明後日、9月1日(火)~3日(木)の3日間、ドリームスタジオ札幌では、私のセミナー他、多彩なイベントが開催され、私のセミナーは下記の通りです。
(https://www.yamatomfg.com/special-noodle-events/)
9月1日(火)『オーナー様、店長、スタッフ必聴!~スタッフのモチベーションアップ・セミナー』
9月2日(水)『麺専門店の皆様必聴!麺専門店のレイアウト・事業計画のポイント・儲からない3大要因』、『商品力・サービス力アップ!~他店が追随できない圧倒的な商品力・サービス力の上げ方~』
9月3日(木)「藤井流!女性にウケる店舗とは?」
上記、上記のセミナーのうち、初めてのタイトルについては、レジメを作成中で、レジメを作りながら、私自身の学びが深まっていますが、まだ理解が十分でない分野についても、無謀でもレジメを作り、セミナーを行なうことにより、どれほど、自分自身の学びになるかしれません。
本日のテーマは「デジタルクッキングによる、新しい発見」です。
一昨日は、東京支店でラーメン学校の最終日の生徒さんの作品チェックの日であり、生徒さんは8名で、8作品ほどチェックしたのですが、私自身も、同じくらいの数の、初めての作品を作ってみました。
この日も早朝から、5千歩の散歩を終え、東京支店に行き、品川駅まで歩いて、品川駅内の伊勢丹クイーンズで、盛付の食材を探し、小さいイワシを見つけたので、ラーメンのトッピングにイワシを使おうと思って、買って帰りました。
伊勢丹クイーンズの下の階には、NY発の食のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」があり、惣菜の盛付はたいへん斬新で、きれいで、いつも盛り付けの参考にしているのです。
この日も参考になる盛り付けがあったので、アイフォーンの画像に収めて、早速、ラーメン学校で試してみると、なかなか素晴らしい盛り付けになりました。
買ってきたイワシを天ぷらにして、旬の果物のイチジクとカットして、魚介ラーメンに盛り付けると、見た目がきれいであるだけでなく、食べても非常に美味しい、バランスの取れたラーメンが出来ました。
ラーメンであろうと、旬の食材をふんだんに使うと、季節感のある美味しい、斬新なラーメンが出来上がるのです。
日本は海に囲まれた島国なので、日本らしいラーメンとして、小魚の天ぷら、焼いたサンマ等を使った、魚介ラーメンは日本らしいラーメンです。
そして、季節感のあるフルーツも麺類の付け合せにはピッタリで、旬の果物であるイチジク等は、秋のメニューには映える食材です。
競争変数を増やし、際立った個性を打ち出すためにも、他店とは異なる、面白いメニュー提案は必須であり、当社の麺学校ではわざと生徒さんに斬新なメニュー提案を行なっているのです。
すると、今までの業界の常識に染まり過ぎている、主に、日本国内の生徒さんたちには抵抗があるのですが、海外から来た生徒さんたちは、自然に受け入れるのです。
昨日の土曜日は、午前中は松原先生と他の講師たちと一緒に、蕎麦つゆの研究を東京支店で行ないました。
うどんだし、蕎麦つゆの教科書を出版するために、蕎麦つゆの原理原則を究明しているのですが、昨日の試作の結果、面白いことが分かりました。
鰹節の枯れ本節、荒亀節、宗田節の味の差は大きく、枯れ本節は温度が高い時も、冷めた時もほとんど変わらず、上品な味であったのですが、宗田節が一番、温度差による味の差が大きく、熱いときは、それほど苦くなかったのですが、冷めると、非常に苦く、渋く、酸味が強くなったのです。
枯れ本節でも、雄節と雌節の味の差も微妙な差があり、雌節は、お腹側だから、背中側の雄節に比べて脂肪が多く、雌節(腹側)は、雄節(背節)に比べやや脂肪が多いのでこくがあり、雄節(背側)は、雌節(腹節)に比べ脂肪が少ないのであっさりなのです。
荒亀節は、比較的小型の場合(たとえば鰹では3㎏以下)、3枚におろしてできた2枚の魚肉を使って節にしたもので、形が亀に似ているところから、その名があり、本枯れ節の雄節、雌節には含まれていない、血合いの部分が含まれているので、渋味、苦み、酸味が強いのが特徴で、今回の試験の結果では、味の傾向は、枯れ本節と宗田節の丁度中間であり、宗田節が一番雑味が強かったのには、驚きました。
蕎麦用の麺つゆは昔から、かけは熱いつゆ、つけは冷たいつゆと決まっていたのですが、最近では、かけでも冷たいつゆで食べたり、冷たいぶっかけで食べる蕎麦とか、種類が増え、宗田節がつゆに混じっていると、低温で苦みを強く感じるようになったのです。
この様に、節の種類のよって、温度による味の差が大きいことは、以前は考える必要がなかったのですが、最近はメニューのバラエテイが広がり、冷たいメニューが増えるとともに、材料を再検討しなければならなくなったのです。
もし、すべての材料を混ぜてしまうと、このようなことも分からないのですが、デジタルクッキングの場合は、すべての材料を別々に抽出するので、新しい発見が得られるのです。
本年2月21日から始まった、173日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びを終え、最終のまとめに取り組んでいきます。
「認識ギャップ」
「コンテナー船の例」
ある産業や社会的部門の内部の人たちがものごとを見誤り、従って現実について誤った認識を持っているとき、当然、その努力は間違った方向に向かい、成果を期待出来ない分野に努力を集中してしまうのですが、そのとき、それに気づき利用する者にとって、イノベーションの機会となる認識ギャップが存在し、その良い例が、今日の世界貿易の担い手たるコンテナー船なのです。
今から65年前の1950年代初め、貨物船は死滅すべき運命にあるとされていて、1次産品のばら積み以外は、航空機にとって代わられると予測されていて、海上輸送費は急速に上昇し、港での貨物の滞留がひどくなるにつれ、ますます時間がかかる様になったので、船は沖合で待機させられ、貨物はますます滞り、盗みの被害は増大し、主たる原因は、海運業界が長年にわたって、成果を期待出来ない課題に力を入れていたことにあり、彼らは、船舶の高速化、省エネ化、省力化に力を入れていて、海上、すなわち港と港の間で経済性を追求していたのです。
船舶は資本財であり、あらゆる資本財にとって、最大のコスト要因は、遊休時間であり、その間、利益を生まないものに対し、金利を払わされるので、海運業界で働く者はすべて、貨物船の最大のコストが金利であることを知っていたのですが、彼らは既にかなり低くなっているコスト、すなわち、海上にあって稼働状態にある船舶のコスト低減に力を入れ続けたのですが、問題の解決は、積み込みと輸送の分離という簡単なことであり、空間が充分にあり、事前に作業が出来る陸上で積み込みを行なっておき、後は入港した船に載せるだけのことだったのです。
それは船舶の稼働時だけでなく、遊休時のコストの削減に努力を集中することであり、それがコンテナー船であり、この簡単なイノベーションの結果は目を見張るものがあり、その後、30年間において、海上輸送は5倍に伸び、輸送コストは60%削減され、船が港に停泊する時間も、4分の3に削減され、港の混雑や盗みも減少したのです。
私もサラリーマン時代は、船の設計をしていたのですが、このようなことに疑問を持ったことはなく、私が設計していたころはタンカーの全盛時代だったのですが、その後、コンテナー船が出現し始め、コンテナー船の時代になったころには、私は既に造船設計を離れていました。
私の造船設計の時代も、燃料消費の少ない省エネ船等がテーマであり、抵抗の少ない船型の研究が主で、港での荷物の積み下ろしの高速化については、それほど、大きな課題ではなく、船だけの問題として捉えるか、輸送システム全体の問題として捉えるかによって、解決のアプローチはぜんぜん違ったものになり、今回の課題でも、船だけの課題として捉えると、運行時における高速化しか課題にならないのですが、システム全体の課題として捉えると、長い停泊時間がもっと大きな課題であり、荷物の積み下ろしに大きな時間を取られていることが分かり、そちらに目を向けることにより、大きなイノベーションの機会を見つけることが出来たのであり、部分最適を目指すか、全体最適を目指すかの差でもあるのです。
われわれのビジネスもまったく同じであり、当社の場合は製麺機だけの問題として捉えるか、麺専門店全体の問題として捉えるかによって、解決しなければいけない本当の課題がまったく異なり、要するに、システム全体を高い視座で見るか、低い視座で見るかによって、見える世界がまったく異なってくるので、常に高い視座でものごとを見ることが大切であると教えてくれているのです。
以上のことは、うどん蕎麦店、ラーメン店にとっても、同じことで、今までのうどん蕎麦店、ラーメン店の店主は、客席回転率を上げれば上げるほど、売上が上がると信じて、回転率が上げるためにサラリーマンを対象にし、女性客が入店すれば、長居するので嫌がっていたのですが、既に20年前の1995年に生産年齢人口はピークを打ち、サラリーマンの数は減少を続け、ピークより12%以上も減少しているのと、サラリーマンの小遣いが半減し、昼食に十分な支出が出来なくなっているのです。
従って、サラリーマンを対象にしている店は、業績を落としている場合が多く、これからは、シニアと女性客を対象にした方が、可能性が高いことを理解している店主は非常に少ないのが麺専門店業界の課題です。
年間のうどん蕎麦店の新規開業者数は約2千6百店、ラーメン店は約4千店で合計6千6百店ですが、当社の麺學校の卒業生が年間約350名で、そのうち、開業に至るのは約3分の1の約120名程度なので、年間の開業者のうち、当社の麺學校を卒業して開業する人たちの比率は、2%未満なのです。
年間約6千6百名にも上る新規開業者のうち、当社の麺學校卒業生はわずか120名程度しかいないので、この比率を上げることが失敗者をより少なくするための大きなポイントで、こんなに大きな差があるのは、大半の新規開業者の麺学校に対する認識のギャップであり、麺学校の大切さの理解がなされていないので、このギャップを埋めるのが、当社の課題なのです。
「小さなイノベーション」
認識ギャップは、先のコンテナー船の事例のように、間違った方向への真剣な努力が事態を改善せず、むしろ悪化させ、船舶の高速化が港の混雑と海上輸送の一層の遅れをもたらすような時には、その努力の方向性が間違っていることが多く、そのような時には、単に成果が上がることだけに力を入れるだけで、大きな成果が得られ、事実、認識ギャップを利用するために華々しいイノベーションを必要とすることはあまりなく、海上貨物の輸送と積み込みの分離にしても、トラックや倉庫について行っていたことを応用したに過ぎないのであり、認識ギャップは、産業や社会的部門全体について見られる現象であるのです。
その解決策は、通常、的を絞った単純で小さなイノベーションを行なうことであり、認識ギャップにおいて、本当の課題は、お客さまとの価値観は共有出来ていても、努力の方向性が間違っている場合が多く、例えば、先ほどのコンテナー船の場合でも、お客さまの価値観は、コストの高くない、迅速な荷物の配送であり、造船所も船の運航会社もそれに向かって、出来る範囲の努力を行なってきたのですが、ほとんどの関係者は、コンテナー船にすれば良いと見抜けなかったのです。
麺専門店に来店されるほとんどのお客さまは、美味しい麺料理を高すぎない、妥当な価格で食べたいと思っているはずですが、お店の店主はこれについて、新しいアプローチを取ろうとしないで、昔ながらのやり方を買えようとしていないので、手打ちに負けない、驚くような美味しい麺料理を、比較的低価格で提供出来る仕組みが出来ているのですが、それを取り入れようとしていないのです。
コンテナー船の技術は以前から、トラック市場ではあったのですが、貨物船市場に導入されるのが遅くなったのと同じで、一部のその技術を利用した人だけが、多くのお客さまを集めて繁栄し、今の時代は、技術面は大変進化しているので、それを利用しようと思えばいくらでも出来るのに、利用していない人が余りにも多く、成功する人とそうでない人の差は、世の中の動きに注意しているかどうかが、非常に大きいのです。
画像は、さまざまな種類の白だしを準備し、さまざまな種類のかえしと混合し、どれがどんな味になるかのチェックを行なっているのです。
このような時間をときどき取っており、味のチェックのために、東京支店の近くにある手打ちそば店にいきましたが、そこでも新しい発見がありました。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。