昨日は、遠方のお客様訪問であったので、1軒しか訪問出来なかったのです。
昨日訪問した先は、3人の経営者が集まって麺専門店を経営していているのですが、3人の経営者の意思統一が出来ていなくて、方向性が明確ではないのです
3人の経営者はそれぞれ、飲食店以外の自分自身の仕事を持っているので、店の運営は店長任せですが、問題は、店長が経営者としての自覚がないのです。
昨日、3人の経営者のうち、2人の経営者にお会いしたのですが、そのうち一人の経営者は、この店は実験店で儲かること(ビジネスとして成立すること)を前提に始めていないとのことだったのです。
しかし、将来的にチェーン展開を目指していたのですが、最初の店が成功しないことには、後のチェーン展開はないのです。
店作りの初期の段階で、経営者の方がたとお会いして、計画の最初からご指導しておくべきであったことが悔やまれました。
飲食店の場合は、一旦始まってしまうと、大切な部分は簡単に修正できないのです。
商品の入れ替えとか、サービス・レベルを上げることは出来ますが、店舗力に当たる店作りは簡単に修正出来ないのです。
特に、足りない席数を増やすことは、ほぼ無理なのです。
最初の段階であれば、どうでも計画出来、例えば、昨日訪問した店は26席でしたが、これを50席にしても実際に増える面積は、6~7坪だけなのです。
厨房部分は、26席であろうと、50席であろうとほとんど変わらず、一番お店でお金がかかるのが厨房部分なのです。
店が大きくても小さくても、製麺機は1台、茹で釜も1個と、必要なものは変わらなく、例えば、車に例えれると、クラウン1台と軽自動車1台を作ることを考えると、エンジンも1台、車輪は4個、ドアも4個と必要な数は変わらず、大きく変わるのは、出る利益だけなのです。
個人で、郊外で小さい店を作るのは、資金余力がないから、他の選択肢がないので、小さい店を作るのですが、事業でやる場合は絶対にやってはいけないのです。
本日も、ドラッカーの名言の解説で、今日のテーマは「経営者が身につけなければいけない資質、品性」です。
19.経営者が身につけなければいけない資質、品性
経営者が学びえないが、どうしても身につけていかなければならない資質がひとつある。 それは品性だ。
上記について、私のドラッカー・マネッジメントの師である、株式会社ポートMの国永先生は、ドラッカー名言録76(Port of Effective Management)で次の様に説明をしています。
1.経営者は、部下に好かれる必要は必ずしもないが、部下に尊敬されることは必要だと、ドラッカーは前々から言っている。
2.また、部下から尊敬されるためには、頭が切れるというほどではなくても、てきぱきと効率のよい仕事の処理ができることが重要だとも強調している。
3.かつて、この発言をアメリカで聞いたときに、キャラクターの「高潔性」と、旧来の意味での「モラリティ(道徳性)」とは、どうも違うように思えるが、どういうふうに考えたらよいかと尋ねたことがあった。
4.これに対してドラッカーからは、「もう1つの『インテグリティ(人間としての正直さ、誠実さ)』とでも呼ぶべきもので、これがビジネスにおいても、人々の信頼や尊敬を勝ち得ると考えたい」という答えが返ってきた。
5.ここで思い出すのは、「ただし、いわゆる人間のプライベート面におけるモラリティだけを、そんなに目くじらを立てて問いただしているわけではない」とドラッカーが付け加えていたことである。
6.さらに、この品性に関連して大事なのは、何と言ってもやはり、その元にある「アントルプルヌールシップ(企業家精神)」であり、しかもこれは、過去におけるものよりもますます重要なものとして盛り上がってきていることを併せて考えたいと、ドラッカーは言っていた。
7.そして、本当の意味での企業家精神について、われわれはその真髄をまだ充分理解していないが、これをめぐる知識の体系をまとめあげておくことがどうしても必要だと続けた。
8.過去100年間に書かれた、広い意味でのマネジメントに関する本は、既知のことや既存のことをどうやって管理するかという問題にそのほとんどのページを費やしているばかりだ。
9.真の意味での企業家精神、つまり、まだ持っていないものまでも生み出し得るという企業家精神については、なかなかその本質をわれわれは掌握できていないと言うのだ。
10.特にこれから先は、技術的な側面と同時に、ドラッカーがかねてから強調している「ソーシャル・イノベーション(社会革新)」が生まれる機会も、今まで以上に多くなってくる。
11.にもかかわらず、肝心要の企業家精神については、ほとんどと言ってよいくらい、その真髄を知らないままでいると言う。
12.だから意識的にこの面について、本をあれこれ読んだり、研究をしてはいるものの、まだまだ知らないことが多いと実感している。そうドラッカーが語っていたのが印象的だった。
以上を読んでみて、理解出来るのは、品性とは単に誠実であるだけではなく、もっと実務面においても、優れている必要があり、われわれ日本人が普段使っている品性(主に道徳面だけに関している)の意味と異なっているのです。
これと共通であり、品性を語る上で参考になるのが、スティーブン・M.R. コヴィー著の「スピード・オブ・トラスト」で、信頼の大切さを詳細にわたって記述していて、信頼を方程式で表すと次のようになります。
信頼 = 人格 × 能力 = 誠実× 善意 × 能力 × 結果
=誠実 × 意図 × 力量(スキル、知識、専門技術)× 実績
善意とは意図であり、能力とは力量、スキル、知識、専門技術であり、結果とは実績です。
信頼とは何かと考えるとき、ほとんどの人は誠実さを思い浮かべるのですが、「誠実」とは基本的に「正直」を意味し、誠実さに正直は含まれ、それ以外にも多くのことが関係しているのです。
高潔であること、有言実行であること、また、裏表がないこと、自分の価値観や信念に従って行動する、勇気を持つことなどであり、誠実さを欠くことが、信頼を最も裏切る行為なのである。
意図は人が持つ動機や思惑、その結果として表れる行動であり、動機が率直で、相互の利益に基づいていれば、信頼関係が育つのです。
要するに、自分のことだけでなく、上司や部下として関わる相手のことも心から気遣い、導き、あるいは奉仕することなのです。
何か思惑があるのではないかと疑ったり、こちらの最善の利益を考えて行動しているとは信じられなかったりすると、その人の言動すべてに疑念を抱くことになり、誠実さと意図は、どちらも「人格」に関わる要素です。
能力、或いは力量とは、他者の信頼を得るための才能、態度、スキル、知識であり、結果を出す手段なのです。
誠実で動機も立派なホームドクターがいるとします。
しかし、職務(例えば、脳外科手術)を遂行するための訓練を受け、スキルを習得していないとしたら、彼はその分野での信頼は得られないのです。
力量は、信頼を築き育てられるかどうか、あるいは損なわれた信頼を回復ができるかどうかにも関係します。
「結果」とは、過去の実績、実行力、正しいことをやり遂げるかどうかであり、期待されていることを達成できなければ、信頼を失うのです。
逆に、約束したことを果たせば、実行力のある人物、結果を出せる人物だという評判ができ、そして、その評判が広まっていくのです。
そして、力量と結果は、能力に関わる要素です。
以上の様に、信頼は、①誠実、②意図、③力量、④実績の4つの要素から成り立っていて、ドラッカーの言う、品性とほぼ同じような内容なのです。
また、品性については、ネット上に以下のような記述があります。
品性(ひんせい)について、ピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)は、その著書「現代の経営」の中で、次のように述べている。
「経営者がなさねばならない事は学ぶ事が出来る。しかし経営者が学べないが、どうしても身につけていなければならない資質は、天才的才能ではなく、その人の品性だ」
管理・運営のテクニックは、教える事ができるが、品性は教える事が難しいと説いているのである。
「品性」とか「品位」あるいは「上品」といった言葉は、日常生活でもよく使われるが具体的なイメージとしてはなかなか描き出しにくい概念である。
辞書を調べても「道徳的基準から見た、その人の性質。」と中々理解できない。
私は、「品性がない人」の一例を挙げると次のタイプだと思っている。
①目上の人には諂(へつら)い、目下の人に傲慢(ごうまん)な態度をとる。
②相手の立場や能力を認めようとせず「思いやり」に欠ける。
③度を越した金銭欲、物欲、権力欲、支配欲、性欲・・とそれに対する自制心がない。
④自分自身の確固たる価値観すなわちアイデンティティがなく、目先の利害だけを追求する。
品性を身につけることは、決して容易なことではないが、ある程度までは誰でも、心構え次第で身につけることは可能であると考えている。そして、個々人がほんの少しずつでも自分の品性を高めることができたなら、会社生活やプロジェクト推進においても快適さが高まると思っている。
真に優秀な人には品性がある。リーダーは、確たる信念を持ち、自分を信じ、常に周りに気遣いや思いやりを向けられるような「品性」を身に付けていただきたい。
画像は、ラーメン学校の生徒さんの作品事例です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。