本日のテーマは「麺ビジネスの可能性」です。
ゴールデンウイークは昨日までで、本日から本格的に稼働日が始まると思っていたのですが、そうではなく、本日は半数の出勤で、本格的な稼働日は来週の9日からで、ゴールデンウイークは明後日まで続いていたのです。
私が創業した40年前は、土曜日も当然仕事で、休みは日曜日だけであったのですが、最近は休みの日数も増え、働く人たちにとっては幸せ感が大きくなっていなければいけないのですが、私が若かったころと比べて、若い人たちの幸せ感は、大きくなっているかといえば、その様には思えないのです。
私の若いころは、休みもなく、がむしゃらに働いていたのですが、その頃はそれが当たり前で、それはそれで楽しく、人生を大いに楽しんでいたことを覚えています。
そして、私が創業した40年前にも、私は熱心に麺業界のことを見ていたのですが、40年前に見ていた麺業界、その頃想像した未来の麺業界、そして今日の麺業界の違いはどうかと考えてみました。
まず、最初に40年前の麺業界について振り返ってみると、その頃はラーメン業界は今日のように大きな業界ではなく、麺業界はうどん、蕎麦業界が主流で、博多でもトンコツラーメンはありましたが、非常にマイナーな存在で、うどん蕎麦がうんと幅を利かせていたのです。
従って、製麺機の製造販売をしていた当社も、うどん用製麺機がメインで、次が蕎麦用、最後がラーメン用で、ラーメンはまだ自家製麺を行なっている店は非常に限られていたのです。
だから、最初は当社もうどん用製麺機「真打」に特化し、「真打」を中心にビジネスを行なっていたのですが、関東市場では蕎麦用製麺機の「坂東太郎」が必要になり、九州市場ではラーメン用製麺機の「リッチメン」が必要になってきて、徐々にジャンルを広げていったのです。
その頃のうどん蕎麦店は手打ちが主流で、製麺機を購入しても手打ちを謳っている邪魔になるので、製麺機は絶対に前面には出さず、バックヤードに格納し、お客さまから見えることはなかったのです。
そのころ、製麺機を使っているのは、麺打ち職人であったのですが、私はすぐに女性のパートさんが、製麺機を使う時代になることが分かったので、女性でも簡単に使えて、安全な機械を作り出していったのです。
これは、ビジネスを真剣にやっていて、お客さまの動向を見ていると、自然に将来が見えてきたので、将来の環境の予測可能性が高いビジネスであると言えるのです。
プロの職人ではなく、パートの女性が麺打ちをする様になれば、製麺機が前面に出てくることも何となく想定できたので、店舗の前面に置けるように製麺機のデザインを良くして、性能が良くて、デザインも良い機械を目指したのです。
そして、熱心に業界の観察をし続けていると、麺業界が大きく2つに分かれることが分かったのです。
1つ目がファーストフードで、今日のセルフの業態で、早い、安い、美味い!の牛丼の吉野家の方向性に向かっていくのですが、単に安いのではなく、本物の美味しい麺が特徴のファーストフードです。
2つめはフルサービスの業界で、上質感のある店であり、客単価は少し高めで、お客さまを感動させる店で、うどん店で言えば、「つるとんたん」のような店舗です。
そして、1つ目のファーストフードスタイルでは、「丸亀製麺」が実演自家製麺で店内で小麦粉を練るところから始まるすべての製麺工程を行ない、日本全国に広まったのです。
そして、肝心なことはこれから将来の麺ビジネスの行方で、どのような方向に向かって行くかは、少し注意して、深く思考すれば、方向性は見えてくるのです。
将来が見えるだけでなく、「丸亀製麺」が大成功したように、将来を自分達の力で変えることも出来るのです。
このような過去を見通し、将来が見え、さらに将来をわれわれである程度作り上げることの出来るビジネスはリニアなビジネスであり、比較的に戦略の構築の容易なビジネスでもあるのです。
もし、ITのようなデジタル化の進んだビジネスの場合は、エクスポーネンシャルな変化のビジネスになるので、将来を見通し、将来をコントロールすることは出来ないのです。
だから、誰か本気で麺ビジネスに取り組む人がいれば、業界を大きく変えることが出来るビジネスであり、私は麺学校で常に生徒さんを観察し、麺業界に大きな変革をもたらす可能性のある生徒さんを探しているのです。
このようにして考えると、われわれはとんでもない、無限の可能性の中でいることが分かるのです。
もし、麺ビジネスの将来を見たい方は、いつでも当社の麺学校の門を叩いて下されば、麺ビジネスの明日をご紹介します。
以上は、国内の麺市場をBCGの「戦略パレット」に基づいて分析してみたのですが、分析すればするほど、麺ビジネスの可能性を感じずにはおれないのです。
本日も当社の価値感を掲げ続けます。
1. 顧客に深くフオーカスし、絶えざる奮闘精神で、価値ある奮闘を長期にわたって続ける(顧客との深いコミュニケーション)
2. 自己批判(内省、フィードバック、自己とのコミュニケーション)
3. オープンな姿勢と進取の精神(アライアンス、イノベーション)
4. 効率の追求(利益、コスト)
丁度1年前の昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
第13章 既存企業における起業家精神
起業家たること
昔から「大企業はイノベーションを生まない」と言い、そのように見えるのですが、たしかに、今世紀の大きなイノベーションは、既存の大企業からは生まれず、鉄道会社は、自動車やトラックを生まなかったし、試みようとさえせず、他方、自動車メーカーは、航空機産業に参入しようとした(フォードとGMは航空機産業のパイオニアだった)のですが、今日の大手航空機メーカーは、自動車メーカーとは関係のないベンチャー・ビジネスから発展し、同じように、今日の大手医薬品メーカーの大部分は、50年前に近代医薬が開発された頃はまったくの小企業だったか、存在さえせず、電機メーカーの巨人たち、アメリカのGEやウェスチングハウスやRCA、ヨーロッパ大陸のジーメンスやフィリップス、日本の東芝などはみな、1950年代にコンピュータ分野に殺到したのですが、いずれも成功せず、今日この分野を支配しているのは、40年前には中堅企業とさえいえなかったような企業、しかも当時ハイテクとは無縁のIBMであるのです。
◆大企業によるイノベーション
しかし、大企業はイノベーションを行えず、行わないとの通念は、半分も事実ではなく、まったくの間違いであり、例外が多く、起業家として、イノベーションの担い手として成功した大企業は多く、アメリカでは、衛生や医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソン、工業用や民生用の技術製品の3Mがあり、世界最大の民間金融機関であるシティバンクは、創立100年を超えて、金融分野でイノベーションを行ない、ドイツでは、世界最大の化学品メーカーの1つ、125年の歴史をもつヘキストが、医薬品産業でイノベーションに成功し、スウェーデンでは、1884年に設立し、今から6、70年前に大企業になっていたASEAが、長距離送電や工場のオートメ化(FA)のイノベーションに成功しているのですが、大企業は、ある分野では起業家としてイノベーションに成功し、ある分野では失敗しているという事実が、問題を複雑にし、アメリカのGEは、航空機用エンジン、高級プラスティック、医療用電子機器では成功したのですが、コンピュータでは失敗し、RCAは、カラーテレビでは成功したのですが、コンピュータでは失敗し、事態は、世間が思っているほど単純ではなく、規模の大きさそのものは、イノベーションや起業家精神の障害にはならないのです。
よく問題にされる大組織の官僚的体質や保守的体質は、イノベーションや起業家精神にとって深刻な障害となるのですが、それは中小の組織においても同じで、企業であれ、社会的機関であれ、最も起業家精神に乏しく、最もイノベーションの体質に欠けているのは、むしろごく小さな組織であり、既存の起業家的な企業には大企業が多く、世界中には、そのような大企業が優に100社を超え、イノベーションを行っている社会的機関のリストにも大組織がたくさんあり、加えて、起業家的な企業の多くは、かなりの規模の中堅企業であり、たとえば1980年代半ばの時点でいえば、年間の売り上げが5億ドル程度の中堅企業であり、これらの大企業や中堅企業とは対照的に、既存の小企業は、起業家的な企業のリストにはあまり入ってこないのです。
◆障害は既存の事業
イノベーションや起業家精神にとっての障害は、規模の大きさではなく、それは既存の事業そのものであり、とくに成功している事業であるのですが、大企業や中堅企業は、小企業に比べるならば、この障害をかなり容易に乗り越え、既存の工場、技術、製品ライン、流通システムは、マネジメントに対し、絶えざる努力と不断の注意を要求し、日常の危機は、つねに起こり、先に延ばすことはできず、直ちに解決しなければならず、既存の事業は、つねに優先し、優先し続けることは、当然であるのです。
これに対し、新しい事業は、成熟した既存の事業の規模や成果におよばず、つねに小さく、取るに足りず、将来性さえ確実でなく、むしろ、新しいくせに大きく見えるものは、疑いの目で見るべきであり、成功の確率は小さく、すでに述べたように、イノベーションに成功する者は小さく、しかも単純にスタートし、多くの企業が「10年後は、売り上げの90パーセントは、今日、存在していない製品がもたらすことになる」と言うのですが、多くの場合、誇張であり、既存の製品の改善があるし、手直しがあり、市場や最終用途の拡大があるのです。
新製品のリードタイム(実るまでの時間)は長く、現在成功している製品やサービスをもっている企業は、10年後もその収益の4分の3を、今日の製品やサービス、あるいは、その延長線上の製品やサービスから得ている可能性が大きく、今日の製品やサービスが継続的に収益をもたらしてくれないならば、イノベーションに必要な投資さえできないのです。
既存企業が起業家としてイノベーションに成功するには、特別の努力を必要とし、すでにある事業、日常の危機、若干の収益増へと、その生産資源を振り向けてしまいがちだからであり、昨日を養い、明日を飢えさせる誘惑にかられるからであり、それは死にいたる誘惑であり、イノベーションを行おうとしない企業は、歳をとり、衰弱していき、とくに今日のように急激な変化の時代、起業家の時代にあっては、衰弱のスピードは急速であり、ひとたび後ろ向きになってしまえば、向きを前に変えることは至難であり、既存の事業が、イノベーションと起業家精神の障害となり、問題は、過去および現在の事業の成功にあり、官僚的体質や煩雑な手続き、あるいは自己満足などの病ではなく、現在の健康さにあるのです。
だからこそ、常時イノベーションに成功している既存企業、とくに起業家として成功している大企業や中堅企業の例が、重要な意味をもち、それらの例は、成功がもたらす障害、すなわち既存の事業がもたらす障害が、克服可能であることを示していて、しかも既存の事業と新しい事業、成熟した事業と幼い事業の双方の成長が可能であることを示し、起業家、イノベーターとして成功している大企業、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ヘキスト、ASEA、3M、あるいは少なからざる数の中堅企業が、いかにこれを実現したかを教えてくれ、通念の誤りは、その前提とするものにあり、イノベーションと起業家精神は、自然の衝動、自然の創造、自然の行動であるとしているところにあり、そしてイノベーションと起業家精神が大組織で生まれないのは、組織がそれを抑えているためであるとしていて、しかも、起業家としてイノベーションを行っている既存企業の少なさをもって、決定的な証拠としているのです。
起業家精神は自然発生的なものではなく、自然の創造でもなく、それは仕事であり、正しい結論は、通念とは逆であり、かなりの数の中堅企業、大企業、巨大企業が起業家としてイノベーションに成功しているという事実が、イノベーションと起業家精神が、いかなる企業においても実現できることを示しているのです。
ただしそのためには、意識的な努力が必要であり、学ぶことが必要であり、既存の起業家的な企業は、起業家精神の発揮を自らの責務とし、そのため自らに規律を課し、そのために働き、それを実践するのです。
以上より、明確なのは、当社のような既に30年、40年を経過した規模の大きくない、既存企業にイノベーションが起こり難いことであり、過去の成功体験と、現在の成功による安心領域の心地よさがイノベーションに乗り出すことを邪魔し、われわれは、常にそれを克服し続けなければいけないのであり、この章を学び、そのような弊害に陥り易い、われわれの課題がよく分かり、このような時に本書に出会えたことを本当に感謝するのです。
昨日、墓参りに行った折に、山の中腹から撮った坂出市の現在です。
28年前に、瀬戸大橋が出来てから、坂出市の景色も大きく変わったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。