昨日は、讃匠のお取引先である、徳島県美馬市脇町にある、ランの栽培で、国内だけでなく、世界シエア・トップの「河野メリクロン」へ行ってきました。
(http://www.kawano-mericlone.com/)
徳島県脇町は、徳島県のほぼ中央部に位置し、吉野川沿いの田舎町で、江戸時代には藍づくりが阿波(徳島県)の代表的産業として急速に広がり、陸上交通と水 運に恵まれた脇町は藍の集散地として栄え、各種の商人達はその繁栄ぶりを顕示するように豪勢な「卯建(うだつ)」をあげた町屋を建てたのです。
その後鉄道が吉野川の対岸(穴吹町)に開通し、産業の中心が対岸に移ったことで歴史的な建物が残ることになり、今では観光施設として、毎年18万人の観光客が訪れているのです。
今回は、河野メリクロンの河野社長よりお招きを戴き、初めて訪問したのです。
昔、脇町には親しいお客さまがあり、よく通っていたのですが、最近はぜんぜん訪問したことがなかったので、久しぶりに行くと、町全体が大きく変わってしまっていました。
河野社長のお出迎えを受け、まず、たくさんある社屋の一室で、お話を伺うと驚くような話ばかりでした。
河野社長は現在68歳で、高校を卒業した後、就職をせずにすぐにランのビジネスを創業したので、既に創業50年だそうです。
当初はこのビジネスで、まともに食べる道を開くことが出来るかどうか分からなかったのですが、26歳の時には結婚も出来、事業も軌道に乗り、むしろ、創業当時の方が、商品が間に合わなくて、たいへんだったそうです。
従って、創業後、比較的短時間で軌道に乗ったことになります。
その後、ずっとランの栽培で順調に事業を伸ばし、私が創業して間なしの40年前に脇町のお客さまを訪ねていたころには、既に、地元では有名な企業になっていて、お客さまから、河野メリクロンのことはよく聞かされていまし、大きな建物が目についていました。
私が驚いたのは、ランの研究をあらゆる方面から行ない、栄養成分を利用してランのお茶、麺、そして、ランの成分に育毛作用があることが分かり、12年前には、育毛剤の通信販売を始めたのです。
そして、そのビジネスが、当初のランの栽培のビジネスを超えて、大変な勢いで伸び続けているようです。
普通、最初のビジネスで大成功した経営者は、60歳を超えてこんなに頑張る経営者は少ないのですが、70歳近くになり、ますます血気盛んに活躍をしているのです。
たくさんの施設の中には、ランの美術館、展示販売場、展示場、栽培用ハウス、実験研究施設、2か所の素晴らしい迎賓館、通販ビジネスのコール・センター等、たくさんの施設が山のすそ野に点在しているのです。
辺り一帯が、河野メリクロンの城下町のような場所でした。
従って、ランの栽培だけではなく、展示場での直販、一般通販、ネット通販と多彩な販売方法を活用して、最近、農業の六次化と喧伝されていますが、すでに50年前からシッカリ取り組んで、成果を挙げているのです。
まさにビジネスを複雑化し、成功させていて、私がいつも経営講義で話している内容を先に実践しておられるのです。
あんみつ館と呼ばれているランの展示場の名誉館長には、生け花で有名な假屋崎省吾さんが就任し、脇町の古い街並みの中の屋敷で、ランを使った、假屋崎さんの生け花展が開催されていました。
たいへん大胆な作品で、盛り付けも生け花も考え方はまったく同じであることがよく分かるような素晴らしい出来栄えでした。
本日は、たまたまですが、讃匠が親しくさせて戴いている広告会社の担当者の方のご紹介で、素晴らしい経営者にお会いし、たくさんの刺激を受けて来ました。
昼食は、迎賓館の一つで戴きましたが、総務の女性の手料理で、美味しい郷土料理を準備して戴き、迎賓館も素晴らしかったのですが、ランの天ぷらも初めて食べました。
私も麺のことしか頭にないことを自負していますが、河野社長はランの研究において、世界一のさまざまな実績をお持ちで、ランの用途開発の第一人者であると思います。
また、美馬市出身の芸術家である、藤島博文氏と昵懇にされ、藤島さんの作品も含め、多くの美術品の収集もしておられるのにも、驚きました。
今まで、河野メリクロンの名前は知っていましたが、実際に経営者にお会いしてみると、驚くことばかりで、私のこれからの戦略にどれほど役に立ったか、分かりません。
今年は初めから、1月のロンドンでは、外食の進化に驚き、スイスでは、国の豊かさと企業の効率の良さに大きな刺激を受けました。
今月も月初から、素晴らしい経営者にお会いし、多くの学びがあり、今年は何かが変わりそうな1年です。
本日も、ドラッカーの名言の解説で、今日のテーマは「現在やっていることを洗練させる」です。
78.現在やっていることを洗練させる
効率とは、現在既に行われている事をより洗練させることである。
(解説)少し前に、ドラッカー名言録より、下記のことを学びました。
効率とは物事を正しく(適切に)行うことで、有効性とは正しいことを行うことである。
Efficiency is doing things right;
effectiveness is doing the right things.
効率とは、現在既に行われている事を、より洗練させることである。
Efficiency is doing better what is already being done.
従って、効率(Efficiency)よりも効果性(effectiveness)の方が、はるかに大切であることを学びました。
効果性(effectiveness)とは、結果を出すことであり、われわれに求められているのは、結果を出すことなのです。
しかし、効率(Efficiency)も方向性が正しく、間違ったことを行なっていない場合、次に目指すのは、最高の効率を求めることなのです。
これは改善改良により、効率を高めることと同じ意味なのです。
例えば、日本の製造メーカーが得意な改善、改良により、生産効率を上げる等がこれに当たるのです。
私のドラッカー・マネッジメントの師である、国永先生の名言録より、引用すれば、下記のようになります。
「効率性には3つの領域がある」
ドラッカーはかねてから、効率性を考える場合、次の3つの大きな領域が存在するということを強調している。
第1の領域は、人間の時間に関する点である。
一貫した観察を行い、時間を最高度に貢献させるためには正しく使用することが重要だ。
これにはどうしても、「優先順位(プライオリティ)」の決定を含む。
優先順位の決定を正しく下すまでは、われわれは単に「優れたプランを抱えている」にすぎないとドラッカーは言う。
第2の領域は、貢献に対する責任や、経営に関する適切な知識、訓練、教育を自ら引き受けることだとする。
すなわち、現代の企業においては、「現代の組織」という恐ろしいほど複雑な制度や構造を築いて発展させることが必要なので、どうしてもそれに対する主要なアプローチと訓練の方法を心得ていなければならないというのである。
第3の領域は、ドラッカーが口を酸っぱくして説いていることなのだが、自らの「強み」について絶えず意識的に探求し、そして、その強みをベースにした仕事を築き上げるという点である。
これら3つの重要な領域は、一見難しいようであるが、誰もが努力によって実行することが可能だとドラッカーは言う。
そして、それが可能な経営者以上に優れた効率を上げる組織といったものは存在しないと続ける。
どんなに多くの従業員がいようとも、会社の業績は、最終的には経営者のクオリティに左右される。
経営者は企業が効率的であるための「機関」であり、アイデアと知識と仕事とを業績に変換させていく存在なのである。
こうした経営者の仕事は、よく世間で言われているような、他の人々を管理することからスタートするものではなく、自分自身を管理する仕事から始まるのだと、ドラッカーは力説している。
真の「自己管理」ができなければ、何事も達成することは不可能であるが、効率的な経営者になるのは、決して不可能なことではない。
しかしドラッカーは、効率のよい経営者になることは、正直に言って、すべてが大変な難事であるとしている。
そのためには、どうしても積極的によい習慣を身に付けなければならないし、それを繰り返し行うことによってこそ、文字通り、習慣が「第2の天性」となるとする。
ここでも経営者の自己管理が重要であり、時間管理が一番大切であり、良い習慣を身につける必要があったのです。
ここで、時間管理の法則で思い出すのは、コビー博士の7つの習慣です。
「重要であるが、緊急ではないこと」の第二領域に取り組むことこそ、長い目でみて、最終的な効率の追求になるのです。
これはまさに、時間管理のところで、優先順序を決めるに当ります。
従って、効率(Efficiency)を追求すれば、同時に効果性(effectiveness)の追求が自然と行なわれるのです。
従って、効率(Efficiency)の追求と、効果性(effectiveness)の追求は別個に行なわれるのではなく、むしろ、効果性(effectiveness)の追求に大きなウエイトを置いておかねばならないのです。
だから、われわれはもっと効率(Efficiency)と、効果性(effectiveness)の違いを明確に理解すべきなのです。
要するに、まずそれが適切で、正しいことであるかどうか、長い目で見て、間違った判断でないかどうかが非常に重要なのです。
これを確認する判断材料は、価値観の順序であり、使命であり、コンセプトであり、場合によっては、デイズニーのような行動指針であるのです。
参考までに、デイズニー・ランドでは、末端のスタッフの誰もが簡単に理解出来るように、価値観を行動指針にまとめているのです。
そして、以下の4つの順序が非常に重要なのです。
1.安全性(Safety):どんなことがあっても、まず安全性が最優先です。
2.礼儀正しさ(Courtesy):礼儀正しく振る舞います。
3.商品力(Show):スタッフによる最高のパーフォーマンスを届けるのです。
4.効率(Efficiency):最後が効率の追求で、利益の追求も含む
このように価値基準を明確にしておくと、正しいことを行なうこと、即ち、効果性(effectiveness)において、間違うことはないのです。
目先の損得にこだわれば、どうしても第一領域の「重要であり、緊急なこと」だけに取り組むことになりますが、以上のような価値基準の順序を明確にすることにより、大きな間違いを防ぐことが出来るのです。
われわれのような仕事や、ラーメン・うどん・そば・パスタなどの飲食店で言えば、練習時間に十分な時間をかけることなのです。
一般的に日本のビジネスマンは、試合の時間(日々、会社で働いている時間)だけで、練習時間をほとんど取っていないの、もっと充電の時間を取らなければいけないのです。
スタッフ全員の知恵のレベルを上げ続けることが大切であるのです。
画像は、昨日は昨日訪問した徳島県美馬市脇町の街並み保存地区です。
昔のうだつのある町並みが保存され、心が癒される風景がたくさんあり、水戸黄門のロケも行なわれたそうです。
今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。