まずは、お知らせです。
来週9月27日(日)から29日(火)の3日間、ドリームスタジオ福岡でパワーアップイベントを開催し、私のセミナーは次の通りです。
1. 業界の異変速報!!~40年業界をみてきた藤井だからわかる!変化し続けてきた業界の最新情報~
2. 人材育成・多店舗展開・海外進出するためには
3. 女性にウケる店舗とは?
※イベントは終了いたしましたが、そのほか定期的にイベントを開催しております
本日のテーマは「シンガポールの光と影」です。
昨日は「One day ramen school」の2日目で、本日から「One day udon school」が始まります。
昨日も講義中に、余りにも熱心な質問が飛び交うので、事業計画書を初め、たくさんの有益な情報を提供しました。
質問を聞いていると、日本の経営講義で教えているのと、ほぼ同じような質問があり、出来るだけビジネスを簡素化して、楽に成功したいという人が目立つのです。
ビジネスの秘訣は先に与えることであることを、ビジネスの入門者のほとんどは理解出来ていないようです。
以前から言っていることですが、私は40年間、麺ビジネスをやってきたので、この業界で一刻は、飛ぶ鳥を落とすような勢いで、高級な車に乗り、立派な家を持ち、素晴らしい生活を送っていたお客さまを何人も知っています。
しかし、そのような生活が長く続いているかと言えば、そうではなく、ほとんどの場合が短期間で終わっているのです。
今回も参加した生徒さんとの質問のやり取りを聞いていると、過去のお客さま方のことを思いだすのです。
40年間もビジネスを見続けていると、長く継続することの難しさを非常に感じるのです。
しかし、単なる長く継続することだけが大切なことではなく、進化し続けることがもっと大切なのです。
本日のドラッカーの「イノベーションと起業家精神」にあるように、「世の中は常に変化し、世の中の変化を良しとし、その変化を活用することが出来るのが起業家なので、その変化を捕え、自ら変化する、すなわち、安心領域にはとどまらないことが欠かせず、ある程度のポジションを獲得して安心したり、安住の地を求めることはあり得ない」のです。
当社の創業40年の歴史の中でも最初の20~30年間は、私の失敗の歴史のようなもので、それらをまとめたものが、私の4冊の経営講義の教科書であり、そのような失敗を、新たにビジネスを始める生徒さんたちがしないで済むようにと、記しているのです。
どれも昔からずっとやっているような店ばかりで、25年前に初めてシンガポールへ来たときにも、たくさん見かけたような店ばかりです。
シンガポールの輝かしい発展から取り残されたような一角と、取り残されている人たちがいるのです。
多分、この人たちにとって、このような屋台のような店で一生を送ることは、当たり前であり、安心領域になっているのです。
このような人たちの中でも、もっと今より良くしたい、今の状態を改善したいと思っていたほんの一握りの人たちが、安心領域からはみ出して、新しいフードコートに出店したり、新しいビジネスに取り組んだり、ビジネスを進化させてきているのです。
私もビジネスを始めてからの20~30年間は、上記の人たちと同じように、進化していない時代だったので、余計にこのことが良く分かります。
昨日は、夕方に日本から帰ってきた、ラーメン学校の卒業生でマレーシア人のイップさんが、イベント会場に尋ねて来て、久しぶりの再会を懐かしんだのです。
その後、シンガポール市内にあるイオンショッピングセンターにあるデカい、フードコートに行き、スタッフたちが、それぞれ好きな料理を注文して、シンガポールが初めてのスタッフたちは、地元の料理を楽しんだのです。
どの料理も特徴があり、どの料理も美味しく、日本のフードコートとはかなり異なり、楽しめるフードコートだったのです。
同じように、昔ながらのシンガポール料理を提供していても、現在風にアレンジしている店と、昔ながらの屋台のような店でやっている人たちがいて、シンガポールの光と影を見たような気がしました。
本年2月21日から始まった、173日間に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びを終え、最終のまとめに取り組んでいきます。
「起業家の特性」
「不確実なものにチャレンジする」
体系的な起業家精神の発展を目的とした資金調達の最初の試みは、1852年(173年前で明治維新の16年前)のペレール兄弟によるクレデイ・モビリエの創設に始まり、ライン川を越えたドイツのゲオルク・ジーメンスによるドイツ銀行創設において本格化し、さらには、大西洋を渡ってNYにもたらされた若き日のJ・P・モーガンによる起業家精神のための起業家的な銀行の創設は、企業の所有を目的としたものではなく、初期の銀行家であるロスチャイルド家は、自ら事業の所有者となり、鉄道への融資も自己資金で行なったのですが、これに対し、起業家的な銀行は、自らは事業の所有者にならず、彼らは、設立時に出資した事業の株式を売って利益を得、しかも出資に必要な資金は市場から調達し、他のあらゆる経済活動(そしてほとんどが非経済活動)と同じように、資金を必要としますが、企業家は資本家であるとは限らないし、投資家であるとも限らないのです。
起業家はリスクを冒しますが、経済活動に携わる者は、誰でもリスクを冒すのは、経済活動の本質は、現在の資源を将来の期待のために使うこと、すなわち、不確実性とリスクにあり、起業家は雇用者であるとは限らないし、むしろ被雇用者であることの方が多いし、勿論、独立した個人でもあり得て、起業家精神とは、個人であれ組織であれ、独特の特性を持つ何かであるのですが、それは気質ではなく、実際のところ、過去30年間、いろいろな気質の人たちが、起業家的な挑戦を見事にやり遂げていて、確実性を必要とする人は、起業家には向かないのですが、そのような人は、政治家、軍の将校、外国航路の船長など、いろいろなものに向かず、これらのものすべてに意思決定が必要であり、「意思決定の本質は不確実性にある」のです。(起業家精神とは、不確実なものにも果敢にチャレンジすること)
意思決定を行なうことのできる人ならば、学ぶことによって、起業家として、起業家的に行動することが出来、社内のスタッフに起業家精神を持たせ、社内をイノベーション体質に変えようと思えば、意思決定の権限を持たせなければならず、責任から逃れようとするスタッフは、意思決定の権限を持ちたがらず、スタッフを幹部に登用する場合は、意思決定の責任を持とうとする人以外は、幹部に登用することが出来ないし、絶対に登用してはいけないし、起業家精神とは、気質ではなく、行動であり、しかもその基礎となるのは、直観ではなく、原理であり、方法であるのです。
「変化を利用するもの」
あらゆる仕事は原理に基づき、起業家精神もまた、原理に基づき、起業家精神の原理とは、変化を当然のこと、さらに言えば健全なこととすることであり、常に世の中は変化し、世の中の変化を良しとし、その変化を活用することが出来るのが起業家なので、世の中は常に変化しているので、その変化を捕え、自ら変化する、すなわち、安心領域にはとどまらないことが欠かせず、ある程度のポジションを獲得して安心したり、安住の地を求めることは、あり得ないのです。
「創造的破壊」
起業家精神とは、すでに行っていることをより上手に行なうことよりも、まったく新しいことに価値、特に経済的な価値を見出すことであり、権威に対する否定の宣言であり、起業家とは、秩序を破壊し解体する者であり、起業家の責務は「創造的破壊」であり、シュンペーターは、最適配分や均衡よりも、起業家によるイノベーションがもたらす動的な不均衡こそ経済の正常な姿であり、経済理論と経済活動の中心に位置づけるべき現実であるとしたのです。
「変化を当然とする」
教育の資源は経済的な資源であり、それは、例えば石鹸を製造するというような明らかな経済活動に使う資源と同じであり、つまるところ、社会的な活動に使う資源は、すべて経済的な資源であり、現在の消費を控え、将来の期待のために配分する資金にせよ、土地、とうもろこしの種、銅、教室、病院のベッドなどの物的資源にせよ、労働力やマネッジメントや時間にせよ、すべて経済資源であり、起業家精神という言葉は、経済の領域に限定されるものではなく、あらゆる人間活動に適用され、しかも、われわれは、その領域が何であろうとも、起業家精神そのものには、ほとんど違いがなく、教育界、医療界における起業家も、経済界や労働界における起業家とほとんど同じ資源を使い、ほとんど同じことを行ない、ほとんど同じ問題に直面し、同じように成果をあげ、起業家は変化を当然かつ健全なものとするので、「彼ら自身は、それらの変化を引き起こさないかもしれないが、変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」のが、企業家および起業家精神の定義であるのです。
私も自分の人生を思い返せば、川崎重工の造船事業部で勤務中に、上司から次々と新しい仕事を与えられましたが、その頃の造船事業部では、多くの船主から、同じような船型のタンカーの受注を受けていたので、先輩たちは、同じような船型の場合、以前書いた図面を流用し、必要な部分だけを修正して提出すれば、はるかに手間が要らず、早く図面を提出することが出来るのですが、私は新しい仕事を与えられるたびに、その仕事の本質を理解し、その本質を全うできるような図面を新たに起こしていたので、赴任した初期の頃は、1枚の図面にも相当時間がかかりましたが、慣れるに従い、時間は短くなり、最適な図面を書け、私は過去からずっと行われたいたことに常に疑問意識を持って取り組んでいたので、自分自身の過去を振り返ってみると、既にサラリーマン時代に反骨精神を持っていたのです。
「起業家のリスクは低い」
一般には、起業家には大きなリスクが伴うと信じられていて、マイクロ・コンピュータや遺伝子工学など目立ち易いハイテクのイノベーションは、失敗の確率が高く、成功の確率どころか、生き残りの確率さえかなり小さいのですが、しかし、起業家精神には、大きなリスクが伴わないのです。
「最もリスクが小さな道」
起業家はその本質してから、生産性が低く成果の乏しい分野から、生産性が高く成果の大きな分野に資源を動かすので、そこには成功しないかもしれないというリスクはあるが、しかし、多少なりとも成功すれば、その成功はいかなるリスクを相殺しても余りあるほど大きく、従って起業家精神は、単なる最適化よりも、はるかにリスクが小さいというべきであり、イノベーションが必然であって、大きな利益が必然である分野、すなわちイノベーションの機会がすでに存在する分野において、単なる資源の最適化にとどまるほど、リスクの大きなことはないのです。
したがって、論理的にいって、起業家精神こそ、もっともリスクが小さな道であり、起業家精神のリスクについての通念が間違いであることを教えてくれる起業家的な組織は、われわれの身近にいくらでもあり、たとえば、AT&Tのイノベーションの担い手たるベル研究所があり、この研究所は、1911年頃の自動交換機から1980年の光ファイバーの開発に至るまで70年以上にわたって、トランジスタや半導体、コンピュータに関わる理論やエンジニアリングなど、次つぎにイノベーションに成功し、ベル研究所の過去の記録は、ハイテク分野でさえイノベーションと起業家精神のリスクを小さくすることが出来ることを示していて、IBMもまた、コンピュータという進歩の早いハイテク分野において、しかも電気や電子の専門企業と競争しながら、今日のところ、大きな失敗を犯していないのです。
同様に、最も平凡な在来型企業である小売業において、世界で最も起業家的なイギリスのマークス・アンド・スペンサーも、大きな失敗をしておらず、消費財最大手メーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も、同じように完璧に近い、イノベーションの成功の歴史を誇っていて、ミネソタ州セントポールのミドルテク企業であるスリーエム(3M)も、過去60年間にわたって100種類以上にのぼる新事業や新製品を手がけ、その8割を成功させ、これらは、低いリスクのもとにイノベーションを成功させてきた起業家的な企業のごく一部に過ぎず、神の助け、まぐれ当たり、偶然とするには、あまりに多くの企業がイノベーションを成功させていて、起業家精神のリスクについての通念の間違いを教えてくれる個人起業家も大勢いるのです。
こちらへ来ても、毎日1万歩を自分自身に義務付けて、朝の散歩を行ない、朝の散歩だけでは足りないので、イベントの合間の空き時間でも、会場の近くにある高級住宅街の中を歩いていると、歩道に生えているバナナの木に実が実っているのです。
昨日、会ったイップさんによれば、バナナの木は、1回実を付けると、2度と収穫出来ないので、木を切り倒すそうです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。