客との深いコミュニケーション)
2. 自己批判(内省、フィードバック、自己とのコミュニケーション)
3. オープンな姿勢と進取の精神(アライアンス、イノベーション)
4. 効率の追求(利益、コスト)
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
第11章イノベーションの原理
Iイノベーションの原理
医者も長くやっていれば、患者の奇跡的な回復に出会うことがあり、不治の患者が突然治ることがあり、自然に治ることもあれば、信仰によって治ることもあり、奇妙な食餌療法によって治ることもあれば、昼間眠って夜起きることで治ることもあるのです。
このような奇跡をいっさい認めず、単に非科学として片づけることは愚かであり、それらのことは、現実に起こっているのですが、それらの奇跡的な回復を医学書に載せ、医学生相手に講義する医学者はいないのです。
なぜならば、それらのことは、再び行うことも、教えることも、学ぶこともできないからであり、しかも、・・それらの療法では、回復する者はわずかであって、圧倒的に多くが死ぬのです。
◆体系としてのイノベーション
これと同じように、本書において述べてきた、7つの機会と関係なく行われるイノベーションがあり、目的意識もなく、組織的、体系的でもなく行われるイノベーションであり、霊感によるイノベーション、天才のひらめきによるイノベーションであるのですが、そのようなイノベーションは、再度行うことはできず、教えることも、学ぶこともできず、天才になる方法を教えることはできないのです。
そのうえ、発明やイノベーションの逸話集がほのめかすほどには、天才のひらめきはあるものではなく、私自身、ひらめきが実を結んだのを見たことがなく、アイデアは、アイデアのまま終わり、歴史上、最も偉大な発明の天才が、レオナルド・ダヴィンチであることはまちがいなく、彼のノートには、潜水艦、ヘリコプター、溶鉱炉など、息を呑むようなアイデアが記されているのですが、1500年当時の技術や機械では、それらは1つとして、イノベーションとして実を結ぶことがなく、当時の社会や経済に受け入れられるはずもなかったのです。
学校では、蒸気機関はジェイムズ・ワットが発明したと教えているのですが、技術史家は、実用的な最初の蒸気機関をつくったのは、1712年のトーマス・ニューコメンだと言い、それはイギリスの炭抗で水をくみ上げるのに使われたのです。
ワットとニューコメンは目的意識をもちつつ、組織的かつ体系的にイノベーションを行ない、とくにワットの蒸気機関は、(シリンダーの製造技術という)新しい知識と、(コンデンサーという)それまで欠落していた設計とが結合して実現されたイノベーションであり、しかも、ニューコメンの(すでに数千台が実用に供されていた)蒸気機関によって、世に受け入れられる素地ができていたのです。
しかし、最初にエンジンを構想し、ひいては今日の近代技術を生み出しだのは、ワットでもニューコメンでもなく、天才的なひらめきによってそれを構想したアイルランド人の偉大な化学者ロバート・ボイルだったのですが、彼のエンジンは動かなかったし、動くはずもなかったのは、ピストンの動力として火薬の爆発を利用していたため、上下運動の都度、分解してシリンダーの煤を拭かなければならなかったのですが、このボイルのアイデアから出発して、彼の助手たったドゥニ・パパン、ニューコメン、さらにはワットが、実用エンジン開発に取り組んだのです。
天才ボイルが生み出したものはアイデアで、彼の業績は、技術史やイノベーション史ではなく、アイデア史に残されるべきものなのです。
目的意識、分析、体系によるイノベーションだけが、イノベーションの方法として提示され、論ずるに値し、しかも、イノベーションとして成功したもののうち少なくとも90パーセントは、そのようなイノベーションであり、体系を基礎として、かつそれを完全に身につけて、はじめてイノベーションは成功するのです。
イノベーションを起こすことは、何か特別なことではなく、普段の活動の中に組み込んでおかなければならないことなので、イノベーションを起こすのは、特別な人ではなく、誰でも起こすことが出来、新しい知識による技術革新のように目立つイノベーションではなく、むしろ、目立たないイノベーションの方が、われわれのビジネスには大きな影響を及ぼし、大きな成果を上げることが出来るのです。
それには、ドラッカーが体系化した「イノベーション7つの機会」の理解は欠かせず、それを道具として、フルに使いこなすことは必須条件なのです。
それでは、その体系の中核となるべきイノベーションの原理とは何か、イノベーションに必要な「なすべきこと」と「なすべきでないこと」は何か、そして、ドラッカーが必要条件と呼ぶものは何かを以下の章で探求します。
昨日は、自宅で仕事をしていると、長男の嫁と孫が仏壇の掃除に来たので、一緒に庭に実っているオーガニックのキンカンとオーガニックの夏みかんを収穫したのですが、十分に熟すまで木についていたので、たいへん美味しく、収穫量も年々増えているのです。
昔から自宅でお袋が私の誕生日にはいつも柏餅を作って食べさせてくれたので、柏餅には、特別な思い入れがあるのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。