本日のテーマは「商圏の人口動態の実態を理解する」です。
商圏の人口動態の実態を理解する
先日のフェイスブックで愛媛県の人口減少について書きましたが、今朝、坂出の旧市街を散歩していて驚いたのは、旧市街の人の住んでいない、古い家屋が撤去され、更地になっている場所が非常に増えていることです。
坂出市の中心にあった古いアーケードのある商店街は、シャッター街になって久しく、以前は歩行者専用道路であったのが、現在は自動車も通行可能になり、街の景色が変わってしまい、このような景色は日本全国至るところにあるのですが、この原因は自動車社会になり、多くのショッピング関係、飲食関係の店舗が郊外型になったことが原因であったのです。
ところが、中心街だけでなく、それを取り巻く市街地全体がさびれ、空き地が非常に増えているのに驚きました。
普段自動車で通っていると分からないのですが、歩いてみるとじっくりと見ながら歩くので、変化の大きさが手に取るように分かるのです。
念のために、ウイキペデイアで調べてみると、私が住んでいる坂出市の現在の人口は53、079人(2016年2月)、ピークの1975年ころの人口は67,624人だったので、現在はピーク時の78.5%まで落ちていることになり、2割以上も減少しているとは知らなかったのですが、こんなに人口が減少していれば、更地が増えるのは当たり前だったのです。
これは私の地元の坂出市だけの問題ではなく、日本全国で同じような現象が起き、或いは、香川県以上に大きな変化のある地域が多いはずなので、もっと大きな変化が起きている地域が多いはずです。
そして、このような現象はさらに日本中に加速して起きてくるので、これからのビジネスに与える影響は底知れない影響があるはずなのです。
併せて、当社の本社を移転した宇多津町を調べてみると、同時期の1975年の人口は10、752人、現在の人口は19、012人(2016年2月)で、何と176.8%も増加しているのです。
宇多津町の当社の周辺を見ても、坂出市と比較すると街全体の活気の違いを感じ、当社の場合はたまたま宇多津に引っ越してきたのですが、これも何か運命的なものを感じずにはいられません。
人口変動は、すでに起きている未来であるので、この大きな人口変動をこれからのビジネスの機会として捉えることは、大きなチャンスがあるはずです。
日本の全体の生産年齢人口が右肩上がりであった時代は1995年までだったのですが、坂出市の人口推移が示すように、日本全体から言えば、地方ではすでに1975年くらいが人口のピークであった地方が多かったはずです。
私が坂出駅構内にうどん店「亀城庵」を出店したのは16年前で、そのころの坂出市の人口は59,228人で、現在は53、079人ですから、その間で人口は約1割の6千人減少したことになり、今から判断すれば、非常に無謀なことを行なっていたことになり、人口減少を考えずに営業していたのです。
このように、これからも国内、特に地方でビジネスを行なう以上は、人口減少だけでなく、以下のように人口動態の変化を考えずにビジネスを行なうことは出来ないのです。
人口減少以上に、もっと大切なことは、人口減少と反対に世帯数は増加し続け、世帯数だけは増加の一途を辿り、1人世帯の急激な増加を表しているのです。
例えば、坂出市の事例で言えば、人口がピークであった1975年の世帯数は19、018世帯であったのが、現在は21、356世帯(平成27年)で、2割以上の人口減にも関わらず、世帯数は順調に増え続けているのです。
併せて、人口総数は減少しているのですが、高齢者も増加の一途で、若い働き盛りの人口は減少の一途なので、1人世帯の増加は若い人の1人世帯ではなく、高齢者の1人世帯が増えているのが現状なのです。
従って、増加しているのは1人世帯と高齢者であり、これは日本全体の人口変動ともまったく同じで、日本全体で起きていることが、確実に坂出市でも起きていて、このようなことも今からビジネスを始める場合、或いはビジネスを始めていても、今後の戦略を考える上で外すことは出来ないのです。
このような現象は、日本中の至るところに発生している現象であり、これらを解決するのがイノベーションであり、新しいビジネスを作り出せる種になるので、単にうどん店を始めるとか、ラーメン店を始めるのがこれからの日本に必要で、重要なビジネスであるかといえば、そうではないことが分かるのです。
これからの日本に本当に必要なビジネスは、まだほとんどの人たちが気付いていないビジネスであり、これを見つけ出し、試行錯誤をしながら創り出すことが求められているのです。
日本が人口減だと言われても、まだ1億人以上の人たちが毎日生活をしているので、細りつつある需要ではありますが、まだそれなりに市場は存在しているのです。
今までの常識の上にはないビジネスで、日本全体の置かれた環境を考えると、非常に重要であり、同時に、過去25年間で辿ってきた日本のデフレの時代を世界中が辿りつつあることを考えると、これを解決することはこれからのグローバル時代のビジネスにおいてもたいへん役立つことであると思います。
従って、日本にもたいへん大きなビジネスの種が転がっているのですが、ほとんどの人たちは気付いていないだけなのです。
いずれにしても、これからのビジネスは今までの延長線上にはなく、深い思考で、不可能を可能にするイノベーションを起し続けなければいけないのです。
本日も当社の価値感を掲げ続けます。
1. 顧客に深くフオーカスし、絶えざる奮闘精神で、価値ある奮闘を長期にわたって続ける(顧客との深いコミュニケーション)
2. 自己批判(内省、フィードバック、自己とのコミュニケーション)
3. オープンな姿勢と進取の精神(アライアンス、イノベーション)
4. 効率の追求(利益、コスト)
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
◆なすべきこと
(1)イノベーションを目的意識をもって体系的に行うためには、ドラッカーが「イノベーションの機会」と呼ぶものから始め、徹底的に分析することから始めなければならず、イノベーションの分野が異なれば、機会の種類も異なり、時代が変われば、機会の重要度も変わるのです。
もう一度、イノベーションの7つの機会を復習すると、下記の通りです。
(1)予期せぬことの生起で、予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事。
最もリスクが少なく、最も容易にイノベーションの機会となるものだが、往々にして無視され、IBMは当初、科学計算用にコンピュータを作ったが、企業が給与計算などの世俗的な仕事にコンピュータを使い始めたのですが、IBMにとっては予想外の出来事で戸惑いを感じずにはいられなかったが、すぐにこのニーズに応じたのです。
(2)ギャップの存在。現実にあるものと、かくあるべきものとのギャップ。
ギャップには、下記のように業績ギャップ、認識ギャップ、価値観ギャップ、プロセス・ギャップの4種類があるのです。
a.業績ギャップ=製品やサービスに対する需要が順調に伸びているにもかかわらず業績が芳しくない場合。
b.認識ギャップ=ある産業の内部にいる人たちがものごとを見誤り、現実について誤った認識を持っている場合。
c.価値観ギャップ=生産者や供給者が提供していると思っている価値と、顧客が真に必要としている価値との間に違いが存在する場合。
d.プロセス・ギャップ=何か1つの作業を行う一連のプロセスの中で、不安に感じたり困ったりする部分がある場合。
(3)ニーズの存在。
漠然とした一般的なニーズではなく、具体的なニーズでなければならないのです。
a.プロセス・ニーズ=プロセス・ギャップから生じるニーズ。
b.労働力ニーズ=労働力不足の懸念から生じるニーズで、製造業においてロボットが半熟練労働に取って代わるようになったのは、労働力ニーズの圧力があったためです。
c.知識ニーズ=新しい知識を必要とする場合で、それらの新しい知識は開発研究によって生み出されるのです。
(4)産業構造の変化。
自動車産業がよい例であり、第1の波は20世紀の初頭に訪れ、自動車はかつてのような金持ちの贅沢品ではなくなり、大衆に広まりつつあり、フォードの「T型フォード」はこの産業構造の変化を利用したものです。
第2の波は1960年代から80年代にかけてやってきて、自動車メーカーはそれまでの自国市場独占型の戦略を捨て、グローバル戦略に切り替える必要があり、この動きに真っ先に乗じたのが日本の自動車メーカーで、GMは日本のメーカーに後れを取ったものの、グローバル企業になる決意をしたのですが、クライスラーは完全に乗り遅れたのです。
(5)人口構造の変化。
人口の増減や年齢構成、雇用や教育水準、所得などの人口構造の変化は明白であり、人口構造の変化は突然訪れるものであるかのように認識されているのですが、20年後に労働力人口に加わる人々は既に生まれていて、人口構造の変化が生じるまでには、予測可能なリードタイムが存在するのです。
(6)認識の変化、すなわち、ものの見方、感じ方、考え方の変化。
コップに「半分入っている」と捉えるか「半分空である」と捉えるかは全く違い、取るべき行動も違い、かつて食事の仕方は所得階層によって決まっていて、一般人は質素な食事をし、金持ちは豪華な食事をしたのですが、現在は一般人が質素な食事もすれば豪華な食事もするのです。
(7)新しい知識の出現
一般にイノベーションと呼ばれるものであり、起業家精神のスーパースターと言え、成功すれば有名になれるし、金持ちにもなれるのですが、最も成功が難しいのもこのイノベーションであり、知識によるイノベーションは、実を結ぶまでのリードタイムの長さ、失敗の確率、不確実性、付随する問題が他のイノベーションとは全く異なり、知識によるイノベーションのリードタイムはおおよそ30年です。
上記(1)から(4)までのイノベーションの機会は、企業や社会的機関の組織の内部、あるいは産業や社会的部門の内部の事象であり、内部にいる人にはよく見えるものです。他方(5)から(7)は、企業や産業の外部における事象で、この7つの順番には意味があり、信頼性と確実性の大きい順に並んでいます。
次に、人口構造の変化は、製紙プロセスにおいて欠落したものを探している者にとっては、ほとんど意味がなく、あるいは、新しい知識といえども、人口構造の変化によってもたらされたニーズを満たすべく、新しい社会的な仕組みについてイノベーションを行おうとする者にとっては、ほとんど意味がないのですが、いかなる場合においても、すでに列挙したイノベーションの機会のすべてについて、体系的に分析し、検討していくことが必要であり、単に留意するだけでは十分でなく、検討はつねに組織的に行わなければならず、イノベーションの機会を体系的に探さなければならないのです。
以上のように、イノベーションを体系的に捉えることにより、イノベーションが特殊な人に関する仕事の領域ではなく、誰でも容易に関与することが出来るようになるのです。
(2)イノベーションとは、理論的な分析の問題であるとともに、知覚的な認識の問題でもあるのです。
したがって、イノベーションを行うにあたっては、外に出て、見て、質問し、聞かなければならず、このことはいかに強調してもしすぎることがなく、イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の双方を使い、数字を見るとともに、人を見ることであり、いかなるイノベーションが必要かを分析をもって知った後、外に出て、知覚をもって顧客や利用者を知り、知覚をもって、彼らの期待、価値、ニーズを知ることが大切なのです。
イノベーションに対する社会の受容度も、知覚によって知り、顧客にとっての価値も、また、そのようにして知ることが出来、自らのアプローチの仕方が、やがてそれを使うことになる人たちの期待や習慣にマッチしているかいないかも知覚によって感じとることができるのです。
こうしてはじめて、「やがてこれを使うことになる人たちが、使いたくなり、使うことに利益を見出すようになるためには、何を考えなければならないか」という問いを発することができ、さもなければ、正しいイノベーションを間違った形で世に出すことになり、その一例が、アメリカで学校教育用のコンピュータ・プログラムを開発した人たちで、彼らが開発したせっかくのプログラムも、コンピュータに恐れをなした教師たちには受け入れられず、彼ら教師たちは、コンピュータが、自分たちを助けてくれるものではなく脅かすものであると受けとっていたのです。
この方法を取り入れて、更に体系化した方法が、デザイン・シンキング(デザイン思考)であり、デザインシンキングもドラッカー・マネッジメントがベースになっていることがよく分かります。
(3)イノベーションに成功するためには、単純かつ具体的なものに的を絞らなければならないのです。
1つのことだけに集中しなければならず、さもなければ混乱し、単純でなければ機能せず、新しいものは必ず問題を生じ、複雑であっては、直すことも調整することもできず、成功したイノベーションは驚くほど単純であり、イノベーションに対する最高の賛辞は、「なぜ、自分は思いつかなかったのか」であるのです。
新しい市場や新しい使用法を生み出すイノベーションでさえ、具体的に方向性を決めたものでなければならず、具体的なニーズと成果に的を絞らなければならず、イノベーションを複雑にしないことは、あらゆるビジネスに共通する共通項であるのです。
(4)イノベーションに成功するためには、小さくスタートしなければならないのです。
大がかりであってはならず、具体的なことを1つ行うだけでよく、たとえばレールの上を走る車両が、走りながら電力の供給を受けるというイノベーションが電車を生み出し、マッチ箱につねに(50本という)同数のマッチ棒を詰めるというイノベーションが、マッチ箱の詰め入れのオートメ化をもたらし、それを行ったスウエーデンのマッチ・メーカーに対し、半世紀近くにおよぶ世界市場の独占をもたらしたのです。
イノベーションが、最初の段階から、ほぼ正しいという程度以上であることは稀であり、そして変更がきくのは、規模が小さく人材や資金が少ない場合だけであるので、あまりに大がかりな構想、産業に革命を起こそうとする計画はうまくいかず、多少の資金と人材をもって、限定された市場を対象とする小さな事業としてスタートしなければならないのは、必ず必要となる調整や変更のための時間的な余裕がなくなるのです。
(5)とはいえ、最後の「なすべきこと」として、イノベーションに成功するためには、最初からトツプの地位を狙わなければならないのです。
必ずしも大事業になることを狙う必要はなく、事実、あるイノベーションが大事業となるか、まあまあの程度のもので終わるかは、誰も知ることができないのですが、最初からトップの地位を狙わないかぎりイノベーションとはなりえず、自立した事業とさえなることはできないのです。
具体的な戦略としては、産業や市場において支配的な地位を狙うものから、プロセスや市場において小さなニッチを狙うものまで、いろいろありうるのですが、起業家としての戦略は、すべて何らかの領域において、トップの地位を得るものでなければならず、さもなければ、競争相手に機会を与えるだけに終わるのです。
トップを目指すことも、イノベーションだけではなく、あらゆるビジネスの共通項であるのですが、ほとんどのビジネスの関係者は、忘れ去っているのです。
昨日は、総務の2名のスタッフが出勤していて、給食は休みだったので一緒に、以前から勧められていた会社近くのオーガニックカフェに行ってきたのです。
すべての食事の内容、ドリンクからデザートに至るまで、非常に洗練されていて素晴らしい内容でした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。