本日のテーマは、「学び」です。
昨日と一昨日は、東京支店でのうどん学校とラーメン学校の経営講義の2日間であり、多くの生徒さんとの真剣勝負の質問のやり取りを行ないました。
私は年中、経営講義を行ない、生徒さんたちとの真剣勝負を行なっていますが、真剣度で、それぞれの生徒さんの将来が見えてくるのです。
多分、普通の生徒さんたちにとって、私の経営講義は決して優しいものではなく、むしろ、かなり難しく、普段、このような学びに接していない人たちにとっては、最初は、訳の分からない場所に来たような感じであり、そこにいるだけで、苦痛の生徒さんもいるように見えます。
普段から、ある程度、マネッジメントの学びをして人たちにとっては、今まで分からなかったことが分かり、学びを深め、たいへん興味のある面白い授業であり、更にマネッジメントを深めるための、大きなステップになるはずです。
従って、当社の麺学校自体は、かなり生徒さんを選んでいて、独立して事業として成功するような素質のある、或いは学び癖のある人でないと、ついてくるのが難しいのです。
従って、参加する生徒さん一人ひとりが、当社の麺学校に参加し、経営講義に参加すると、自分がビジネスを興すのに向いているかどうかは、簡単に分かるようになっているのです。
船井総研を創業した船井先生が見つけ出した、事業に成功する人の特質、「素直」、「プラス発想」、「学び好き」は麺学校の経営講義に参加するだけで、自然に理解出来、自分が新規事業を興すのに、合っているかどうかが分かるのです。
従って、当社の麺学校は、生徒さん自身である程度、判断出来るような仕組みになっています。
以前も九州から参加し、ラーメン店を開業した生徒さんであり、経営者は、最初、私の経営講義が充分に理解出来なかったそうです。
それで、ナニクソと思い、何度も参加し、3度参加して、ある程度理解出来るようになってから、開店したのです。
この生徒さんは、このようなマネッジメントを本格的に学んだことが今までになかったので、最初はぜんぜん理解出来なかったのですが、必要であることを理解し、何度も負けん気でチャレンジしたのです。
過去、3回連続で経営講義に参加した生徒さんは何人かいますが、ほとんどの生徒さんは1回限りで、内容の理解なしに終わっているのです。
いまだに、参加者のほとんどは、事前に送付している教科書を理解しないままに参加している人が多いように見受けられます。
当社の麺学校は、経営講義と実習がワンセットになって成り立っていて、麺打ち職人ではなく、経営者を創り出す学校なのです。
そのことの理解をしてなくて、学校に参加する生徒さんが、まだ多いように見受けられます。
ビジネスは、ますます難しい方向に向かっているので、教える方も教える内容が日増しに増えているのです。
生徒さんたちにも、そのことを十分に理解して欲しいのです。
世の中は、決して、単純で簡単な方向には向かっていないのです。
例えば、20~30年前には、家庭には固定電話があり、機能としては通話だけであったのです。
ところが、今は、携帯電話からスマホになり、出来る範囲が無限に広がっています。
街にあった、多くの魚屋、米屋、酒屋等が消え、スーパーになり、その後、コンビニになっています。
コンビニが売っている商品は、あの狭い店舗の中に何千種類と置いていて、商品だけでなく、あらゆるサービスを取り扱っているのです。
われわれの身の回りをみても、決して単純な方向には、向いていないのです。
従って、われわれは学ぶことばかりが増え、例え苦手であってもそれを行なうのに必要なことは学習しなければいけないのです。
本日も、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(下)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。
ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきます。
第19章 価値の創造
これまで述べてきた起業家戦略においては、イノベーションを利用することが戦略で、本章で論じる起業家戦略は、それ自体がイノベーションであり、製品なりサービスは昔からあるものでよく、例として最初に取り上げる郵便などは、すでに2000年前からあるのです。
ここに述べる戦略は、その昔からある製品やサービスを新しい何かに変え、その効用や価値、あるいは経済的な特性を変化させ、物理的にはいかなる変化も起こさなくてよいのですが、経済的にはまったく新しい価値を創造するのです。
本章で論じる起業家戦略には、1つの共通項があり、いずれも顧客を創造し、この顧客の創造こそ、つねに事業が目的とするものであり、さらには、あらゆる経済活動が究極の目的とするものであり、(ドラッカー著『現代の経営』参照)そのための方法は、以下の4つ戦略であるのです。
1.効用戦略
2.価格戦略
3.顧客戦略
4.価値戦略
I 効用戦略
イギリスの学校では、郵便制度は1837年、ローランド・ヒルによって発明されたと教えているのですが、実際はそうではなく、シーザーの古代ローマにも優れた郵便制度があり、帝国の隅々まで配達人たちが定期的に郵便を届けていたのです。
1516年、スペイン王カルロス1世は、この古代ローマに立ち返り、郵便の独占権を夕キシス家に与え、タキシス家からの献金などによって選挙侯たちを買収し、神聖ローマ帝国の皇帝の地位に就いたのです。
切手収集家ならば周知のように、クキシス家による郵便の独占は1866年まで続いたのです。
17世紀の半ばには、他のヨーロッパ諸国がドイツにならい、100年後には、アメリカの植民地が続き、そしてキケロ、セヴィニェ夫人、チェスターフィールド、ヴォルテールなどヨーロッパの偉大な書簡作家たちが、後世に残る手紙を書いたのは、すべてローランド・ヒル以前のことだったのです。
しかし、いかなる技術も、いかなる新しいものも、特許がとれそうないかなるものも生み出さなかったにもかかわらず、今日の郵便制度を発明したのは、やはりローランド・ヒルであるのです。
当時、郵便の料金は、受取人払いであって、距離と重さによって計算していて、料金が高く、時間もかかり、いちいち重さを量らなければならなかったのです。
ヒルは、この料金を距離にかかわりなく一律にし、前払いとし、印紙を貼らせ、一夜にして、郵便は便利で簡単になり、投函さえすればよくなり、値段も安くなったのです。
職人1日分の賃金である1シリングに相当していた料金が、1ペンスとなり、大きさの制限もなくなり、こうして、郵便制度が生まれ、ヒルは、サービスとしての郵便を変え、新しい効用を創造したのです。
これこそ重要なことであり、ヒルによって実現された90パーセント安という料金の低下さえ、二義的なことにすぎなく、重要なことは、郵便が便利になり、誰でも利用できるようになり、もはや儀礼や訓戒のための書簡だけではなくなり、洋服屋が、郵便で請求書を送れるようになり、郵便は爆発的な伸びを見せ、4年で2倍、次の10年でそのさらに4倍となり、値段も無視できる水準になったのです。
◆真の効用の追求
効用戦略には、価格はほとんど関係なく、この戦略は、顧客が目的を達成するうえで必要なサービスを提供し、この戦略は、顧客にとって真のサービスは何か、真の効用は何かを追求するのです。
アメリカの花嫁は陶磁器を欲しがるのですが、結婚祝いを贈る側としては、一揃いでは高すぎ、何か1つを選ぶにしても、何を欲しがっているかがわからないので、陶磁器以外のものにしてしまうのです。
つまり、陶磁器の需要はあったのですが、効用に結びついていなかったので、中堅食器メーカーのレノックス・チャイナは、これをイノベーションの機会としてとらえ、昔の習慣である「花嫁目録」を使って、食器の注文を受けたのです。
花嫁は、小売店を選び、欲しいセットと、お祝いをくれそうな人たちの名前を伝えておき、小売店はそれらの人たちに「いくらぐらいのものがよろしいですか」「それではコーヒーカップ2つでいかがでしょう」「もうコーヒーカップは揃いましたので、デザート用のお皿がよろしいようです」と勧め、こうして花嫁は満足し、贈り主も満足し、レノックス・チャイナは大いに満足するのです。
そこにはハイテクも特許もない、あるのは、顧客のニーズに焦点を合わせることだけであり、この花嫁目録は、その単純さにもかかわらず、いや、むしろその単純さのゆえに、レノックス・チャイナを人気ある陶磁器メーカーに押し上げ、アメリカで最も急速に成長する中堅企業の1つにし、この戦略によって、顧客は自分の欲求やニーズを、自由に満足させることができるようになったのです。
洋服屋は、受け付けに3時間かかり、料金は受取人払いであって、しかも洋服そのものと同じような値段では、郵便で請求書を送ることができないのです。
ローランド・ヒルは、サービス自体は変えず、それまでと同じ郵便係と郵便馬車、配達人を使ったのですが、彼の郵便は、まったく新しいサービスとなり、効用が新しくなったのです。
2価格戦略
◆ジレットとゼロックス
長年の間、世界で最も有名なアメリカ人の顔は、かみそりの刃の箱を飾っているキック・ジレットであり、毎朝、世界中の何百万という男たちがジレットのかみそりの刃を使ったのですが、安全かみそりを発明したのはキング・ジレットではなく、安全かみそりについては、19世紀末の10年間に、数十にのぼる特許が認められていたのです。
1860年、70年頃までは、ひげの手入れをしなければならないのは、貴族、自由業、大商人など、ごくわずかの男たちだけであって、彼らは床屋に行くことができたのですが、突如、商人、店員、事務員などが、外見を立派に見せる必要が出てきたのです。
しかし、自分で西洋かみそりを使える者、平気でそのような危ない刃物を便える者はあまりいなかったし、床屋は高く、もっと悪いことに時間がかかったのです。
そこで多くの発明家が、安全かみそりなるものを考案したのですが、いずれも売れなかったのは、床屋は10セントだったが、最も安い安全かみそりが5ドルであり、1日1ドルが高い賃金だった頃としては、あまりに高かったのです。
ジレットの安全かみそりが、とくに優れているわけではなく、生産コストはむしろ高かったのですが、ジレットは、安全かみそりを売ったわけではなく、彼は、卸値22セント、小売値55セントという、生産コストの5分の1の価格をつけたのです。
ただし彼は、自社の刃しか使えないように、安全かみそりを設計し、刃は、1枚の生産コストが1セント以下で、それを5セントで売り、刃は6、7回使えたので、1セント以下でひげをそることができ、床屋の10分の1以下の料金だったのです。
ジレットが行ったことは、メーカーが売るものではなく消費者が買うもの、すなわちひげそりそのものに値をつけることであり、ジレットのとりこになった消費者は、同社の競争相手の安全かみそりを5ドルで買い、1セントか2セントで刃を買ったほうが、総額としては安上がりで、彼らもそのことを知っていて、消費者というものは、広告代理店やラルフ・ネーダーが思っている以上に賢明であるのです。
しかしジレットの価格設定は、彼らにとって意味があり、彼らはひげそりに対して対価を払うのであって、モノに対して払うのではなく、ジレットのかみそりとその刃は、西洋かみそりよりもはるかに快適であり、かつ近くの床屋よりもはるかに安かったのです。
コピー機の特許が、ハロイドというニューヨーク州ロチェスターの無名の会社に属することになり、印刷機械の大手メーカーのものとならなかったのは、後者が、コピー機が売れる可能性を見出せなかったからであり、彼らの計算では、コピー機は最低4000ドルで売らなければならなかったのです。
カーボン紙がただ同然のときに、コピー機にそれだけの金を払う者がいるはずがなく、しかも、4000ドルを支出するには、投資に対する見返りを説明する計算書と、取締役会用の承認要請書という、秘書用の事務機としてはとても考えられない書類を必要としたのです。
ハロイドすなわち今日のゼロックスは、特許を買い取ったそのコピー機に大幅に手を加えたのですが、最大のイノベーションは、価格設定の仕方にあり、同社はコピー機を売らないで、コピー機が生み出すもの、すなわちコピーを売り、コピー1枚当たり、5セントや10セントならば、購入のための承認要請書など必要なく、上司の許可なく、雑費として秘書が支出でき、コピー機の価格をコピー1枚5セントとして設定したことがイノベーションとなったのです。
社会的機関を含め、供給者のほとんどが、戦略として価格設定をとらえようとしないのですが、価格設定の仕方によって、顧客は、供給者が生産するものではなく自分かちが買うもの、すなわち1回のひげそり、1枚のコピーに対し対価を払うようになり、もちろん総額として払う額はさして変わらないのです。
支払いの方法を、消費者のニーズと事情に合わせることが必要であり、消費者が実際に買うものに合わせなければならず、供給者にとってのコストではなく、顧客にとっての価値に対して価格を設定しなければならないのです。
画像は、玉ねぎのフライで、以前からこの調理の研究をしていて、昨日晩は夕食を兼ねて、品川にある「OUTBACK」へ、学校のスタッフたちと一緒に、研究に行きました。
大ぶりの玉ねぎを使い、見事な出来上がりで、ついでに製法を詳しく聞いてきたので、次回のうどん学校で試してみます。
私は、このように調理方法にもたいへん興味を持っていて、面白そうなメニューがあれば、いつも試してみているのです。
昨日の「OUTBACK」の従業員の接客、メニュー、店作りも素晴らしかったのです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。