ラーメン屋・うどん屋・そば屋・パスタ屋開業で繁盛店に|「イノベーションと起業家精神(上)」マネッジメントの歴史

経営講義

昨日から蕎麦学校とラーメン学校の合同の経営講義が始まり、蕎麦学校の生徒さんとは、一昨日から既に対面していますが、ラーメン学校の生徒さんたちとは初対面です。

ラーメン学校の生徒さんたちの最初の挨拶を聞いていると、ラーメン学校を選んだ理由として、「カンブリア宮殿」のTV放送を見たため、という生徒さんが多いのです。

従って、参加する前から期待値が高まっているので、その期待を裏切らないだけでなく、はるかに期待を超えるような授業内容にするのが、われわれ講師陣の果たさなければいけない重要な役割です。

昨日の授業を通じて感じたのは、ほとんどの生徒さんたちは、麺専門店における、マネッジメントの大切さを理解しておらず、蕎麦店、ラーメン店を成功させるには、マネッジメントが必須であることが理解出来ていないようです。

本日のドラッカー・マネッジメントの解説を作りながら感じたのは、1965年から85年の乱気流のアメリカ経済において、膨大な雇用を生み出した中小企業の成功をもたらしたのは、マネッジメントの適用であったのです。

それまでのアメリカでは既に、大企業にはマネッジメントが適用され、むしろマネッジメントは大企業にこそ必要な道具であったのですが、中小企業においては、必要と見なされていなかったのです。

しかし、中小企業にマネッジメントが適用された結果、膨大な雇用が生まれ、社会が大きく変貌を遂げたのです。

マネッジメントは、ドラッカーによって体系化されたのですが、実は日本でも古くから、商家ではマネッジメントが代々と伝えられ、永い繁栄をもたらす原因となっていたのです。

その典型的なものは、近江商人の思想・行動哲学の三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」の精神で、売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならないのです。

これは、まさにドラッカー・マネッジメントと何ら変わらないのですが、ドラッカー・マネッジメントのように体系化されておらず、他の多くの中小企業に適用されていなかっただけなのです。

三方良しの理念が確認できる最古の史料は、1754年に神崎郡石場寺村(現在の東近江市五個荘石馬寺町)の中村治兵衛が書き残した家訓であるとされ、ただ し、「三方良し」は戦後の研究者が分かりやすく標語化したものであり、昭和以前に「三方良し」という用語は存在しなかったのです。

その他の近江商人の教えの言い伝えは、次の通りです。

1.始末してきばる
「始末」とは無駄にせず倹約することを表すが、単なるケチではなく、たとえ高くつくものであっても本当に良いものであれば長く使い、長期的視点で物事を考えること。また「きばる」とは本気で取り組むこと。

2.利真於勤
利益はその任務に懸命に努力した結果に対する「おこぼれ」に過ぎないという考え方であり、営利至上主義の諫め。

3.陰徳善事
人知れず善い行いをすることを言い表したもの。自己顕示や見返りを期待せず人のために尽くすこと。

近江商人の流れを汲むとされる主な企業は次の通りです。

大丸、高島屋(高島郡出身の商人飯田儀兵衛の婿養子である飯田新七が創業。社名は高島郡に由来)

トヨタ自動車(彦根出身の豊田利三郎が初代社長。また、グループ創始者豊田佐吉は児玉一造に多くの支援を受けた)

伊藤忠商事・丸紅(犬上郡出身の伊藤忠兵衛が創業)

住友財閥(初代総理事広瀬宰平は野洲郡出身、2代目伊庭貞剛は蒲生郡出身)

双日、トーメン(彦根出身の児玉一造が中心となって創業)

兼松(前身の一つである江商は、犬上郡出身の北川与一が創業)

ヤンマー(伊香郡出身の山岡孫吉が創業)

西武グループ(愛知郡出身の堤康次郎が創業)

日清紡、東洋紡(前身の一つである金巾製織は、滋賀県知事の勧奨から複数の近江商人が創業)

日本生命保険(彦根出身の弘世助三郎の呼びかけで創業)

ワコール(仙台出身神崎郡育ちの塚本幸一が創業。社名は「江州に和す」に由来)

西川産業(八幡出身の西川仁右衛門が創業)

武田薬品工業(日野発祥の薬種仲買商である近江屋喜助からののれん分け)

ニチレイ(前身である帝国水産は、野洲郡出身の西川貞二郎らが創業)

次は、再来週からのLAでのイベントのお知らせです。

昨年の10月に続き、3月2日(月)から4日(水)までの3日間、LAで、イベントが開催され、私のセミナーも合計3本入っています。
http://www.yamatonoodle.com/trainin…/030215_1dEventUS01a.pdf

現在の北米の事情に合ったテーマであり、本来は麺學校で教えている、実務に役立つ内容ばかりの私のセミナーで、タイトルは次の通りです。

1.事業計画・レイアウトセミナー((仮)ビジネスの成功、利益差はここで決まる) “Understanding Successful Noodle Business by numbers”

2.コンセプトの重要性~コンセプトがビジネスの成功を左右する
“Different noodle restaurant concepts that work”

3.利益倍増計画~多店舗展開へのステップアップ~
“Key to expansion strategy for your restaurant business”
Important tip for building a successful business
-Why business concept determines success in business

4.単価の上がる盛り付け実演(ラーメン、うどん、つけ麺)

その他にも、新規開業者と既存店の双方に役立つ面白い内容のセミナーとか、イベントを準備して、御来場をお待ちしています。

本日より、当分の間、ドラッカー選書「イノベーションと起業家精神(上)」(ダイアモンド社)に基づき、イノベーションについて、深くドラッカーから学んでいきます。

ぜひ、一緒にイノベーションと起業家精神を磨いていきましょう。

「起業家精神のマネッジメント」

アメリカで1965年から85年までの20年間に、膨大な雇用を生み出した起業家精神が一国の経済において大きな役割を演ずるようになる原因は、経済的な ものではなく、価値観、感性、生き方、人口構造の変化、更には(1870前後にドイツとアメリカにおいて見られたような起業家的な銀行の誕生など)制度的 な変化、或いは教育の変化にあるのかも知れないのです。

そして、この時代のアメリカでは、若者たちの間に信じられないような大きな変化が起来ていたのでした。

1960年代のアメリカの若者たちの快楽主義、出世主義、順応主義は、どこへ行ったのかと思われるくらいに、アメリカの若者たちの価値観や生き方に、大きな変化が起こった結果、まったく予測しがたいものになったのです。

即ち、1970年頃、物質的な価値、金、モノ、世俗的な成功に背を向け、牧歌的とまでいかなくとも、のんびりした幸せなアメリカを回復してくれるはずだと言われていた若者たちは、どこかへ消えてしまったのです。

大組織の安全よりもリスクを好み、がむしゃらに働く若者たちが、突然大勢現われ、起業家経済の出現により、経済的、技術的現象であると同時に、文化的、社会心理的現象であり、原因が何であるにせよ、その結果は極めて経済的で、大きな影響を及ぼしたのです。

そして、この新しい世代の価値観や生き方や行動を可能としたものが、新しい「技術」としてのマネッジメントだったのです。

「マネッジメントの適用」

まさにアメリカにおいて起業家経済の出現が可能になったのは、次のような、過去マネッジメントとまったく無縁であった分野におけるマネッジメントの新しい「技術」の適用だったのです。

1.新しい事業(ほとんどの人たちは、マネッジメントは既存の事業のためのものとしている)
2.小さな事業(ごく数年前までは、ほとんど人たちがマネッジメントは大企業のためのものとしていた)
3.(医療や教育など)社会的機関の事業(ほとんどの人たちはマネッジメントという言葉を見ると企業を連想する)
4.田舎の食堂など、事業とさえ呼べないような事業
5.イノイベーションそのもの(すなわち、人間の欲求とニーズを満たすための機会を探し、実現するための活動)

「役に立つ知識」としてのマネッジメントは、電子工学、固体物理学、遺伝学、免疫学などの今日のハイテクの基礎となっている知識と歴史の長さは変わらず、マネッジメントのルーツは、第一次世界大戦前後であり、その萌芽が見られたのは、1920年代の半ばであるのです。

マネッジメントは、工学や医学と同じ意味で「役に立つ知識」であり、そのゆえに体系としてよりも、まず実務として発展し、1930年代末には、既にアメリ カの幾つかの大きな事業体、特に大企業が、マネッジメントを利用し、その中には、デユポンと、その姉妹会社というべきゼネラル・モーターズ(GM)、或い は大手小売業のシアーズ・ローバックがあったのです。

また大西洋の対岸ヨーロッパでは、ドイツのジーメンスや、イギリスの百貨店チェーン、マークス・アンド・スペンサーがあり、マネッジメントが一つの体系としてまとめられたのは、第二次世界大戦の直後だったのです。

マネッジメントについてのドラッカーの最初の著作「会社という概念」(1946)と「現代の経営」(1954)がマネッジメントを一つの体系としてまとめ、提示した最初の試みであり、世界的規模のマネッジメント・ブームは1955年頃始まったのです。

マネッジメントは一部の企業による試行錯誤の実践から一つの体系へと急速に発展し、他のいかなる科学技術上の革新にも劣らない影響、恐らくはそれ以上に大きな影響をもたらしたのです。

第二次世界大戦後、あらゆる先進国が組織社会となったのは、マネッジメントの発展だけが主たる原因ではなく、あらゆる先進国において、多くの人たち、とり わけ学歴の高い人たちが組織で働くようになり、それら組織の長でさえ、そのますます多くが所有者ではなく、経営専門管理者になったのも、マネッジメントの 発展だけが原因とか、主たる原因でなかったかもしれないのですが、少なくとも、マネッジメントが一つの体系として出現していなかったらならば、今日、先進 国で見られる社会、即ち、組織化社会や従業員社会は実現していなかったに違いないのです。

もちろん今日でも、マネッジメントについて、特に知識労働者のマネッジメントについては未知のことが数多く残っているのですが、マネッジメントの基本については、かなり明らかにされているのです。

もっともマネッジメントはごく最近まで、多かれ少なかれ、企業のもの、特に大企業のものとされてきて、1970年代の初め、アメリカ経営者協会(AMA) が中小企業の社長たちにマネッジメント講座の案内を出しても、「わが社にマネッジメントは必要ない。大企業ではない。」という返事しか返ってこなかったの です。

「脱大組織化の始まり」

第二次世界大戦の終わりから1970年までのかなり長い期間、組織の進歩とは大規模化を意味し、この25年間における企業、労働組合、病院、学校、大学などあらゆる分野で見られたのです。

大規模化には、いろいろ原因があり、大企業はマネッジメント出来るが、中小企業はマネッジメント出来ないという思いこみが、その最大の原因の一つであった ことは間違いなく、アメリカにハイスクールの大規模化をもたらしたのも、この思い込みだったのです。(教育は専門家によるマネッジメントを必要とする。そ してそのマネッジメントは、中小の組織ではなく大組織においてのみ可能である)

しかし、遂にこの傾向が逆転を始め、今やアメリカは、脱工業化ではなく、脱大組織化を始め、すでにある程度マネッジメントが行なわれている大組織よりも、 中小の起業家的な組織においてこそ、マネッジメントが必要とされ、かつ大きなインパクトを持つことを知っているのです。

特に、われわれは、マネッジメントが既存の事業にとってと同じように、新しい起業家的な事業にとっても大きな力になることを知っているのです。

アメリカでは19世紀に生まれたハンバーガー店が、第二次世界大戦後あらゆる街角で見られるようになったのですが、それら無数にあったハンバーガー店の中 で、マクドナルドは、それまでの運任せのパパママ・ストアに、初めてマネッジメントを適用し、最大の成功物語となり、マクドナルドで行なわれたマネッジメ ントとは、下記の通りなのです。

1.マクドナルドは、最終製品を規定した
2.次に製造プロセスを規定した
3.設備を再検討し、牛肉、玉ねぎ、パン、フライドポテトの一片に至るまで、同一のものを、同一の時間で、自動的に生産できるようにした
4.顧客にとっての価値が何であるかを考え、それは品質と同質性、サービスの速さ、清潔さと親しみやすさであると結論した
5.そして仕事の基準を定め、従業員を訓練し、給与システムを決めた

以上がマクドナルドのマネッジメントであり、きわめて進んだマネッジメントだったのです。

「マネッジメントの原理と方法」

第二次世界大戦後のアメリカ経済を起業家経済として成功させたのは、(科学や発明ではなく)このマネッジメントという名の「技術」であり、マネッジメントという「技術」が、アメリカ社会そのものを起業家社会に変えたのです。

しかもマネッジメントは、やがてアメリカのみならずあらゆる先進国において、教育、医療、政府、政治、企業や経済に対してより大きなインパクトを与え、あ らゆる先進国社会が切実に必要としている起業家精神そのものが、新しい問題や機会へのマネッジメントの適用なくしては成立しなくなっているのです。

今やイノベーションと起業家精神についても、40年前に経営一般について行われたとおなじことが必要とされているのです。

すなわち、イノベーションと起業家精神にかかわるマネッジメントの原理と方法を確立することであるのです。

画像は、昨日の東京支店での経営講義の一コマで、生徒さんたちとの熱心な質問の応酬です。

私の経営講義の特徴は、生徒さんからの質問に対する回答の応酬で、どんな質問にも直ちに答えることです。

今日も最高のパワーで、スーパー・ポジテイブなロッキーです。

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