われわれは貨幣経済の中で生きているので、ほとんどのものはお金で買うことが出来、身の回りにあるほとんどのものは、お金で買ったものばかりです。しかし、よく考えてみると、お金で買えないものは、結構
多いのです。
エネルギー溢れる肉体はお金で買えるかと言えば、到底買えないのです。
私の左肩の傷も徐々に癒えて、だんだんと毎朝の筋トレも激しさを増し、以前のように徐々に胸の筋肉も付いてきているのですが、筋肉の付いた肉体をお金で買えるかと言えば、絶対に買えないのです。
その代わりに、毎朝、自分の貴重な時間を犠牲にして、退屈で、単純な鍛錬を繰り返さないと得ることが出来ないのです。
毎日、毎日、同じことの繰り返しの退屈になるような、時間を費やさなければいけないのです。
私は、お金で買えないものが、買えるものよりも、もっと大切なことばかりであることが、身の回りを見れば見るほどよく分かるのです。
昨日、話題にした食べものの異物混入で失った信頼も、お金を払えば、取り戻せるかと言えば、決してそうではなく、これも時間がかかるのです。
以前に食品偽装の問題が世間の話題になっていた頃、伊勢の赤福も、返品された商品を再利用していたことがあったのです。
それが世間に発覚し、赤福は大きなバッシングを受け、約5ヵ月間営業を停止せざるを得なかったのです。
しかし、営業再開後は、以前にも増して、赤福の人気は高まり、直ぐに偽装前の状態に復帰することが出来たのです。
この当時、他のお菓子メーカーとか、肉屋、食品メーカー、料亭等も食品偽装が見つかり、廃業に追い込まれたり、経営者一族が離れてしまわなければいけないメーカーも多数ありました。
ところが、赤福は食品偽装で問題になった後の復活が非常に早かったのです。
私はこれを見て、赤福の代々の経営者が残した、過去の遺産に救われ、多くの人に愛されていたので、直ぐに復活出来たのです。
貨幣経済の下では、われわれはどうしても目に見えやすい、お金でものの価値を判断しがちであるのですが、もっと大切なことは目に見えない価値であったのです。
企業の場合は、社員のロイヤルテイは、お金で買えるかと言えば、決して買うことが出来ないのです。
給与を昇給しても、喜んで貰えるのは、上がった瞬間だけで、すぐに上がった給与が当たり前になり、それが次の基準になるのです。
従って、給与の高い会社の社員が低い会社の社員より、必ずロイヤルテイが高いかと言えば、決してそうではなく、社員のロイヤルテイが高まるのは、お金とか、仕事以外の人間的な対応の部分にあるのです。
企業も利益をたくさん出せば、目立つし、分かりやすいのですが、利益をたくさん出しても、信頼を落としながら出す利益は、いつか消えてしまうのです。
或いは、企業は環境の生物であるので、自身の努力によるのではなく、環境に恵まれて予定外の利益が出ることがあるのです
充分な利益が出ていなくても、社員全員が頑張り、踏ん張り続けて出た少しの利益は、組織の絆を更に強くする結果になるのです。
企業経営を行なっていると、どうしても目先のお金に目が行きがちですが、お金で買えないものをもっと大切にすることが、永く繁栄する企業を作るには、もっと大切であることが分かってきました。
われわれは、現在の余りにも貨幣経済の悪い部分に振り回され過ぎているような気がします。
お金で買えないもっと大切なことがあることに、気づくことが大切であると思います。
お金で買えない、一番大切なものは信頼で、人間関係とか、ビジネスは信頼がなくなれば、崩れてしまいます。
夫婦の関係も、親子関係、或いは社内の人間関係、取引先との関係も、すべて信頼関係がベースになっていて、信頼がなくなれば、よい関係を保つことは出来なくなるのです。
信頼関係を築くのは、時間がかかり、信頼関係を失うのは、一瞬です。
私は、書籍のサインを依頼されると、いつも書くのは、「一貫性は信頼」です。
特に、言動の一貫性、すなわち、言っていることと、行動が一致していることは、欠かせないのです。
再々度、触れますが、当社の40周年を記念して、当社の正規ユーザーさまに限り、当面、麺学校の2日間の経営講義の授業料を無料にして、再度、最新の情報、ノウハウの提供と、もし、悩んでいるユーザーさまがいれば、悩み解決の場にしたいと思ったのです。
2日間の経営講義は、土日の2日間で、受講出来、東京と香川でほぼ毎月開催しているので、気軽に参加できると思います。
但し、通常の麺学校の生徒さんがいらっしゃるので、当社のユーザーさまは、毎回3名までと限定させて戴きます。
少しでも、お客さまの成功に役立てばということで、このような企画を考えてみました。
悩んでいる方の一番の課題は、誰に相談するかということで、相談相手がネガテイブであったり、利益関係者である場合は、正しいアドバイスを受けることが出来ない場合が多いのです。
経営者は、苦しい時も精神的に安定で居続けることが非常に難しいので、誰か相談者がいれば、案外うまくいく場合が多いのです。
『People want to help you. (You just have not asked.)』人々はあなたを助けたがっているのです。
本年2月21日から始まった、91日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びを終え、さらに学びを深めるために、5月26日より7月5日まで41日間の復習を進めてきましたが、さらに理解度を増すため、再再度、チャレンジし、自分自身を大きく変えるのに役立てていきます。
必要とされる2つの社会的イノベーション
起業家社会を実現するためには2つの領域において社会的イノベーションを実現することが必要である。
◆雇用問題の解決
第1は、余剰労働者の問題を解決することであり、余剰労働者といっても、絶対数そのものはさして多くないのですが、煙突産業の労働者は、ごく限られた地域に集中していて、アメリカ自動車産業におけるブルーカラー労働者の4分の3は、20の郡に住んでいるので、目立つ存在であり、組織率も高く、さらに重要なこととして、彼らは、新しい仕事を見つけ、専門を変え、土地を変わる能力に欠け、教育も技能も社会的な能力も十分ではなく、何よりも自信がなく、彼らの多くは求職活動をしたこともなく、働きに出る年齢に達すると、すでに自動車工場で働いていた親戚が現場管理者に紹介してくれ、あるいは教区の牧師が、製鉄所で慟いている信者の1人に紹介状を書いてくれたのです。
イギリスの煙突産業労働者、ウェールズの炭鉱労働者も似たようなものであり、ドイツのルール、フランスのロレーヌ、ベルギーのボリナージュのブルーカラー労働者についても同じことが言えて、彼らは、先進国社会における今世紀の教育と知識の向上から取り残された階層であり、彼らはその能力、経験、技能、教育において、1900年当時の未熟練工とさして変わらず、この間に起こったことといえば、彼らの所得と政治力の爆発的な増大だけであり、彼らは、福利厚生を含めると、実に今日の産業社会における最大の受益者であるのです。
したがって、個人および階層として自助能力には欠けているものの、何ごとについても反対し、拒否し、阻止する力をもち、もし社会が新しい職場を与えることができなければ、彼らは、社会にとって完全にマイナスの勢力となるのですが、この問題は、起業家経済の実現によって解決でき、新しい事業が、この10年間にアメリカで見られたように、新しい職場を創出し、伝統的な煙突産業における大量失業が、これまでのところアメリカで政治問題化せず、保護主義的反応の引き金ともなっていない理由はここにあり、もちろん起業家経済が新しい職場を創出したとしても、煙突産業の余剰労働者を訓練し、転職させるためには、組織的な努力が必要であり、彼らだけでできることではなく、そのような組織的な努力がなければ、煙突産業の余剰労働者は、自らの救済さえ含めて、新しいことにはすべて反対することになるのです。
たとえば電炉は、一貫製鉄所の余剰労働者に職場を提供し、オートメ化した自動車工場は、レイオフされた自動車労働者に職場を提供するのですが、彼らは、現在の職場が長続きするはずのないことを知りながら、電炉の増設や工場のオートメ化に反対するので、したがって、煙突産業の余剰労働者に雇用機会を与えなければならず、さもなければ、すでにイギリスで見られるように、そしてアメリカの郵便事業で見られるように、彼らは、その喪失感、恐怖、失望のゆえに、あらゆるイノベーションに抵抗するのです。
そのための組織的な努力は、これまで2度行われ、1度は、1906年の日露戦争後の不況下において、三井財閥によって行われ、もう1度は、第2次大戦後のスウェーデンにおいて、農民と木こりの国を高度な工業国に変えるために行われ、面倒を見るべき余剰労働者の数はさほど多くなく、余剰労働者の3分の1は、早期退職制度の対象となりうる55歳以上の人たちであり、あまり心配しなくともよく、また3分の1は、自ら職を探すことのできる30歳以下の人たちであって、同じくあまり心配しなくともよいのですが、残る3分の1の人たちについては必ず、訓練し転職させなければならないのです。
ドラッカーが本書を書いたのは1980年代後半であり、既に25年が経過し、上記に書かれているような煙突産業から、他の産業への人口移動、すなわち、肉体労働から知識労働への移行はすでに終了し、日本で現在起きている現象は、生産年齢人口の急激な減少による、働き盛りの人口の不足であり、そのために、多くのサービス産業、例えば、外食産業とか、介護事業をはじめ、多くの業種で、人手の不足が起き、併せて、働いていなかったり、希望する職種に就いていない、働き盛りの人口も多く、就業のミスマッチは起きているのです。
また、同じ外食産業であっても、うどん蕎麦店、ラーメン店で幾ら募集しても集まらないのに、カフェで募集すると、優秀な人たちがたくさん押し寄せるので、時代に合ったビジネスを行なうこともたいへん重要であるのです。
◆廃棄の仕組み
第2は、はるかに過激であって、まったく前例のない至難の業であるが、時代遅れとなった社会政策と、陳腐化した社会的機関を組織的に廃棄する仕組みをつくることであり、これは、以前起こった起業家の時代には存在しなかった問題であり、100年前には、そもそもそのような政策や機関がまだほとんど存在していなかったのですが、今日、それらのものはあり余るほど存在していて、永久に存在すべきものは、たとえあったとしても、ごくわずかであり、短い期間を超えて機能しつづけるものさえ、本来はほとんどないはずであるのです。
この20年間における最も基本的な世界観と認識の変化、真に歴史的な転換ともいうべき変化は、政府の政策や機関もまた、神ではなく人がつくったものであり、いずれも急速に陳腐化していくものであることが認識されるようになったのですが、しかし、今日でも、政治の世界だけは、依然として、政府が行うものは人間社会の本質に根ざすものであり、したがって永遠であるとの昔からの前提を堅持し、その結果、政府が行っている古くなったもの、陳腐化したもの、もはや生産的でなくなったものを切り捨てるためのメカニズムが存在していないのです。
あるいは、新しいメカニズムは、まだ十分に機能するようになっていないというべきかもしれず、アメリカでは最近、法律や政府機関を一定期間後に廃止するというサンセット方式が導入されはじめたのですが、このサンセット方式も、まだ十分機能するにはいたっていないのは、1つには、法律や政府機関が役に立たなくなったことを判定すべき、客観的な基準が存在していないためであり、1つには、廃棄の具体的かつ組織的な方法が確立されていないためであり、あるいは、法律や政府機関が実現するはずだったことを実現するための新しい方法の導入の仕方が、確立されていないためであり、今や、このサンセット方式を効果あるものとするための原理と方法を開発することこそ、最も重要な社会的イノベーションであり、しかも、直ちに行うべきイノベーションであり、社会はそれを待っているのです。
廃棄に関する課題は、政府機関が抱えているだけでなく、一般企業も同様であり、当社もまったく同じ課題を抱えていて、廃棄は、企業経営の中で難しい課題のひとつであり、難しくしているのは、そこに配置された人材の存在であり、往々にして痛みを伴い、新しく何かを始めるときも痛みを伴うことが多いので、反対する人たちは多く、新しく何かを始めるときは、同時に廃棄が必要であり、これは二重の痛みを伴うようになるので、マネッジメントの力がないと出来ないのです。
画像は、本日昼のオーガニック食堂での、私の昼食で、スイカが主食です。
明日からお盆休みで、本日で、最後の給食でした。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。