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うどん・ラーメン・そば屋開業・繁盛店を目指す|「立地戦略」(商圏分析、物件分析)

うどん学校の作品

「立地戦略」(商圏分析、物件分析)

A.ビジネス・モデル(勝ちパターン)と立地の関係

ビジネス・モデルと立地は、非常に密接な関係があります。

例えば、その立地だから、そのビジネス・モデルが上手く成立しているのであって、立地を変えると、そのビジネス・モデルは成り立たない場合がほとんどです。このことを理解しないために、ある場所で繁盛している店をいくら上手く真似てもうまくいかないのは、ほとんどこの理由です。

たとえば、駅中の立ち食いのような店は、あの立地だから成立するのであって、ローカルでは成り立たないのです。
私が過去、見聞きしたビジネス・モデル(勝ちパターン)と立地の主な関係の事例のいくつかは、以下の通りです。

1.有名なラーメン店は40席の都心型


全国的に知られ、国内、海外に多数展開している、有名なラーメン店はすべて都心型で、席数は約40席です。

2.9席で40回転出来るラーメン店は、都心の一等地型


最近、席数の少ないラーメン店を開店する人たちが増えていますが、これらも家賃の高い、お客さまの数の多い都心での勝ちパターンであり、ローカルでは成り立ち難いのです。

3.立ち食いも、家賃の高い特殊立地だけで、成り立つ


立ち食いのようなお手軽志向の典型的な店舗は、人通りの多い、便利な一等地だけで成立するビジネス・モデルです。

4.郊外のセルフうどん店は、80席以上で、駐車場が充分取れる、土地は500坪タイプ


セルフ・サービスのうどん店を投資金額が低そうだと勘違いする方が多いのですが、実際は反対で、客単価が低いので、店舗規模が大きくなり、投資金額が大きくなります。

5.都心のセルフうどん店は、50席以上


都心型のセルフうどん店も同様で、都心であれば、郊外型よりもお客さまの数が多い分だけ少ない席数で成立しますが、それでも50席以上は必要です。

B.立地の種類:立地の種類は大きく分けて、下記の4種類です。

1.20日立地:土日、祭日の売上の上がらない、官公庁街等

2.30日立地:365日、売上が上がる場所、主に郊外型

3.都市型立地:駐車場無しでの営業が可能な場所

4.郊外型立地:駐車場が無ければ、営業が出来ない場所

b1.商圏分類:商圏は大きく、次の3つに分類されます

1.徒歩商圏:半径500m以内、近隣の客

2.自転車商圏:半径1km程度、近隣の客

3.自動車商圏:半径5km前後、全域の客

C.その物件がそのビジネス・モデルにフィットしているかどうかを理解するには、商圏分析と物件分析が必要です。

c1.商圏分析の真の目的


ライバルがいない場所、ライバルの少ない場所を見つけて、無益な競争を避けて、一人勝ちするためであり、ビジネスの本質は競争しないこと、厳しい競争して得るものはなく、競争しないで、一人勝ちこそ、最高の戦略なのです。

c2.立地はコンセプトによって、まったく異なる


立地を漠然と考えている人が多いのですが、どのようなコンセプトで、どんなお客さまをターゲットにする店であるかによって、立地はまったく異なります。
ビジネスは大きく分けて、上質方向とお手軽方向のビジネスの2種類だけです。 (参考)上質とお手軽の違いの図(ラーメン・うどん・そば店の教科書p.65)

殆どのビジネスは上質でもなく、お手軽でもなく、中間の不毛地帯でやっているために、うまくいっていないのであって、ビジネスでの成功は、上質か、お手軽かのどちらかしかないのです。
売上が年々下がっている右肩下がりのビジネスのほとんどは、不毛地帯に陥っていると言えます。
お手軽方向のビジネスは規模が大きくないと、成功しないのです。 上質方向のビジネスは高級とは意味が違い、誰でもその気になれば、利用することが出来る価格で、上質の価値を理解して貰えるお客さまに喜んで払って貰える高値であることが重要です。

(事例)立ち食いのようなお手軽志向の店は、家賃(坪家賃)の高いところほど、成功しやすいのに比べて、上質方向の店は、家賃(坪家賃)と売上(坪売上)の相関関係はないのです。

以上のように、コンセプトが明確になる前に、立地が決まるわけがなく、使命、コンセプトと立地には、明確な関係性があるのです。例えば、使命、コンセプトの違いによって、集客出来るお客さまの種類が決まってしまい、ビジネスの質は、お客さまの質によって決まってしまうのです。
従って、コンセプト>お客さま>立地 の関係性が成立し、立地を決めるのは、魚釣りとまったく同じで、どんな魚を釣ろうとするかによって異なってきます。

c3.何のために商圏分析が必要か、商圏分析で何が分かるのか?

1.徒歩商圏(半径500m)の夜間人口、昼間人口
2.自転車商圏(半径1km)の夜間人口、昼間人口
3.自動車商圏(半径5km)の夜間人口、昼間人口
4.それぞれの商圏における男女比率
5.飲食店の競争状態
6.商圏の年齢構成とピーク年齢
7.地図より、商圏の線路、幹線道路、川による分断の有無
8.地図より、道路との関係性
9.Terra Map より、商圏の年齢特性
10.Terra Map より、世帯の状態
11.Terra Map より、持ち家比率
12.Terra Map より、各種事業所の状態

以上より、商圏分析を行なうことにより、下記の状態を知ることが出来ます。

1.商圏の可能性で、自分のコンセプトに合った店が可能かどうか、どの程度可能か?
2.売上は最大、どの位、見込めそうか?
3.駐車場が必要か、必要であれば、何台くらい必要か?
4.ここで店をやるのであれば、どのような戦略でやるのが一番正しいのか?
5.この付近で店をやる場合、どの辺りが一番ねらい目か?

c4.新規出店の立地失敗事例

1.一般的な場合

●不動産屋は、麺専門店の最適立地を知らない
(事例)うどん店を開店すると決めると、すぐに不動産屋へ行って、立地を確保する店主

●居抜き店舗は、結局、高くつく
(参考)一人世帯、二人世帯が非常に多くなっている

●コンセプトと立地のズレがある
(事例)はなまるが東京の下町に出店して、3ヶ月で撤退
(参考)立地選定は、魚釣りの釣り場選定と同じ

●家賃と売上の関係を知らないで、家賃が高い場所で開業する
(参考)売上に対する適正家賃比率は7%以下

●お手軽な店と、上質な店では、立地の考え方がまったく異なる
(参考)家賃と売上の関係

●席数の少ない店を作りたがる、売上は席数に比例している事を理解していない
(参考)事業計画書を作製すれば良く理解出来る

2.都市型立地の場合

●都市型立地でも、殆どの場所は駐車場が必要
(事例)駐車場が必要なのに、駐車場の無い場所、或いは少ない場所で開店した
(事例)駅前で開店した

●2階で開店するのが問題だと思っていない

●幹線道路、駅前で開店を希望する方が多い
(参考)幹線道路、線路、川、商圏を分断するので、近くに持って来ない事

●都心を離れた駅前で、開店する
(参考)都心を離れると、駅前は良い立地ではない、乗降客の殆どは朝晩の通勤、通学のみ

●立ち食い店舗とか、高回転型店舗(1日40回転)は家賃の高い、1等立地だけ

●立地が良くないのに、席数の少ない店を作る人が多い

3.郊外型立地

●幹線道路沿いに出店したがる
(参考)幹線道路沿いは、競争が厳しい、小さい店が出店しても目立たない

●競争しないで勝てる場所が最高の場所
(参考)平均的な飲食店1店舗当たりに人口は140人
(参考)郊外で最適な立地は、車速の遅い、生活道路沿い
(参考)辺鄙な場所の方が、はるかに競争が無く、楽に勝てるのに、わざわざ競争の厳しい場所を選ぶ

●自動車を使わないと来れないのに、駐車場が足りない店が殆ど
(参考)今後は、JA等のふれあい市場の様に、駐車場を持っている施設とのアライアンスが有効
(参考)駐車場を獲得することによる売上と利益のアップ試算

●郊外型でも、お手軽と上質では、立地はまったく異なる

●立地が悪くても、高い商品力でカバーする事は出来る

●郊外型立地なのに、席数が少なく、うまくいっていない事例が多い

●自宅での開業は、多少条件が悪くても、リスクを軽減できる

4.既存店の失敗事例

●商圏の状態は、時間の経過と共に変化していくことを理解していない
(参考)昔はローカル銀座だったが、今はシャッター街(20~30年間以上)
(参考)長くやっていると、立地と商圏事情が変わってしまっている
(参考)何年かに一度は、商圏分析を行なった方が良い

●立地が悪い場合は、思い切り、移転すると、時間のロスを無くす事が出来る
(事例)立地を変えただけで、売上を何倍かに伸ばしたラーメン店

●やっている営業内容、コンセプトと立地が合っていない
(事例)この事例は多い

D.物件分析は絶対に必要

商圏分析は、その物件の平面的、静的な状態の分析です。例えば、昼間人口、夜間人口、飲食店の競争倍率等、さまざまな飲食店としての必要な特性を教えてくれます。しかし、それはあくまで客観的な状態であって、真の物件情報を得るためには、その物件をもっと詳しく調べなければいけないのです。実際に物件を調べるのが物件調査で、次のような項目を含みます。

1.近隣の商圏の実態調査(風俗とか、暴力団関係者の事務所の有無等、或いは、近隣にうるさい住民が住んでいないか等)

2.入りやすいかどうか
(事例)間口の広さ、分かり易さ、自動車の駐車のし易さ

3.物件のイメージ、周辺のイメージ
(参考)お客さま視点で、入りたい店かどうか

4.レイアウトが上手く成り立つかどうか
(参考)借りる前に、図面上でレイアウトを行ない、レイアウトが上手く成立するかどうかを確認する

5.内外装の状態を確認し、工事に入った場合のコストのかかり具合を計算する。

6.郊外型の場合は、走っている自動車からの視認性を確認する

E.物件入手に至るまでの順序

1.使命、コンセプトの明確化 誰のための何をする店かを明確にする

2.お客さまの明確化

3.事業計画書の作成

4.全体スケジュールの作成

5.物件を探す

6.物件を契約する前には必ず、レイアウトを作成すること レイアウトを作成してみると、席のレイアウトが上手く出来ない店舗の形状があるので、レイアウトを作成しないで、絶対に物件入手はしないことが重要で、レイアウトが出来ると、事業計画書を作成し、採算が取れるかどうか確認し、採算が取れそうであれば、物件を借ります。

7.その他 参考にしたい繁盛店がある場合、その店の商圏分析を行ない、参考にして同じような立地を探すのは、非常に有効な手段です。

画像は、うどん学校での作品事例で、旨辛だしのかけうどんです。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)

藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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