今回の東京支店での2日間の経営講義は、参加者の意識レベルの高い、久々の素晴らしい経営講義でした。
今回の経営講義でも話したのですが、毎月2回の本社と東京支店での経営講義は、生徒さんたちが、私のために高額の授業料を払い、私を目一杯楽しませて戴き、まさに私にとっては天国のような時間です。
毎月2回もこのような充実した、楽しい時間を生徒さんたちと、一緒に過ごすことが出来るのは本当に有難いし、生徒さんたちには、幾らお礼を言っても言い足りない位です。
場合によっては緊迫した、場合によっては和やかな、経営講義の様子は、ユーチューブの動画でアップしていて、まるで経営講義に参加しているような気分になります。
(https://www.youtube.com/channel/UCM6MYNVBTit8Q9c8-xG_Abg)
今回のユニバーサル麺学校の生徒さんの中には、経営講義の参加が2回目、3回目の生徒さんがいて、熱心な質問が飛び交いました。
経営講義も既に15年経ち、最初では考えられない位、内容も深くなり、難しくなり続けているので、初回の1回だけの参加では、理解度がまだ足りていない生徒さんが多いようです。
従って、私の経営講義は少なくとも2回、或いは3回参加して貰うと、内容がよく分かるようになります。
そして、内容が常に新しくなり続けているので、最低毎年1回参加すれば、最新のマネッジメントの素晴らしい学びが得られると思います。
今朝は朝一便で、羽田から高松空港に移動し、久しぶりに本社に戻ると、懸案事項が溜まっていて、朝から打ち合わせ、会議、立ち会い試験等、課題が山積していて、次つぎと課題をこなしていきました。
課題の処理をするときには、常に難しい、たいへんな方向の意思決定を行なうようにしています。
このような意志決定をすれば、たいていの場合、金銭的な犠牲は大きいのですが、長い目でみると、こちらの方が、信頼が増し、はるかに安く上がるのです。
新規開店の場合とか、何か、新しく始める場合は、リスクを避けるような方向を目指す方が多いのですが、リスクを避けないで、思い切りリスクを取ることが、最終的に一番リスクが少ないのです。
本日の経営会議の中でも説明しましたが、当社のお客さま(麺専門店)を取り巻く環境が大きく変化を遂げているのです。
うどん店蕎麦店を長く営業しているお店は、今まではサラリーマンを対象にしていて、価格、メニュー作り、サービスもすべてサラリーマンを対象にしていたのです。
ところが、15歳から64歳までの、生産年齢人口の大幅な減少が起きているように、サラリーマン客も大幅に減少しているのです。
反対に増え続けているのは、シニア世代と女性客です。
従って、当社のユーザーでも女性とシニアをターゲットにしているお店ほど、ビジネスで成功しています。
ここ10年、20年でビジネスの背景、バック・グラウンドがまったく違ってきているのです。
これは、本日のドラッカー・マネッジメントで取り上げている、フォード・エドセルの事例のようなものです。
だから、われわれは常に、予期せぬものに組織的に注意し、予期せぬものを見つけ続け、それを分析することなのです。
本日の大和の経営会議で、分析して、分析内容を注意してみると、分析内容が問題点を教えてくれるのです。
従って、イノベーションは知覚と分析の組合せであることがよく分かります。
讃匠の会議は午後からで、試食も挟んでの会議なので、少し時差ボケが出てきた様です。
明日からは、下記のイベントのために移動します。
来週、3月10日(火)より、福岡でイベントが始まり、私も当然、参加します。(https://www.yamatomfg.com/company/dream-studio/dream-studio-fukuoka/)
尚、福岡のイベントでは、今回のLAの出張で垣間見た面白いレストラン事情を共有します。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきましょう。
「分析と知覚の役割」
本書のテーマであるイノベーションとは、組織的かつ体系的に行なう仕事であるのですが、しかし、それは同時に、分析的であるとともに、知覚的な仕事でもあるのです。
もちろんイノベーションを行なうとする者は、見聞きしたものを論理的かつ、詳細に分析する必要があり、知覚するだけでは駄目なのです。
「知覚」というものが、単に「感じること」を意味するのであれば、イノベーションにおいて、知覚はまったく役に立たないのです。
なぜならば、そのような知覚は、「見えるもの」ではなく、「見たいもの」を見ているに過ぎないのであり、自分の「見たいもの」を見るのではなく、「既に起きている真実」を見なければ(知覚しなければ)いけないのです。
イノベーションは分析的であるとともに、知覚的な仕事であり、実験と評価を伴う緻密な分析といえども、その基礎は、あくまでも変化、機会、現実、現実と認識のギャップなどに対する知覚なのです。
従って「分析できるほど、未だ分からない。しかし、必ず見つけ出す。外に出かけ、観察し、質問し、聞いてくる。」と言わなければならないのです。
予期せぬものは、まさに通念や自信を打ち砕いてくれるからこそ、イノベーションの宝庫なのです。
まさに日本のうどん蕎麦店、ラーメン店ビジネスに起きているのが、予期せぬものであり、数年あとには、あのとき大きな変化があったと言われる可能性があることが今、起きているのです。
起きていることは感じるのですが、原因は分かっていないのです。
過去、当社はうどん蕎麦店市場と景気の関係を読み解きました。
うどん蕎麦店の市場規模は、日経平均株価と反比例していて、株価が下がると、うどん蕎麦店市場規模は拡大し、株価が上がると、反対にうどん蕎麦店市場が凹むという現象を見つけ出したのです。
これは、過去のデータの分析で分かったのです。
従って、私は分析の大切さも身をもって理解しています。
「原因はわからなくても良い」
実際のところ、起業家たる者にとって、現実が変化した原因を知る必要はないのです。
先ほど述べた2つのケース(インドの錠前とアメリカの住宅)の場合は、なぜ起こったかが簡単に分かったのですが、何が起こったかは分かっても、なぜ起こったかは、分からないことの方が多いのです。
しかし、例えそうであっても、われわれはイノベーションを成功させることが出来るのは間違いないのです。
ここに1つの面白い事例があるのです。
1975年に起こったフォードのエドセルの失敗は、余りにも有名であり、少なくともアメリカ人ならば、当時まだ生まれていなかった者でさえ、聞いたことのある話なのです。
しかし、エドセルがギャンブルのようなプロジェクトだったという、一般に伝えられている話は、まったくの誤りなのです。
フォードのエドセルほど、慎重に設計し、売り出し、マーケテイングした製品はなかったのです。
第二次大戦後の倒産寸前の状態から、GMの競争相手としてアメリカ市場で2位に座を確保し、急速に成長しつつあるヨーロッパ市場で、1位の座を狙うに至った10年間に及ぶフォードの大戦略において、エドセルは総仕上げとなるべきモデルであったのです。
1957年当時、フォードは、アメリカ4大自動車市場のうち、3つの市場でGMの強力な競争相手としての地位を確保していたのです。
「一般」市場にはフォード、「中流の下」市場にはマーキュリー、「上流」市場にはコンチネンタルを擁していて、残る1つの市場、すなわち競争相手のGMがビュイックとオールズ・モビルによって支配していた「中流の上」市場を狙ったのが、エドセルだったのです。
この市場は、とくに第二次大戦後急速に成長している市場でありながら、第三位のクライスラーも手をこまねいている市場であり、フォードにとって、ドアは大きく開かれていたのです。
フォードは企画と設計に時間をかけ、市場調査によって得た情報、特に車体についての消費者の好みを設計に組み込むとともに、品質管理についても最高の基準を設定したのです。
それにもかかわらず、エドセルが失敗だったことは、発売と同時に明らかになったのですが、失敗に対するフォードの対応は目を見張るものだったのです。
消費者の行動の不合理をこぼす代わりに、消費者行動についての、それまでの考え方、長い間有効であったために、自明の理とされていた考え方とは、合致しないことが、何か起こっているに違いないと結論したのです。
そして外へ出て調べた結果、1920年代にアルフレッド・P・スローンがGMの成長の基礎とした、アメリカの自動車市場の区分けの仕方、即ち、「一般」 「中流の下」「中流の上」「上流」という区分が、まったく新しい市場区分、すなわち、ライフ・スタイルと今日言われているものに変わりつつあること、或い は少なくとも、それと共存するようになっていることを知ったのです。
その結果として考えられたのが、エドセルの失敗のわずか数年後、自動史上、ヘンリー・フォード・シニアによる、1908年のT型フォード以来の大成功となったサンダーバードの開発だったのです。
こうしてフォードは、GMの関係者としての地位を脱し、強力な競争相手として再登場したのです。
今日でもわれわれは、自動車史上、重要なこの変化の原因を、知ることが出来ないでいるのです。
それは、ベビー・ブームによる人口の重心が10代へ移行したことや、高等教育の恐るべき普及、女性の生き方の変化など、一般に指摘されている現象が、生じる前に起こっているのです。
しかもわれわれは、そもそも、ライフ・スタイルが何を意味するかさえ、まだ知らないのです。
ライフ・スタイルについて、これまで行われてきた説明はいずれも決定版ではなく、われわれが知っていることは、何かが起こったということだけであるのです。
しかし、成功にせよ、予期せぬことが起こったことを知るだけで、イノベーションの機会とするには十分であるのです。
フォードのエドセルの失敗により、今まで長い間行なわれてきた、市場のセグメント方法そのものが崩れ去っていたのが分かったのです。
予期せぬ失敗は、そのような一番基準となるものが、時代の変化とともに変化していることを見つけ出すのには、最適な方法であるのです。
われわれのビジネスの源泉である、うどん蕎麦市場、ラーメン市場も同じ様な地点に立っていることを認識出来るのです。
例えば、うどん蕎麦店、ラーメン店のメイン・ターゲットは今までずっとサラリーマンであると信じられてきていたのですが、サラリーマンの絶対人口が既に大 きく減少し、大手外食も同様にサラリーマンをターゲットにしているので、この市場のウマミが急激に減少しているのです。
反対に、女性とシニアが消費者市場としても、労働力供給市場としても、大きくクローズアップされるようになってきて、過去の常識が崩れ去ろうとしているのです。
また、一人世帯の増加、晩婚化、生涯未婚率の急激な増加、生産年齢人口の更なる減少、コンビニによる外食分野への参入等々、日本の外食を取り巻く環境は、日増しに厳しくなっていることをわれわれは理解しなければいけないのです。
分析だけでなく、われわれは外へ出て、現に起きている現象を理解しなければいけないのです。
昨日の経営講義に参加していた生徒さんが早速、セブン・イレブンに行き、下記のような報告をしてくれました。
「早速学んだ事でできる事を始めようと、昨日、セブンイレブンのメニュー・棚割、商品チエックを帰宅途中の店舗で行ってみました。総菜麺など、商品のネーミングまでいろいろ考えてあって、とても参考になりました!
たとえば、「ドーンと四枚!チャーシュー麺正油味」とか「ごっつ盛り肉野菜とんこつラーメン」など工夫されているのに驚きました。(今まで、気づいていませんでした)。」
実行力のある、素晴らしい生徒さんです。
昨日の経営講義の最後に、生徒さんたちからの感想を聞いていったのですが、ボストンから参加した22歳の若い生徒さんの感想も聞いてみました。
内容については、難しかったのですが、たいへん楽しかったようです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。