昨日は、幹部3名で松山方面に行って来ましたが、今年一年を総括して、当社の課題について徹底的に話し合ってきました。
環境が変わった中でさまざまな話をしていると、面白いアイデアが次々と浮かぶものです。
同時に、お客さまの店舗訪問も併せて行ないましたので、お店の経営の問題にも話が及び、各店で試食した料理の課題も見えてきました。
色んなことを話し続けていると、食べログについて面白いことが分かりました。
最近、私は食べログの平均点が3.5であると、麺学校の経営講義で常に話しているので、3.5点は食べログに掲載されている全店舗のうち、何番目であるかを調べてみました。
昨日の結果では、うどん店の食べログ登録店数は30、413店で、そのうち、食べログ点数が3.5点以上は全国で1134件だけで、ほんの3.7%だけであったのです。
これには、3人ともたいへん驚きました。
食べログ4点は良い方で、3点は悪い方であり、3.5点が平均だと思っていたのですが、実際は3.7%しかなかったのです。
因みに当社の直営店「亀城庵」を調べてみると、3.54点で、全国451位で、1.5%以内に入っているのです。
この結果を見て感じたのは、全国でうどん店が3万軒くらいですが、経営的に問題なく、上手くいっている店舗は恐らく10%以内の3千軒くらいで、ほとんどの店舗が苦しんでいるのではと思いました。
現在の日本のように景気が悪く、過当競争の状態では、Good(良い)とか、Excellent(優れている)では役に立たず、Outstanding(95点以上)の飛び切り良い状態でなければいけなくなっていることを、実感しました。
このことを常に麺学校の経営講義で強く主張していますが、ほとんどの生徒さんは理解していないと思います。
今回の食べログでも分かったように、多分、麺学校に参加する生徒さんの中で本当に成功し、頂点を極めることが出来るのは、ほんの数%程度ではと思いました。
インターネットの発達により、このパーセンテージがより低くなり、成功するのはほんの一握りであり、その他大勢は鳴かず飛ばずであったり、沈んでいく人たちであり、優勝劣敗がより厳しくなっているようです。
これはビジネスすべてについて言えることで、一生サラリーマンで終える場合もまったく同様であると思います。
本日の課題のように、常に進化して、改善改良を繰り返したり、イノベーションを繰り返す以外に、企業としても個人としても成功はありえない、厳しい世の中に居ることを理解しなければいけないと思います。
本日も、ドラッカーの名言の解説で、今日のテーマは「日々の改善の目的とは」です。
23.日々の改善の目的とは
改善の目的は、製品やサービスを改良し、2、3年後にはまったく新しい製品やサービスにしてしまうことである。
(解説)改善、改良は日本企業の得意分野であり、イノベーションは日本企業の苦手な分野で、アメリカの企業の得意分野であるとされていますが、改善改良とイノベーションの違いについて、考察してみます。
以下は、私の著書「情熱」第二章 「本質」、ゼロから1ヘより、引用しました。
シアトル市の古い商店街の一角にスターバックスー号店があり、古くて小さな店ですが、こんな店からあの巨大なスターバックスが誕生したのかと思うと感無量になります。
古い街ならどこにでもありそうな店で、日本でも古い商店街を歩くとこのような個人経営の店、喫茶店、菓子屋、パン屋、うどん屋、そば屋等が至るところにあり、スターバックス1号店は、それらと何ら変わらない店でした。
スターバックスは世界で最も成功したコーヒーチェーンですが、最初から大成功したわけではなく、ハワード・シュルツがカフェの本場、イタリアで立ち飲みコーヒースタンドの素晴らしさに感化され、シアトルへ持ち帰って始めたのが今のスターバックスの原型です。
イタリア式のコーヒースタンドは当初、うまくいきませんでしたが、何度も修正を重ね、成功方程式を見つけ、やっと全国展開できるようになったので、大成功の陰に、無数の試行錯誤がありました。
現地で、同行した当社スタッフが人数分のコーヒーを買ったところ、持ち歩き用カップの素晴らしさに感心していました。
手が熱くならない工夫、カップ受けにピシッと挟まって倒れない設計、軽くて持ちやすいことなど、何もかも考え尽くされています。
試行錯誤により蓄積されたノウハウの結集であることがよく分かります。
物事が初めから何もかもうまくいくことはまずあり得ず、新しいことを始めれば必ず失敗します。
失敗しないのは何も始めない人です。
私も無数の新しいことに挑戦し、数えきれない失敗をしてきましたので、失敗には慣れています。
失敗を避けることはできませんが、失敗を小さく抑えることは可能で、事前にしっかり準備し、その分野について徹底的に学べばいいのです。
当社の麺学校は、生徒さんが失敗するのをできるだけ小さくするための学校で、ここで学べば人生における時間のロスを少なくすることができます。
日本国内にとどまらず、海外でも麺学校を開催するのは、日本の麺文化を世界に広めるのが私の使命の一つだからです。
アメリカの生徒さんたちを前に、当社のインストラクターが熱心に授業をする光景を目にして、麺学校を海外展開する必要性を感じました。
われわれが日本の麺文化を広めることにより、世界のどこでも日本の美味しい麺を簡単に食べられる日が来るでしょう。
そのとき、大和製作所が日本の麺の普及に貢献したと言われれば光栄です。
国内でも、より良い日本の麺文化をもっともっと広め、美味しくて健康に良い、安全な食事を広めたいと思います。
ゼロから創業して1にするには大変なエネルギーが必要で、決してひるまない、大きな情熱のエネルギーで、短距離走のような爆発的エネルギーと言えます。
1になったものを10、100、1000にするには、創業のエネルギーとは違ったエネルギーが必要で、これは筋トレや長距離走のような継続のエネルギーです。
新しくビジネスを始めるとき、即ちゼロを1にすることが何より重要ですが、そこからがまた大変で、廃業率を見ると創業後5年で85%、10年で94%に達します。
つまり、10年後も生き残る率はわずか6%。20年後には2%、40年後には1%と減り続けます。そうならないためには日々進化するしかないのです。
うどん・そば・ラーメン店は楽に開業できると思われがちですが、昔のような良い時代はとっくに終わっています。
私は、改善改良は日々の進化であり、イノベーション(革新)はそれを超えて、過去にないものを創り出すことであり、大きなイノベーションを起こした後は、改善改良を続けて、日々進化を続け、ある程度経てば、大きなイノベーションを起こすことが大切であると思います。
要するに、日々、進化の改善改良とイノベーションは、繰り替えて起こし続けなければいけないのです。
以下は、私のドラッカー・マネッジメントの師である国永先生のドラッカー名言録25「今日、売れている製品が明日も売れるという保証はない。企業は、絶えず明日を担う製品をつくり出さねばならない」より、引用します。
ドラッカーは、その長い企業コンサルティング体験から、利益面でも成長面でもいつも業界をリードしている会社の経営者は、いかなる場合でも、市場に出している自社の製品やサービスを徹底的かつ持続して分析していると語っています。
こういう経営者は、市場でリードしている製品や、じきに市場での優位性を獲得しそうな製品と、単なる経営者の自己満足からの「エゴ(自我)」への投資と、そして、体のいい失敗にしかすぎないものを厳密に区別し得る人物であるとも言っているのです。
さらに、これまで鍛え抜いてきた人材と、資金やシステムという貴重な会社の資源を、市場のリーダーになることによって、大きな利益をもたらす可能性のあるごく限られたわずかな製品の開発のみに割り当てる気持が強いという事実を指摘するのです。
そして、製品の市場での優秀性というものは、実はあくまでも厳しい経済上の問題であると断言してはばからないのです。
それが人間行動として正しいとか、道徳上の問題だとか、またきれいだ、好きだとかいう趣味や嗜好の問題などであってはならないと言い切るのです。
さらに、作る側の勝手な思い込みや判断で、これは“質”がいいのだからなどと考える製品をいくら作っても、客側が受け入れなければ全くの徒労に終わってしまうともいうのです。
そうして打ち出した製品が、実際上は以前のものに比べても大して変わり映えもせず、また良くもなくて、コストばかり高くつくものをいくら製造したとて、何の役にも立たないのです。
そして、価格は実は2の次であることを銘記しておかなければならないとするのです。
ビジネスというものは、あくまでも製品の持つ、実際の、そして本当の価値を第一義的に考えるし、値打ちのあるものならばそれだけの金は出すのです。
製品の生命を支配するには、製品に信頼がおけること、メンテナンスが容易なこと、外観・スタイル・デザインの優れていること、配送が速くて的確なこと・・…を顧客が認めてくれることなのです。
業界で一番規模が大きい会社が一番儲かっているとは限らない時代になってきていて、他より抜きんでた製品系列や市場や技術を持たない限り、業界一とはなれないのです。
会社の規模などは小さくても、かえって内容のよい会社が昨今は目立つようになってきました。
こういう会社は、市場の特定部分に対して特に集中して働きかけることが可能であり、顧客の中の一定の対象のみにアプローチすることもできるし、製品の優位性を確実に保証してくれる特定のテクノロジーにだけ努力を傾注することもできるからなのである、と説くのです。
「マーケット・シェア」が最大だが、その利益性は同業の群小の競争相手よりもはるかに劣るという会社は、まさにゴマンとあるのを忘れてはならないのです。
このような大会社は、自分が支払っているものに対してなんらのプラスを受けていないどころか、むしろ持ち出し一方だという事実に目をつむっているとしか言えないのです。
したがって、変わりやすい市場でそれなりの地位を築きつつ、決してそれに溺れることなく絶えず見直している中小企業のほうが、よほど力があるといえるのです。
次は同じく、ドラッカー名言録5「昨日を捨てよ」よりの引用です。
ドラッカーの数多くの至言の中で、まさにそのとおりなのだが、最も実行しにくいのが、この言葉に盛られた〝体系的放棄〟であるといわれています。
ドラッカーは、すでに40年も前から、この「捨てろ(abandon=アバンドン)」を、口を酸っぱくして、米国内外のビジネスマンに説きつづけてきたが、なかなか実践されないのがこの勧めです。
しかし、敢然と実行した企業組織は成功したり、見事に起死回生を果たしていて、このアバンドンという語は、「a=under(アンダー=その下に)+ban(バン=禁止する)」という古い英語に由来しており、「捨てる、見放す、悪い習慣を止める、諦める、断念する・・・・・」など様々のニュアンスを含んだ言葉です。
そして「変革」と「革新」の推進を企業の根本的なあり方とするドラッカーからすれば、このアバンドンこそ、企業としてのサバイバルへの根源的なあり方になるのです。
そして革新というのは、単に新しくしたり、新奇なものを取り入れることではなく、全く新しい、しかも機能する新機軸を打ち出すことだというのがドラッカーの主張なのです。
したがって「アバンドン」の趣旨は、「もはや成果を上げられなくなったものや、貢献できなくなったものに投入している資源を引き揚げること」であり、そこから、「咋日を捨てることなくして明日をつくることはできない」と、最近著の『明日を支配するもの』の第三章「チェンジ・リーダーの条件」の中でも喝破している発言が出てくるのです。
これは、近代資本主義のエッセンスを「創造的破壊」だとした、ドラッカーと同じくオーストリア生まれで後に米国に移った経済学者のJ・A・シュンペーター(1843~1950)の主張と基本的には軌を一にするのですが、それをビジネス経営の場からの提言だといってよいのです。
しかし、捨てるとか廃棄するといっても、ドラッカーはむやみやたらにストップすることを促しているのではなく、「体系的(システマティック)に廃棄せよ」といっているのです。
さらに、いますでに行なっていることの廃棄、しかも行ない方の廃棄までも含めていることに注目しなければならないのです。
そして、システマティックに廃棄すべきかどうかを判断する評価基準としては、あらゆることに関して、あたかも行なっていなかったというゼロベースの仮定によって、いま、この段階でやるか、始めるかという根源問いをせよと述べています。
したがって、すべてを白紙に戻して問い直すこと、ご破算にして考え直すことを敢然と行なえと示唆しているのである。
この考え方を近年、ドラスティックに継承したのが、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)の手法で、答えがノーだったら、検討しようとか、吟味し直そうなどという御託宣をグダグダ言わずに、いま直ちにストップさせるべく行動することを強く説いているのです。
かつてドラッカーは、廃棄ができないことを「経営者のわれへの投資」として戒めていて、これが企業の生命とりになることを力説していたが、その主張はいまもなお変わっていないと言えるのです。
日本の企業、特に伝統的企業がいま迫られていることは、実はこのシステマティックにアバンドンすることなのであり、日本の古い諺の「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」にもどこか通うところのあるこのアドバイスを、ひとつ経営者はしっかり認識して実践してほしいところです。
画像は、今月のうどん学校での当社スタッフのスイーツのうどんの作品事例です。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです