本日のテーマは「異業種から学ぶ」です。
昨日は、東京日帰りでしたが、行きのフライトはほぼ満員であったのですが、帰りの羽田から高松の夕方便は、2~3割しか乗っていなくて、こんなに乗客の少ない便は最近では初めてで、エアラインが気の毒なくらい、東京から香川に移動する人数が極端に少なかったようです。
昨日はTV局の人たちと一緒に仕事をしてきたのですが、感心したのは一緒に出演したタレントの人たちの演技の素晴らしさで、カメラが回った途端に表情が変わり、完全にプロに成りきるのです。
普段、TVでその人たちを見ているのと、一緒にそこでいるのでは、まったくインパクトが違い、プロ中のプロの人たちの仕事を垣間見ることが出来た素晴らしい体験でした。
昨日は、そのためだけに上京したのですが、私の収録は1時から始まり、3時には終了したので、帰りに品川駅構内のエキュートの売り場を見て回りました。
品川駅は東京支店のある場所なので、いつもよく通る場所ではあるのですが、改めて、ゆっくりとさまざまな商品のチェックをしていると、気になる商品がいくつもあり、斬新なアイデアが盛り込まれた商品がたくさんあり、見ているだけでワクワクしてきました。
飲食に携わっている人たちにとっては、デイズニーランドのような場所であり、常に新しいアイデア満載の商品が次つぎと販売されていて、デパ地下のような楽しい場所でもあり、私も子供のような気持で見て回りました。
われわれのビジネスの場合、われわれの周りにたくさんの生きた事例があるので、気を付けて見て回るだけで勉強材料には事欠かかず、自分の狙いたいお客さまと同じようなお客さまを多く集めて成功している店が、一番の参考事例になるのです。
品川駅の中にあるエキュートは、上質な店舗なので、上質方向を目指すのであれば、非常に参考になり、うどん店を開業する方はうどん店ばかりを見て歩く癖があるのですが、そうではなく、本当は異業種の店舗の方が参考になることが多いのです。
私も創業間もないころは、うどん店、蕎麦店、ラーメン店を見て回っていたのですが、今はほとんど参考になる店がなくなったので、うどん店、蕎麦店、ラーメン店よりはむしろ、それ以外の店舗を見て回るようにしているのです。
スイーツ、カフェ、イタリアン等は、参考になる店舗が非常に多く、うどん、蕎麦、ラーメン等の盛り付けとか、味付けに参考になる店舗が多いのです。
昨日、出演したTV番組は料理番組で、番組の中でうどん料理を作り、料理の専門家が作ったぶっかけ出しは、今まで試したことのない方法で作っていたのが、非常に参考になりました。
このように、われわれは同業種よりもむしろ、異業種から学ぶことが多く、積極的にエキューとのような場所に行くと、参考になるものがたくさんあります。
昨年2月21日から始まった、半年間以上に及ぶ、「イノベーションと起業家精神」の学びの最終のまとめに取り組んでいきます。
第五章 ニーズを見つける 第3の機会
1.「ニーズはイノベーションの母」
第二章では、すでに存在している(イノベーションの)機会(予期せぬ成功、予期せぬ失敗、ギャップ)について見てきたのですが、「必要は発明の母」という、まだ存在していないもの、すなわちイノベーションの母としてのニーズについて検討を加えると、イノベーションの母としてのニーズは、限定されたニーズであり、漠然とした一般的なニーズではなく、具体的でなければならず、前回の事例の天ぷらを揚げたあとの廃油の処理のように、具体的になっている必要があり、予期せぬ成功や失敗、ギャップは企業や産業の内部に存在しますが、ニーズは、企業の外のお客さまの中に存在し、ニーズは、まだ、自分の会社や仕事の中に表れていないもので、ニーズというのはお客さんが持っているものなのです。
例えば、ステイーブ・ジョブズがipodを発明したのも、ニーズを明確に捉えることができたためであり、その後に続いたipad、iphoneも同様で、ニーズを明確に捉えることが、イノベーションの絶対条件であり、プロセスのイノベーションのニーズは次の3つから成り立っているのです。
① プロセス上のニーズ
② 労働上のニーズ
③ 知識上のニーズ
「プロセス・ニーズ」
イノベーションの機会としてのプロセス・ニーズの利用は、他のイノベーションとは異なり、環境からではなく、課題からスタートし、状況中心ではなく、課題中心であり、それは、知的発見によって、すでに存在するプロセスの弱みや欠落を補うためのイノベーションであり、関係者ならば、誰でもそのようなニーズの存在を知っているのに、誰も手を付けていないので、ひとたびイノベーションが成功すると、直ちに当然のこととして受け入れられ、標準として普及していくのです。
すでに1つの例として、プロセス・ギャップの利用の項で述べたウイリアム・コナーは、ある酵素を白内障の手術に欠かせない製品に転換し、白内障の手術そのものは昔から行われ、数世紀かけて改善が重ねられ、他方、その酵素の存在も、数十年前から知られていたので、そこでコナーは、酵素の保存薬を開発するというイノベーションを行ない、こうして、ひとたびプロセス・ギャップが改善されるや、眼科手術医のうち1人として、コナーの酵素を使わない手術など想像出来なくなったのです。
このイノベーションほど、的が絞られていたのも珍しく、プロセス・ニーズを理解することが、直ちに問題の解決に繋がったのですが、このようなことは、プロセス・ニーズによるイノベーションのすべてとまではいかなくとも、そのほとんどについて言えることで、ここに同じように、プロセス・ニーズによるイノベーションの例があります。
オットマー・メルゲンターラーが植字機を設計したのは1885年であり、それまでの数十年というもの、新聞、雑誌、書籍等、あらゆる出版物の発行部数が、識字率の向上と、輸送手段や通信技術の発達に伴って急速に伸び、同時に、出版に関わるほとんどあらゆる技術が進歩し、高速の製紙機械が開発され、高速の印刷機械が作られたのですが、植字作業だけは、400年前のグーテンベルクの時代から変わっておらず、長い徒弟時代を経た高度な熟練工を必要とする、時間と金のかかる作業だったのです。
メルゲンターラーは、コナーと同じように、ニーズを明確にすることから始め、そして必要な活字を機械的に選ぶキーボード、活字を行に揃えるメカニズム、そして(最も難しい技術として)使用した活字を基に戻す技術を開発し、長い年月と数々の工夫が必要だったのですが、ひとたび生まれるや、植字工たちの激しい抵抗にも関わらず、わずか5年で標準的な機械として普及し、これらのニーズは、プロセス・ニーズから生じていたのです。
麺ビジネスにおけるプロセス・ニーズは、うどんの製造工程における熟成庫の導入があり、過去、うどん業界では、熟成という概念がなく、熟成工程が取られていなかったのですが、当社が熟成の必要性を見つけ、熟成庫「寝太郎」を開発、販売し、熟成温度も明確に定め、ミキシング直後の第1熟成は25度Cであれば3時間、28度Cであれば2時間の熟成時間で、プレス後の第2熟成は、1晩の場合は18度C、2晩の場合は16度Cで行ない、この熟成工程を導入することにより、麺質が年中安定するようになると同時に、誰が作っても安定して美味しいうどんを作れるようになったのです。
麺ビジネスにおける次のプロセス・ニーズの課題は、うどん蕎麦店、ラーメン店の新規開業者の4割以上が1年以内に閉店し、3年以内には7割以上が閉店していることで、これらの閉店率を下げることが課題として残っていて、開業までのプロセスの流れが上手くいっていないのが、最も大きな原因です。
「労働力ニーズ」
労働力ニーズもまた、きわめてしばしばイノベーションの機会となり、1909年頃、AT&Tの調査部門が15年後の人口と電話交換手についての予測を行なったのですが、その予測によれば、アメリカでは電話交換を手作業で行っている限り、1925年ないし30年には、17歳から60歳までの女性のすべてが電話交換手にならなければならず、AT&Tの技術者たちが自動交換機を開発したのはその2年後で、この問題は解決し、同じように、今日のロボット・ブームも、主として労働力ニーズによるものであり、ロボットに必要な技術は、何年も前から開発されていたのですが、日米を初めとする先進国の製造業が、少子化の結果を身近に感じるようになるまで、半熟練の組立工をロボットに代えるニーズは大きくならず、ロボットの設計のほとんどはアメリカからの輸入だったので、日本がロボット先進国となったのは、技術上の優位によるものではなく、日本はアメリカよりも4,5年早く、ドイツよりも10年早く最初の少子化に襲われたためであり、日本においてもアメリカやドイツと同じように、労働力不足が認識されるようになるには10年の歳月を要したのですが、日本ではその10年がアメリカよりも先に始まっていたのです。
メルゲンターラーによる植字機もまた、かなりの程度、労働力ニーズの圧力のもとに実現し、出版物の爆発的な伸びが、6年から8年の徒弟制度を必要とする植字工の供給を逼迫し、賃金を非常な勢いで押し上げ、その結果、印刷業者たちは、労働力ニーズを痛いほど感じるようになり、高賃金の職人5人を半熟練工に変えてくれる機械には、かなりの金額を払っても良いと思うようになっていたのです。
日本のうどん蕎麦店はもともと手打ちで麺を作っていたのですが、製麺機が開発され、機械で麺を作るようになり久しいのですが、美味しい麺が作れる製麺機のお蔭で日本のうどん蕎麦、ラーメンが世界に飛躍するようになったのです。
中国の蘭州は、ラーメンの発祥の地であり、4千年の歴史がありますが、麺作りは、今でも手延べであり、職人による手作りで作られていて、100年前に、中国からラーメンが伝わってきた日本は、100年の間に独自に進化し、蘭州のラーメンと日本のラーメンの差は、①手作りか、製麺機であるかということと、②元ダレを使っているかどうかが大きな差で、世界中に広まっているラーメンは、中国のラーメンではなく、日本のラーメンで、麺作りを手作りではなく、製麺機で、楽に美味しい麺が作れるような仕組みが出来ているのが大きな差であり、うどん蕎麦業界における製麺機の活用は、90%をはるかに超え、ラーメン店における自家製麺の比率も急激に上昇を続けているのです。
昨日は、朝一便で高松空港から羽田空港に向かったのですが、晴天に恵まれ、富士山がくっきりときれいに見えました。
いつも機内では、仕事をしていて、富士山を見ることはないのですが、昨日はスタッフと一緒であったので、スタッフに撮影をして貰いました。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。