本日のテーマは 開業で失敗しない10ヶ条
7.「他店の真似をしない」についてです。
25年以前の経済成長中の日本では、真似をしても成功する時代で、昔は松下電機がマネシタ電機と揶揄されていた時代がありました。
ところが、生産年齢人口が19年前にピークを打ち、働き盛りの人口が減少を続けていて、経済規模が縮小している現在の日本では、真似をして成功する時代ではなくなってきています。
その理由はインターネットの急速な発達が主な原因で、情報の拡散速度、範囲が考えられない位、高速度化して、どの店が日本で一番人気があり、どの店が地域 で一番人気があり、おいしい店なのか、という情報が瞬時に知れ渡り、消費者がすぐに情報を共有する時代になっているため、評判が良い物のコピーで商売をし ても、認知されず、失敗してしまうのです。
ですから、現在では真似をするわけではなく、独自の強みを見出す事が非常に重要で、現在は、ライバルの真似をしても、決して上手くいかず最終的には、値段の競争、値引き競争だけになってしまいます。
真似るのではなく、もし、ビジネスモデルを参考にするならば同業種ではなく異業種を参考にすることです。
例えば、クロネコヤマトは牛丼の吉野家を参考にし、トヨタの生産システムはアメリカのスーパー・マーケットを参考にしました。このように異業種の真似をす るとイノベーションが起きますが、同業種のライバル店やトップの会社・店舗のコピーをしても今は、うまくいかない時代なので、絶対に同業種の真似をしない ことです。
私は、著書の「トップになりたきゃ、競争するな」で、スターバックスを例に取り上げています。スターバックスが日本に上陸したときには、ドトール・コーヒーなどお手軽志向のコーヒーショップはすでに多く展開されていました。
値段的にもドトール・コーヒーの方が安かったのですが、スターバックス価格競争せず、独自のコンセプト「第3の場所の提供」で展開を始めました。
第1の場所は自宅、2は学校や職場、そして第3の場所として、自宅でもオフィスでもない、コーヒーの香りのする心地いい場所の提供をコンセプトにしたのです。
その結果、スターバックスは多くのお客様の支持を得て、ドトールの約2倍の規模まで、店舗数を伸ばしています。私も、よくスターバックスを利用しますが、 決してコーヒーを飲みに行くのではなく、お客様との打ち合わせに使ったり、空いた時間でパソコンを使い、仕事をするために使い、第三の場所のコンセプト通 りに使っています。
因みにコンセプトとは、ビジネスの本質で、ビジネスそのものなのです。昨年も国内では、セブンイレブンが100円コーヒーを取り入れ、4億杯以上販売し、 400億円以上の売上を上げました。スターバックス以外のコーヒーショップは大きな影響を受けたことでしょうが、しかしコーヒーの販売で競争していないス ターバックスにとっては一切競争になっていないのです。
麺専門店の業界でも同じように、最近の讃岐うどんブームは、十数年前の「はなまるうどん」の全国展開から始まりました。それまで、香川県には、たくさんの セルフのうどん店がありましたが、どちらかと言えば、綺麗な店ではなく、女性が胸を張って入ることのできる店ではなかったのです。
それを「はなまるうどん」は、女性が胸を張って行ける綺麗な店を作り、今までたくさんあったセルフのうどん店を否定した店をつくったのです。それがヒットしたために、日本中にコピー店があふれましたが、今はそれらのコピー店は全然残っていません。
「はなまるうどん」は、麺を全国4ヵ所のセントラル・キッチンで麺をつくり、全店に配送して、各店舗では麺をつくらず、茹でるだけで済みますので、店内作業も楽で、チェーン・ストア理論に則っていて、効率が良いのです。
ところが、多くの会社が「はなまるうどん」を真似るのを見ていた「丸亀製麺」だけが、真似をせずに、全店に製麺機を置き、店内で、小麦粉をこねるところからはじめる実演自家製麺を採用したのです。
「丸亀製麺」にとって、「はなまるうどん」は世の中にすでにたくさんある現実であり、否定したのです。
その結果、唯一「はなまるうどん」の真似をしなかった丸亀製麺だけが大成功を収めました。
ところが、「丸亀製麺」が大成功したために、今度は「丸亀製麺」をコピーした店が氾濫しましたが、そのほとんどの店は失敗したり、鳴かず飛ばずで、丸亀製 麺に続く有力な2番手は存在しないのです。真似るのであれば、師匠を超えなければいけないのに、師匠のレベルよりはるかに低いレベルでコピーしているので す。
ビジネスにおいて大切な部分は「見えない部分」で、見える部分は誰でも簡単に真似ることができます。見えない部分をきちんと理解して、師匠を超える店をつくらないと、勝てないのです。
氷山でも、見えている部分はほんの一部で、ほとんどの部分は、水面下で見えないのです。私は、安易にコピーをすることを極端に嫌います。だから、今までも「はなまるうどん」とか「丸亀製麺」の真似をすることを徹底的に否定してきました。
そのために、当社の機械を買わずに、他社の機械を導入したお客さまもずいぶんいますが、この気持ちは今も全然変わりません。安易に真似をしても成功しないのですから。ビジネスの本質は今ある現状をあるべき姿に変えるプロセスです。
だから、現状否定しか、ビジネスでは成功しないのです。
今から、セルフ店をはじめるのであれば、「丸亀製麺」を真似るのではなく、「丸亀製麺」を超える店をつくることで、「丸亀製麺」はすでに今ある現実でしかないのですから。自ら考え抜き、本質を掴むところに成功があり、安易な真似はイノベーションを生みません。
「はなまるうどん」や「丸亀製麺」のように、これまでの現実を超え、「ビジネスの本質」を掴むことで、成長と成功はあるのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。
今日の写真は、野菜たっぷりの昼食の写真です。